中国の習近平国家主席は9月23日、米国を国賓訪問し、ワシントン郊外のアンドルーズ統合基地に到着した。ドナルド・トランプ大統領は大統領として約60年ぶりとなる異例の滑走路での出迎えを行い、メラニア夫人とともに習主席と彭麗媛夫人を歓迎した。到着式典では100フィート(約30メートル)の赤絨毯が敷かれ、儀仗隊による栄誉礼、21発の礼砲、B-1爆撃機2機の編隊飛行が行われた。トランプ大統領は爆撃機の轟音に顔をしかめた一方、習主席は終始不動の姿勢を保ったと複数メディアが報じた。
到着と同時に、スコット・ベッセント米財務長官が中国の何立峰副首相との協議を受け、2025年10月に韓国・釜山で合意された通商休戦(釜山合意)を11月10日の期限から2026年1月10日まで2カ月間延長すると発表した。ベッセント長官はフォックス・ニュースのインタビューで「より大きな合意ができるかどうかは分からないが、現行合意を延長する」と述べ、中国側がより包括的な貿易協定の可能性を示したことを明らかにした。延長は世界最大級の経済摩擦を緩和するものだが、中国による農産物購入やレアアース輸出の履行状況を米国が検証するための時間稼ぎとの見方も出ている。
各国メディアの論調には顕著な差が表れた。中国国営メディア(新華社、CCTV)は到着を「歴史的・画期的意義」と称え、習主席の「両国はパートナーであるべきで、ライバルではない」との声明を大きく報じた。一方、米国メディアはトランプ政権がCNNなど一部メディアのホワイトハウス取材を禁止した影響で、主要ネットワークが到着式典の取材をボイコットし、少数のデジタルメディアだけが映像を捉えたと伝えた。AP通信と英ガーディアン紙は式典の華やかさと同時に、実質的な成果への期待の低さを指摘した。英BBCはAI競争を首脳会談の最重要議題と位置付け、米国がフロンティアモデルで先行する一方、中国がオープンウェイトモデルと低コスト電力で追撃する構図を分析した。カタールのアルジャジーラは専門家の見解として「交渉の場ではなく安定化のための首脳会談」と評し、インドのタイムズ・オブ・インディアはトランプ政権内のタカ派であるロジャー・ウィッカー上院議員が「豪華な歓迎」を批判したことを伝えた。台湾メディア(台北タイムズ)は、米上院民主党議員7人が「習主席が来た時より強くなって帰るのを許すな」と声明を発表し、台湾への武器売却と安全保障を強調したと報じた。
首脳会談は24日、ホワイトハウスで正式な到着式典と観兵式に続いて行われ、夜にはイーロン・マスク、ジェンセン・フアン(エヌビディア)、サム・アルトマン(OpenAI)、ティム・クック(アップル)ら米ハイテク業界の首脳が出席する国賓晩餐会が予定されている。25日には両首脳夫妻が国立公文書館を訪問し、独立宣言や憲法などの歴史的文書を閲覧する予定だ。会談では貿易・AI・イラン戦争・台湾・ウクライナ戦争・宇宙軍備競争などが議題となる見通しで、特に台湾では米国が承認を保留している140億ドルの武器売却パッケージが焦点となる。中国は人民元の切り下げや景気刺激策を背景に輸出を伸ばしており、トランプ政権は11月の中間選挙を控えてイラン戦争の影響で支持率が低迷している。専門家は今回の首脳会談で画期的な合意は期待薄だが、両国が「戦略的安定」を維持するための貴重な機会となると分析している。