南アフリカの気候変動目標が、ほぼ追加の努力なしで達成可能だとする分析が注目を集めている。ケープタウンのニュースサイトGroundUpとデータ出版社The Outlierが9月25日に公表した分析によれば、同国の排出量は既に2025年目標の範囲内に収まっている。これは、目標が実質的な拘束力を持たない「形式的なもの」だとの批判を招いている。
南アフリカはアフリカで最も工業化が進んだ経済であり、電力の大半を依然として石炭に依存している。そのため、同国の気候公約は石炭依存型の新興市場全体の試金石とみなされている。2015年のパリ協定に基づき、各国は自国の排出上限(国が決定する貢献、NDC)を設定する。南アフリカの2030年目標は3億5000万〜4億2000万トンの二酸化炭素換算、2035年目標は3億2000万〜3億8000万トンだ。
2026年5月29日に官報掲載された国家温室効果ガスインベントリの草案によると、2024年の総排出量は約4億7800万トン。土地による約3300万トンの吸収を差し引いた純排出量は約4億4400万トンとなり、2025年目標の範囲内に収まる。排出量は2008〜2009年をピークに緩やかに減少してきたが、これは政策ではなく経済停滞と電力不足によるものだとの指摘がある。
ケープタウン大学の研究では、既存政策によって2035年の排出量を2億8900万〜3億5900万トンに抑えられる可能性がある。これは新たな措置なしで2035年目標の範囲内かそれ以下になることを意味する。株主活動団体Just Shareのアナリスト、デナ・ヤンセン氏は「目標がこれほど野心的でなければ、産業界と政府が既に約束したことを実行するだけで達成できる」と述べ、「何も要求しない目標は形式的なものに過ぎない」と批判した。
独立系研究プロジェクトClimate Action Trackerは、南アフリカの気候対策全体を「不十分」と評価している。2025年12月のレビューでは、2035年目標が2022年比で16〜29%の削減を意味する一方、1.5°Cに抑えるための公平な分担では40%の削減が必要だと指摘した。全加盟国が同様の水準なら、温暖化は約3°Cに達する可能性があるという。
エネルギー部門は2024年に約3億7500万トンを排出し、2030年目標の下限をすでに超えている。電力不足が緩和された2024年には国営電力会社Eskomが石炭をより多く燃やし、エネルギー排出量が増加した。総排出量が減少したのは、土地による吸収量が増加と推定されたためだ。2030年目標の上限に達するにはさらに約2400万トンの削減が必要で、下限に達するには約9400万トンの削減が必要となる。
国家電力計画は2030年までに約8ギガワットの石炭発電容量を退役させる予定だが、これは6ギガワットの新規ガス発電が稼働することが条件だ。Eskomは民間電力プロジェクトの遅延を理由に、5つの石炭発電所の閉鎖を2030年に延期している。
シリル・ラマポーザ大統領は2024年7月に同国初の気候変動法に署名した。この法律により政府は部門別排出目標と大企業向け炭素予算を設定できる。ただし、いくつかの重要条項は2025年の法律施行時に延期され、プロセスが遅れている。
投資家と輸出業者にとって、目標の信頼性ギャップは国際的な気候資金へのアクセスを損ない、輸出先での炭素国境税の対象となるリスクを高める。欧州連合の炭素国境調整措置は、鉄鋼やアルミニウムなどの輸入品に埋め込まれた排出量に価格を付けるもので、2026年1月以降の輸入品に適用され、輸入業者は2027年2月から証明書の購入を開始する。
今後の焦点は、政府が気候変動法を用いて現行計画を超える拘束力のある炭素予算を設定するかどうかだ。最終的な2024年インベントリの内容も注目される。より深い問いは、南アフリカの排出目標が上限として機能するのか、それとも現状追認の下限として機能するのかという点である。
なお、本件に関する報道はブラジルのメディア(Rio Times)が主なソースであり、ほぼ単一の論調で構成されている。南アフリカ国内のメディア(GroundUp、The Outlier)の分析を基に、気候目標の実効性を疑問視する視点が中心だ。