イランは国連総会の場で、ホルムズ海峡を7日以内に再開し中東全域の戦闘を停止する和平案を米国に提示した。イランのアラグチ外相は25日、国連安保理の外で記者団に対し、カタールの仲介を通じて米国に「具体的な7日間計画」を伝達したと明らかにした。「必要な条件が満たされれば、海峡は再開され、7日以内に通常の海上航行が回復する。選択は今や米国にある」と述べた。計画では、米国がイランの港湾封鎖を解除し、イラン産原油への制裁を免除し、凍結資産(少なくとも120億ドル相当)を解放し、レバノンを含む地域全体の停戦を順守することが条件となる。初動措置に4〜5日をかけ、6日目にホルムズ海峡を再開、7日目にイラン核問題を含む最終合意に向けた米国との協議を開始するという段取りだ。アラグチ外相は、米国が取るべき措置は6月に調印された覚書(MOU)に既に含まれており「新しいものではない」と強調した。
しかし、この提案に対する米国の反応は冷ややかだ。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は匿名の米政府関係者の話として、トランプ大統領がイランの停戦提案を拒否し、11月の中間選挙後にイランへの爆撃を再開すると側近に伝えたと報じた。同紙によれば、トランプ氏はテヘランが自らの要求を満たすかどうか懐疑的で、新たな爆撃キャンペーンが行われる可能性が高いと見ている。トランプ氏は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に、ホルムズ海峡を丸で囲み「トランプ海峡」と記した地図を投稿し、米国の支配力を誇示した。一方、ホワイトハウスは仲介者を通じた協議を「前向きで建設的」と評価しており、米国務省のピゴット報道官はトランプ氏が交渉で「すべてのカードを握っている」と主張した。
メディア間の論調の差異も鮮明だ。ロイター通信は、イランの提案内容とトランプ氏の拒否という事実関係を淡々と報じる一方、アルジャジーラはカタールの仲介役としての役割を強調し、米国が「急いでいない」姿勢を示していると分析した。インドのタイムズ・オブ・インディアは、トランプ氏が中間選挙後に爆撃を再開する可能性を指摘しつつ、イラン国内の強硬派と穏健派の対立という内政面に焦点を当てた。ドイツのメディアは、米国の制裁でイランの航空交通が孤立し、ドバイやアゼルバイジャンなどがイラン便の受け入れを停止したという経済的影響を報じた。フランスのフランス24は、トランプ氏が中間選挙を前にガソリン価格高騰で人気を落としているという政治的文脈を強調した。イラン大統領ペゼシュキアンはCBSとのインタビューで、核査察官の受け入れに応じる用意があると表明し、核開発は「宗教的に禁じられている」と述べた。ロシアのタス通信は、IAEA査察官のイラン派遣をめぐる米国の保証の欠如を指摘した。
この計画は、6月に調印されたものの短期間で崩壊した覚書(MOU)を土台としている。当時は60日間の暫定期間を設け、ホルムズ海峡の管理にイランが関与することを認める代わりに、海峡を開放する内容だったが、イランが承認ルートを逸脱した商船に発砲したことで決裂した。今回の提案はその教訓を踏まえ、期間を7日間に短縮した形だ。イランはホルムズ海峡を最大の交渉カードと位置づけており、革命防衛隊のマフブビ報道官は「米国は強力な海軍力にもかかわらず、海峡を数時間も開けておけなかった」と主張した。サウジアラビアはフーシ派の攻撃でエネルギー施設や紅海の航路が脅かされており、トルコとパキスタンの国防当局者がリヤドで会合を開き、共同防衛協定に基づく支援を協議した。国連安保理はフーシ派のサウジアラビア攻撃と紅海の商業航行への攻撃を非難する声明を発表した。イエメンでは戦闘再開により13万人以上が家を追われ、ユニセフは過去3週間で少なくとも15人の子供が死亡したと報告した。
イランの提案が実を結ぶかは、中間選挙を控えたトランプ氏の判断にかかっている。国際危機グループのアジジ上級アナリストは、イラン側が提案の拒否を予期していたと指摘し、「イランは外交の用意があったことを示し、米国が3度目に外交の最中に攻撃を選んだことを示したいのだ」とXに投稿した。原油市場は外交進展への期待からブレントが2.14%下落し104.32ドル、WTIが2.33%下落し92.41ドルとなったが、サウジのパイプライン停止による供給不安から高値圏を維持している。イランのアラグチ外相は「米国側に合意とホルムズ海峡再開への真剣さがあれば、すべては準備できている」と述べ、米国の回答を待っている。