ロシア軍のMi-8ヘリコプターが23日、カリーニングラード付近でポーランド領空を一時的に侵犯した。ポーランド軍作戦司令部によると、侵入はブラニェヴォ北方で午前11時8分に発生し、領空内に滞在した時間は42秒、最大深度は約300メートルだった。同司令部はX(旧ツイッター)への投稿で「戦闘機を発進させ、地上部隊は待機状態に置いた。この事案の性質は、ロシアが再び我々の防空の即応性を試していることを示している」と述べた。ポーランドはNATO加盟国であり、隣国ウクライナでの戦争に関連した領空侵犯に高い警戒を保っている。ロシアのワルシャワ大使館はこの事案についてのコメント要請に即答しなかった。
一方、ウクライナではゼレンスキー大統領とトランプ米大統領の会談直後にロシア軍が大規模なドローン攻撃を実施した。首都キーウでは23日朝、鉄道インフラ、倉庫、ガソリンスタンドが攻撃され、市当局によると少なくとも2人が死亡、22人が負傷した。これは夏以降、迎撃が難しい高速・高高度のジェットドローンによる攻撃が始まって以来、最も激しい攻撃の一つとなった。キーウ市長のクリチコ氏は、9階建ての非住宅ビル、ビジネスセンター、倉庫にドローンが命中したと述べた。ウクライナ石油会社ウクルナフタは、首都のガソリンスタンドが攻撃され、ここ数週間で6件目となったと発表した。ウクライナ鉄道のペルツォフスキーCEOは、首都の鉄道インフラが攻撃され、作業員1人が負傷したと述べた。東部ドネツク州では別の航空爆弾攻撃で少なくとも4人が死亡、4人が負傷した。
ゼレンスキー大統領は国連総会の傍らでトランプ大統領と会談し、エネルギー関連目標への二国間停戦の可能性について協議した。同大統領は、ロシアの冬季の電力インフラ攻撃に備え、米国のパトリオット防空ミサイルの追加供給を要請した。合意には至らなかったが、ロシアがウクライナのインフラへの攻撃を止める限り、モスクワとのエネルギー停戦には「あらゆる形式」で応じる用意があると述べた。トランプ大統領は先週、ウクライナとロシアがエネルギー目標を攻撃しないことで合意したと述べたが、翌日にキーウのガソリンスタンドが攻撃され、ウクライナがロシアの石油精製所を爆撃したことで、停戦の兆しは消えた。
クレムリンのペスコフ報道官は、ルビオ米国務長官とラブロフ露外相のニューヨークでの会談を前に、ウクライナとの和平協議の土台はまだ整っていないと述べた。「現時点では、平和的交渉の軌道に移行する前提条件はない。ただし、ロシア側としては和平協議に開かれたままだ」と同氏は記者団に語った。また、プーチン大統領は必要と判断すればトランプ大統領と一対一で会う用意があるとしたが、プーチン氏とゼレンスキー氏の直接会談の可能性については、ゼレンスキー氏がモスクワに来るべきだという従来の立場を変えていない。ウクライナ側は中立国での開催を主張しており、この考えを繰り返し否定している。ペスコフ氏は3首脳による首脳会談の可能性も軽視し、「一般的に言って、他の状況なら、専門家レベルで下地が整う前に首脳会談を開くのは不適切だ。時間の無駄になるからだ」と述べた。
エネルギー問題では、フランスのマクロン大統領が月曜日、エネルギー部門関連の攻撃のモラトリアム(一時停止)を確保するためのイニシアチブについてトランプ大統領と協議したと述べた。トランプ大統領は攻撃が米国のディーゼル価格高騰の原因だと非難しているが、多くの経済専門家は米国主導のイラン戦争の方がより大きな要因だとみている。トランプ大統領は火曜日、農業州の共和党議員が支持するディーゼル輸出禁止案を支持すると述べたが、共和党内でも全会一致の支持を得ているわけではなく、沿岸部の燃料価格を押し上げ、欧州同盟国への供給を逼迫させる可能性があると警告する自身のエネルギー当局者らと対立している。エネルギー長官のクリス・ライト氏は「流れに障壁を設ければ、すぐに生産が減り、供給が減る。必要なのはより多くの供給であり、より少ない供給ではない」と述べた。内務長官のダグ・バーガム氏は、輸出禁止は石油価格を下げる可能性は低く、カリフォルニア州などがエネルギーの一部を依存するエネルギー輸出国の報復措置につながる可能性があると述べた。
ポーランドでは、ロシアのグレーゾーンでの対欧州行動の激化が緊張を高めている。トゥスク首相は先週、議会下院(セイム)での演説で、ロシアがNATO領土にドローンやミサイルを送り込み、それを「偶然の出来事」と位置づける計画があると警告した。同首相は、クレムリンが同盟を不安定化させ、パートナーの結束を試そうとしていると述べ、その目的は集団防衛の第5条が「理論上のみ存在する」ことを示すことだと主張した。今週に入り、ポーランド検察は先週バルト海で発見されたロシアのゲルベラ2型ドローンに高性能爆発性破片弾頭が搭載されていたことを明らかにした。8月にはドイツがライプツィヒ/ハレ空港での爆発性ドローン攻撃未遂の責任をロシアに帰した。今月初めにはデンマークのフレデリクセン首相が、ロシアのフリゲート艦がデンマーク軍ヘリコプターに向けて照明弾2発を発射したと非難し、NATOを試す試みだと述べた。
英国では、バーナム首相が国連での演説で、ロシアがボット軍団と偽サイトを使い、虚偽を流布し、選挙に干渉し、不和を煽り、地域社会間の関係を損なう「産業規模の攻撃」を英国の情報環境に対して仕掛けていると非難した。同首相は、敵対勢力による認識論的破壊工作に対抗するための国家情報防衛センターの設立を発表した。ガーディアン紙の論説は、バーナム氏の指摘は正しいが、話の一部しか語っていないと指摘する。クレムリンが偽情報を流すのは、大規模な米国テックプラットフォームが毒素を広める便利な経路を提供し、英国に好意的な聴衆がいて、有害なプロパガンダを広める市場が儲かるからだという。同紙の分析では、ベルファストとサウサンプトンでの人種暴動について投稿していたXのアカウントの半分以上が英国外に拠点を置いていた。最も読まれたツイートの7つは米国発で、その中にはXの所有者であるイーロン・マスク氏の投稿も含まれていた。マスク氏は、大衆移民によって文化が侵食されている失敗国家という歪んだディストピア的な英国像を積極的に広めてきた。バーナム氏は演説でこの側面に触れなかったが、それはトランプ大統領の面前で米国のビッグテックを非難するのが不適切だと感じたからかもしれない。
ロシア国防省は、ランセット偵察・攻撃システムと戦闘用無人航空機が、ザポロジエ地域のM119牽引榴弾砲、パラディン砲兵システム、ボグダンシステム2基を破壊したと発表した。偵察ドローンが米国製M119牽引榴弾砲と弾薬を積んだトラックの動きを検知し、攻撃UAVとランセットが目標を撃破、弾薬の爆発で榴弾砲とトラックが破壊されたという。また、迷彩を施したM109パラディン自走榴弾砲とボグダン自走榴弾砲2基を検知し、待機位置にあった砲を攻撃、弾薬の爆発を確認した。これにより、この地区でのウクライナ軍の火力支援と対砲兵戦能力が低下したとしている。
ウクライナでは、過去1日間のロシア軍の攻撃で少なくとも10人が死亡、53人が負傷した。南部オデーサ州では、アンティグア・バーブーダの旗を掲げた商業貨物船が攻撃され、火災が発生、ウクライナ人船長が死亡した。同州では医薬品や日用品、食品を保管する倉庫が続けて2回攻撃され、消火に数時間を要した。ウクライナ空軍によると、ロシア軍はシャヘド型攻撃ドローン161機(ジェット推進型を含む)、ゲルベラ、パロディアのデコイドローン、バンデロールドローンを投入し、ウクライナ防空部隊は119機を撃墜または無力化した。ドネツク州では4人が死亡、10人が負傷、ヘルソン州では2人が死亡、8人が負傷、ハルキウ州では1人が死亡、13人が負傷した。キーウ州では18の施設が損傷し、3人が負傷した。ゼレンスキー大統領は22日、ロシアがウクライナに対する新たな大規模攻撃を準備していると警告した。同大統領は国連総会の傍らで英国のバーナム首相と安全保障と防空支援について協議した後、「ロシアがウクライナに対する新たな大規模攻撃を準備していることを示す諜報情報を現在持っている」と述べた。
各メディアの論調を比較すると、カナダのCBCはキーウへのドローン攻撃の詳細と、トランプ大統領とゼレンスキー大統領の会談、エネルギー停戦の見通しの厳しさを中心に報じ、クレムリンの首脳会談への慎重姿勢を強調している。スペインのエル・パイスはポーランドの領空侵犯を、ロシアのグレーゾーン戦略の一環として位置づけ、トゥスク首相のNATO第5条に関する懸念を詳細に伝えている。欧州のポリティコも同様に、領空侵犯とロシアのハイブリッド戦争の文脈で報じ、ドイツやデンマークでの事例を挙げている。カタールのアルジャジーラは、攻撃による死者数とゼレンスキー大統領の発言に焦点を当て、ロシアの攻撃の規模を強調している。ロシアのタス通信は、ウクライナの外国製砲兵システムの破壊というロシア国防省の発表をそのまま伝え、ロシア軍の戦果を強調する。シンガポールのCNAは、EU大使の証言やゼレンスキー大統領とフォン・デア・ライエン欧州委員長の会談など、国際的な連帯の側面を加えている。ウクライナのキーウ・インディペンデントは、ポーランドの領空侵犯とウクライナ各地の攻撃状況を詳細に報じ、ロシアの攻撃がNATO加盟国に及ぼす影響を強調している。全体として、ロシアの攻撃と外交交渉の停滞という事実認識は全メディアで一致するが、ロシア系メディアは軍事面での成功を、欧米・ウクライナ系メディアはロシアの脅威と停戦の不確実性を強調する傾向がある。