北米3か国で史上最大規模の48か国・104試合を戦う2026年FIFAワールドカップが開幕を目前に控え、開催国アメリカの移民政策を巡る混乱が試合の雰囲気を覆っている。ソマリア出身の審判員オマル・アブドゥルカディル・アルタン選手の入国が米当局によって拒否され、FIFAが公式審判員リストから除外したことが明らかになった。大会組織側はセキュリティと公平性のバランスを強調する一方、開催国の政策が国際スポーツイベントに与える影響が懸念されている。
ホワイトハウスワールドカップタスクフォース執行ディレクターのアンドリュー・ジュリアーニ氏は、入国拒否の決定を擁護した。ジュリアーニ氏は「プレイヤーやコーチの入国は拒否されていない。一部の審判員が拒否されたのは正当な理由によるものだ」と述べ、ワールドカップの仮面を被って国に入る悪意ある行為者を排除し、安全な環境を確保するバランスを取っていると説明した。
FIFAは声明で、開催国の移民手続きやビザ発給には関与しておらず、最終的な入国許可権限は開催国政府にあると強調した。アルタン氏は2025年にアフリカ年間最優秀審判員に選出された実力者だったが、マイアミ国際空港での入国審査で退去を命じられ、大会出場権を剥奪された。これに加え、イランのサッカー連盟はグループステージの観戦用チケット割り当てを米国側から取り消されたと非難。イラン代表のスタッフ約15名がビザを発行されていない状況も伝えられている。
48か国が参加する今大会は、政治的緊張やチケット価格の高騰、中東情勢の影の中で迎えている。FIFA会長のジャンニ・インファティーノ氏は大会を「史上最高のショー」と称するも、移民政策やビザ制限がファンや関係者の移動を妨げている実態が浮き彫りになっている。審判員やスタッフの入国拒否は、国際スポーツの中立性と公平性の原則に疑問を投げかけるものとなっている。
開幕を目前に控えた今大会は、ピッチ上の熱戦だけでなく、開催国の政策と国際組織の対応が問われる試練の場ともなりそうだ。審判員の出場辞退やイラン代表の移動拠点変更など、予期せぬ混乱が試合の準備を圧迫する中、スポーツと政治の境界線がどのように管理されるかが、ワールドカップの成否を分ける鍵となりそうだ。