トランプ米大統領は9月26日、イランが国連総会で提示したホルムズ海峡再開と戦闘停止を含む7日間プランを正式に拒否した。ホワイトハウスで記者団に対し「彼らの提案を拒否する。彼らの取引を拒否した」と述べ、イランが「あまりに劣勢」だから即時の海峡開放を求めていると主張した。その上で「我々は圧倒的に勝っている」「ホルムズ海峡の完全な支配権は我々にある」と強調し、イランには「資金が入ってこない」ため妥協の必要があるとの認識を示した。
イラン外相アラグチは、カタールを仲介として米国に7日間プランを伝達したと発表していた。プランの内容は、レバノンを含む中東全戦線での停戦、米国によるイラン海上封鎖の解除、イラン産原油への制裁免除、凍結されたイラン資産(少なくとも120億ドル相当)の解放を米国に求め、初日から5日間で米国がこれらの措置を実施した上で、6日目に海峡を再開、7日目に包括的な最終合意に向けた交渉を開始するというものだった。イラン大統領ペゼシュキアンは、このプランが最高指導者モジタバ・ハメネイと調整済みであると述べ、「受け入れれば翌日からプロセスが始まる」と語った。また、核問題に関しては、ウラン濃縮や高濃縮ウランの国外搬出など自国の権利を譲らない姿勢を示した。
トランプ大統領の拒否は、ウォール・ストリート・ジャーナル紙が米政府関係者の話として事前に報じた内容と一致する。同紙によれば、トランプ氏はイランが自らの要求を満たすかどうか懐疑的で、11月の中間選挙後にイランへの新たな爆撃キャンペーンを再開する可能性が高いと側近に語ったという。実際、米国は9月1日にイラン南東部の結婚式を襲撃して5人が死亡して以来、イラン本土への空爆を行っていないが、ホルムズ海峡では船舶への攻撃が続いている。トランプ氏は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」にホルムズ海峡を囲んで「トランプ海峡」と記した地図を投稿し、米国の支配を誇示した。
一方、米国務省は交渉の扉を閉ざしておらず、スポークスマンのピゴット氏は「対話を止めたのは米国ではない」と述べた。また、米政府高官はカタール経由の協議が「前向きで建設的」だったと評価し、米国は急いでいないとの姿勢を示した。イラン側は「選択権は今や米国にある」とし、強制や威嚇を受け入れないと主張する。革命防衛隊のスポークスマン、モヘビ氏は「イランの7つの条件が満たされるまで米国を罰し続ける」と述べた。
この拒否は世界のエネルギー市場に直ちに影響を与えた。ブレント原油は金曜日に1バレル104.37ドルで取引を終え、戦前の約70ドルから大幅に上昇している。ブラジルのメディアは、この価格高騰がラテンアメリカを「燃料を買う国」と「売る国」に分断していると指摘した。チリ、ペルー、中央アメリカ、カリブ海諸国は燃料のほぼ全てを輸入しており、負担が重い一方、ブラジル、ガイアナ、ベネズエラ、コロンビアは今世紀で最も良い価格で原油を販売している。トランプ大統領の決定は月曜日の原油価格にさらなる圧力をかける可能性がある。
各国メディアの論調には差異が見られる。アルゼンチン紙クラリンは、トランプ氏の「米国がホルムズ海峡を完全支配している」という主張と、実際には海峡がほぼ閉鎖状態にあるという矛盾を指摘し、原油価格への影響を強調した。スペイン紙エル・パイスは、トランプ氏がイラン経済封鎖が効果を上げていると信じ、11月3日の中間選挙後に「合意が成立する」と予想している点に焦点を当てた。カナダCBCは、イラン大統領が国連で米国とイスラエルを「テロリスト」と非難した演説や、核開発を巡るイランの柔軟性のなさを伝えた。中東のアルジャジーラは、イランが「米国との交渉を信頼していない」と述べたペゼシュキアン大統領の発言を紹介し、カタールを介した間接交渉の継続を報じた。ロシアのラブロフ外相は国連で、ホルムズ海峡と湾岸地域の安定化にロシアが貢献する用意があると述べ、多極的な仲介の動きも見られる。
トランプ大統領の拒否は、2月28日に米国とイスラエルがイラン攻撃を開始して以来、約7ヶ月続く戦争の膠着状態をさらに長引かせる可能性が高い。米国は中間選挙を控え、中東戦争の不人気に直面しており、イランは経済封鎖と制裁で疲弊している。双方が「勝利」を主張する一方、ホルムズ海峡の閉鎖は世界経済に継続的な打撃を与えている。イランの7日間プランは、6月に署名されたイスラマバード覚書の枠組みを再活性化する試みだったが、トランプ氏の拒否により、交渉の行方は11月の中間選挙後に持ち越された形だ。