The Morning Star Observer

2026年09月24日 木曜日朝刊 (Morning Edition)ArchiveAbout

習近平訪米、トランプ大統領と首脳会談へ 戦略的安定の構築が焦点

中国の習近平国家主席は9月23日、専用機で北京を出発し、ワシントンに向かった。トランプ米大統領の招待による国賓訪問で、24日にホワイトハウスで首脳会談を行う。今回の訪問は、5月にトランプ氏が北京を訪れて以来、今年2度目の首脳会談となる。ホワイトハウスはこの訪問を「両国関係における重要な節目」と位置付ける。トランプ氏はアンドルーズ統合基地で習氏を出迎える異例の歓迎を行う予定だ。

両首脳の会談では、貿易・関税、人工知能(AI)、台湾、イラン戦争などが主要議題となる見通しだ。貿易では、11月に失効期限を迎える休戦協定の延長が焦点となる。米中はそれぞれ約300億ドル分の非敏感品目の関税を相互に引き下げる枠組みを協議している。AIでは、米財務長官スコット・ベッセントと中国の何立峰副首相が日曜日にニューヨークで8時間に及ぶ協議を行い、AI対話の創設で合意した。台湾では、習氏が米国による台湾向け武器売却の停止を求める構えだ。中国の謝鋒駐米大使は人民日報への寄稿で、台湾、中国の政治制度、発展の権利など4つの「レッドライン」を挙げ、米国に越境しないよう求めた。

イラン問題も影を落とす。中国企業がイランに衛星画像を提供し、ヨルダンの米軍基地へのミサイル攻撃(米兵3人死亡)を支援したとの報道がある。トランプ氏はこの問題で習氏と対峙する構えだ。一方、中国はレアアース(希土類)の供給支配力を交渉カードとして保持する。昨年、輸出規制で米国に高関税の撤回を迫った経緯がある。

欧米メディア(英ガーディアン、米NPR、仏フィガロ)は、今回の首脳会談で大規模な合意は期待薄としつつ、「戦略的安定」の枠組みに実質を与えることが焦点になると指摘する。米国側では共和党内の対中強硬派(ロジャー・ウィッカー上院議員など)がトランプ氏の手厚い歓迎を批判する一方、ルビオ国務長官は「世界の二大経済大国が最高レベルで対話しないのは無責任だ」と擁護した。中国国営メディア(新華社、CCTV)は訪問を「歴史的な節目」と称え、両国関係の安定化に寄与するとの論調が支配的だ。シンガポールのCNAは、この安定化を「現実的だが浅い安定化」と表現し、相互の経済的脆弱性に支えられたものであり、戦略的収斂ではないと分析する。日本の高市早苗首相は国連総会の機会にトランプ氏と会談し、中国問題での緊密な連携を確認した。日独を「敵国条項」から削除するよう国連に求める演説も行い、中台問題を巡る緊張が背景にある。

今回の訪問は、習氏にとって2015年以来となる米国への国賓訪問であり、米中間の競争関係を管理する新たな枠組みを試す場となる。両首脳は年内にさらに2回(11月のAPEC、12月のG20)会合する可能性があり、首脳外交の頻度が増すことで関係の取引的性質が強まるリスクも指摘される。中国の習氏は国内経済の減速と来年の党大会を控え、トランプ氏は11月の中間選挙を控えており、双方に安定を求める動機がある。

国連総会2日目、イラン・ウクライナ・AIが焦点に 各国メディアの論調分かれる

第81回国連総会の一般討論は2日目を迎え、イラン戦争、ウクライナ戦争、人工知能(AI)規制、そして次期事務総長選びが主要議題となった。アルゼンチン紙クラリンは、イランのマスード・ペゼシュキアン大統領が「自国の立場を断固として守る」と演説し、ドナルド・トランプ米大統領が前日にイランとの対話再開を発表した直後であると報じた。一方、ドイツ公共放送DWは、AI企業トップらが国連安全保障理事会の緊急会合でAIのリスクを説明し、気候変動も引き続き議題となると伝えた。カタールのアルジャジーラは、米イラン間の間接協議が3時間に及んだと報じ、米国特使スティーブ・ウィトコフとジャレッド・クシュナーがイランのアッバス・アラグチ外相と会談したと伝えた。

イラン戦争をめぐっては、報道機関によって強調点が大きく分かれた。クラリンとDWは、ペゼシュキアン大統領が「平和的な核技術」への権利を主張し、米国の核放棄要求に反発したと報じた。DWはさらに、同大統領が殺害された最高指導者アリ・ハメネイ師の肖像を掲げ、米国とイスラエルを「テロリスト」と非難したと伝えた。パキスタンのデイリータイムズは、イスラエルのダニー・ダノン国連大使が「イランの指導者たちの居場所を把握している」と主張したと報じた。一方、イランのテヘランタイムズは、トランプ大統領がアラブ・イスラム諸国首脳と会談し、「イランを消滅させる」と脅した一方、湾岸諸国が米国の安全保障依存を見直し始めたと分析した。

ウクライナ戦争では、ウクライナのキーウ・インディペンデント紙が、ゼレンスキー大統領が国連総会で「ウクライナ人はこの戦争を選んだわけではない。我々は死なないことを選んだ」と訴え、冬に向けたエネルギー停戦の必要性を強調したと報じた。同紙は、ゼレンスキー氏がロシアのプーチン大統領を「患者ゼロ」と呼び、ロシアの予算赤字と地方の破綻に言及したと伝えた。DWは、米国のマルコ・ルビオ国務長官とロシアのセルゲイ・ラブロフ外相が国連総会の傍らで会談したと報じた。アルジャジーラは、EUのカヤ・カラス外交安全保障上級代表が「51カ国がウクライナ支持を表明した」と述べたと伝えた。

AI規制をめぐっては、バングラデシュのデイリースター紙が、トランプ大統領が「産業革命よりも大きくなるものの成長を阻害しない」と規制論を退けたと報じた。同紙は、オーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相が22カ国の首脳とともにAIの「グローバルなガードレール」を呼びかけ、英アンディ・バーナム首相がAIをG20の中核に据えると述べたと伝えた。DWは、サム・アルトマン氏(OpenAI)、ダリオ・アモデイ氏(Anthropic)、クレマン・ドラング氏(Hugging Face)が安保理で説明すると報じた。欧州連合のポリティコ紙は、欧州委員会のテレサ・リベラ副委員長が「女性が国連を率いる姿を見たい」と述べ、次期事務総長選びで女性候補支持を表明したと伝えた。ロシアのタス通信は、ロシア外務省のキリル・ログビノフ局長が「事務総長選びが今週の主要テーマになる」と述べたと報じた。

一方、中東情勢では、カタールのアルジャジーラが、イスラエルに対する非難が多くの首脳演説で相次いだと報じた。同紙は、アントニオ・グテーレス国連事務総長がヨルダン川西岸の入植地拡大を「民族浄化の亡霊を呼び起こす」と非難し、フランスのエマニュエル・マクロン大統領がトランプ氏の「ガザ戦争終結」発言に反論したと伝えた。イスラエルのネタニヤフ首相は、AI生成の動画で「イスラエルを非難せよ」と繰り返すオウムを国連演壇に登場させ、批判に応じた。ドイツのFAZ紙は、マクロン氏がトランプ氏のガザ主張に異議を唱えたと報じた。

国連総会の欠席者も注目を集めた。DWは、ドイツのフリードリヒ・メルツ首相が国内政治(州選挙)を優先し、イタリアのジョルジャ・メローニ首相も国内問題を理由に欠席、南アフリカのシリル・ラマポーザ大統領は健康上の理由、エジプトのアブデルファタハ・シシ大統領は理由不明で欠席したと報じた。ナイジェリアのボラ・ティヌブ大統領は休暇中で、カシム・シェッティマ副大統領が代表を務めた。インドのナレンドラ・モディ首相、中国の習近平国家主席、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領も欠席し、習氏はワシントン訪問を優先した。英国のプレミアムタイムズ紙は、シェッティマ副大統領が国連総会開幕に出席し、24日にナイジェリアの国家演説を行うと報じた。

気候変動とエネルギーでは、米国のガーディアン紙が公開書簡を掲載し、著名人や活動家らが「2030年までに全ての人にクリーンエネルギーを」と訴えた。書簡は、イラン戦争と気候災害の連関を指摘し、化石燃料依存の終結を求めた。DWは、グテーレス事務総長が化石燃料大手を「大気を下水道のように扱っている」と非難し、ロシアのウクライナ侵攻以降、欧米の大手石油5社が約5000億ドルの利益を上げたと指摘したと報じた。

こうした多角的な報道から、国連総会2日目は、イラン戦争とウクライナ戦争という二つの武力紛争、AI規制という新たな技術課題、そして気候変動という長期的課題が交錯する場となった。各国メディアは、自国の政治的立場や関心に応じて、イランへの強硬姿勢(米国・イスラエル系)、ウクライナ支持(欧州・ウクライナ系)、多国間主義の重視(アフリカ・アジア系)といった異なる論調を示した。特に、トランプ政権の「アメリカ第一主義」的な外交姿勢と、国連を中心とした多国間協調の間で、国際社会の亀裂が改めて浮き彫りになったと言える。次期事務総長選びは、こうした分断の中で合意形成が図られるかどうかの試金石となるだろう。

北朝鮮のリ・ソンゴムがアジア大会で3つの世界記録を樹立、インドのチャヌは銀メダル

北朝鮮の重量挙げ選手リ・ソンゴムが、名古屋で開催中のアジア大会女子49キロ級で3つの世界記録を樹立し、母国に今大会初の金メダルをもたらした。身長わずか140センチの28歳は、スナッチで94キロを頭上に掲げて従来の世界標準を1キロ上回り、クリーン&ジャークでは115キロの世界記録を2度破って116キロ、続けて121キロを成功させた。合計215キロは従来の世界記録を7キロ上回る圧巻の内容だった。

リは表彰式で国歌が流れると涙を見せ、「この金メダルは母国のために取ったものだ。国民は私に大きな期待を寄せていた。この小さな両肩で国を持ち上げたかった」と語った。国際重量挙げ連盟(IWF)は8月1日から来年のオリンピックに向けて新しい階級区分を導入し、全ての世界記録をリセットしている。新たに導入された世界標準を上回った選手は新記録とみなされる。

一方、東京オリンピック銀メダリストのインドのミラバイ・チャヌ(32歳)が、3度目の挑戦で悲願のアジア大会メダルを獲得した。スナッチ87キロ、クリーン&ジャーク111キロの合計198キロで銀メダル。インド勢のアジア大会重量挙げメダルは1998年のカルナム・マレスワリ以来、28年ぶりとなった。チャヌは「アジア大会のメダルを獲るのが夢だった。自分なら勝てると信じていた。コーチやサポートスタッフなど、私を信じてくれる人々がいて、母国のためにメダルを獲ると決めていた」と喜びを語った。

リはアジア大会の重量挙げで3つの金メダルを獲得した史上4人目の選手となり、女子では初の快挙となった。これまでにイランのモハマド・ナシリ(1966〜74年)、韓国の金泰賢(1990〜98年)、イランのベフダド・サリミ(2010〜18年)が3つの金メダルを獲得しており、4つの金メダルを獲得した選手はまだいない。

リはオリンピックに出場したことがない。北朝鮮は2021年の東京大会を新型コロナウイルスの影響で欠場し、2024年のパリ大会では重量挙げの出場権を獲得できなかった。来年のロサンゼルス大会では競技が男子6階級、女子6階級に削減されるため49キロ級は実施されない。リは女子の最低階級となる53キロ級に階級を上げてオリンピック金メダルを狙うかと問われ、「イエス」と答えた。

この快挙は複数のメディアが報じた。カタールのアルジャジーラはリの記録の詳細を細かく伝え、インドのタイムズ・オブ・インディアはチャヌの銀メダルに焦点を当て、インドの28年間の空白を強調した。マレーシアのニュー・ストレーツ・タイムズとシンガポールのCNAは、リの記録とチャヌの銀メダルの両方をバランスよく報じた。台湾の台北タイムズも同様に、リの3つの世界記録とチャヌの銀メダルを併記した。各メディアは事実認識で一致しており、解釈の相違はほとんど見られない。

イラン大統領、国連演説で「屈しない」と宣言 米国の「消滅」脅しに反論、外交への期待も

イランのマスード・ペゼシュキアン大統領は9月23日、ニューヨークの国連総会で演説し、米国との戦争に「屈しない」と宣言した一方、紛争終結に向けた外交への期待も表明した。演説はトランプ米大統領が前日に「イランを消滅させる」と脅したのを受けたもので、両首脳の応酬が国連の場で交わされた形となった。

ペゼシュキアン大統領は演説で、戦争開始時に殺害されたアリー・ハーメネイ師の写真を掲げ、米国を「テロ」と非難した。さらに「トランプ氏は知るべきだ。制裁、圧力の増大、いじめの前に、イラン国民の抵抗は増すばかりだ。我々は頭を下げず、膝を屈めることもない」と述べた。また、ホルムズ海峡について「誰かが自由に通行して利益を得る一方、その水路を使って我々に侵略を課すことは許さない」と主張した。

一方、同日には米国とイランの間で数カ月ぶりのシャトル外交が行われた。イランのアッバス・アラグチ外相と米国のスティーブ・ウィトコフ、ジャレッド・クシュナー両特使が、国連総会の傍らで仲介者を通じて意思疎通を図った。トランプ大統領は「非常に生産的な会合だった。合意に向けた勢いがある」と述べたが、イラン側はカタールを仲介者として戦争終結と米国の「侵略行為」の停止を条件として伝えた。イラン政府高官は、米国がイランの7つの条件を受け入れるまでホルムズ海峡を再開せず、交渉も再開しないと強調した。

この外交的進展を受け、原油価格は2週間ぶりの低水準近辺で推移した。ブレント原油は1バレル100ドルを下回る水準で推移し、WTIは89.23ドルまで下落した。戦争は2月にトランプ政権がイスラエルと共に開始した「作戦・エピック・フューリー」以来、約7カ月に及び、数千人が死亡し、エネルギー供給を混乱させ、レバノンやイエメンへと戦火が拡大している。

メディアの論調を比較すると、中東系メディア(アルジャジーラ、タイムズ・オブ・イスラエル)はイランの強硬姿勢と米国代表団の退席、イラン航空制裁への報復の可能性を強調した。ロシアのタス通信は、イランが米国の7条件を満たすまで交渉しないというレザイ国家安全保障最高評議会書記の発言を伝え、イランがロシアの軍事経験に依存していないとする駐ロシア大使の発言も報じた。一方、欧米メディア(ロイター、NPR、ガーディアン)はトランプ大統領の「消滅」発言と外交的動きの両面を報じ、外交進展への期待を示した。中国系メディア(環球時報系)はペゼシュキアン大統領がトランプ氏の「いじめの精神」を非難した点を強調した。イランの国営メディアに近いタスニーム通信は、アラグチ外相がウィトコフ、クシュナー両氏と接触したことを「トランプへの大きな贈り物」と批判し、強硬派の反発を伝えた。このように、外交的進展の評価はメディアによって分かれており、イラン国内の強硬派は交渉自体に懐疑的な見方を示している。

今後の焦点は、11月の中間選挙を控えたトランプ政権がイランとの合意にどこまで踏み込めるか、そしてイランが要求する制裁解除とホルムズ海峡の支配権を巡る交渉が進展するかにある。原油価格の高騰は共和党にとって逆風であり、トランプ大統領は「戦争に勝てばすぐに原油は下がる」と約束しているが、その実現は不透明だ。

政治 (Politics)

イラン大統領、国連演説で米国を「テロの加害者」と非難——ペゼシュキアン氏、屈しない姿勢を強調

第81回国連総会がニューヨークで開催されるなか、イランのマスード・ペゼシュキアン大統領が9月23日、一般討論で演説を行った。米国のドナルド・トランプ大統領が前日、「イスラム共和国を消滅させる」と脅したことへの直接の反論となった。ペゼシュキアン氏は「われわれはテロの被害者だ」と述べ、米国とイスラエルを非難した。演説では、戦争初期に暗殺されたアリー・ハーメネイー最高指導者の写真や、米軍の空爆で犠牲になった子どもたちの写真を掲げ、イランの立場を訴えた。

演説の冒頭でペゼシュキアン氏は、2月末の米国・イスラエルによる共同攻撃で暗殺されたハーメネイー師の写真を掲げた。同師は86歳で、戦争の最初の一撃で命を落とした。さらに、南部ミナーブの小学校を襲った米軍の空爆で少なくとも150人(うち約120人が子ども)が死亡したとし、犠牲者の写真を示した。米国はラメルドのスポーツ複合施設への攻撃を否定し、ミナーブについては調査中だとしている。ペゼシュキアン氏は「われわれの無実の人々は、卑劣な攻撃と侵略の標的となった。そしてわれわれは最大の力で自らを守った」と語った。

ペゼシュキアン氏は「トランプ大統領は知るべきだ。制裁と圧力の増大、いじめの増大に直面して、イラン国民の抵抗は強まるだけだと。われわれは決して頭を下げず、膝を屈めない」と述べた。そのうえで「われわれは対話と外交、交渉の用意がある。ただし力の言葉を受け入れずにだ」と付け加え、外交への扉を残した。米国代表団は演説中に退場し、イスラエル代表団は演説をボイコットした。前日のトランプ氏の演説では、イラン代表団が退場していた。

ホルムズ海峡をめぐる対立も焦点となった。ペゼシュキアン氏は「ホルムズ海峡で、一部が自由に通行して利益を得る一方で、同じ水路を使ってわれわれに侵略を課すことはできない」と述べた。米国はイランの港湾と船舶の封鎖を4月に開始し、イランは世界の石油・ガス輸送の5分の1が通過する同海峡で商業船舶を攻撃して事実上の閉鎖に追い込んだ。6月には停戦の暫定合意に達したが、数週間で崩壊した。イランは海峡の管理権と通航料を求め、米国はこれを拒否している。

イランは核開発をめぐる主張も展開した。「核兵器はイスラエルにあるが、査察官はイランに来る。イスラエルは殺し、イランは制裁を受ける。われわれは罰せられる」と述べた。また「核兵器は持たず、平和的な核技術に制限はない」と明言した。トランプ氏は演説で、戦争がイランの核爆弾獲得を防いだと主張し、指導者らに「核への野心を放棄する」よう求めた。

一方、トランプ氏は国連総会で、イランとの交渉担当である義理の息子ジャレッド・クシュナー氏と特使スティーブ・ウィトコフ氏がイラン当局者と3時間の会合を持ったと述べた。「非常に良い会合だった。合意に向けた大きな勢いがある」と語った。イラン外相アッバス・アラグチ氏とウィトコフ氏はカタールの仲介で間接協議を行った。ウィトコフ氏は「建設的で有望であることが証明されることを望む」と述べたが、イラン外務省報道官エスマイル・バガエイ氏は「新しいものではない」とし、米国の封鎖解除と凍結資産の解放というイランの条件が維持されたと述べた。

メディアの論調には差異が見られた。英BBCは、ペゼシュキアン氏が「膝を屈めない」と述べたことと、米国がラメルドへの攻撃を否定しミナーブを調査中だと報じた事実を対比させ、戦争の帰結をめぐる認識の相違を浮き彫りにした。カタールのアルジャジーラは、ペゼシュキアン氏が外交の余地を残したと評価し、米シンクタンクのネガル・モルタザヴィ氏の「イランは戦争からの出口を求めている」との分析を紹介した。一方、元米外交官のジョーイ・フッド氏は「具体的な和平提案がなかった」と批判した。イスラエルのタイムズ・オブ・イスラエルは「抵抗」へのコミットメントを強調し、パキスタンのデイリー・タイムズはイラン軍参謀本部がトランプ氏の脅しを「戦略的袋小路」と評したと報じた。ロシアのタス通信は、国連安保理改革でラテンアメリカ・アフリカ・アジアの代表権拡大を求めるロシアの立場を伝え、イラン演説とは別の焦点を当てた。

この演説は、米国との約7か月に及ぶ戦争のなかで、イランが国内の結束を示しつつ外交の窓を残すという戦略を鮮明にしたものだ。トランプ氏の「消滅」の脅しに対し、ペゼシュキアン氏は「抵抗」と「対話」の両方を掲げた。ホルムズ海峡の封鎖と米国の海上封鎖が続くなか、今後の交渉の行方が中東情勢と世界のエネルギー価格を左右する。国連総会では、イランと米国の協議が再開されたものの、具体的な成果はまだ見えていない。

マドリード87歳女性の強制立ち退き、スペイン住宅危機の象徴に

マドリードのレティロ公園近くのアパートに71年間住んでいた87歳のマリカルメン・アバスカルさんが、9月23日に強制立ち退きとなった。彼女は1956年に父親が借りた物件に住み続けており、家賃は月500ユーロだった。しかし2018年に不動産投資会社ウルバヘスティオンが物件を買収し、家賃を2,650ユーロに値上げ。その後1,650ユーロに減額されたが、月額1,450ユーロの年金では支払えず、2018年から続いた法廷闘争の末、4度目の立ち退き執行で住み慣れた家を離れることになった。

立ち退き当日は400人以上が建物前に集まり「マリカルメン、あなたは一人じゃない」「殺人者」と叫んだ。アルゼンチンの『クラリン』紙は、彼女が車椅子で50%の障害認定を受けていたこと、国連の経済的・社会的・文化的権利委員会が過去3回の立ち退きを阻止していたことを報じた。ドイツの『ドイチェ・ヴェレ』は、匿名の作家が家賃を支払うと申し出たが、ウルバヘスティオンが拒否したと伝えた。イギリスの『BBC』は、俳優ハビエル・バルデムの兄カルロスや歌手アナ・ベレンら著名人が支援に駆けつけ、ラファエル・アルベルティの詩『Desahucio』が朗読されたと報じた。

スペインでは毎日平均80件の立ち退きが発生しており、2026年1月から3月だけで4,005件が執行された。マドリード州のイサベル・ディアス・アユソ州知事は州の住宅法の適用を拒否しており、住宅相イサベル・ロドリゲスは「人民党の策略と嘘」と非難した。マドリードの家賃は過去10年で100%以上上昇し、住宅不足が深刻化している。スペインの左派連立政権は借主保護と家賃統制を推進するが、議会の分裂で法案成立が難しい状況だ。一方、マドリード州政府は市場重視のアプローチを支持している。

この事件は、投資ファンドによる投機と住宅政策の失敗が高齢者を直撃する現実を浮き彫りにした。スペインの住宅危機は、マドリード、バルセロナなど大都市の家賃高騰と供給不足が原因で、若者から高齢者まで幅広い層に影響を与えている。政府の対応が遅れる中、市民の抗議活動は今後も続くとみられる。

ガザでハマス財務責任者を空爆で殺害、イスラエルが宣言——停戦下の攻撃継続と国連演説での仏大統領失言も焦点

イスラエル軍は9月23日、ガザ南部ハンユニスで車両を空爆し、イスラエルがハマスの財務部門トップと特定したムハンマド・アブ・アルワンを殺害した。パレスチナ保健当局によると、この攻撃で少なくとも2人が死亡し、2人が負傷した。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とイスラエル・カッツ国防相は共同声明で、アルワンがハマスの上級財務幹部だったと説明し、「ハマスがガザから消えるまで戦いを止めない」と述べた。ハマス側は直ちにコメントを出していない。

この空爆は、昨年発効した米国仲介の停戦合意が揺らぐ中で起きた。停戦はガザの最終的な復興を想定するが、ハマスの武装解除とイスラエル軍の撤退をめぐる交渉は停滞し、イスラエルは空爆を続けている。パレスチナ当局によると、停戦発効以降にガザで少なくとも1400人が死亡し、イスラエル軍は兵士4人が死亡したとしている。双方が停戦違反の責任を互いに非難している。

一方、国連総会ではフランスのエマニュエル・マクロン大統領がイスラエルを厳しく批判したが、その演説中に「ハマスはヨルダン川西岸で活動したことがない」と誤った発言をし、ネタニヤフ首相に即座の反撃材料を与えた。この失言が、植民地化やガザ、パレスチナ国家に関する仏大統領の本来のメッセージをかき消したと『ル・フィガロ』は報じている。

さらに中東では、ホルムズ海峡で貨物船「ケープ・ダオ」が攻撃を受け、インド人船員1人が死亡、19人が救助された。インド外務省は攻撃を非難し、地域の商業船舶への攻撃継続を「深く憂慮すべき」とした。イラン戦争の文脈で、イランは湾岸の石油・ガス輸送路の支配を図り、米国はイラン港湾の封鎖で対抗している。

メディアの論調を比較すると、アラブ首長国連邦の『アル・モニター』とインドの『タイムズ・オブ・インディア』は、イスラエルによるハマス財務責任者殺害の事実と停戦下の攻撃継続を簡潔に伝える。アルゼンチンの『クラリン』はパレスチナ赤新月社の情報を基に、負傷者8人がアル・アマル病院とナセル病院に搬送されたなど現地の詳細を強調した。イスラエルの『タイムズ・オブ・イスラエル』はネタニヤフ首相とカッツ国防相の声明を前面に出し、「ハマスがガザから消えるまで」という強硬姿勢を伝えている。フランスの『ル・フィガロ』はマクロン大統領の失言という外交的駆け引きに焦点を当てた。イランのメディアは、米・イスラエル軍によるミナブの学校空爆で犠牲になった子どもたちを追悼する式典と、国連調査団がこれを戦争犯罪と認定したことを強調する。パキスタンのメディアはバロチスタンでの掃討作戦を報じるなど、各紙が自国の関心に沿った切り口で同一地域の動乱を伝えている。

ICC、中央アフリカ旧反政府軍司令官に人道に対する罪で有罪判決 スーダン事実上の指導者には米国がビザ拒否

オランダ・ハーグの国際刑事裁判所(ICC)は水曜日、中央アフリカ共和国の旧反政府軍司令官マハマト・サイード・アブデル・カニ被告(56)に対し、2013年の内戦中に首都バンギの拘置施設で囚人を虐待したとして、人道に対する罪4件で有罪判決を下した。判決を読み上げた裁判長のミアッタ・マリア・サンバ判事は、被告が「拷問センター」と評された中央強盗取締局(OCRB)の責任者として、鞭打ちや水責め、手・肘・足を後ろで縛る「アルバタシェ」と呼ばれる拷問を監督したと認定した。被告は戦争犯罪3件については無罪となった。量刑は後日言い渡される。

判決では、被告の執務室直下にあった地下牢に囚人を収容し、衛生設備のない暗く狭い部屋で排泄を強いられたこと、床が排泄物で覆われ悪臭を放っていたことなどが認定された。サンバ判事は、ある被害者が「虐待によって人生が完全に破壊された」と証言したと紹介した。被告は青いトレーナーとジーンズ姿で法廷に現れ、判決読み上げ中に何度も首を振った。有罪判決に対し、首都バンギでは被害者団体から「戦争犯罪の訴因が退けられた」ことへの落胆の声も上がった。

本判決は、主にイスラム教徒で構成されたセレカ反政府勢力のメンバーがICCで裁かれた初のケースとなった。セレカは2013年にフランソワ・ボジゼ大統領を打倒し、同国を宗派間の血なまぐさい紛争に陥れた。その後、キリスト教徒中心の「アンチバラカ」民兵組織との戦闘で数千人が死亡した。ICCはこれまでにアンチバラカ側の指導者2人、元スポーツ相パトリス=エドゥアール・ンガイソナ被告(懲役12年)と元国会議員アルフレッド・イェカトム被告(懲役15年)を有罪としている。中央アフリカ共和国は2019年の和平合意以降、比較的安定した状況にある。

一方、国連総会に出席するためニューヨークを訪れる予定だったスーダンの事実上の指導者アブデル・ファッターフ・ブルハン将軍に対し、米国がビザを発給しない事態が判明した。複数の外交筋によると、ワシントンは90日間の停戦受け入れをビザ発給の条件としている。国連のグテレス事務総長報道官は「深く懸念している」と述べ、米国と協議中であることを明らかにした。外交筋は、入国許可の保留は「国連と米国の合意に違反する」と指摘した。スーダン外相がブルハン将軍の代わりに総会で演説する可能性が報じられている。

さらに、イランのマスード・ペゼシュキアン大統領が国連総会で米国のトランプ大統領を直接批判し、米国がイランを「テロリスト」と呼んだことに対し、イラン人は「テロの犠牲者」だと反論した。ペゼシュキアン大統領は、米国とイスラエルによる空爆でイランの学校が破壊され子供たちが死亡したとし、ハメネイ最高指導者が「法的根拠なく」暗殺されたと述べた。米国代表団は演説中に退席した。トランプ大統領は前日、イランと「取引」するか「地獄に突き落とす」かの「大きな決断」を迫られていると述べていた。

ミャンマーのクーデター指導者で文民政権の大統領に転身したミン・アウン・フライン氏は、米誌タイムとのインタビューで、2021年に政権を追放し拘束したアウン・サン・スー・チー氏に「極めて寛大だった」と語った。スー・チー氏の恩赦の可能性は「彼女次第だ」と述べつつ、状況が変われば再考の余地があると示唆した。同氏は4月に軍最高司令官を退任し文民大統領に就任しており、国際的な孤立解消に向けた外交を展開している。

これらの動きを複数メディアの報道から比較すると、ICC判決については欧州メディア(ドイツ公共放送DW、フランス24、カタールのアルジャジーラ、シンガポールのCNAなど)が、拷問の詳細や被害者の証言、判決の歴史的意義を詳細に伝えている。特にアルジャジーラは「セレカ初の有罪判決」という点を強調し、DWは「15年に及ぶ調査の終着点」と位置付けた。一方、ロシアのタス通信は、米国によるICC制裁が同裁判所の日常業務や調査を不可能にする可能性があると、モスクワ国立法律大学の准教授アルトゥール・グラサリャン氏の見解を伝え、米国の金融・技術システムへの依存という観点から分析した。スーダンのビザ問題はケニアのメディアが報じており、米国とハルツームの関係悪化を背景とした「停戦を巡る圧力」として位置付けている。イランの国連演説はインドのタイムズ・オブ・インディアが詳報し、米国代表団の退席という外交的緊張を強調した。ミャンマー情勢はマレーシアのニュー・ストレーツ・タイムズが報じ、スー・チー氏の処遇を巡るミン・アウン・フライン氏の「寛大さ」の主張と、人権団体が「見せかけの民主主義」と批判する文民政権の実態を対比した。

露軍ヘリがポーランド領空を侵犯、ゼレンスキー大統領は国連で演説へ 停戦交渉は進展なく

ロシア軍のMi-8ヘリコプターが23日、カリーニングラード付近でポーランド領空を一時的に侵犯した。ポーランド軍作戦司令部によると、侵入はブラニェヴォ北方で午前11時8分に発生し、領空内に滞在した時間は42秒、最大深度は約300メートルだった。同司令部はX(旧ツイッター)への投稿で「戦闘機を発進させ、地上部隊は待機状態に置いた。この事案の性質は、ロシアが再び我々の防空の即応性を試していることを示している」と述べた。ポーランドはNATO加盟国であり、隣国ウクライナでの戦争に関連した領空侵犯に高い警戒を保っている。ロシアのワルシャワ大使館はこの事案についてのコメント要請に即答しなかった。

一方、ウクライナではゼレンスキー大統領とトランプ米大統領の会談直後にロシア軍が大規模なドローン攻撃を実施した。首都キーウでは23日朝、鉄道インフラ、倉庫、ガソリンスタンドが攻撃され、市当局によると少なくとも2人が死亡、22人が負傷した。これは夏以降、迎撃が難しい高速・高高度のジェットドローンによる攻撃が始まって以来、最も激しい攻撃の一つとなった。キーウ市長のクリチコ氏は、9階建ての非住宅ビル、ビジネスセンター、倉庫にドローンが命中したと述べた。ウクライナ石油会社ウクルナフタは、首都のガソリンスタンドが攻撃され、ここ数週間で6件目となったと発表した。ウクライナ鉄道のペルツォフスキーCEOは、首都の鉄道インフラが攻撃され、作業員1人が負傷したと述べた。東部ドネツク州では別の航空爆弾攻撃で少なくとも4人が死亡、4人が負傷した。

ゼレンスキー大統領は国連総会の傍らでトランプ大統領と会談し、エネルギー関連目標への二国間停戦の可能性について協議した。同大統領は、ロシアの冬季の電力インフラ攻撃に備え、米国のパトリオット防空ミサイルの追加供給を要請した。合意には至らなかったが、ロシアがウクライナのインフラへの攻撃を止める限り、モスクワとのエネルギー停戦には「あらゆる形式」で応じる用意があると述べた。トランプ大統領は先週、ウクライナとロシアがエネルギー目標を攻撃しないことで合意したと述べたが、翌日にキーウのガソリンスタンドが攻撃され、ウクライナがロシアの石油精製所を爆撃したことで、停戦の兆しは消えた。

クレムリンのペスコフ報道官は、ルビオ米国務長官とラブロフ露外相のニューヨークでの会談を前に、ウクライナとの和平協議の土台はまだ整っていないと述べた。「現時点では、平和的交渉の軌道に移行する前提条件はない。ただし、ロシア側としては和平協議に開かれたままだ」と同氏は記者団に語った。また、プーチン大統領は必要と判断すればトランプ大統領と一対一で会う用意があるとしたが、プーチン氏とゼレンスキー氏の直接会談の可能性については、ゼレンスキー氏がモスクワに来るべきだという従来の立場を変えていない。ウクライナ側は中立国での開催を主張しており、この考えを繰り返し否定している。ペスコフ氏は3首脳による首脳会談の可能性も軽視し、「一般的に言って、他の状況なら、専門家レベルで下地が整う前に首脳会談を開くのは不適切だ。時間の無駄になるからだ」と述べた。

エネルギー問題では、フランスのマクロン大統領が月曜日、エネルギー部門関連の攻撃のモラトリアム(一時停止)を確保するためのイニシアチブについてトランプ大統領と協議したと述べた。トランプ大統領は攻撃が米国のディーゼル価格高騰の原因だと非難しているが、多くの経済専門家は米国主導のイラン戦争の方がより大きな要因だとみている。トランプ大統領は火曜日、農業州の共和党議員が支持するディーゼル輸出禁止案を支持すると述べたが、共和党内でも全会一致の支持を得ているわけではなく、沿岸部の燃料価格を押し上げ、欧州同盟国への供給を逼迫させる可能性があると警告する自身のエネルギー当局者らと対立している。エネルギー長官のクリス・ライト氏は「流れに障壁を設ければ、すぐに生産が減り、供給が減る。必要なのはより多くの供給であり、より少ない供給ではない」と述べた。内務長官のダグ・バーガム氏は、輸出禁止は石油価格を下げる可能性は低く、カリフォルニア州などがエネルギーの一部を依存するエネルギー輸出国の報復措置につながる可能性があると述べた。

ポーランドでは、ロシアのグレーゾーンでの対欧州行動の激化が緊張を高めている。トゥスク首相は先週、議会下院(セイム)での演説で、ロシアがNATO領土にドローンやミサイルを送り込み、それを「偶然の出来事」と位置づける計画があると警告した。同首相は、クレムリンが同盟を不安定化させ、パートナーの結束を試そうとしていると述べ、その目的は集団防衛の第5条が「理論上のみ存在する」ことを示すことだと主張した。今週に入り、ポーランド検察は先週バルト海で発見されたロシアのゲルベラ2型ドローンに高性能爆発性破片弾頭が搭載されていたことを明らかにした。8月にはドイツがライプツィヒ/ハレ空港での爆発性ドローン攻撃未遂の責任をロシアに帰した。今月初めにはデンマークのフレデリクセン首相が、ロシアのフリゲート艦がデンマーク軍ヘリコプターに向けて照明弾2発を発射したと非難し、NATOを試す試みだと述べた。

英国では、バーナム首相が国連での演説で、ロシアがボット軍団と偽サイトを使い、虚偽を流布し、選挙に干渉し、不和を煽り、地域社会間の関係を損なう「産業規模の攻撃」を英国の情報環境に対して仕掛けていると非難した。同首相は、敵対勢力による認識論的破壊工作に対抗するための国家情報防衛センターの設立を発表した。ガーディアン紙の論説は、バーナム氏の指摘は正しいが、話の一部しか語っていないと指摘する。クレムリンが偽情報を流すのは、大規模な米国テックプラットフォームが毒素を広める便利な経路を提供し、英国に好意的な聴衆がいて、有害なプロパガンダを広める市場が儲かるからだという。同紙の分析では、ベルファストとサウサンプトンでの人種暴動について投稿していたXのアカウントの半分以上が英国外に拠点を置いていた。最も読まれたツイートの7つは米国発で、その中にはXの所有者であるイーロン・マスク氏の投稿も含まれていた。マスク氏は、大衆移民によって文化が侵食されている失敗国家という歪んだディストピア的な英国像を積極的に広めてきた。バーナム氏は演説でこの側面に触れなかったが、それはトランプ大統領の面前で米国のビッグテックを非難するのが不適切だと感じたからかもしれない。

ロシア国防省は、ランセット偵察・攻撃システムと戦闘用無人航空機が、ザポロジエ地域のM119牽引榴弾砲、パラディン砲兵システム、ボグダンシステム2基を破壊したと発表した。偵察ドローンが米国製M119牽引榴弾砲と弾薬を積んだトラックの動きを検知し、攻撃UAVとランセットが目標を撃破、弾薬の爆発で榴弾砲とトラックが破壊されたという。また、迷彩を施したM109パラディン自走榴弾砲とボグダン自走榴弾砲2基を検知し、待機位置にあった砲を攻撃、弾薬の爆発を確認した。これにより、この地区でのウクライナ軍の火力支援と対砲兵戦能力が低下したとしている。

ウクライナでは、過去1日間のロシア軍の攻撃で少なくとも10人が死亡、53人が負傷した。南部オデーサ州では、アンティグア・バーブーダの旗を掲げた商業貨物船が攻撃され、火災が発生、ウクライナ人船長が死亡した。同州では医薬品や日用品、食品を保管する倉庫が続けて2回攻撃され、消火に数時間を要した。ウクライナ空軍によると、ロシア軍はシャヘド型攻撃ドローン161機(ジェット推進型を含む)、ゲルベラ、パロディアのデコイドローン、バンデロールドローンを投入し、ウクライナ防空部隊は119機を撃墜または無力化した。ドネツク州では4人が死亡、10人が負傷、ヘルソン州では2人が死亡、8人が負傷、ハルキウ州では1人が死亡、13人が負傷した。キーウ州では18の施設が損傷し、3人が負傷した。ゼレンスキー大統領は22日、ロシアがウクライナに対する新たな大規模攻撃を準備していると警告した。同大統領は国連総会の傍らで英国のバーナム首相と安全保障と防空支援について協議した後、「ロシアがウクライナに対する新たな大規模攻撃を準備していることを示す諜報情報を現在持っている」と述べた。

各メディアの論調を比較すると、カナダのCBCはキーウへのドローン攻撃の詳細と、トランプ大統領とゼレンスキー大統領の会談、エネルギー停戦の見通しの厳しさを中心に報じ、クレムリンの首脳会談への慎重姿勢を強調している。スペインのエル・パイスはポーランドの領空侵犯を、ロシアのグレーゾーン戦略の一環として位置づけ、トゥスク首相のNATO第5条に関する懸念を詳細に伝えている。欧州のポリティコも同様に、領空侵犯とロシアのハイブリッド戦争の文脈で報じ、ドイツやデンマークでの事例を挙げている。カタールのアルジャジーラは、攻撃による死者数とゼレンスキー大統領の発言に焦点を当て、ロシアの攻撃の規模を強調している。ロシアのタス通信は、ウクライナの外国製砲兵システムの破壊というロシア国防省の発表をそのまま伝え、ロシア軍の戦果を強調する。シンガポールのCNAは、EU大使の証言やゼレンスキー大統領とフォン・デア・ライエン欧州委員長の会談など、国際的な連帯の側面を加えている。ウクライナのキーウ・インディペンデントは、ポーランドの領空侵犯とウクライナ各地の攻撃状況を詳細に報じ、ロシアの攻撃がNATO加盟国に及ぼす影響を強調している。全体として、ロシアの攻撃と外交交渉の停滞という事実認識は全メディアで一致するが、ロシア系メディアは軍事面での成功を、欧米・ウクライナ系メディアはロシアの脅威と停戦の不確実性を強調する傾向がある。

英、チャゴス諸島返還協定を再交渉へ トランプ氏の「ひどい協定」批判受け マウリシャスへの支払い停止

英国政府は、モーリシャスへのチャゴス諸島返還協定を再検討すると発表した。ドナルド・トランプ米大統領が国連総会で同協定を「ひどい」と評したことを受けた措置である。ウェス・ストリーティング国防相は、米国が支持しない以上、協定を見直さざるを得ないと述べ、マウリシャスへの年額約1億100万ポンド(約1億3600万ドル)の支払いを当面停止すると明らかにした。

協定は、英国がインド洋の戦略的要衝ディエゴガルシア島に保有する米英共同軍事基地を99年間リースする代わりに、チャゴス諸島の主権をモーリシャスに移譲する内容だった。キーア・スターマー前政権が2025年5月に合意したが、トランプ氏が支持を撤回したため4月から停止状態にあった。トランプ氏は同協定を「偉大な同盟国に対する汚点」「完全な弱さの表れ」と繰り返し批判してきた。

今回の決定は、7月に就任したアンディ・バーナム首相がトランプ氏と初めて対面した直後になされた。バーナム氏は「解決策を見つけるために努力する」と述べ、ストリーティング氏は「頭を砂に埋める」戦略は賢明ではないと語った。野党保守党のジェームズ・カートリッジ国防スポークスマンは「この協定は完全に廃棄されるべきだ」と主張し、リフォームUKのナイジェル・ファラージ氏は「チャゴス協定は死んだ」と歓迎した。

英メディアは、協定の実質コストがインフレ調整後で約350億ポンドに達するとの批判や、中国が群島に足場を築く可能性を指摘する。一方、シンガポールのメディアは、バーナム氏にとってこの問題が「首の重荷」となるかが焦点だと報じた。米国はイランとの戦争を念頭に、基地への恒久的かつ無制限のアクセスを求めている。トランプ氏は同日、グリーンランドとデンマークの首脳と安全保障協定に調印しており、英米関係の新たな試金石となる。

国連総会でイラン外交が活発化、米国との間接協議と各国の思惑が交錯

第81回国連総会がニューヨークで開催されるなか、イランと米国の外交的駆け引きが焦点となった。イラン外相アッバス・アラグチとトランプ大統領の特使スティーブ・ウィトコフ、ジャレッド・クシュナーは、カタールの仲介により国連本部で約3時間の間接協議を行った。トランプ大統領はこの協議を「非常に良い」「非常に生産的」と評価し、ブレント原油価格が2週間ぶりに1バレル100ドルを下回る場面もあった。

イラン外務省報道官エスマイル・バカエイは、協議でイランの条件が明確に伝えられたと述べた。その条件とは、全戦線での戦闘終結、米国によるイランへの攻撃停止、海上封鎖と経済戦争の終結、イラン資産の凍結解除などだ。イランは交渉再開に先立ち7つの事前条件を設定しており、条件が満たされればホルムズ海峡を7日以内に再開できると主張する。一方、米国側は11月の中間選挙を控え、原油価格の引き下げと石油製品の供給拡大を迫られている。

トランプ大統領は総会演説で、イランを「消滅させる」か、中東の大国に育てるかの選択を迫ると宣言した。これに対しイラン軍は「粉砕的」な反撃で応じる構えを示した。イラン代表団はトランプ大統領の演説中に退場したが、国連常駐代表部の外交官1人は議場に残り、外交儀礼を守った。

この日、国連本部前ではイラン系米国人ら数百人が集会を開き、フランスを拠点とするイラン抵抗評議会(NCRI)と次期大統領メアリヤム・ラジャヴィへの支持を表明した。元NATO欧州連合軍最高司令官ウェズリー・クラーク氏は、中東問題は外部の力では解決できず、イラン国民自身が政府を変える必要があると述べた。

イランのマスード・ペゼシュキアン大統領は、米国と戦争状態にある国の首脳としては異例となる米国入りを果たし、総会で演説する予定だ。彼は6月17日に米国と合意した覚書(MoU)を交渉の出発点と位置づける。しかし、両者が海峡の支配権を巡って互いの合意違反を非難したことで、MoUの履行は頓挫した。

欧州やアラブ諸国の首脳からは、西側の平和執行能力への批判が相次いだ。フランスのマクロン大統領は国連への別れの演説で、米国とイスラエルによるイラン政権転覆の試みを批判し、ガザに平和がもたらされていないと指摘した。ヨルダンのアブドラ2世国王は、イスラエル政府が「ゴールポストを動かしている」と非難し、ガザのパレスチナ人口が領土の3分の1に追いやられていると述べた。

アナリストらは、今週の外交協議で実際の合意が生まれる可能性は低いとみる。チャタムハウス中東・北アフリカ部門ディレクターのサナム・ヴァキル氏は「今週、画期的な合意が生まれるとは懐疑的だが、一連の理解が新たな外交への信頼を築くことができる」と語った。オーストラリア戦略政策研究所のアデル・アブデル・ガファル氏は、交渉の成否はイランの外交官が実際に成果を出せるかどうかにかかっており、革命防衛隊と国内の強硬派の同意が必要だと指摘した。

一方、国連総会では他の外交的動きも展開された。チリのフランシスコ・ペレス・マッケンナ外相とオーストラリアのペニー・ウォン外相は、戦略的パートナーシップ構築に向けた作業開始で合意した。文書調印はなかったが、鉱物資源協力とフンボルト海底ケーブル計画が主要議題となった。マレーシアのモハマド・ハサン外相もニューヨークに到着し、26日の一般討論演説に向けて二国間会談を予定している。

イランと米国の外交再開を巡る動きは、中東の緊張緩和と原油市場の安定に直結する。ホルムズ海峡の封鎖が続く限り、イランは最大の切り札を手放さず、米国は中間選挙前に成果を求められる。両国が国内的に「降伏」ではなく「交渉による妥協」と説明できる枠組みを見出せるかが、今後の焦点となる。

マクロン氏の「ハマスはヨルダン川西岸で統治せず」発言にネタニヤフ氏が反論、米大使も「現実離れ」と批判

フランスのエマニュエル・マクロン大統領が国連総会で行った演説が、イスラエルとの間で激しい応酬を生んでいる。マクロン氏は、イスラエル軍の強い圧力と入植者による攻撃の急増にさらされているヨルダン川西岸の状況を非難し、「ハマスはヨルダン川西岸でかつて統治したことがない」とフランス語で述べた。これに対し、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は「グロテスクな不条理だ」と反論し、ハマスが「ほぼ毎日、ユダヤ人への攻撃を実行している」と主張した。

ネタニヤフ氏の事務所は声明で、ヨム・キプールの前日に当たる先週日曜日、フランス人で6児の父であるネタネル・シュクルン氏がハマスのテロリストによって車内で殺害されたと指摘した。イスラエル警察によると、36歳のシュクルン氏は、ヨルダン川西岸の入植地ネヴェ・ツフ近くの泉で、パレスチナ人がイスラエル人の集団に発砲した際に射殺された。容疑者はラマッラーの病院で後に拘束された。ハマスはこの攻撃を称賛したが、自らの関与を明言しなかった。

一方、マクロン氏の事務所からの直接の反応はなかったが、フランスの外交筋は「誤解」があったと説明し、大統領が話したフランス語の文「Le Hamas n'a jamais sévi en Cisjordanie」の意味は「ハマスはヨルダン川西岸を統治したことがない」であると『エルサレム・ポスト』に語った。イスラエルの駐米大使イェヒエル・ライター氏も、ヨルダン川西岸での車両突入攻撃で負傷した兵士が自身の息子であると明かし、ネタニヤフ首相が「奇跡を祈っている」と応じるなど、この地域の緊張は続いている。

米国のマイク・ハッカビー駐イスラエル大使も、マクロン氏の発言を「現実離れしている」と非難した。イスラエルは1967年の中東戦争でヨルダン川西岸と東エルサレムを占領し、約70万人のユダヤ人が住む約160の入植地を建設した。国際法上、これらの入植地は違法とみなされている。パレスチナ側の推定330万人がその傍らに暮らす。ハマスは、ヨルダン川西岸のイスラエル支配下にない地域を統治するファタハ主導のパレスチナ自治政府のライバルである。

フランスの『フィガロ』紙は、ハマスはヨルダン川西岸を統治してはいないものの、地下ネットワークを維持し、攻撃を準備し続けていると指摘する。同紙は、ハマスの攻撃件数は入植者によるパレスチナ市民への攻撃と比較すれば比較的少ないが、未遂に終わった襲撃や地下ネットワークの回復力を考慮すると、ハマスが「確かに活動している」と論じた。フランス24は、マクロン氏が「我々に恥をかかせる光景」と表現したことに対し、イスラエル側が「不条理」と応じた経緯を伝えている。英BBCは、マクロン氏がトランプ米大統領の「ガザ戦争終結」という主張も退けたことを報じ、停戦後もイスラエルのほぼ毎日の空爆と人道状況の悪化が続いていると指摘した。

トランプ政権の平和委員会、ガザ復興に24.5億ドルの6カ月計画を発表

トランプ米大統領が設置した平和委員会(Board of Peace)は、国連総会の傍らで開かれた理事会で、ガザの復興と統治を開始するための6カ月・24億5000万ドルの計画を発表した。66のプロジェクトから成るこの青写真には、仮設住宅、瓦礫撤去、病院修復、経済回復、多国籍治安部隊の展開が含まれる。

平和委員会は、ガザの物理的損害が352億ドルに達し、今後10年間で完全復興には約714億ドルが必要になると見積もった。計画は国境検問所の修復、電力・水道インフラの復旧、2万5000基の可搬式太陽光発電キットの配備、優先復興プロジェクトに必要な地下トンネルの恒久的な充填も求める。

しかし、昨年10月10日に発効した停戦からほぼ1年が経過しても、計画の完成は依然として遠い。イスラエル軍はガザの約60%を占領し、ハマスは武装放棄に応じず、国際治安部隊と新政権はまだガザに入っていない。平和委員会のニコライ・ムラデノフ高等代表は、進展はハマスの武装解除に大きく依存するとしつつ、「我々は暦に縛られていない。これが機能することを確実にしたい」と述べた。

各メディアの論調には差異が認められる。中東系メディアのアルジャジーラは、イスラエルによる攻撃継続と停戦違反を強調し、同日にガザ各地で少なくとも7人のパレスチナ人が死亡したと報じた。カナダのCBCは、計画が主に資金負担を求められるドナー国に向けたものであると指摘し、イスラエル軍の拡大支配と復興未着手の現状を詳述した。ドイツのドイチェ・ヴェレは、理事会メンバーのトニー・ブレア元英首相の発言「パレスチナ人はスローガンではなく解決策を必要としている」を紹介し、停戦後の死者数(ガザ保健当局によれば1300人以上)を伝えた。イスラエルのタイムズ・オブ・イスラエルは、計画発表の事実を淡々と伝えつつ、実施開始時期が依然不透明であると報じた。一方、スペインのエル・パイスは、ガザとレバノンの停戦後に死亡した330人の子ども(アルジャジーラは300人と報道)の名前を記した埋葬布を掲げてローマをデモ行進した「虐殺に反対する司祭たち」の運動を紹介し、カトリック教会内の「ジェノサイド」という用語をめぐる議論を浮き彫りにした。

この計画の成否は、ハマスの武装解除とイスラエルの軍縮という政治的課題の解決にかかっている。平和委員会とパレスチナ政府は24億5000万ドルの全額を確保できていないが、政治的障害が取り除かれればドナー国が資金を提供すると確信している。一方、ガザでは50万人の生徒が3年ぶりに学校に戻ったものの、教室不足や水不足など教育現場の危機も深刻化している。

トランプ政権、ホワイトハウス報道規制を法廷で擁護 CNN・MS NOW・Politicoの締め出しは「特権」と主張

米司法省は火曜日、ドナルド・トランプ大統領がCNN、MS NOW、Politicoの3メディアに対しホワイトハウスへのアクセスを禁じた決定を擁護する法廷文書を提出した。司法省は、ホワイトハウスへのアクセスは「権利ではなく特権」であり、大統領には報道機関の入場を管理する広範な権限があると主張。3社の報道が「国家安全保障上の機密情報を公開し、検証可能な虚偽を流布した」と非難した。水曜日にはコロンビア特別区連邦地方裁判所で公聴会が開かれ、ティモシー・ケリー判事が審理を行う。

トランプ大統領は先週金曜日、自身のSNS「トゥルース」で3社を「フェイクニュース」と断じ、ホワイトハウスから締め出すと発表。土曜日には記者の入場が拒否され、身分証が没収された。3社は月曜日、憲法修正第1条(報道の自由)と修正第5条(適正手続き)の違反だとして訴訟を提起し、差し止め命令を求めた。司法省の文書には、CNNがホワイトハウス東棟の地下に建設中のバンカーの「極秘」設計詳細を報じたこと、MS NOWがイラン戦争による米軍弾薬備蓄の枯渇を報じたこと、Politicoが共和党中間選挙大会を「災難」と報じたことなどが「問題の報道」として列挙されている。

司法省は1977年の控訴裁判所判決「シェリル対ナイト事件」の覆しも求めた。この判決は、ホワイトハウスの報道アクセスを恣意的に、または説得力のある理由なく否定できないと定めたものだ。一方、3社側の弁護士セオドア・ブートロスは「この禁止は報道の自由への直接的な攻撃だ」と主張。他の主要報道機関もアミカス・ブリーフ(友意見書)を提出し、「ホワイトハウスからの報道機関の標的型追放は公共の利益を損なう」と訴えた。

ケリー判事はトランプ政権第一期にCNN記者ジム・アコスタの資格回復を命じた経緯があり、トランプ大統領は判事選任に不満を示しつつも判決を受け入れ、控訴する構えを見せている。ホワイトハウスは報道機関の締め出しに対応し、独自の動画配信「トランプTV」をユーチューブで開始。一方、CNNが担当する予定だったプール取材は競合他社が連帯してボイコットし、大統領の公式行事映像の共有が滞る事態となった。この訴訟は、政府が報道内容を理由に記者のアクセスを制限できるかという、米国の報道の自由を巡る歴史的な審理となる。

今回の事態は、複数国のメディアがほぼ同一の事実認識を共有する一方で、強調点に差異が見られる。アルゼンチンとスペインのメディアは司法省の主張と訴訟の経緯を淡々と伝え、中東系メディアは「歴代大統領でこれほど明示的な報道機関締め出しは前例がない」とするコロンビア大学ナイト研究所のケイティ・ファローの指摘を紹介し、歴史的意義を強調した。米国メディアは、トランプ大統領が判事選任に不満を示す一方で「控訴する」と宣言した点や、ホワイトハウスが「トランプTV」を立ち上げた点など、政権の戦略的対応を詳細に報じた。特にNPRは、CNNがプール担当を放棄したことで大統領のヘリポート開所式の音声が聞き取れなかったという皮肉な出来事を伝え、政権の情報発信の限界を浮き彫りにした。フランスのメディアは「トランプTV」と報道機関の連帯ボイコットを並列的に報じ、対立構図を簡潔に描いた。根幹となる事実(司法省の主張、訴訟の内容、判事の経歴)は全メディアで一致しており、メディア間の見解の相違は主に、この措置を「報道の自由への攻撃」と見るか「政権の正当な権限行使」と見るかの解釈にある。

サウジ空爆でイエメン死者10人、英が空中給油支援へ フーシ派は米国の介入に「レッドライン」と警告

イエメンでサウジアラビアによる空爆が続くなか、フーシ派系メディアは23日、過去24時間でタイズ県とアルジャウフ県において10人が死亡、14人が負傷したと報じた。アルマシーラTVによると、タイズでは民間人8人が死亡し11人が負傷、アルジャウフでは民間人2人が死亡し3人が負傷した。イラン支援を受けるフーシ派は数週間前から紅海沿岸と戦略的なバブ・エル・マンデブ海峡の掌握を目指す電撃的な攻勢を展開し、同時にサウジアラビアへ無人機とミサイル攻撃を加えている。イエメン紛争は2014年にフーシ派が首都サヌアを制圧して以降続いており、2022年に国連仲介の停戦が成立したが、今年に入り米イスラエルとイランの戦争を背景に戦闘が再発。2週間前にはフーシ派が紅海沿岸の要衝モカ港とバブ・エル・マンデブ海峡のマユン島を制圧し、リヤドやサウジの石油インフラへの攻撃を強化した。

これに対し英国はサウジへの軍事支援を決定した。アンディ・バーナム首相は22日、サウジの要請を受け入れ、戦闘機への空中給油を行うと発表した。英空軍のボイジャー空中給油機を近日中に派遣し、期間限定の支援とする。英国防省は、サウジとイエメンは英国の長期的なパートナーであり、地域の安定と貿易・エネルギー供給の保護、紛争の外交的解決を促すことが英国の利益になると説明した。英紙アルジャジーラは、この支援が軍事的重要性以上に政治的な重みを持つと指摘し、サウジが孤立を避け、国際的な後ろ盾を可視化したい思惑があると分析した。一方、米国はフーシ派が紅海で米国船舶を攻撃しないと確約したとして、サウジとフーシ派の戦闘に直接関与しない姿勢を示している。

フーシ派の軍事顧問アベド・モハンメド・アルサウルは、米国がサウジ支援のためにイエメンに軍事介入し、バブ・エル・マンデブ海峡の支配を試みるなら「レッドライン」だと警告した。米国が介入すれば中東の米国権益を攻撃するとの姿勢を示したもので、フランス通信社との独占インタビューで語った。紅海とバブ・エル・マンデブ海峡は世界貿易の約12%が通過する重要航路であり、フーシ派はサウジ関連船舶の封鎖を宣言している。サウジ経済への打撃も深刻で、フランス紙ル・フィガロは、米イスラエルとイランの戦争開始以降、サウジが領土と石油インフラへの直接の脅威に直面し、景気後退に陥ると報じた。ムハンマド・ビン・サルマン皇太子は経済多角化計画「ビジョン2030」の象徴として国産電気自動車「エクソボット」を発表し、正常性を示そうとしているが、フーシ派の無人機がメッカ近郊で迎撃される事態も発生した。

報道の比較では、カタールのアルジャジーラと中東のメディアが英国支援の限界と米国の傍観姿勢を強調し、サウジの孤立回避という政治的文脈を重視した。イスラエルのタイムズ・オブ・イスラエルはフーシ派の米国への警告を短く伝え、フランスのル・フィガロはサウジ経済の景気後退という経済的影響を前面に押し出した。バングラデシュの報道は死者・負傷者の数値を淡々と伝える一方、フーシ派系メディアの発表をそのまま採用する形となっている。各メディアは戦闘の帰結として、紅海航路の支配権とサウジの防衛能力、そして米国の関与の有無を主要な争点として位置づけている。

ゼレンスキー大統領、黒海の海上停戦に「準備完了」と表明 ロシアの対応に期待

国連総会に出席中のウォロディミル・ゼレンスキー・ウクライナ大統領は9月23日、クリミア・プラットフォーム首脳会合で演説し、エジプト、インド、トルコが提案した黒海における海上停戦を受け入れる用意があると表明した。そのうえで、今度はロシアが応答する番だと強調した。

ゼレンスキー大統領は「われわれはロシアの回答を待っている。ウクライナは黒海の安全な航行と食料安全保障を確保する準備ができている。ロシアも緊張緩和に向けた現実的な一歩を踏み出す用意があるならばだ。どこかから始めなければならない」と述べた。黒海では両軍による船舶や港湾インフラへの激しい攻撃で貨物輸送がほぼ停滞しており、アジア、中東、アフリカの主要な小麦輸入国は供給確保に苦慮し、世界的な小麦価格が高騰している。

ゼレンスキー大統領は前日、ドナルド・トランプ米大統領と会談し、エネルギー関連目標に関するロシア・ウクライナ停戦についても協議した。米国のマルコ・ルビオ国務長官は、セルゲイ・ラブロフ・ロシア外相との会談後、穀物とエネルギーを対象とした限定的な停戦に両国が関心を示していると記者団に語った。一方、クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は、より広範な和平協議の前提条件はまだ整っていないとしつつも、協議には応じる姿勢を示した。

今回の報道では、中東メディア(アルジャジーラ)がエネルギー停戦の実現可能性とトランプ大統領の思惑を詳細に分析している。同紙は、トランプ政権がウクライナによるロシアのディーゼル精油所への攻撃を止めさせようとしているのは、11月の中間選挙を控え国内の燃料価格上昇を抑えたいためだと指摘。欧州政策センターのアマンダ・ポール上席政策アナリストは「ロシアの化石燃料の販売が戦争資金を賄い続けている。トランプ氏はウクライナの攻撃の影響に注目するよりも、ロシアに圧力をかけるべきだ」と述べた。また、オックスフォード大学のマーニー・ハウレット准教授は「攻撃を終わらせる責任はロシアにある」と指摘した。これに対し、ロシア国営タス通信は、西側のエネルギー停戦論は「キエフへの軍事支援が続く中での単なる修辞」だとペスコフ報道官が述べたと伝え、ロシア側の懐疑的な立場を強調している。

さらに、ドイツ紙フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥングは、ドイツの右翼政党AfDがロシアとの関係改善とウクライナ支援縮小を求める議会提出を予定していると報じた。AfDはウクライナのEU加盟やNATO加盟に反対し、エネルギー供給再開に向けてプーチン大統領の側近との会談を計画している。このように、エネルギー停戦をめぐっては、ウクライナと西側の一部が前向きな姿勢を示す一方、ロシアは懐疑的であり、欧州内部でもAfDなどが独自の立場を取るなど、複雑な構図が浮き彫りになっている。

停戦の行方は、冬を前にエネルギーインフラへの攻撃が激化する中で、ウクライナが厳しい冬を乗り切れるかどうか、そしてロシアの戦争経済にどのような影響を与えるかにかかっている。ゼレンスキー大統領は、ロシアの攻撃が続く限り対ロシア制裁の緩和はあり得ないとも強調しており、今後のロシアの対応が焦点となる。

ミレイ大統領、国連総会でマルビナス諸島の主権を主張し「役立たずの組織」と国連を痛烈に批判

アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領は9月23日、ニューヨークの国連総会で3回目となる演説を行い、国連を「役立たずの組織」と痛烈に批判しつつ、英国との間で争われているマルビナス諸島(フォークランド諸島)の主権問題を「国家的な大義」と位置付けて、英国との交渉再開を強く求めた。演説は19分間に及び、国連の機能不全、マルビナス問題、人工知能(AI)規制への反対という3つの柱で構成された。

ミレイ大統領は冒頭、国連を「善意の官僚を装った、致命的に傲慢な寄生虫のカーストを養うだけの役立たずの組織」と切り捨て、「集団的安全保障と人権を守るはずだった組織は失敗し、混沌、暴力、国際テロを許した」と非難した。その上で、国連が「血に飢えた独裁政権や街頭で女性を石打ちにする政権をかばい、イスラム過激派のテロやアフリカでのキリスト教徒への虐殺には沈黙し、イスラエルに反対票を投じ続けた」と主張した。さらに、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応を「強制封鎖が雇用を破壊し、子供たちの教育を台無しにし、基本的な医療を受けられずに孤独に死んだ何百万人もの命を奪った」として「ジェノサイド(大量虐殺)」と断じた。

マルビナス問題では、国連が「島々の状況から目をそらした」と批判し、1976年の国連総会決議が一方的な行動を控えるよう求めているにもかかわらず、英国が「一方的な変更を続けている」と指摘した。焦点となったのは、アルゼンチンが「違法かつ非正当」と主張する英国の認可に基づく石油開発プロジェクト「シー・ライオン」だ。ミレイ大統領は「アルゼンチン共和国が承認していないいかなる活動も、国際法上、違法行為を構成する」と述べ、政府が非公式の警告、法的措置、制裁、そして新たな主権防衛法案を議会に送付したと説明した。また、英国が主張する「自由決定の原則」について、島の住民は「占領国が紛争地域に移植した人口」であり、植民地から解放されるための原則が植民地化の結果を固定化するために使われるべきではないと反論した。

さらにミレイ大統領は、AI規制への反対を明確にし、「多くの人が脅威を見る場所に、我々はフロンティアを見る」と述べ、アルゼンチンを「自由の最先端」に位置付けると宣言した。予防的規制を行わないこと、AIエージェントを使う企業の有限責任、税制優遇を約束し、アルゼンチンがAI開発で世界で最も競争力のある場所になると訴えた。演説の最後には、自国の経済モデルを擁護し、「衰退を管理することに慣れてきたが、それは終わった。自由市場資本主義を受け入れ、経済を貿易と投資に開き、戦略的資源を開発し、数十年放置されてきた軍事力を再建している」と述べ、投資を呼び掛けた。

この演説は、複数のメディアが報じた。アルゼンチンのメディアは、特にマルビナス問題への強い主張と、トランプ米大統領が英国の国防費増額を迫るために同問題を持ち出したという国際的な文脈を強調した。カタールのアルジャジーラは、ミレイ大統領の主張が近年のアルゼンチンの対外姿勢の転換を示すものであり、2027年の再選を目指す同大統領が国内の支持獲得のためにこの問題を利用しているとの野党議員の指摘を紹介した。一方、パキスタンのデイリー・タイムズは、国連への批判とマルビナス問題を簡潔に伝えるに留まり、スペインのエル・パイスは、ミレイ大統領が過去2回の演説ではこの問題を軽視していたことから、今回の演説は180度の転換であると分析した。

EU、ロシア新興財閥2人の制裁解除で波紋 仏の「人質解放」取引にバルト3国と英が反発

欧州連合(EU)は9月22日、ロシアの新興財閥アリシェル・ウスマノフとミハイル・フリードマンに対する制裁を解除した。制裁リスト全体の更新期限が迫る中、フランスとスロバキアが主導して2人の解除を主張。フランスはアゼルバイジャンに拘束されていた自国民2人の解放と引き換えに、ウスマノフの解除を支持したとされる。翌23日にはアゼルバイジャンのアリエフ大統領が、スパイ罪で服役していたフランス人男性を赦免した。一方、ラトビアは唯一の反対国として最後まで抵抗したが、全制裁の失効を避けるため棄権に転じた。ラトビア、エストニア、リトアニアのバルト3国は国レベルで独自制裁を発動。ウクライナのゼレンスキー大統領は「政治的な削除」を批判し、英国のバーナム首相もEUに追随せず制裁を維持する方針を示した。

ドイツ紙『フランクフルター・アルゲマイネ』は、今回の決定を「致命的な判断」と評した。制裁の根拠となるロシアのウクライナ侵攻支援という事実が変わっていないにもかかわらず、EUが恣意的な政治的判断で制裁を解除したと指摘。制裁制度の弱点として、解除条件が明確でないことを挙げ、対ロシア戦争への姿勢やウクライナ支援といった客観的基準を設けるべきだと論じた。同紙はフランスが「三角取引」でウスマノフの解除を主張し、アゼルバイジャンに拘束されたフランス人を解放させたと分析。ロシア政権の利益を享受する他の新興財閥が、EU加盟国の弱点を突く好例になると警告した。

ウクライナの『キーウ・インディペンデント』は、バルト3国の対応を高く評価した。シビハ外相は「バルトの友の例に他のEU加盟国も従うよう促す」とSNSに投稿し、「原則は売り物ではない」と強調した。同紙は、フランスとスロバキアの主導で9月22日に制裁解除が決定され、全3000件の制裁が失効する6時間前にようやく合意に達した経緯を報じた。ラトビアのクルベルグス首相は「良い解決策と悪い解決策の選択ではなく、悪い解決策とより悪い解決策の選択だった」と述べ、リガが独自制裁を科すと表明したと伝えた。

一方、『キーウ・インディペンデント』は英国の対応も伝えた。ブルームバーグの報道として、バーナム英首相が国連総会の場でゼレンスキー大統領に対し、EUの制裁解除に追随せず、ロシア新興財閥2人への制裁を維持すると述べた。同紙は、ウクライナの同盟国がロシアへの圧力を維持し、戦争終結を後押しするため制裁を継続すべきだとバーナム氏が語ったと報じた。また、ウクライナのゼレンスキー大統領は、制裁リストからの「政治的な削除」ではなく、プーチンの戦争を支持し利益を得る全ての者への「無条件の継続」が必要だと批判した。

さらに『キーウ・インディペンデント』は、EUとウクライナの資金問題を別記事で報じた。EUは9月23日、ウクライナが10項目の改革を完了したと確認し、30億ユーロ(約34億ドル)の支援を承認した。フォン・デア・ライエン欧州委員長とゼレンスキー大統領の会談は「緊迫した」ものとなり、EUが改革継続を求める一方、ウクライナ側は制裁解除への不満を表明した。ゼレンスキー氏は2026年の予算に270億ドルの穴があると指摘し、EUの900億ユーロ融資は2027年末までの資金需要の3分の2しか賄えないとされた。

ハンガリーでは、マジャール新政権に対するEU資金の凍結解除が進んだ。欧州委員会は9月23日、2022年に法の支配の欠陥を理由に凍結された結束基金42億ユーロ(約48億ドル)の解放を加盟国理事会に提案した。同委員会は、ブダペストが17の改革条件を満たしただけでなく、EU検察庁への加盟など要求以上を達成したと評価した。フォン・デア・ライエン委員長は「ハンガリーは法の支配を強化し、EUの財政利益を守る重要な一歩を踏み出した」と声明した。ドイツ紙は、オルバン前政権が作った「公共の利益のための財団」が廃止され、大学や研究資金の独立した管理が回復したと指摘。残る凍結分として、性的少数者への差別関連の5億4000万ユーロと、EU難民法不遵守関連の3000万ユーロが挙げられた。

ベラルーシ制裁をめぐっては、リトアニアが緩和に反対している。同国のブドリス外相は、ベラルーシ産カリ肥料のEU領土経由輸送を認める「理由はない」と述べた。トランプ米大統領がベラルーシ産カリ肥料の「大規模な取引」を発表したことを受け、EU制裁の緩和観測が浮上したが、リトアニアはミンスクのNATO東側での攻撃的行動や、国境への移民誘導、首都空港の航空便を中断させる「密輸気球」を理由に反対を維持した。EUのベラルーシ制裁は2027年2月末まで有効とされる。

東南アジアでは、EUがASEAN諸国との自由貿易協定を進展させている。シンガポールとベトナムとの協定は発効済みで、インドネシアとの交渉は妥結し10月の署名を目指す。タイとマレーシアとの交渉も年内または2027年初めの妥結が見込まれる。フィリピンとは「実質的な合意」に達した。EUとASEANの物品貿易額は昨年2749億ユーロ(約3137億ドル)に達し、2016年比で50%以上増加した。EU・ASEAN企業評議会は、地域対地域の包括的な経済枠組みを求めているが、ASEAN内の経済格差やEUの高い基準が障壁となっている。ウィーン大学のゲルストル氏は、トランプ米大統領の保護主義的な通商政策が両地域の協力加速の触媒となったと指摘した。

シリアでは、フォン・デア・ライエン欧州委員長が国連総会の場でシャラア大統領と会談し、EUが「信頼できるパートナー」であり続けると表明した。シリアの平和的で安定した包括的な移行を支援し、復興と難民の安全な帰還に向けて取り組むと述べた。

フランスでは、2027年大統領選の候補者であるアタル元首相が、5年間で1500億ユーロの歳出削減計画を発表した。失業保険、医療保険、年金制度の改革を通じて、10年で財政を均衡に戻すと約束した。アタル氏は「危機に対応する」ための「計画」と「対話」による「主導権の回復」を掲げた。

今回のEU制裁解除をめぐる報道では、ドイツ紙が制裁制度の構造的欠陥を強調し、ウクライナ紙がバルト3国の対応を称賛する一方、フランスの「人質解放」取引を批判的に伝えた。英国の制裁維持方針は、EUの決定に同調しない姿勢を明確にした。一方、ハンガリーへの資金解放は、マジャール新政権の改革を評価する欧州委員会と、オルバン前政権下の腐敗を問題視してきたEUの立場の変化を示すものとなった。ベラルーシ制裁をめぐるリトアニアの反対は、EU内部の結束に亀裂を生じさせる可能性をはらんでいる。

カナダのメキシコ人観光客向けビザ要件、市場成長の制約要因に ツアー事業者が指摘

カナダ連邦政府はメキシコを成長市場と位置づけ、今後4年間で訪問者数が40%増加し、2030年までに年間約50万人が約10億カナダドルを消費すると予測する。しかし、メキシコのツアー事業者は、2024年に再導入されたビザ要件が市場の潜在力を制限していると指摘する。

メキシコのツアー事業者「ドリーム・デスティネーションズ・メキシコ」のゼネラルマネージャー、ヘスス・マルティネス氏は、カナダを訪れるメキシコ人の数は増加しているものの、ビザ要件の影響で「望む数字にはまだ回復していない」と述べた。同氏はビザ撤廃を「願望リスト」に挙げつつも、実現を楽観視していない。

カナダ政府は2016年にメキシコ人観光客のビザ要件を撤廃したが、米国の圧力を受けて2024年に再導入した。現在、メキシコ人は有効な米国の非移民ビザを保有するか、過去10年以内にカナダのビザを取得していれば、電子渡航認証(eTA)でカナダに入国できる。

カナダ観光局が主催したメキシコシティでの商談イベントには、カナダとメキシコのツアー事業者が参加した。イベントに出席したアルバータ州観光局のダーリーン・フェドロシン氏は、メキシコはアルバータ州にとって年間100万人の観光客の潜在市場であり、「その可能性は今のところほとんど未開拓だ」と述べた。同氏はビザ要件が障害になり得ることを認めつつ、連邦政府と州政府に旅行手続きの簡素化を働きかけたいと語った。

カナダのレシー・バルデス観光相は、メキシコ人観光客数がパンデミック前の水準に戻り、成長を続けていると述べた。同氏はビザ要件の撤廃について明言を避けたが、メキシコ訪問中に得たフィードバックをオタワの閣僚同僚と共有すると述べた。

このイベントは、カナダとメキシコの観光業界関係者による12分間の個別商談形式で行われた。マルティネス氏は、ホワイトホースの「ノーザンライツ・リゾート&スパ」の共同所有者トビアス・バース氏と対話し、オーロラ観光の魅力について意見を交わした。バース氏によると、メキシコは現在、同リゾートにとって米国、国内、オーストラリアに次ぐ第4位の顧客供給源だという。

カナダ政府の予測と観光業界の現状認識の間には、ビザ要件を巡る見解の差が浮き彫りにされる。政府は成長を強調する一方、事業者はビザが市場拡大の制約要因だと見なす。この対立軸は、今後の政策決定に影響を与える可能性がある。

燃料価格高騰で10月17日デモ呼びかけ、SNS上の動員は「黄色いベスト」と比較可能か

フランスで燃料価格の高騰を受け、10月17日に全国規模のデモを呼びかける動きがソーシャルメディア上で広がっている。ル・フィガロ紙は23日、この動員が2018年の「黄色いベスト」運動と同様の性質を持つのかを分析した。

9月のディーゼル価格は平均2.39ユーロを超え、過去最高値を更新した。この状況を受け、TikTokなどのSNSでは「2026年10月17日、この日を覚えておけ」といった呼びかけが相次いでいる。AI生成のビジュアルを用いたアカウントも登場し、「黄色いベストの帰還」「同じ戦い、同じ怒り、以前より強く」といったスローガンが拡散されている。

2018年の運動も燃料価格の上昇をきっかけにSNSで組織化された点で共通する。しかし、今回の動員の起源はまだ明確ではなく、構造化されていない点も特徴だ。ル・フィガロ紙は、この運動が2018年の運動と同様にSNSを基盤とした非構造的な動員となるのか、それとも異なる展開を見せるのかを注視している。

この動きは、フランス政府にとって燃料価格の高騰に対する国民の不満が再び政治課題として浮上することを意味する。2018年の運動が政府の政策変更を迫った経緯を踏まえ、今回の動員が同様の政治的影響力を持つかが焦点となる。

停戦下のガザで続く空爆、イスラエル軍の戦争犯罪告発とシリア大統領の国連演説

停戦合意が発効した後もガザではイスラエル軍の空爆が続いている。現地の保健当局によれば、水曜日に南部ハーン・ユーニスの西部で車両が空爆され、パレスチナ人2人が死亡、2人が負傷した。イスラエル軍はこの地域の武装勢力を標的にしたと発表したが、死亡した2人を主張するパレスチナ武装組織は現れていない。停戦開始以降、ガザでは少なくとも1,400人のパレスチナ人が死亡したと報じられており、イスラエル側も兵士4人が死亡している。パキスタンの『Daily Times』は、再建や武装解除、イスラエル軍の撤退をめぐる交渉が停滞していると指摘し、停戦の脆弱さを強調した。

一方、イスラエル軍の戦争犯罪を告発する動きも続く。パレスチナ人権団体ヒンド・ラジャブ財団(HRF)がガザでの戦争犯罪を訴えたイスラエル兵士が、インドから出国したと『Middle East Eye』が報じた。身元は公表されておらず、9月中旬にインドを離れたという。HRFは今年6月にもインド滞在中のイスラエル予備役兵エイタン・ギルボアの逮捕を求めており、今回が2件目の事例となる。インドのスブラフマニャム・ジャイシャンカル外相は国連総会で、国際法と規範が「厳格に守られる」時に多国間主義が最も機能すると述べた。インドはイスラエル人旅行者に人気の目的地であり、今回の事例はそうした旅行者の存在と国際法の執行をめぐる緊張を浮き彫りにした。

レバノンでもイスラエル軍に対する告発が起きた。フランス在住のレバノン系フランス人実業家(37歳)が、南部ザウタル・エル・シャルキーヤ村の家族所有地で樹齢600年のオリーブの木が根こそぎ抜かれたとして、戦争犯罪に当たる窃盗と財産破壊の罪でパリで訴状を提出した。家族は250年以上この土地を耕作してきたが、ヒズボラとの関係はないと訴状に明記されている。レバノン保健省によれば、2023年10月以来のイスラエル軍の攻撃で8,920人が死亡、30,595人が負傷した。

シリアでは、アフマド・アル=シャラーア大統領が国連総会で演説し、イスラエルによる攻撃と占領を非難した。シャラーア氏は、イスラエルがシリアに対して500回の空爆、1,200回以上の侵入、300件の拘束を行ったと主張し、「世界は我々の復帰を喜んでいるが、イスラエルはシリアを攻撃している」と述べた。ゴラン高原は「シリアの領土であり続ける」と強調し、1974年の兵力引き離し協定への回帰を求めた。カタールの『Middle East Eye』と『Al Jazeera』はこの演説を詳しく報じ、シリアの復興と国際社会への復帰を強調した。一方、『Al Jazeera』は国連総会の傍らでのインタビューで、シャラーア氏が「トランプ大統領はゴラン高原の代わりにニュージャージーをイスラエルに与えるべきだ」と皮肉ったと伝えた。米国が仲介するシリアとイスラエルの交渉は難航しており、シャラーア氏は外交関係樹立の条件としてイスラエルの攻撃停止とゴラン高原からの撤退を挙げた。

さらに、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は国連総会での最後の演説で、トランプ米大統領のガザに関する主張に反論し、ガザ地区で人道回廊が一つも再開されていないと批判した。ドイツの『FAZ』は、マクロン氏の演説と、ロシア軍によるウクライナ・スームィのショッピングセンター空爆で3人が死亡したこと、ザポリージャのショッピングセンターが再び攻撃されたことを併せて伝えた。ウクライナのゼレンスキー大統領がニューヨークでトランプ大統領と会談中に攻撃が行われた点も指摘した。

これらの報道を総合すると、中東では停戦合意にもかかわらずイスラエル軍の攻撃が続き、国際法の執行を求める声が高まっている。イスラエル軍の行動をめぐる戦争犯罪の告発は、ガザ、レバノン、そしてインドにまで広がりを見せた。シリアのシャラーア政権は国際社会への復帰をアピールする一方で、イスラエルとの対立を深めている。欧米メディア(『FAZ』)はウクライナ情勢とマクロン氏の批判を並列して報じ、中東系メディア(『Middle East Eye』『Al Jazeera』)はシリアとレバノンでのイスラエル軍の行動を詳細に伝える傾向がある。パキスタン紙は停戦の実態に焦点を当て、インド紙は国際法の適用と旅行者への影響を報じた。各国メディアの論調には差があるものの、イスラエル軍の攻撃が停戦後も続いているという事実認識は共通している。

キニエラ抽選結果と為替相場、サイバー犯罪の新潮流——9月23日のアルゼンチン主要ニュース

9月23日、アルゼンチンではキニエラ(数字選択式宝くじ)の各州抽選結果が相次いで発表された。サンタフェ州、コルドバ州、ブエノスアイレス州、そして旧ナシオナルとして知られるブエノスアイレス市のキニエラで、プリメーラ、マトゥティーナ、ベスぺルティーナの各回の当選番号が公開された。各州とも月曜から土曜まで1日4回の抽選を実施しており、今回の発表はそのうちの複数回に及ぶ。当選番号の詳細は各州の宝くじ局が公式に発表するものとされ、クラリン紙はその速報を担った。

為替市場では、アルゼンチンの公式ドルが1ドル=1,485ペソ(買値)・1,535ペソ(売値)で推移した。並行市場のドル・ブルーは1,535ペソ(買値)・1,555ペソ(売値)となり、公式レートとの乖離率は3%にとどまった。中銀が前日に700万ドルを買い入れ、外貨準備高が494億1,400万ドルに達したことも報じられた。また、中南米各国のドル・ユーロ相場も発表され、ベネズエラではドルが853ボリバル、ユーロが977ボリバルとなった。パラグアイではドルが5,935グアラニー、ウルグアイでは40.23ペソ、チリでは948ペソと、国ごとに異なる動きを示した。

文化・社会面では、クラリン紙がポッドキャスト番組「Detrás del Crimen」の第7話を9月25日に公開すると発表した。サイバー犯罪専門の弁護士マルコス・サルトが登場し、パンデミック後に犯罪の主戦場が物理世界からデジタル空間へ移行したと指摘した。投資詐欺が一般市民に対する最も一般的な詐欺の一つとなり、組織犯罪が企業のようにデータ収集やソーシャルエンジニアリングを駆使している現状を解説した。サルトは「今日、アルゴリズムが私たちを操り始めている」と述べ、AIが生成する児童性的虐待画像の法的扱いや、選挙へのAI偽情報の影響といった新たな論争にも言及した。

マレーシアでは、民主行動党(DAP)書記長のアンソニー・ロケが閣僚辞任の意向を維持し、中国からの帰国後に辞表を提出すると報じられた。また、元首相夫人のロスマー・マンソルが、行方不明の宝石43点をめぐる6,750万リンギットの判決の執行に抵抗する姿勢を示した。さらに、アンワル・イブラヒム首相が、ネグリ・センビラン州の統治者を解任する動きを「無礼で野蛮だ」と批判した。アフリカでは、ニューヨークの国連本部前でのイラン政府への抗議デモ、南アフリカの銃乱射事件(死者11人)、スーダン事実上の指導者への米国ビザ拒否などが主要ニュースとして伝えられた。

これらの報道は、アルゼンチン国内の経済・文化動向と、マレーシアやアフリカ大陸の政治・社会情勢を同時に映し出すものである。特にアルゼンチンでは、キニエラという伝統的な大衆娯楽と、サイバー犯罪という最先端の社会課題が同じ日のニュースとして並列され、デジタル化がもたらす恩恵とリスクが同居する現代社会の姿を浮き彫りにした。為替相場の安定は、インフレ対策に取り組むアルゼンチン政府にとって一定の追い風となる一方、中南米各国の通貨変動は地域経済の不確実性を引き続き示している。

レオ14世の仏訪問と南米歴訪、各国で祝祭と論争が交錯

ローマ教皇レオ14世の外遊が、フランスとアルゼンチンで同時並行的に進んでいる。フランスでは9月25日から28日まで4日間の日程でパリ、ルルド、メスを巡る。エマニュエル・マクロン大統領がパリで出迎え、コンコルド広場でのミサには60万人の参加が見込まれる。一方アルゼンチンでは、11月8日にウルグアイから到着する教皇を前に、11月9日が全国休日と定められた。ブエノスアイレス州とコルドバ州、ブエノスアイレス市も独自の休日を申請する。

アルゼンチンのアレハンドラ・モンテオリーバ治安相は、ラ・レッド radio のインタビューで、11月9日が「全管区、全国で」休日となると確認した。同相は「歴史的な出来事」と位置づけ、大規模イベントの収容人数を約700万人と見積もった。ルハン大聖堂でのミサには200万人が参列すると試算する。治安面では連邦5つの治安部隊が総動員され、「かつてない規模」の警備体制となる。教皇はアルゼンチン航空でモンテビデオから入国し、最終目的地であるペルーへ向かう。大統領府のカリナ・ミレイ事務総長が主宰する協議の場で、ブエノスアイレス市政府や州政府と連携しているという。

フランスでは、訪問をめぐって評価が割れている。『フィガロ』紙は、サン=ドニ市長で左翼政党「不服従のフランス(LFI)」に属するバリー・バガヨコ氏が、カトリック系メディア『トリビューヌ・クレティエンヌ』のインタビューでフランスのキリスト教的遺産を積極的に認めたと報じた。同氏は「フランスの歴史を理解するには、15世紀にわたるキリスト教の影響を理解する必要がある」と述べ、サン=ドニ大聖堂を「深くキリスト教的な記念碑」と表現した。イスラム教徒である自身の信仰と市長職を分離しつつ、「新しいフランスは過去を消し去るものではなく、歴史に章を加えるものだ」と語った。一方で、同紙はカトリック教育の「特異性」をめぐる論争も伝える。カトリック教育事務局は教皇到着日の9月25日を「授業日」として位置づけるよう各教区に通達したが、教員組合からは批判が出ている。

さらに『フィガロ』紙は、自由思想派やアナキスト団体が教皇訪問に反対していると報じた。フランス自由思想連盟は「国際法違反」と主張し、「公金の浪費と信仰心の誇示」と批判した。アナキスト連盟は「教皇の来訪は公金の浪費と狂信的な偶像崇拝の大イベントだ」と断じた。費用負担や政教分離、性的虐待被害者への配慮不足が反対の理由だ。

『フランス24』は、教皇のフランスとの血縁関係に注目する。教皇は1955年にシカゴで生まれたロバート・フランシス・プレヴォースト氏で、母方の祖母スザンヌ・フォンテーヌ氏は1894年にル・アーブルで生まれ、1915年にニューヨークへ移民した。父方にもノルマンディー起源の祖先がいる。系図研究サイト「ジーンアネット」によれば、教皇は系譜的に40%がフランス系だという。ただし教皇自身はフランス語が苦手で、現在集中的に学習中だとされる。また、教皇は2023年にフランシスコ教皇によって司教省長官に任命され、2023年9月のマルセイユ訪問と2024年12月のパリ訪問に随行した。ルルドには19歳と29歳の時に巡礼で訪れたことがあるが、その後は地理的な距離のため訪れていなかった。

一方シンガポールでは、シンガポール国立大学(NUS)の理事長交代が発表された。現理事長の謝福華氏が来年3月31日付で退任し、4月1日付で元公務員局長のレオ・イップ氏が後任に就く。イップ氏は2017年から2026年まで公務員局長を務め、新型コロナウイルス対応でも主導的役割を果たした。謝氏はNUSビジネススクールの卒業生で、2003年に大学評議会に加わり、2017年に理事長に復帰した。在任中は学際教育の拡充や産業界との連携強化を推進した。

フランス訪問をめぐる報道では、各国メディアの論調に差が見られる。フランス国内メディアは、訪問の宗教的意義と世俗主義(ライシテ)の緊張関係を中心に報じ、左派市長のキリスト教遺産への言及や、カトリック教育の授業日問題、自由思想派の反対運動といった国内論争を詳細に伝えている。アルゼンチン紙『クラリン』は、休日制定や治安体制、経済効果(ホテル稼働率や道路の混雑)など実務的な側面を強調した。『フランス24』は、教皇のフランスとの血縁や歴史的つながりを掘り下げ、訪問を「ルーツへの回帰」と位置づけた。シンガポールの『チャンネルニュースアジア』は、教皇訪問とは独立した国内高等教育機関の人事を報じており、今回のレポートでは国際的な文脈の一部として扱った。教皇訪問そのものの評価は、フランス国内でも宗教的熱狂と財政・政教分離の観点から賛否が分かれており、メディアごとに強調点が異なる。

経済 (Economy)

世界的な燃料価格高騰に各国が対応、米はディーゼル輸出停止を検討

イラン戦争とロシア製精製油の供給制約を背景に、世界的な燃料価格の高騰が続いている。米国ではトランプ政権が中間選挙を前にディーゼル輸出の90日間停止を準備していると『Politico』が報じた。一方、欧州ではオーストリア政府が10月と11月の燃料価格を1リットル当たり12セント引き下げる方針を発表し、ドイツ政府も10月から12月までエネルギー税を引き下げる。アジアではマレーシアがRON97など非補助燃料の小売価格を引き上げ、バングラデシュは近隣諸国より低い燃料価格を維持していると説明した。

米国の輸出停止案をめぐっては、政権内と石油業界で意見が割れている。エネルギー長官クリス・ライトは「ディーゼル輸出の禁止という単純な手段は機能しない」と述べ、財務長官スコット・ベッセントや内務長官ダグ・バーガムも全面禁止に反対した。石油業界は短期的な価格低下が将来の価格上昇で相殺されると警告する。一方、アイオワ州選出の共和党上院議員チャック・グラスリーが「ディーゼル高が農家の収入を殺している」と輸出停止を支持したことで、農業州の共和党議員が結束して政権に圧力をかけている。ホワイトハウスは『Politico』の報道を「フェイクニュース」と否定したが、トランプ大統領は週末までに発表する意向だという。

欧州では、ロシア産ディーゼル輸入の禁輸と自国内の精製能力低下が市場の脆弱性を増している。ロシアの専門家ニコライ・ノビク氏は、欧州の構造的問題はホルムズ海峡の危機以前から存在したと指摘し、フランスのマクロン大統領が欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長に燃料規制の一時緩和を要請したと報じた。オーストリアではイラン戦争開始以降、燃料価格が50セント以上上昇しており、政府は鉱油税の引き下げと石油会社の利幅圧縮で対応する。ドイツの物流業界は今回のタンクラバットを「目に見える負担軽減にはならない」と評価し、恒久的なエネルギー税の最低水準への引き下げとCO2二重課税の解消を求めた。

アジアではマレーシア財務省が9月24日から30日までRON97を1リットル当たり20セン、非補助RON95を20セン、非補助ディーゼルを15セン引き上げると発表した。ロシアの精製石油生産の混乱と中東からのディーゼル輸出減少が原因だと説明し、スエズ運河を経由するタンカー運賃が1日当たり約100万ドルの記録的水準に達したと指摘した。バングラデシュのアニンディヤ・イスラム・アミット国務大臣は、近隣諸国より低い燃料価格が密輸を防ぐ上で課題になっていると述べ、中東危機が緩和すれば価格を引き下げる意向を示した。ウクライナではロシア軍がキーウのガソリンスタンドを攻撃し、ゼレンスキー大統領がトランプ大統領とエネルギー関連目標の停戦を協議した。

各メディアの論調を比較すると、米『Politico』とインド『Times of India』は政権内の対立と政治的压力を詳細に報じ、ホワイトハウスの否定を紹介した。欧州メディアは価格対策と物流業界の不満を中心に伝え、ロシア『TASS』は欧州市場の構造的脆弱性を専門家の見解として強調した。マレーシアとバングラデシュの報道は自国の価格政策と供給確保に焦点を当てており、世界的な燃料危機に対する地域ごとの対応の違いが浮き彫りになった。イラン戦争とロシア制裁がもたらした供給混乱が、各国のエネルギー政策と選挙戦略にまで影響を及ぼしている点が共通認識となっている。

南アフリカ、2026年の岐路——金利引き上げと移民制度、自動車産業再編が示す変革の年

南アフリカは2026年、複数の構造的転換点を同時に迎えている。南アフリカ準備銀行(SARB)は9月23日、政策金利を25ベーシスポイント引き上げて7.25%とし、プライムレートを10.75%とした。PSGのヨハン・エルス上級エコノミストは、全会一致の決定が予想よりタカ派的だったと指摘しつつ、現状では追加利上げはないとの見方を示した。スタンダード銀行のエルナ・ムールマン氏も「これが利上げサイクルのピークとなる可能性が非常に高い」と述べ、来年後半に利下げ余地があると予測した。一方で、国内経済は第2四半期にGDPがマイナス成長となるなど弱さが目立ち、SARBは今年の成長率を1.2%と見込む。

移民制度では、2026年の南アフリカ移住はビザ選択が全ての前提となる。内務省は2025年初めに約30万件の未処理案件の9割以上を解消したが、2026年9月までに再び約5万4000件の延滞が発生し、2027年3月31日までの解消を目標に掲げた。2026年3月30日付の指令第7号は、長期ビザ申請者と上訴中の身分を2027年6月30日まで保護する。ビジネスビザには500万ランド(約30万8000ドル)の出資が必要で、リモートワークビザは年収100万ランド以上が条件だ。

自動車産業では、日産のグローバル再編が南アフリカに直撃した。日産は2025年度に約5330億円の最終赤字を計上し、世界17工場を10に削減、約2万人を削減する「Re:Nissan」計画の下、ロスリン工場を中国の奇瑞汽車(チェリー)に売却した。チェリーは中国第3位の自動車メーカーで、2025年に南アフリカの乗用車市場で16.8%のシェアを獲得(前年11.2%)。現地生産によりAPDP(自動車生産開発プログラム)の優遇措置を受けられる構造的優位を得た。日産は輸入販売モデルへ転換し、2026年度にTektonとPatrolを投入するが、現地生産する競合他社との競争は厳しさを増す。

こうした経済・産業の再編に加え、社会面ではエクルレニのケンプトンパークで2か月間に9人の女性が殺害される連続殺人事件が発生し、常設の連続犯罪対策チーム設置を求める請願が財務大臣エノク・ゴドングワナと警察担当大臣フィロズ・カチャリアに提出された。また、白系南アフリカ人難民受け入れを巡っては、トランプ政権が2027年の難民受け入れ上限を1万7500人とし、その大半を白人南アフリカ人に限定した。南アフリカ政府はアフリカーナーが迫害された少数派だという認識を繰り返し否定しており、両国間の外交的緊張が続いている。

これらの出来事は、南アフリカがグローバル経済の再編と国内の社会課題に同時に直面していることを示す。金利政策の行方、自動車産業の構造転換、移民制度の運用、そして治安と難民問題——いずれも2027年に向けた南アフリカの方向性を左右する重要な論点であり、国際社会の注目も集めている。

社会 (Society)

南アフリカのクワマクタ銃乱射で11人死亡、世界ではロシアの熊襲撃やウクライナ攻撃も

9月22日夜、南アフリカのクワズール・ナタール州ダーバン郊外のクワマクタ地区で、パーティー中の住宅に3人の武装した男が乱射し、妊娠中の女性を含む11人が死亡、3人が負傷した。警察はライバルギャング間の確執を有力視し、72時間の追跡作戦を展開している。この事件は、アルゼンチン紙が住民の「映画のようだ」という悲痛な証言を伝え、カナダ紙が近年の連続銃乱射の文脈(6月のヨハネスブルグ事件、12月の21人死亡事件)を強調するなど、メディアによって論調に差異が見られる。マレーシア紙とシンガポール紙は、11月の地方選挙を控えた有権者の主要な関心事として犯罪問題を位置づけ、南アフリカ現地紙は地域社会の不安と政党の反応を詳細に報じている。

一方、世界の他の地域でも重要な出来事が起きている。ナイジェリアのプラトー州では、警備隊の待ち伏せ攻撃で4人死亡、砂採掘穴の崩落で4人死亡した。ロシアでは熊の襲撃による死者が17人に達し、クラスノヤルスク地方などで警戒態勢が敷かれた。ウクライナではロシア軍のドローン攻撃で首都キーウの2人が死亡、43人が負傷し、歴史的な市場が炎上した。ポーランド空域ではロシアのMi-8ヘリコプターが一時的に侵犯した。フランスではディーゼル価格が1リットル2.41ユーロまで高騰し、ドライバーの生活を圧迫している。また、パリのコンコルド広場で行われる教皇レオのミサには、全国から選ばれた400人の若者が奉仕する。

南アフリカでは、今回の銃乱射が地域社会に深い衝撃を与え、住民は報復を恐れている。警察は薬物と違法銃器の問題に取り組む必要があるとされ、11月の選挙に向けて治安対策が重要な争点となる。ウクライナでは戦争が続く中、ロシアのベラルーシ領土を利用した新たな攻撃の可能性が指摘されている。ロシアでは熊の襲撃が生活に直接的な脅威をもたらし、フランスでは燃料価格の高騰が家計を直撃している。

科学・技術 (Science & Tech)

スーパー・エルニーニョ2026、世界で最大45万1000人の熱関連死を予測——気候変動が増幅する異常気象の連鎖

2026年の強力なエルニーニョ現象が、世界の記録的な高温とともに深刻な干ばつ、山火事、水供給の減少を引き起こし、来年2月末までに世界全体で最大45万1000人の追加的な熱関連死をもたらす可能性がある。シカゴ大学拠点の気候影響研究所(Climate Impact Lab)が水曜日に発表した研究報告書がこの試算を示した。報告書は、6月から来年2月末までの間に、エルニーニョに起因する熱関連死が通常年の想定と比較して最大45万1000人増加すると推定している。

研究チームは、世界2万4378の地域における気温と超過死亡の関係を、地域の気候と脆弱性を考慮して分析し、長期的な気温予測と組み合わせて推計を行った。その結果、エルニーニョにより世界の陸地気温は平年より約1.2度上昇し、極端な高温日が通常年の44パーセント増加すると予測される。この気温上昇は、約20年後に気候変動がもたらすとされる状況を先取りするものであり、報告書は今回の現象を「未来からのポストカード」と表現した。

影響は特に貧しい国々で深刻になると予想される。アフリカのサヘル地域では約6万6800人の追加死亡が見込まれ、そのうちナイジェリアだけで3万1400人に達する。インドネシアでは1万9300人、スーダンでは1万7600人、フィリピン・ベトナム・タイ・カンボジアの4カ国合計で1万9400人、インドで1万5800人、ブラジルで1万3300人の追加死亡がそれぞれ予測されている。報告書の共著者で気候影響研究所の共同創設者であるマイケル・グリーンストーン氏は「すでに暑い場所では、追加の数度がはるかに危険になる」と指摘し、富裕国は一般的に空調、安定した水供給、機能する医療システムへのアクセスがより大きいと説明した。

この報告書は、各国政府が気温警報システム、冷却センター、給水所、屋外労働者への保護策、病院の収容能力拡大、高齢者などの脆弱なグループへの支援などを実施するための指針となる。研究者らは、危険な暑さのピーク前に資源を動員できる「予見的資金調達」も提唱している。インドのNRDCの熱専門家アビヤント・ティワリ氏は、この予測は単なる警鐘ではなく行動を促すものだとしつつ、「私たちの備えの真の尺度は、どれだけ多くの熱警報を発するかではなく、どれだけ効果的に人々を守り、予防可能な死を減らすかだ」と述べた。

一方、エルニーニョ現象は太平洋の風と海面水温の変動サイクルであり、自然現象として発生するが、人為的な気候変動がその影響を増幅している。ロンドン大学インペリアル・カレッジの気候科学教授フリーデリケ・オットー氏は「エルニーニョは今後数カ月、より高い世界気温と極端な気象影響をもたらす可能性が高く、気候変動は化石燃料排出による基盤的な熱が世界気温を押し上げ続けるため、これらの影響をさらに悪化させるだろう」と述べた。国連は先日、エルニーニョが世界の健康に重大な脅威をもたらすと警告しており、今回の報告書はその翌日に発表された。

このエルニーニョは6月に発生が宣言され、今年後半にピークを迎えると予想されており、観測史上最強級になるとみられている。太平洋の主要海域では海面水温の上昇が3度を超え、今後半年間「非常に強い」エルニーニョが続くと予測されている。この影響で、大西洋ではハリケーンがほぼ発生しておらず、衛星観測が始まった1966年以来初めて、ハリケーンなしの年になる可能性が指摘されている。一方、東太平洋ではポロが数十年で最も強力なハリケーンの一つに発達し、メキシコ南西岸に接近している。複数のメディアが報じたところによると、ポロはカテゴリー5の勢力で、メキシコのゲレーロ州、ミチョアカン州、コリマ州の太平洋岸に熱帯暴風雨をもたらし、洪水や地滑りの危険がある。この急速な発達はエルニーニョによる暖かい海水と風のパターンが燃料となったとされ、科学者らを驚かせている。

各国メディアの報道を比較すると、アルゼンチンの『クラリン』はポロの勢力とメキシコへの接近を中心に、現地の被害状況や住民の反応を詳細に伝えている。カナダのCBCは気候変動がエルニーニョの影響を悪化させている点を強調し、サヘル地域や南アジアなどグローバル・サウスへの影響を分析している。カタールのアルジャジーラは「スーパー・エルニーニョ」という表現を用い、気候変動との相互作用を専門家の見解を交えて解説している。ドイツのドイチェ・ヴェレはエルニーニョがハリケーンや熱帯暴風雨に与える影響を科学的に説明し、大西洋でハリケーンが発生しない異例の状況を報じた。パキスタンのデイリー・タイムズは具体的な死亡者数の予測を簡潔に伝え、台湾のタイペイ・タイムズは政府が取るべき対策に焦点を当てている。これらの報道は、エルニーニョの強さとその影響の深刻さという根幹では一致しているが、気候変動の役割の強調度や、注目する地域・現象に違いが見られる。

文化 (Culture)

ハーヴェイ・ワインスタイン、2006年の性的暴行で懲役15年判決 #MeToo運動の再審で確定

失脚したハリウッドの映画界の大物、ハーヴェイ・ワインスタイン(74)が、2006年に元テレビ制作アシスタントのミリアム・ヘイリーに対して犯した重罪の性犯罪について、9月23日(水曜日)、ニューヨークのマンハッタン最高裁で懲役15年の判決を言い渡された。この判決は、2020年の有罪判決が2024年にニューヨーク州最高裁で覆され、再審で再び有罪となった後のもので、#MeToo運動の節目となる。

検察は懲役20年を求刑し、弁護側は既に服役した6年以上に加えて3年の追加を求めた。判決を言い渡したカーティス・ファーバー判事は、ワインスタインを「性的捕食者」と呼び、「君はすべてを持っていた。偉大さで遺産を築くことができたはずだ。しかし、ミリアム・ヘイリーに暴行を加えることでそれをすべて投げ捨てた」と述べた。判決後、ワインスタインの広報担当ジュダ・エンゲルマイヤーはAFPに対し、最新の判決と有罪判決に対して控訴する計画であると語った。

ヘイリーは判決前の法廷で、「ハーヴェイ・ワインスタインに性的暴行を受けたことは、私の人生と安心感に決して消えない壊滅的な影響を与えた」と述べ、「私にとっては終身刑だ」と語った。また、彼女は「彼は自分の権力の地位を乱用した」とし、「彼が私を取るに足らない存在だと思っていたことを恥ずかしく思う」と述べた。判決後、ヘイリーは15年の刑期について「私の意見では公平だった。だから満足している」と語った。

この判決は、複数のメディアがほぼ同時に報じた。アルゼンチンのメディアは、ヘイリーの「終身刑」という言葉と、ワインスタインが車椅子で「ミリアム・ヘイリーの痛みには悔いがあるが、自分の無実を繰り返さなければならない」と述べたことを強調した。カナダのCBCは、ファーバー判事がワインスタインを「性的捕食者、MeToo運動の文字通りの顔」と呼んだことを報じた。英国のBBCは、ワインスタインが法廷で「私は暴力的な男ではない、慈悲を」と述べたことを伝えた。シンガポールのCNAは、判決後の法廷で「大きなうめき声」が聞かれたことや、ヘイリーが「彼は自分の権力の地位を乱用した」と述べたことを詳細に報じた。一方、中国のメディアは、2020年の判決が覆され再審で有罪となった経緯を簡潔に伝えるに留めた。

ワインスタインは、2017年に複数の女性が性的不正行為を公に告発したことで#MeToo運動の決定的な瞬間となった。彼は2018年に逮捕され、現在も容疑を否認し続けている。彼は現在、ニューヨークのベルビュー病院内の刑務病棟に収容されており、血液がん、うっ血性心不全、腎臓の問題を抱え、車椅子を使用している。また、ロサンゼルスの別のレイプ事件で再量刑を待っている。カリフォルニア州の控訴裁判所は2022年の有罪判決を支持したが、後に覆されたニューヨークの有罪判決を加重要素として考慮したため、16年の刑期を取り消した。

仏文学界を揺るがすAI執筆疑惑――受賞作『C'était ça ou mourir』をめぐる論争と検出技術の限界

フランスの文学界で、今秋の「ラントレ・リテレール」最大の話題作が人工知能(AI)による執筆ではないかという疑惑で揺れている。カナダ・ケベック州在住のハイチ系作家テリソン・オレリアン(38歳)の小説『C'était ça ou mourir』(グラッセ刊)は、2026年8月の刊行以来、フランスの主要文学賞の候補に名を連ね、約3万5000部を売り上げる現象となっていた。しかし、9月21日に作家がFnac小説賞を受賞した直後、X(旧ツイッター)の匿名アカウント「バランス・トン・クロード」が、同作が「ほぼ全編」AIによって書かれたと告発した。

告発の根拠となったのは、AI生成テキスト検出ツール「パングラム」の分析結果だ。同アカウントは、小説の複数の箇所を検出器にかけたところ「ほぼ常に100%AI」という結果が出たと主張。この投稿は数百万回閲覧され、文学界に激震が走った。フランスの『リベラシオン』紙の調査報道部門チェックニュースによると、パングラムの最新版は小説の全章を分析し、全体の約97%を「AI生成」と判定した。別の検出器「GPTゼロ」も同様に「100%AI」と評価した。さらに同紙は、オレリアンの過去のテキストと今回の作品を比較し、前者が「100%人間」、後者が「100%AI」と判定されたと報じた。一方、フランス通信(AFP)が同アカウントが提示した断片を複数の検出器で検証したところ、結果は矛盾した。InVID-WeVerifyは「ほぼ間違いなく人間が書いた」と判定し、他の7つの検出器でもAI介入確率は0%から100%までばらつきを見せた。AFPのメディアラボ責任者ドニ・テスーは「テキストの検出は画像よりはるかにランダムだ」と指摘する。パングラム共同創業者のマックス・スペロ自身も、同ツールを「最終的な判定者」とすべきではないと認めていた。

この論争は、単なる一作家の評価問題を超え、AI時代の文学と検出技術の信頼性という根本的な問いを突きつけている。各国メディアの報道を比較すると、フランス国内メディアは事件の経緯と検出ツールの精度検証に焦点を当てる傾向がある。『フィガロ』紙は、AIテキストの特徴とされる「三連リズム」や「ダッシュ記号の多用」などの指標を紹介しつつ、人間と機械の書き分けが困難になっている現状を報じた。『フランス24』は、パングラムが英語圏のコーパスでは高い精度を示す一方、フランス語テキストの検出研究が不足している点を指摘し、同紙独自に小説全文(6万3000語超)を分析したところ、92%がAI生成と判定されたと伝えた。一方、英字メディアの『タイムズ・オブ・インディア』は、この論争をAI企業社員の精神的負担という文脈で報じ、OpenAIやAnthropicの社員が「人類を滅ぼすかもしれない技術」に取り組むストレスを訴えていると伝えた。台湾の『タイペイ・タイムズ』は、AIの終末シナリオ(核戦争、生物兵器、インターネット支配)を論じる中で、AnthropicのCEOダリオ・アモデイが「数か月以内にAIエージェントの群れがボットネットでインターネットを乗っ取る可能性がある」と警告したことを紹介した。

オレリアン自身は疑惑を「断固として」否定し、「常に創作と執筆を愛してきた。機械に頼る理由はない」と『リベラシオン』紙に語った。また、初稿はAIが普及する前の2019年に書かれたと説明し、「私の伝統はハイチとカリブのものだ。イメージ、反復、リズムは生きた言葉であり、私自身のものだ」と強調した。出版社のグラッセは「フェイクニュース」と断じ、「これらのAI検出ツール自体が、聖書が人工的に書かれたと空想するAIだ」と皮肉った。カナダの出版社ボレアルも作家への信頼を表明した。告発した「バランス・トン・クロード」側も、その後は態度を軟化させ「オレリアンが誠実に行動している可能性は、たとえ小さくてもある」と述べ、作家への「同情と共感」を示した。同アカウントはさらに、Amazonの売れ筋ランキング上位がAI生成本に占められている現状を指摘し、オレリアンが「多くの読者を満足させる首尾一貫した物語」を生み出した功績を認めた。

この騒動は、AI時代の創作の真正性をめぐる議論の火付け役となった。検出ツールの信頼性が疑問視される一方、AIの活用が当たり前になりつつある現在、人間とAIの創造性のどのような組み合わせが「許容される」のかという問いが浮上している。作家がAIで生成した文章を推敲する場合も、逆に人間が書いた文章をAIに校閲させる場合も、その境界線は曖昧だ。英字メディアの『BBC』は、7月にトリニダード系作家ジャミール・ナジールの『The Serpent in the Grove』が英連邦短編賞をAI執筆疑惑でいったん剥奪された後、再授与された前例を挙げ、今回の論争が同様の結末をたどるか注目されると報じた。フランスの文学賞シーズンはこれから本格化する。ゴンクール賞、ルノードー賞、フェミナ賞、メディシス賞の最終選考を控え、AI疑惑が受賞結果に影響を与えるのか、あるいは単なる通過儀礼となるのか、文学界の注目が集まっている。

スポーツ (Sports)

心臓移植から世界一へ、マーティン・ジャクソンの奇跡と移植医療の現在地

イングランドの下部リーグでプレーしていたマーティン・ジャクソンが、心臓移植から2年足らずで移植者によるサッカーワールドカップで優勝を果たした。2024年10月、ラムズボトム・ユナイテッドの試合後に心筋炎を発症し、同年11月28日にウィゼンショー病院で移植手術を受けた。2026年9月、フランクフルトで行われた大会決勝でスペインを5-1で下したイングランド代表の一員として得点を記録した。

移植ワールドカップは7人制で20分ハーフの試合形式を採用し、選手の身体への負担を考慮したルールとなっている。ジャクソンはマンチェスター・ユナイテッドのアカデミー出身で、ブラックバーンやプレストンなどでプレーした後、ノンリーグで13年間過ごした。妻ルーシーがSNSでイングランド移植チームの存在を知り、監督のデイリー・クロスが彼の獲得を決めた。心臓移植者であるジャクソンは10分程度の出場時間で役割を果たす。

イングランドは決勝までの6試合で36得点を挙げた。大会は臓器提供週間の開始3日前に開催された。英国では臓器提供者が減少しており、2026年は前年同期比9%減、現在8700人が移植待機中で過去最多となっている。NHSは緊急対応計画を発表した。ジャクソンはドナー家族にまだ会っておらず、手術2周年を機に連絡を検討している。

主治医のポール・キャラン医師は、この回復を「驚くべき」と評した。監督のクロスは「臓器提供がなければこのチームは存在せず、イングランドはワールドカップに優勝できなかった」と語り、移植コミュニティへのメッセージを強調した。本記事はBBCスポーツによる単一の論調であり、移植医療の現状と希望を伝える内容となっている。