米大統領ドナルド・トランプは28日、イランに制裁緩和と凍結資産の解放を提示したとする米メディアAxiosの報道を否定した。「これは真実ではない。彼らに何も提示していない」とトランプ氏は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に投稿し、Axiosの記事を「フェイク」と呼び、即時撤回を要求した。Axiosは匿名の米政府高官の話として、トランプ氏がイランの核計画に関する「具体的な進展」と引き換えに制裁緩和と凍結資金の解放に応じる用意があると報じていた。CNNも同様の報道をしたが、いずれも特定されていない政府関係者を引用していた。
この否定は、2月28日に米国とイスラエルがイランを攻撃し、テヘランが報復としてイスラエルと米軍基地を抱える湾岸諸国を攻撃したことで始まった戦争のさなかに発表された。中東では7か月に及ぶ戦闘で数千人が死亡し、数百万人が避難を余儀なくされている。米国とイランの当局者は28日、仲介国カタールを通じて別々に協議を行い、外交再開に向けた新たな取り組みが進められた。イラン国営通信IRNAは、ワシントンとの直接協議は予定されていないと伝えた。
トランプ氏はまた、イランが提案したホルムズ海峡を7日間で再開する案を「受け入れられない」として拒否した。イランのアッバス・アラグチ外相は、米国が海上封鎖を解除するなど条件を満たせば海峡を再開できると主張し、「決定は米国にある」と述べた。ホルムズ海峡は世界の石油・液化天然ガスの5分の1が通過する戦略的な要衝で、イランは戦争開始以来、事実上の封鎖を続けている。米国は報復としてイラン港湾の海上封鎖を実施し、世界の石油価格は上昇した。
一方、トランプ氏はイラン戦争について「まもなく勝利する」と述べ、戦争終結後はガソリン価格が「急落する」と予測した。また、イランに核兵器を取得させてはならないと強調し、「核兵器を保有したイランが都市を攻撃するのを見たいか」と問いかけた。イランは核兵器を保有しておらず、核拡散防止条約(NPT)の締約国として平和的目的の核技術開発の権利があると主張している。
各メディアの報道を比較すると、欧米メディアはトランプ氏の否定発言を中心に、戦争の長期化と外交の不確実性を強調している。中東メディアはイランの立場、特にホルムズ海峡の再開条件とアラグチ外相の発言を詳細に伝え、米国の対応を批判的に報じる傾向がある。ロシアのタス通信はAxios報道とトランプ氏の否定を簡潔に伝えるにとどめ、中立的な立場を取った。インドのメディアはトランプ氏の「勝利」発言とガソリン価格への言及を前面に出し、国内のエネルギー価格への関心を反映している。米国とイランの間では、核問題を巡る協議の時期と条件をめぐって依然として隔たりが大きく、戦争終結の見通しは立っていない。