2026年10月2日、世界は複数の火種を同時に抱えている。スペイン・バルセロナでは、ミャンマー米国商工会議所(AmCham Myanmar)の元理事ムニムル・イスラムが、ミャンマー当局が請求した横領容疑で逮捕された。イスラムはバングラデシュ国籍で、テクノロジー企業ミスフィット・テクノロジーズの最高経営責任者を務める。弁護士クリスティアン・カルシによれば、彼は妻と休暇を過ごすためバルセロナ国際空港に到着した火曜日に拘束されたという。イスラムは「これはでっち上げの事件だ。我々には全ての証拠がある」とAP通信に語った。
この事件の背景には、AmCham Myanmarが元理事会会長アダム・カスティーヨ、元事務局長イェ・カウン・ダニー・キョウ、そしてイスラムに対して起こした複数月にわたる訴訟がある。AmChamは、カスティーヨが2024年にワシントン拠点の広報会社マーキュリー・パブリック・アフェアーズと結んだ契約を巡り、約30万ドルが「不正に徴収された」と主張する。しかし、AP通信が確認した文書によれば、この資金はイスラムの会社からマーキュリーに直接支払われ、米国政府の要求通りに申告されていた。さらに、理事会の署名入り決議はロビー活動を承認し、イスラムの会社がスポンサーを務めることを認めていた。AmChamの現事務局長ミャ・ピュー・テーは、この決議は「最近の捏造だ」と主張するが、商工会議所のウェブサイトにある議事録は理事会がこの契約を知り承認していたことを示している。
カスティーヨは元米海兵隊員で、ラングーンの悪名高いインセイン刑務所に3か月収監された後、9月16日に解放され、米国に強制送還された。彼はAP通信に対し、スペインはイスラムを直ちに解放すべきだと述べ、「地元の商工会議所内で起きた紛争が、どうして国際的な法執行問題にまで発展したのか、スペイン当局とインターポールは注意深く調査すべきだ」と語った。一方、イェ・カウン・キョウは先週、信託違反の罪で司法取引に応じ、強制送還された。
この事件は、2021年のクーデターで政権を握ったミャンマー軍事政権の司法制度にも焦点を当てている。人権団体は、政権が反対派弾圧のために法制度を改革し、審理を非公開にしていると報告している。EUの規則では、拷問のリスクがある場合、ミャンマーへの身柄引き渡しは却下される可能性がある。国連は軍事政権下で拷問が「組織的」になったと指摘しており、イスラムの弁護士は引き渡しに反対すると述べている。
一方、フランスでは2027年予算を巡る政治闘争が激化している。セバスティアン・ルコルヌ首相は10月1日、2027年の財政赤字を国内総生産(GDP)比5%に抑えるため、総額540億ユーロの「財政再建策」を発表した。このうち430億ユーロが新規の「是正措置」で、110億ユーロは既存施策の「増強」によるものだ。経済・財務相のロラン・レスキュールは「これは重要な努力であり、国民全体の動員が必要だ」と述べた。具体的には、年金の物価連動を月額1260ユーロを超える分について凍結・減額する「非指数化」、APL(住宅手当)や活動手当の凍結、公務員の給与指数ポイントの凍結などが含まれる。社会保障財政法案(PLFSS)では、医療・年金・家族部門の赤字を2026年の218億ユーロから2027年には127億ユーロに半減させる計画だ。
この予算の特徴は「可逆性」にある。公共会計相のダビッド・アミエルは「これは我々の後継者に残す前例のない自由だ」と強調し、大統領選挙後に新政府が政令で簡単に修正できる仕組みを設計した。例えば、年金の非指数化は2027年10月31日までに政令で再評価できる条項が盛り込まれている。しかし、野党のエリック・コケレル(財務委員長、LFI)は「本当に選択を固定したくないなら、特別法(前年度予算の暫定継続)を選ぶべきだった」と批判する。さらに、大規模な税制変更は修正財政法が必要となるため、完全な可逆性は保証されていない。ルコルヌ政権は、国民連合(RN)の支持を得て議会通過を目指すが、ジャン=リュック・メランション(LFI)は早くも「不信任」を宣言している。
この予算には意外な施策も含まれる。BTS(上級技術者免状)とグランゼコール準備学級の入学料を、それぞれ178ユーロと270ユーロに設定する案だ。奨学金受給者は免除されるが、それ以外の学生は負担が生じる。また、高所得者の退職金に対する税制優遇を上限設定し、4億4000万ユーロの追加収入を見込む。さらに、相続放棄された遺産の活用や、国が管理する不動産プロジェクトの再開なども盛り込まれた。高等教育の入学料導入は、高校の占拠運動が続く中で、学生の不満をさらに高める可能性がある。
ロシアでは、2027〜2029年の連邦予算案が国家院に提出された。2026年の連邦赤字はGDP比3.2%(7兆3350億ルーブル、約879億ドル)と予測され、2027年末の国家債務は53兆9000億ルーブル(約6451億ドル)に達する見通しだ。国防費は2027年に17兆1470億ルーブル(約2052億ドル)と最大の支出項目となる。一方、教育には1兆7800億ルーブル、医療には1兆8200億ルーブルが割り当てられた。家族住宅ローン補助金は2027年に7858億ルーブル、IT住宅ローンは648億ルーブルとなる。さらに、鉱業・金属セクターの企業に対する「風力税」は、2027〜2029年に毎年2000億ルーブル(約24億ドル)の収入をもたらすと見込まれている。この税は、金は20%、その他の鉱物は30%の税率で、2025年の平均価格を10%以上上回った場合に課される。
アフリカのナイジェリア・カツィナ州では、ディッコ・ラッダ知事が2027年度予算8285億8000万ナイラを承認した。資本支出が6378億5000万ナイラ(76.98%)、経常支出が1907億3000万ナイラ(23.02%)を占める。ラッダ知事は、州内361の区から集めた住民の要望を反映したと述べた。ただし、この総額は8月に行政評議会が承認した8286億3884万ナイラから6000万ナイラ少ない。マレーシアでは、公共政策シンクタンクのIDEASが2027年予算に制度改革を優先するよう求めた。政治資金法や選挙違反法の制定、ペトロナスの配当に関する透明な枠組み、中東のエネルギーショックへの対応を提言している。気候変動対策では、連邦投資を昨年の39億1000万リンギットから少なくとも55億リンギットに増やすことを提案した。
エンターテインメント界では、ワーナー・ブラザースが『ゲーム・オブ・スローンズ』の映画『ゲーム・オブ・スローンズ:エイゴンの征服』を2029年6月6日に公開すると発表した。監督はオーウェン・ハリス、脚本はボー・ウィリモンが担当する。物語は原作から約300年前、エイゴン1世タルガリエンが七王国を征服する過程を描く。キャストは未発表だ。ハリスは『ナイト・オブ・ザ・セブン・キングダム』の3話を監督し、ウィリモンは『ハウス・オブ・カード』の原作者として知られる。
これらの出来事は、各国の財政運営が政治的な不確実性と国際的な司法の圧力に晒されていることを示している。フランスの予算は大統領選挙を前に「可逆性」を武器に議会通過を目指すが、野党の抵抗は根強い。ミャンマーの事件は、軍事政権下の司法が国際社会に与える影響を浮き彫りにした。ロシアは国防費を優先しつつ、社会部門への投資も維持する。一方、文化産業は長期的な投資を続けており、世界は依然として多極化した課題に直面している。