G7外相は22日、国連総会に合わせてニューヨークで非公式会合を開き、イエメンの親イラン武装組織フーシ派によるサウジアラビアへの攻撃を「最も強い言葉で非難」し、即時停戦を求める共同声明を発表した。声明は「フーシ派に対し、すべての軍事行動、民間船舶への脅威と攻撃を直ちに停止し、誠意を持って政治プロセスに復帰するよう求める」とし、イランに対しては「フーシ派への武器供与と支援を終わらせる」よう要求、過去の国連安保理決議違反だと指摘した。フーシ派の攻撃が世界貿易とエネルギー供給を脅かしているという認識で、G7各国の見解は一致した。
具体的な支援策をめぐっては、各国で温度差が浮き彫りとなった。英紙PA通信などによると、英首相アンディ・バーナムは21日、サウジアラビアからの要請を受け、限定的な期間で「防衛的」な空中給油を実施すると発表した。英空軍のボイジャー給油機1機がキプロスのアクロティリ基地から投入され、フーシ派のミサイルや無人機を迎撃するサウジ戦闘機を支援する。英BBCは、国防相ウェス・ストリーティングと外相エド・ミリバンドの助言に基づく決定だと報じた。バーナム首相は「英国と地域全体の利益を確保するためだ。サウジアラビアは攻撃にさらされ、さらなる混乱の可能性がある。石油輸送路を開いておく必要がある」と説明した。英政府高官によると任務は「数週間」で、見直しの対象となる。これは既にサウジに配備済みの英防空システム「スカイセイバー」に追加されるもので、フーシ派への直接攻撃ではなく防衛支援に限定される。
フランスもAFPの外交筋の話として、サウジのエネルギーインフラ「確保」に向けた支援の用意があると表明した。「フーシ派との戦闘に参加するものではない」とし、厳密に防衛的なアプローチを取るとした。これに対し、米国は消極的だ。米紙ニューヨーク・タイムズは、トランプ政権がサウジ皇太子ムハンマド・ビン・サルマンの要請を受け、19日にフーシ派への空爆を準備したが、爆弾を搭載する直前に中止したと報じた。ロイター通信は、イエメンの国際的に承認された政府のラシャド・アル=アリミ議長が19日にトランプ大統領と電話会談し、支援を要請したが、米側は直接的な支援を約束しなかったと伝えた。米フォックス・ニュースは、トランプ大統領がフーシ派は米国の標的を攻撃しないことで合意したと述べたと報じた。
戦況は緊迫の度を増している。フーシ派系のサバ通信は22日、サウジ主導連合軍による紅海の要衝モカ港への空爆で、子ども2人と女性1人を含む6人が死亡、8人が負傷したと報じた。フーシ派は今月、紅海沿岸全域を制圧し、バブ・エル・マンデブ海峡を掌握。イランとその同盟国は、ホルムズ海峡と合わせて二つの重要水路を押さえることになった。サウジの国営石油会社アラムコが紅海沿岸の都市ヤンブーに持つ施設への攻撃や、イラクから発射された無人機による東西パイプラインの停止も報じられている。国連によると、8月6日以降の戦闘で少なくとも674人が死亡、約3000人が負傷し、15万8000人以上が避難した。世界食糧計画のカール・スカウ事務局長代行は、イエメンが食料の9割を輸入に依存していると指摘し、港湾や空港の機能停止が食料安全保障に打撃を与えていると警告した。
メディア間の論調の差異も明確だ。中東地域メディアのアルジャジーラは、フーシ派が紅海沿岸と政府支配地域を分断するカブーブ山地の制圧を目指していると報じ、戦況の推移を詳細に伝えた。同局はフーシ派指導者アブデルマリク・アル=フーシの演説を紹介し、「地域情勢により米国とイスラエルは忙しく、サウジ政権は彼らの参戦を求めている」と米国の消極姿勢を批判的に報じた。一方、英BBCはバーナム首相の決定を「就任後初の重要な軍事判断」と位置付け、英国内の物価上昇圧力と関連付けて報じた。カナダCBCは、フーシ派の紅海沿岸進出により世界貿易の約12%が通過するバブ・エル・マンデブ海峡の重要性を強調し、米国が今回の紛争に軍事的に関与する姿勢を見せていないと指摘した。日本経済新聞は、英首相の決定が7月の就任以来の重要な軍事判断の一つだとし、バーナム氏が国連総会でトランプ大統領と初の直接会談を行う予定だと報じた。サウジ、パキスタン、トルコが先月締結した「メッカ共同防衛協定」の存在も複数メディアが指摘し、地域の防衛体制の再編が進んでいることが示された。