The Morning Star Observer

2026年09月22日 火曜日朝刊 (Morning Edition)ArchiveAbout

トランプ大統領のホワイトハウス入り禁止にCNNら3社が提訴、主要テレビ局はプール取材を停止

米国の主要メディアであるCNN、MS NOW、Politicoの3社は21日、トランプ大統領によるホワイトハウス入り禁止措置に対し、憲法修正第1条の権利を守るため連邦地裁に提訴した。3社は共同声明で、ホワイトハウスが「事前の通知も手続きもなく」記者の資格証を剥奪したと非難し、「政府が報道内容を決めるべきではないという原則を守る」と主張した。これに先立ち、トランプ大統領は18日、3社を「フェイクニュース」と称してホワイトハウスへのアクセスを即時禁止すると発表。翌19日には、各社の記者が敷地への入場を拒否され、プレスパスを没収された。

この措置に抗議して、ABC、CBS、Fox News、NBCの各局は21日、大統領の公式行事を共同取材する「プール」方式のテレビ取材を停止すると発表した。CNNが同日予定されていたプール取材を担当するはずだったが、ホワイトハウスがCNNの参加を認めなかったため、代替局を置かずに取材をボイコットする形となった。Fox Newsワシントン支局長のブライアン・ボートン氏は、プール取材の停止をメモで通知し、「CNNが割り当てられた任務を果たせないようにしたホワイトハウスの姿勢を受けたものだ」と説明した。

トランプ大統領は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で反論し、「ホワイトハウスは自由な報道を攻撃しているのではない。フェイクニュースを攻撃しているのだ」と述べ、「それは愛するアメリカ合衆国で癌のように広がっている」と表現した。さらに「腐敗し、意図的で、広く行き渡り、完全に連携し、手に負えない状態だ。国家安全保障への脅威であり、今すぐ止めなければならない」と強調した。

ホワイトハウス記者協会(WHCA)のジャッキー・ハインリヒ会長は、3社のアクセスを即時回復するよう求めた。彼女は「ある報道機関をその報道内容で排除する基準は、将来どの報道機関にも適用され得る」と指摘し、「自由で独立した報道を通じて、国民は選ばれた権力者を監視できなければならない」と訴えた。また、米州新聞協会(SIP)も「政府が施設へのアクセスを、政府を批判する報道機関への懲罰の道具として使うべきではない」と批判した。

今回の措置は、トランプ政権と報道機関の対立を決定的にした。政権はこれまでにAP通信を「アメリカ湾」の呼称問題で締め出し、ニューヨーク・タイムズやウォール・ストリート・ジャーナル、BBCなどに対して訴訟を起こしてきた。3社の提訴はワシントン連邦地裁で審理され、今週中にも緊急審理が行われる可能性がある。国連総会出席のためニューヨークを訪れるトランプ大統領の映像が、プール取材の停止により不足することが懸念されている。

米中、AI危機管理の通知メカニズムで合意 トランプ・習会談を前に

米財務長官スコット・ベッセントは9月20日、ニューヨークで中国の何立峰副首相との会談後、人工知能(AI)の国家安全保障に関わる事態を相互通知する新たな「通知メカニズム」を中国に提案したと明らかにした。両首脳の会談を前にした週末の協議で、米中はAIをめぐる対話の枠組みづくりで前進した。

ベッセント氏は記者団に対し「共通の目標と共通の脅威についての認識を共有したい」と述べ、「世界第1位と第2位のAI大国の間で、不透明さからより大きな透明性へ移行することは極めて重要だ」と強調した。米通商代表のジェイミソン・グリア氏も同席し、協議はJPモルガン・チェースのニューヨーク本部で8時間にわたって行われた。

両国は貿易とAIについて「非常に成功した協議」を行ったとベッセント氏は評価した。中国の新華社通信は、両氏が「率直で、深く、建設的」な意見交換を行い、AI関連の課題について協議したと伝えたが、詳細には触れていない。

トランプ大統領と習近平国家主席は9月23日から25日まで米国を訪問する習氏の国賓訪問に合わせて、24日にホワイトハウスで会談する予定だ。トランプ氏は23日、メリーランド州のアンドルーズ統合基地で習氏を自ら出迎える。これは異例の大統領による空港出迎えとなる。

今回のAI通知メカニズムは、5月の北京での首脳会談で両首脳が議論した構想を具体化したものだ。米国は中国のAI開発を制限する輸出管理を維持しつつも、AIの暴走リスクへの懸念が高まる中で、危機管理のための対話チャンネルを確保する狙いがある。

会談では、貿易分野でも「非敏感」な物品の関税引き下げについて協議が続けられた。対象には消費財、農産物、エネルギー製品、医療機器などが含まれる可能性がある。また、米国は中国のレアアース輸出規制の継続的な確保を求めている。

専門家は、AI通知メカニズムの合意を「他国が追随し得る先例」と評価する一方、チップ輸出規制やモデルの蒸留問題など構造的な対立が残る限り、その効果は限定的だとの見方も示している。今回の首脳会談では、貿易、AI、台湾、イラン戦争などが主要議題となる見通しだ。

ロシア下院選挙、プーチン与党が記録的勝利 戦時下の初の議会選で超多数派維持

ロシア中央選挙管理委員会は9月21日、国家会議(下院)選挙の暫定結果を発表し、ウラジーミル・プーチン大統領の与党「統一ロシア」が全450議席中355議席を獲得する記録的な勝利を収めたと明らかにした。2022年のウクライナ侵攻開始後、初めて実施された議会選挙であり、プーチン氏はこれを戦争支持の国民投票と位置づけていた。

選挙管理委員会のエラ・パムフィロワ委員長によると、統一ロシアの得票率は57.83%に達し、2021年の前回選挙(49.8%)から大幅に伸びた。これにより同党は憲法改正に必要な301議席を大きく上回る超多数派を維持し、過去最多の343議席を更新した。共産党が40議席、自由民主党が25議席、新しい人々が20議席を獲得し、公正ロシアは得票率4.96%で5%の阻止条項を下回ったものの、小選挙区で4議席を確保した。

今回の選挙は、クレムリンに批判的な政党やウクライナ戦争に反対する政党が排除される中で実施された。唯一の反戦政党である「ヤブロコ」は比例代表での立候補を最高裁に阻まれ、小選挙区でも全候補が落選した。同党のニコライ・リバコフ党首は「平和のために」と記した投票用紙を無効票にした。EUの外交政策トップ、カヤ・カラス氏は「いわゆる選挙」と評し、「クレムリンは反対意見を封殺し、戦争に反対する唯一の登録政党を締め出し、国際選挙監視団を締め出した。ロシアに残るのは民主主義のベールだけだ」と非難した。

一方、ロシアに友好的な勢力からは歓迎の声が上がった。キルギスのサディル・ジャパロフ大統領、カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領、中国の郭嘉崑外交部報道官がそれぞれ祝意を表明した。独立国家共同体(CIS)の監視団は「結果に影響を与える違反はゼロだった」とし、上海協力機構(SCO)の監視団は選挙を「透明で信頼でき、民主的だ」と評価した。

選挙戦最終日の9月20日、ウクライナは戦争開始以来最大規模のドローン攻撃をモスクワに実施し、2人が死亡、製油所が炎上した。ロシア国防省はこれを「選挙妨害の試み」と位置づけたが、パムフィロワ氏は「極限の状況にもかかわらず、選挙の最大限の安全を確保できた」と述べた。投票率は59.3%で、2003年以来の高水準となった。

チェチェン共和国では、プーチン氏の盟友ラムザン・カディロフ氏が99.85%の得票率で5期目の当選を果たした。同氏は鉄の拳で統治することで知られ、反対派にとっては危険な存在だ。

今回の結果はプーチン氏の権力掌握をさらに強固なものにすると見込まれる。戦争の長期化に伴い、新たな動員の可能性が取り沙汰されており、ウクライナ当局はロシアが選挙後に約30万人規模の動員を準備していると主張する。プーチン氏自身は動員説を「ナンセンス」と否定しているが、ロシア軍はドネツク州全域の掌握を目指し、人員補充に追われている。下院にはウクライナ戦争の退役軍人ら約86人が議席を得る見通しで、プーチン氏は彼らを「新たなエリート」と称賛している。最終結果は早くとも9月25日以降に発表される予定だ。

13歳の中国の水泳選手・于子迪、アジア大会で2つ目の金メダルを獲得し世界記録に迫る

中国の13歳の水泳選手、于子迪(Yu Zidi)が、愛知・名古屋アジア大会で2日連続となる金メダルを獲得した。女子200m個人メドレーで2分06秒10を記録し、アジア大会記録を0秒72更新、カナダのサマー・マッキントッシュが持つ世界記録(2分05秒70)までわずか0秒40に迫るタイムを叩き出した。この記録は今年の世界最速タイムでもある。

于子迪は前日の女子200mバタフライでも大会記録を塗り替える2分05秒08で金メダルを獲得しており、2日連続の快挙となった。彼女は昨年の世界選手権で12歳ながら中国の4×200mフリーリレー代表として銅メダルを獲得し、史上最年少の世界選手権メダリストとなった。また、今年3月にはアメリカのレーガン・スミスを破るなど、その才能は国際舞台で証明されつつある。

香港のオリンピックメダリスト、シボーン・ホーヒーは、于子迪の活躍を「水泳界にとって刺激的な出来事」と評し、若い選手が台頭する現在のトレンドを指摘した。于子迪は2028年のロサンゼルスオリンピックで15歳となるが、その時には世界記録保持者と直接対決する可能性が高い。彼女の登場は、競泳界に新たなライバル関係の幕開けを予感させ、オリンピックに向けた注目度を一層高めている。

政治 (Politics)

フーシ派の高原制圧とトランプ政権の空爆見送り、イエメン紛争が中東の新たな火種に

イエメンのフーシ派が21日、紅海沿岸と政府軍支配地域を分断する戦略的高地の確保を目指して攻勢を強めた。前日にはトランプ米大統領がフーシ派への空爆を土壇場で中止したとの報道が出ており、中東情勢の新たな展開として注目される。

フーシ派は今月、紅海沿岸全域を電撃的に制圧し、バブ・エル・マンデブ海峡の要衝を掌握した。これにより、イランとその同盟勢力はホルムズ海峡と並ぶ中東の二大エネルギー輸送路を押さえることになった。サウジアラビアはフーシ派への反撃として数百回の空爆を実施したが、政府軍の崩壊を食い止められていない。

国連によると、今回の戦闘激化で約700人が死亡し、数千人が負傷した。国内では約13万人が避難を余儀なくされ、紅海を渡ってアフリカへ逃れた住民も3000人を超える。

トランプ大統領はサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子からの要請を受け、日曜日にフーシ派への空爆を準備したが、発進直前に中止を決断した。ニューヨーク・タイムズ紙は、司令官らが目標リストを承認し、爆弾の搭載作業まで進んだ段階で撤回されたと報じた。ホワイトハウスと米中央軍はコメントを発表していない。

トランプ大統領は日曜日、イエメンのラシャド・アル・アリーミー大統領評議会議長と電話会談し、フーシ派との戦いへの支援を要請された。関係筋によると、同大統領は軍事支援を直接約束しなかったという。米国はフーシ派をテロ組織に指定しつつ、同派が米国の船舶を標的にしないと表明したとしている。

サウジアラビアはホルムズ海峡の混乱を回避するため、紅海経由の輸出を代替する形でホルムズ経由の輸出を急増させた。衛星データによると、サウジのホルムズ経由輸出は日量290万バレルに達し、8月の70万バレルから大幅に増加した。これが原油価格の上昇を抑える一因となり、国際価格は1バレル100ドル前後まで下落した。一方、米国のディーゼル小売価格は1ガロン6.51ドル超と過去最高を更新し、トランプ政権にとって政治的な重荷となっている。

イエメン紛争の再燃は、2月に始まった米イスラエルとイランの戦争の波及効果として位置づけられる。フーシ派は7月にサウジ船舶への封鎖を宣言し、紅海の主要航路を脅かしている。サウジは東部の油田と紅海を結ぶ東西パイプラインもイラクの親イラン民兵の攻撃で停止しており、エネルギー供給の脆弱性が露呈した。

トランプ政権はこれまでサウジの要請を退け、フーシ派への直接介入を避けてきた。米国は2025年初めに2カ月間空爆を実施したが、停戦合意後に中止し、その後は紛争から距離を置いている。今回の空爆中止もその路線の延長線上にあり、米国は助言・情報支援を継続する方針だ。イエメン国内では100〜200人の米軍事顧問がサウジ軍を支援しているとされる。

フーシ派は現在、紅海沿岸と政府軍支配の南部を分断するカブーブ山地の確保を目指している。タイズ県とラヒジュ県にまたがる同山地の掌握により、バブ・エル・マンデブ海峡周辺の後方を固め、新たな戦線を開く狙いだ。戦闘はタイズ県のアル・ワジイーヤ地区と、紅海の入口とアデンの政府軍拠点の間にあるインド洋岸のラス・アル・アラに集中している。

イラン大統領マスード・ペゼシュキアンは火曜日にニューヨークへ向かい、国連総会に出席する予定だ。2月の「エピック・フューリー作戦」開始後、初の訪米となる。米イラン間の6月の暫定合意は数週間で崩壊しており、外交再開の糸口となるか注目される。

ウクライナ冬季戦線と停戦交渉、エネルギー攻撃の応酬が焦点に

国連の独立調査委員会は9月21日、ロシアとウクライナによるインフラ攻撃が冬季を前に民間人の脆弱性を高めていると警告した。同委員会は、2025〜26年の冬に気温がマイナス20度まで下がる中、ロシア軍がウクライナの重要エネルギー施設へ系統的な攻撃を続け、数百万人の市民が長期停電と暖房不足に苦しんだと指摘。エリク・メーセ委員長は「攻撃が続けば次の冬はさらに耐え難くなる」と懸念を示した。

一方、ドナルド・トランプ米大統領は21日、自身のSNSで「ロシアはウクライナ戦争によりディーゼル産業の主導権を失った」と述べ、製油所の多くが破壊され一時的に稼働停止していると指摘。毎月2万5千人が死亡する「馬鹿げた終わりのない戦争」を終わらせるべきだと訴えた。これに対しウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシアがウクライナのエネルギー施設と食料輸出を標的にするのをやめれば、ウクライナ側も報復攻撃を停止すると応じた。

両首脳は国連総会が開かれるニューヨークで今週会談する見通しだ。ゼレンスキー氏は電話協議後、会談が「多くのことを変え得る」と述べ、外交的勢いがあると強調した。米国のスティーブ・ウィトコフ特使とジャレッド・クシュナー上級顧問はキーウを訪問し、停戦交渉の再開に向けた新たな取り組みを進めている。

しかし、エネルギー停戦の実現には課題が残る。クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は、トランプ氏が署名した対ロシア追加制裁法が二国間関係の回復とウクライナ和平の進展を妨げると指摘。ロシアのドミトリー・メドベージェフ安全保障会議副議長は軍事的対応を呼びかけた。また、スロバキアのロベルト・フィツォ首相は「世界は逆さまになった。平和を求める者が悪者扱いされ、戦争屋が平和の使者と称賛される」と批判した。

戦況では、ロシア国防省が過去24時間でウクライナ軍約1,440人の損失を報告。ロシア軍はオデーサ港やイズマイール港の物流拠点、キーウ州の物流センターなどを無人機で攻撃し、ウクライナ側はザポリージャのショッピングモールへの夜間攻撃などで少なくとも6人が死亡、38人が負傷したと発表した。ロシア上空では244機のウクライナ無人機を迎撃したという。

中東では、イランのイスラム革命防衛隊(IRGC)のホセイン・モヘビ報道官が米国との戦争は「終わっていない」と述べ、長期戦に備えていると強調した。米国はホルムズ海峡を再開できず、軍事技術や諜報能力でも優位性を失ったと主張。新たな攻撃があれば「戦争の地理を変える」と警告した。

国連総会では、アントニオ・グテーレス事務総長の任期満了を前に後任選びも進む。世界で戦争と国益優先が常態化する中、多国間外交の場としての国連の存在意義が問われている。

イラン、米軍の新たな攻撃に備え新兵器と新標的を準備と警告

イランの革命防衛隊(IRGC)は、米国が新たな攻撃を再開した場合、新兵器を投入し、これまで攻撃を受けていない新たな標的を攻撃すると警告した。IRGC報道官ホセイン・モヒビ准将は日曜夜、国営アルアラムTVのインタビューで、米国またはイスラエルによる新たな侵攻があれば「戦争の地理を確実に変える」と述べた。同氏は「新たな能力を持つ新兵器を戦場に投入し、世界は驚くことになるだろう」と語り、具体的な兵器や標的については言及しなかった。

この警告は、2月28日に始まった米・イスラエルとイランの戦争が膠着状態にある中で発せられた。イランはこれまでに、バーレーン、カタール、クウェート、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、ヨルダンなど、米軍資産を抱える地域の各国に向けて多数の無人機とミサイルを発射してきた。IRGCは9月初旬に米軍がイランへの攻撃を再開した後、これらの攻撃を再開している。

イラン軍参謀本部とハタム・アル=アンビヤー中央司令部は月曜日、米国とイスラエルおよびその同盟国に「さらなる敗北」を約束する共同声明を発表した。声明は、イランへの攻撃が中東全域の米軍基地と利益に対する継続的で効果的な攻撃を招くと警告した。米国務省も日曜日、中東の米国人に「警戒の強化」と、航空便の欠航や空域閉鎖などの旅行障害への備えを促す勧告を出した。

一方、米国のトランプ大統領は日曜日、キャンプデービッドでの週末訪問を切り上げてホワイトハウスに戻った。同大統領はフォックスニュースのインタビューで、イランに関し「それほど遠くない将来に、非常に大きなことが起きようとしている」と述べ、「もし私が国全体を破壊したいと思ったら、いつそれをするのか。彼らは態度を変えるべきだ」と語った。

イランと米国の間では6月18日に全戦線での戦争終結を目指す覚書が交わされたものの、緊張は高止まりしたままだ。交渉は、世界のエネルギー市場にとって重要なホルムズ海峡の管理をめぐる意見の相違で行き詰っている。英海運情報機関UKMTOは月曜日、ホルムズ海峡でタンカーに発射体が命中し、乗組員2人が負傷したと報告した。モヒビ氏は、世界最大の海軍を持つ米国がホルムズ海峡を再開できなかったと指摘し、米国はイランとの戦争で「歴史的で屈辱的な敗北」を喫したと主張した。

戦争は中東地域全体に波及しており、イラン支援のレバノンのヒズボラもテヘランを支持して戦闘に加わり、イスラエルに向けて繰り返し攻撃を仕掛けている。今月に入り、イラン支援のイエメンのフーシ派はサウジアラビアへの無人機とミサイル攻撃を激化させた。フーシ派は紅海でサウジのタンカーも攻撃しており、7月には同国の西部港湾に封鎖を課している。パキスタンはイランと米国の暫定合意を仲介したが、サウジの警告をテヘランに伝えたと報じられている。

イランの警告は、米国との緊張が高まる中で出された。イランの軍事司令部は、米国がイランへの攻撃再開を準備しているとの情報を受け取ったと述べていた。イランの声明は、米国とイスラエルだけでなく、その同盟国やイランに敵対的な行動を支持する国々にも警告を向けた。イランは毎年恒例の「聖なる防衛週間」の開始に合わせてこの声明を発表し、1980年から88年のイラン・イラク戦争の遺産が、現在のイランの国家安全保障論議において中心的な役割を果たし続けていることを強調した。

メルツ独政権、州選挙連敗で窮地に AfDが年内退陣を予言

ドイツのフリードリヒ・メルツ首相は9月21日、メクレンブルク=フォアポンメルン州とベルリン市の州選挙で与党キリスト教民主同盟(CDU)が歴史的な敗北を喫した後、社会民主党(SPD)との連立政権を維持する決意を改めて表明した。メルツ氏は「国の民主的な未来」がかかっていると主張し、辞任を求める声を退けた。

メクレンブルク=フォアポンメルン州では、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が38.2%の票を獲得して第1党となり、CDUは4.9%にとどまり、州議会の議席獲得に必要な5%の壁を初めて突破できなかった。ベルリン市では、左翼党(Die Linke)が25.7%で初の第1党となり、CDUは18.8%で第2位に転落した。AfDはベルリンでも16.3%を獲得し、過去最高の結果を記録した。

AfDの共同党首アリス・ヴァイデル氏は、メルツ氏が「CDUにとって間違った首相だ」と述べ、2029年の総選挙前に政権が崩壊すると予測した。AfDの州選挙候補者ライフ=エリク・ホルム氏は「首相が今年中に退陣することは確実だ」と語り、「首相の時代の黄昏が始まった」と述べた。一方、左翼党の共同党首イネス・シュヴェルトナー氏はメルツ氏の辞任を期待していると述べた。

敗北を受けて、CDUの州代表8人のうち7人がメルツ氏抜きで日曜の夜に会合を開き、党の将来について議論した。ハンブルクのCDU代表デニス・テーリング氏は、メルツ氏に対し改革を強行するか、信任投票を提案するよう要求した。メルツ氏は国連総会への出席を取りやめ、火曜日に党議会と会合する予定だ。

今回の敗北は、2週間前のザクセン=アンハルト州選挙での大敗に続くもので、メルツ政権の正統性を揺るがしている。世論調査では、AfDが全国的に第1党となる可能性が示されており、メルツ氏の支持率は10%台前半まで低下している。ドイツの政治的中心の崩壊は、欧州の安定の要としてのドイツの地位にも影を落としている。

独メルツ首相、州選挙惨敗で退陣論に直面 「民主的未来」守り政権維持を明言

ドイツのフリードリヒ・メルツ首相は21日、極右と極左勢力による州選挙での痛烈な敗北を受け、政権維持への決意を表明した。メルツ氏は「我が国が直面する歴史的課題に応える決意だ。それは我が国の民主的未来にほかならない」と述べ、連立政権の継続を強調した。

メルツ首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)は、北東部メクレンブルク=フォアポンメルン州で得票率4.9%に沈み、1945年の結党以来初めて州議会から議席を失った。同州では反移民政党「ドイツのための選択肢」(AfD)が約38%の票を獲得して首位に立った。首都ベルリンでは左翼政党「左翼党」(ディー・リンケ)がCDUを抑えて第1党となり、市長の座を奪う勢いを見せている。

メルツ氏は「これはCDUにとって劇的かつ前例のない結果だ。州議会の全議員団が州議会から消えた」と述べ、「我々はその影響を長く感じることになるだろう」と認めた。一方で敗因を自身の低い支持率だけに求める見方を退け、「結果の理由は私個人をはるかに超えるものだ。我々はドイツのみならず世界中の多くの国で起きている政党システムの深遠な変革を目撃している」と語った。

メルツ氏はまた、ベルリンで高まる反ユダヤ主義を「ドイツの恥」と非難し、ユダヤ人の生活を守るため全力を尽くすと表明。連立相手の中道左派・社会民主党(SPD)との関係修復にも動く。SPDのラース・クリングバイル財務相は連立維持を約束する一方、「これまで通りではいかない」と改革を巡る再協議の必要性を示唆した。

AfDの州トップ候補ライフ=エリク・ホルム氏は「首相は今年末までもたないだろう。首相の時代の黄昏が始まった」と予測。後任候補としてノルトライン=ヴェストファーレン州首相ヘンドリク・ヴュスト氏や、バイエルン州首相でCDUの姉妹政党CSU党首のマルクス・ゼーダー氏の名前が取り沙汰されるが、現時点で公然と挑戦する動きはない。

メルツ氏は敗北を受け、ニューヨークでの国連総会出席を取りやめ、党の立て直しに向けた協議を開始する方針だ。CDUの州首相らがメルツ氏抜きでベルリンに集まり非公開会合を開いたとの報道も、退陣論に拍車をかけている。

国連総会、イラン戦争とマルビナス問題が焦点に 主要首脳がニューヨークに集結

第81回国連総会がニューヨークで開幕し、世界の主要首脳が集結する。今週の焦点はイラン戦争であり、米国とイランの対立が国際社会の主要議題となる。トランプ米大統領は火曜日に総会で演説を行い、イランの核開発問題に言及する予定だ。一方、イランのペゼシュキアン大統領は水曜日に演説を行い、ホルムズ海峡の封鎖など自国の立場を国際社会に訴える。

アルゼンチンのミレイ大統領は水曜日に国連で演説し、マルビナス諸島(フォークランド諸島)の主権問題を強調する。同大統領は火曜日にルビオ国務長官と会談し、英国との領有権紛争に対する米国の仲介の可能性を探る。トランプ大統領はマルビナス問題で米国の歴史的な中立姿勢を変える可能性に言及しており、アルゼンチン政府は期待を寄せる。また、ミレイ大統領は木曜日にイスラエルのネタニヤフ首相と会談する予定で、マルビナス問題に関連する石油開発企業の母国であるイスラエルとの関係も議題となる。

ベネズエラのデルシー・ロドリゲス大統領代行は月曜日にニューヨークに到着し、火曜日にトランプ大統領と会談する。両首脳の会談は、マドゥロ政権崩壊後の新たな関係構築を象徴する。ロドリゲス氏は「ベネズエラは国連で自らの声を届け、原則を守るために存在する」と述べた。一方、イスラエルのネタニヤフ首相は木曜日に総会で演説する予定で、ガザ紛争が主要議題となる。トルコのエルドアン大統領は火曜日に英国のバーナム首相と初会談する。

国連総会では、イラン戦争の行方と中東情勢が国際社会の関心を集める。米国とイランの直接対話の可能性が注目される一方、イラン外務省は米国との会談予定を否定している。ガザ紛争では、パレスチナのアッバス大統領が米国の入国禁止措置によりビデオ参加となる。また、スーダン戦争や気候変動なども議題に上る。

今週の国連総会は、イラン戦争をめぐる米国とイランの対立が国際社会の分断を浮き彫りにする場となる。トランプ大統領とペゼシュキアン大統領の演説は、双方の立場を明確に示すものとなる。中東情勢の緊迫化が世界経済に与える影響も注視される。

EU、ロシア新興財閥2人の制裁解除で合意へ 対ロ制裁3000件を36カ月延長

EU加盟国は、ロシアの新興財閥アリシェル・ウスマノフとミハイル・フリードマンの2人を制裁リストから外す代わりに、約3000人に及ぶ対ロシア制裁を36カ月間延長する新たな合意に向けて動いている。外交官3人の話によれば、この取引は欧州連合の制裁枠組みの更新を巡るもので、フランスがウスマノフの解除を要求して手続きを阻止した後、月曜日にブリュッセルで行われた大使会合で交渉が進められた。

フランスは「国家安全保障上の懸念」を理由に挙げ、以前からウスマノフの解除を働きかけてきたスロバキアと連携した。ルクセンブルクはウクライナ生まれのロシア・イスラエル系実業家フリードマンの解除を長年求めており、同氏は凍結資産の解放を求めてルクセンブルクを提訴している。フランスはその動機を公的にも私的にも説明しておらず、外交官らは「特定の国家安全保障問題」に関連し、パリが「ウスマノフ氏に関してアプローチしてきた国際的パートナーに好意的に応じたい」と考えているとだけ述べた。

この合意が成立すれば、制裁は今夜午後8時の期限までに書面手続きで承認される見通しだ。一方、ウクライナの制裁特使ウラディスラウ・ヴラシウクは「ロシアの戦争が続く中で、誰が制裁解除を真剣に議論できるのか」と不満を表明した。ウスマノフはロシアの戦争努力を支持したことを一貫して否定し、フリードマンは資産差し押さえが違法だと主張している。制裁解除により、両氏はEU内での資金移動や欧州企業との取引、渡航が可能になる。この動きは制裁体制をより広範に弱体化させるという懸念を一部加盟国に残しつつも、EUは制裁の枠組み全体を維持するために妥協に傾いている。

世界各地の裁判所で相次ぐ重要判決、アルゼンチン国会騒乱事件からAI肖像権まで

世界各地の裁判所で今週、重要な判決と法的手続きが相次いだ。アルゼンチンでは連邦刑事破毀院のグスタボ・オルノス判事が、2024年6月12日に国会前で発生した騒乱事件で起訴されたブライアン・エセキエル・オルティス被告の弁護側による連邦最高裁への上告を退け、公判へ進む道を開いた。オルティス被告は公共の場での威嚇と公務執行妨害の罪に問われており、この判決は同事件で起訴された他の8人の被告にも先例となる。

バングラデシュでは高等裁判所が、アワミ連盟のシーク・ハシナ前首相の帰国を支援したとされる22の公立大学の400人以上の教員に対する事実調査・調査委員会の解散を求める規則を発出した。委員会の設置根拠となった報道が未検証であると主張する4人の最高裁弁護士による請願を受けた措置だ。一方フランスでは、マルセイユ行政裁判所のジャン=マリー・アルグー判事が、送電網運営会社RTEとカマルグの農民7人の間で調停を命じた。農民らは送電線の保守作業のため畑への立ち入りを拒否され、RTEが提訴していた。農民側の弁護士は「RTEは強制を求めて法廷に入り、調停を受け入れて出てきた。農民にとって大きな勝利だ」と評価した。

ナイジェリアではアブジャ連邦高等裁判所が、ベヌエ州知事選への出馬を目指すマイケル・アオンドアカー元連邦検事総長の資格を巡る訴訟で、被告への送達を認める命令を出した。原告側は、2022年の最高裁判決がアオンドアカー氏の公職就任を禁じていると主張している。インドでは俳優のマノージュ・バージペーイーが、自身の肖像権をAIの誤用から守るようデリー高等裁判所に訴えを起こした。同氏は自身の写真がスーツ会社の広告に無断使用され、AIが声や人格の一部を模倣していると主張している。

マレーシアでは、1MDBが英国の法律事務所ホワイト&ケースに対する訴訟でクアラルンプール高等裁判所に管轄権がないとした控訴審判決を不服として、連邦裁判所に上告許可を申請した。連邦裁判所は10月12日に審理する予定だ。また、元青年スポーツ省財務部門事務局長オトマン・アルサード被告の控訴審では、弁護側が第一審の判事が証拠を十分に評価しなかったとして、公正な裁判が受けられなかったと主張した。南アフリカではフリーステイト高等裁判所が、送電線に触れて感電した少年の損害賠償責任を巡り、エスコムの過失を認定した原審判決を覆し、エスコムに賠償を命じた。これらの判決は、各国の司法制度における重要な先例となり、今後の法的手続きに影響を与えるものだ。

米政権の報道規制に司法が対抗、下院は選挙まで休会へ

ホワイトハウスが特定メディアの取材を門前で遮り、トランプ大統領が計画中の凱旋門を「軍事複合施設」に変更するなど、政権と報道機関の対立が先鋭化した。CNN、MS NOW、Politicoの3社は月曜日、連邦地方裁判所に訴訟を提起し、この禁止措置が憲法修正第1条とデュープロセスの保証に反すると主張した。一方、下院はジョンソン議長の判断で11月3日の選挙まで休会となり、政権への不満が有権者の間に広がっている。

シークレットサービスは土曜朝、CNN、MS NOW、Politicoの記者からパスを没収した。月曜にはホワイトハウスが共有テレビプールでのCNNの担当を外し、他局が交代を拒否したため、プール取材は中断した。3社は緊急の仮差し止め命令を求め、聴聞会は今週にも開かれる可能性がある。訴訟の被告にはトランプ氏、首席補佐官のスージー・ワイルズ氏、広報部長のスティーブン・チュン氏、シークレットサービス長官のショーン・カラン氏が含まれる。

トランプ氏は自身のSNSで「フェイクニュースへの攻撃」だと反論した。国連大使のマイク・ウォルツ氏は1965年の最高裁判決を引用し、大統領には記者を政府施設に限定する権利があると述べた。一方、政権内部でも事前に知らされていなかった職員が多かったことが明らかになった。

競合他社は結束し、ABC、CBS、Fox News、NBCはCNNのプール担当を引き受けなかった。5社は共同で「いかなる政権も、報道内容に異議があるからといって報道機関を制限すべきではない」と声明を出した。ワシントン・ポストは「黙殺を目的とした明確な威嚇だ」と論評し、ホワイトハウス記者協会も憲法修正第1条違反だと非難した。

同じ週末、トランプ氏は計画中のアーチを「国家の安全保障上の理由」から「最高級の軍事複合施設/凱旋門」に変更すると発表した。リンカーン記念館の2倍の高さとなり、ドローンと狙撃兵を配置するとされる。下院は9月16日の採決を最後に休会し、ジョンソン議長は「下院はその任務を果たした」と述べたが、共和党内からは不満の声も上がった。

NBCニュースの世論調査では、トランプ氏の支持率は41%と二期目で最低を記録した。政権の強硬姿勢が有権者の支持を失わせる一方、司法と報道機関が対抗手段を講じる構図が鮮明となった。この対立は11月の選挙戦に直結する重要な争点となるだろう。

パキスタン、アフガニスタン国境で空爆 28人死亡と主張、タリバン側は民間人3人死亡と反論

パキスタン政府は9月21日、アフガニスタンとの国境地域にある3つの標的への空爆で、少なくとも28人の「テロリスト」と自爆テロ犯を殺害したと発表した。パキスタン情報省は、自爆テロ犯の訓練施設を含む3つの標的を「正確に」破壊し、多数の武器・弾薬も破壊したと主張した。

一方、アフガニスタンのタリバン政権は、パキスタン軍がクナル州とパクティカ州の民間人を攻撃し、少なくとも3人が死亡したと反論した。国連アフガニスタン支援ミッション(UNAMA)は、男性・女性・少女の3人の民間人死亡を確認した。タリバン政権のザビフラ・ムジャヒド報道官は「この侵略に適切に応じる」と述べた。

今回の空爆は、約3カ月続いた比較的平穏な期間を破るものとなった。先週金曜日には、パキスタン北西部コハット地区の警察施設がイスラム過激派に襲撃され、少なくとも24人が死亡していた。パキスタンは、アフガニスタンが国境を越えて攻撃を行う過激派をかくまっていると非難している。アフガニスタンのタリバン政権はこれを否定し、過激派問題はパキスタン内部の問題だと主張している。

タリバン政権のハムドゥラ・フィトラット副報道官はX(旧ツイッター)で、クナル州ヌルガル地区で午前3時ごろに住宅1軒が「完全に破壊」され、家族3人が死亡、4人が負傷したと述べた。パクティカ州では2カ所が爆撃され、店舗と空き家が破壊されたが、死傷者は出なかったという。

パキスタンとアフガニスタンの関係は長年緊張が続いている。今年2月には「全面戦争」を宣言し、上半期に空爆や無人機攻撃、砲撃で数百人が死亡した。3月にはカブールへの空爆で400人以上が死亡し、アフガニスタン側は薬物依存症治療施設が標的になったと非難、パキスタン側は「軍事施設とテロ支援インフラを正確に攻撃した」と反論した。

今回の空爆の背景には、パキスタン国内で拡大する複数の反政府勢力の存在がある。コハットの襲撃は、タリバン系組織「シュラ・イッテハドゥル・ムジャヒディン」が犯行声明を出した。同組織は、かつてアルカイダやアラブ系戦闘員をかくまった軍閥ハフィズ・グル・バハドゥルが率いている。アナリストのアブドゥル・バシット氏は、バハドゥル派が「アルカイダが設計者、グル・バハドゥルが顔である、さまざまな過激派グループの傘下組織」になったと指摘した。

パキスタンは、国境を越えた報復攻撃を繰り返しており、昨年末以降、タリバン系組織TTPとバハドゥル派の拠点の両方を空爆してきた。今回の空爆は、パキスタンの対テロ作戦の新たな段階を示すもので、アフガニスタン側の反応次第では、両国関係のさらなる悪化につながる可能性がある。

ベルリン市長選で極左政党が勝利、エラルプ氏が市長就任へ 住宅危機対策と反ユダヤ主義問題が焦点

ドイツの首都ベルリンで行われた州議会選挙で、極左政党「左翼党(Die Linke)」が歴史的な勝利を収めた。党の筆頭候補エリフ・エラルプ氏(45)は、メルツ首相率いる保守政党を市長の座から追い落とし、同党初のベルリン市長就任が確実な情勢となった。エラルプ氏は月曜日、住宅価格の高騰への対策を約束し、「ベルリンは政策の変更を明確に支持した。収入や背景に関係なく、誰もが尊厳を持って暮らせる手頃なベルリンを実現し、ついに家賃危機に一貫して取り組む時だ」と述べた。

同党は選挙戦で、企業家主催の20万戸超の住宅を収用する公約を掲げ、旧東ドイツ共産党にルーツを持つ同党は、東部の従来の地盤に加え、市中心部や西部でも支持を拡大した。エラルプ氏は「あの公約を今も支持する」と述べ、ドイツ住宅大手ドイチェ・ヴォーネンやヴォノヴィアなどの影響力を減らす意向を示した。一方、ヴォノヴィアのルカ・ムチッチ最高経営責任者は「社会化は新しい住宅を生み出さない」と指摘し、メルツ首相は収用が実施されれば「海外投資に壊滅的な影響を与える」と述べ、収用を防ぐ迅速な立法を期待すると語った。

エラルプ氏はニューヨーク市長ゾーラン・マムダニ氏と比較される存在だ。トルコ系左翼の両親のもとミュンヘンで生まれ、1980年の軍事クーデター後にドイツへ亡命した家庭で育った。マムダニ氏と同様、個人活動とソーシャルメディアに重点を置いた選挙戦を展開し、若者やこれまで投票しなかった数千人のベルリン市民の支持を集めた。彼女は「女性として男性と自分を比較するのは気が進まないが、マムダニ氏の成功は私たちにとって大きな手本だった」と語った。

今後の焦点は連立政権の樹立だ。中道左派の社会民主党(SPD)と環境政党の緑の党は、政権協議に応じる用意があると表明したが、両党はベルリン党の一部支部に長年向けられてきた反ユダヤ主義の指摘への対処をエラルプ氏に要求している。この問題は、2023年10月7日のハマスによるイスラエル攻撃以降、ドイツで反ユダヤ主義的な出来事が急増していることから、極めて敏感な問題となっている。メルツ首相は反ユダヤ主義の高まりを「ドイツの恥」と呼び、欧州のパートナーに懸念を抱かせたベルリンの出来事に対処することを約束した。エラルプ氏は、ベルリンのユダヤ人がイスラム教徒や他のすべてのグループとともに「安全に感じ、ここで良い生活を送れる」ようにすることが「絶対的な優先事項」だと述べ、「暴力とテロの称賛は完全に容認できない」と記者会見で語った。

また、エラルプ氏はベルリンのオリンピック招致にも否定的な立場を示した。既に600万ユーロが招致活動に費やされたことについて「税金の無駄遣いだ」と述べ、「ベルリンにとって利点は見当たらない」と語った。彼女は「我々の都市で最大の危機は家賃危機だ。今こそ一貫して取り組む必要がある」と強調した。ドイツオリンピックスポーツ連盟(DOSB)は今週土曜日にバーデン=バーデンで会合を開き、ドイツ代表を決定する投票を行うが、ベルリンはライバルのミュンヘンとケルン/ルール地方に比べ劣勢と見られている。

この選挙結果は、ドイツ国内のみならず国際的にも反響を呼んでいる。スペインでは、左翼勢力がエラルプ氏の勝利を住宅政策の成功例として受け止め、2027年の選挙に向けた道しるべとしている。フランスの左翼政党「不服従のフランス」のジャン=リュック・メランション氏は、エラルプ氏が「断絶のプログラム」で「ファシズムの台頭」に対抗できることを示したと称賛した。エラルプ氏の勝利は、ドイツ政治における既成政党への不満が、急進左派と急進右派の両方の挑戦者政党に向けられているという幅広い傾向を示すものだ。

イスラエル軍、レバノン南部で大規模攻勢 シリア南部では拘束続く ガザと西岸でも犠牲者

イスラエル軍は月曜日、レバノン南部のタイヤ、ナバティーエ、ビント・ジュベイル、マルジュヨウン各県にわたり、大規模な砲撃と低空飛行の空爆、破壊的な地上侵攻を仕掛けた。米国後援の「枠組み合意」がワシントンで署名されたにもかかわらず、イスラエル軍は自らが宣言した「イエローライン」緩衝地帯の後方に違法な駐留を続けており、停戦違反は数千件に上るとされる。

砲撃はザウタル・アル=シャルキーヤやマイス・アル=ジャバルなど複数の町を襲い、住宅に延焼をもたらした。戦車3両がデイル・ミマスに進軍し、住民の家屋を捜索、電柱を破壊して通信を遮断した。週末にはタイヤ郊外で白リン弾が使用され、オリーブ畑や柑橘園に大規模な火災が発生した。デバールでは不発弾で幼い子どもが重傷を負い、前日には救急隊員を狙った意図的な空爆もあった。

シリアでは、アサド政権崩壊後の軍再建過程で武器弾薬庫の爆発が相次いでいる。アレッポ南部アル=アイスでは月曜未明の爆発で少なくとも4人が負傷し、今月に入り少なくとも16件の同様の爆発が発生した。老朽化した倉庫の保管環境の悪さに加え、イスラエルの空爆から兵器を守るための不適切な保管が原因との指摘がある一方、サボタージュの可能性も排除されていない。

ガザでは、イスラエル軍の発砲により子どもを含む3人が死亡した。南部アル=マワシの「安全地帯」でパレスチナ人の子どもイスマイル・アル=バルダウィルが殺害され、北部ジャバリアと中部デイル・エル=バラでもそれぞれ1人が死亡した。停戦合意後もイスラエル軍の撤退は行われず、攻撃は継続しており、保健省は停戦発効以降の死者を1,394人、戦争全体の死者を73,914人と発表した。

ヨルダン川西岸では、占領下のビドゥ町への大規模な急襲で少なくとも53人のパレスチナ人が拘束された。日曜日にハラミシュ入植地近くでイスラエル人入植者を射殺した容疑で町の男性が逮捕された後、3度目の侵攻となった。ビドゥ町長ナズミ・マンスールは、複数の家屋が拘置所と化し、数十人の若者が尋問されていると述べた。入植者による暴力は今年に入り急増し、国連は1月から7月末までに1,330件以上の攻撃を記録している。

シリア南部では、アサド政権崩壊以降、イスラエル軍による200人以上の拘束が発生した。住民は明快な理由説明のないまま男性が連行されたと証言し、元被拘束者らは長期の尋問や暴力、拷問を訴える。国連の独立調査委員会は、国際法の順守に関する懸念を表明している。これらの一連の動きは、10月27日のイスラエル総選挙を前に、パレスチナ人への締め付けが激化していることを示しており、地域の緊張は今後も続く見通しだ。

フーシ派の攻勢で紅海沿岸から12万人超が避難、サウジと米国の対応に溝

イエメンの紅海沿岸でフーシ派とサウジアラビア支援派の戦闘が激化し、ジブチへ逃れる避難民が急増している。国連の推計では、紅海沿岸での戦闘激化により12万人以上のイエメン人が避難を余儀なくされた。漁師だったイブラヒム・イッサ氏は家族を連れてジブチに渡り、ヤギまで連れてきた。マルカジ収容所では、100歳になる元漁師のカシム・アブラハム・アブシー氏が「飛行機の音、ドーンという音が子供のために逃げさせた」と語った。

フーシ派はバブ・エル・マンデブ海峡へ向けて電撃的に進軍し、紅海の要衝モカ港を制圧した。サウジアラビアは数百回の空爆で応戦し、フーシ派もサウジ南西部の都市やインフラにミサイルや無人機を発射する。サウジのリヤド国際空港近くの燃料貯蔵所には弾道ミサイルが直撃し、ジッダやタイフ、ヤンブーでも空襲警報が鳴り響いた。サウジ主導連合はイエメンのタイズ県ハイファン地区を空爆した。

米国のトランプ大統領は、サウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子からの支援要請に対し、新たな戦線を開くことを避けた。米国はフーシ派と2025年の停戦合意を確認する取引をマスカットで結び、紅海の航行を確保する代わりにサウジとの戦争を続けることを認めた。サウジには5億ドルの兵器パッケージが承認されたが、トルコやパキスタンといった新たな防衛同盟の支援は得られていない。英国のアンディ・バーナム首相は軍事顧問を派遣することを決めた。

この戦闘はサウジの国際イベントにも影響を与えている。レッドシー国際映画祭は12月に予定されていた第6回開催を2027年第4四半期に延期した。イランとの戦争やフーシ派との紛争が王国の主要イベントを混乱させているためだ。フォーミュラワンのサウジアラビアGPも4月に予定されていたが中止された。映画祭は「新たなビジョン」で2027年に復帰すると発表した。

マレーシアはフーシ派のサウジ攻撃を強く非難し、即時の停戦を支持すると表明した。また、アルアクサ・モスクへのイスラエル人の侵入を「極端な挑発」だとして非難し、国際社会に断固たる行動を求めた。フーシ派の指導者らは共同声明で「サウジの経済を破壊する」と警告し、エネルギー施設への攻撃を示唆した。紅海とホルムズ海峡の閉鎖懸念で原油価格とディーゼル価格が上昇している。

独東部2州で州議会選挙、AfDがメクレンブルク=フォアポンメルンで第1党、左翼党がベルリンで勝利

9月20日に行われたドイツ東部2州の州議会選挙で、反移民政党「ドイツのための選択肢(AfD)」がメクレンブルク=フォアポンメルン州で得票率38.2%を獲得し第1党となった。一方、首都ベルリンでは左翼党(Die Linke)が25.7%で第1党となった。この結果、フリードリヒ・メルツ首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)はメクレンブルク=フォアポンメルン州で得票率4.9%にとどまり、州議会の議席を失った。ドイツの放送局によると、CDUが州議会選挙で5%の阻止条項を下回ったのは史上初めてだという。

メクレンブルク=フォアポンメルン州では、AfDが2021年選挙から21.5ポイント増の38.2%を獲得。州首相マヌエラ・シュヴェーズィヒ率いる社会民主党(SPD)は35.5%で第2党となった。左翼党は6.5%、緑の党は5.7%で議席を維持したが、CDU(4.9%)とザーラ・ヴァーゲンクネヒト同盟(BSW、4.8%)は5%の壁を下回り議席を失った。暫定結果では、全71議席中AfDが32議席、SPDが29議席、左翼党と緑の党が各5議席を獲得。過半数には36議席が必要となる。

ベルリンでは、左翼党が2023年選挙の12.2%から倍増以上の25.7%を獲得。CDUは28.2%から18.8%に後退し、カイ・ヴェグナー市長率いるCDU・SPD連立政権は過半数を失った。AfDは9.1%から16.3%に上昇。緑の党は14.3%、SPDは12.1%で、SPDはベルリンでの過去最低の結果となった。左翼党の筆頭候補エリフ・エラルプ氏は貧困とAfDへの対抗を掲げて選挙戦を戦った。

両州の政権樹立をめぐっては、AfDを除く連立が焦点となる。メクレンブルク=フォアポンメルン州では、SPD・左翼党・緑の党の3党で39議席となり、AfDを除く過半数を確保できる。シュヴェーズィヒ州首相はこの連立を目指すと表明した。AfDは32議席で最大会派となるが、連立相手がいないため野党に回る見通しだ。ベルリンでは、左翼党・緑の党・SPDの連立が過半数を握る可能性がある。CDUは2018年の党大会決議で左翼党およびAfDとの連立を否定しており、選択肢が限られている。

今回の選挙結果は、メルツ首相にとって大きな打撃となった。9月の世論調査ではCDU/CSUが18%、AfDが29%となっており、政権与党への不満が顕著だ。メルツ首相は続投を表明しているが、党内からは退陣を求める声も出ている。また、東部ドイツでは2023年の調査で43%の住民が「二級市民のように感じる」と回答しており、東西格差への不満がAfDと左翼党の支持拡大につながっている。国際メディアもこの結果をドイツ政治の不安定化として報じており、今後の連立政権の行方とメルツ首相の指導力が問われている。

経済 (Economy)

グーグルに4億300万ユーロの制裁金、EUの位置情報処理でアイルランド当局が命令

アイルランドのデータ保護委員会(DPC)は月曜日、グーグルが利用者の位置情報を不適切に使用したとして、4億300万ユーロ(約4億6300万ドル)の制裁金を科したと発表した。制裁は欧州連合(EU)の一般データ保護規則(GDPR)に基づくもので、同委員会が2020年2月に調査を開始して以来の最終決定となる。

DPCのグレアム・ドイル副長官は、グーグルの失敗により「個人が自分の位置情報が広告に影響を与えたり、興味を推測するために使われていることに気づかない可能性があった」と述べた。また、必要以上に長く位置データを保持したことが「この管理喪失を悪化させた」と付け加えた。規制当局は制裁金に加えて、6ヶ月以内に処理を適合させるよう命じた。

グーグルは「この訴訟はその後更新された過去の方針を中心にしている」と述べ、「2019年以降、我々は慣行を大きく進化させ、位置データの管理を簡単にする強力なツールを導入した」と声明で付け加えた。この制裁は、アイルランドの規制当局がグーグルに科した制裁としては過去4番目に高いものであり、同社に対する主要な制裁としては初めてとなる。

一方、EUは人工知能を支えるデータセンターの環境評価制度を発表した。2027年8月から適用される新規則では、大規模データセンターにエネルギー効率、水使用量、クリーン電力の導入状況をAからGのスケールで表示するラベルを義務付ける。欧州委員会のダン・ヨルゲンセンエネルギー委員は、この制度が「透明性を大きく高め、データセンターが可能な限り持続可能になるよう動機付けを提供する」と述べた。

さらにカリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は、急成長するデータセンター産業を規制する7つの法案に署名した。法案は電力使用量、水消費量、土地利用、労働力需要に関する情報開示を義務付け、新規発電や送電網の更新コストが他の料金支払者に転嫁されるのを防ぐことを目的としている。

米国ではデータセンター建設への反対が高まっており、調査会社データセンター・ウォッチによると、4月から6月までに総額680億ドル相当の約45件のプロジェクトが地元の反対で頓挫または遅延した。世論調査では約3分の2のアメリカ人が地域内の新規データセンター建設に反対している。

AMD、AI需要で時価総額1兆ドル到達 世界の半導体大手で4社目

米半導体大手アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の時価総額が21日、初めて1兆ドルを突破した。人工知能(AI)コンピューティングにおける同社の役割拡大を投資家が好感した結果だ。株価は一時9.6%上昇し、過去最高値となる613.92ドルを記録。評価額は1兆ドルをわずかに超えた。

カリフォルニア州サンタクララに拠点を置くAMDは、AI分野の旗手であるエヌビディアに最も近いライバルとみなされる。今回の節目で、AMDはエヌビディア、ブロードコム、マイクロンに続き、時価総額1兆ドルを突破した4番目の米半導体企業となった。エヌビディアは2023年にこの節目を越え、現在は世界で最も価値のある企業として5兆ドル超の評価額を有する。

AMDはAI製品の投入を加速させ、個別チップの販売から、プロセッサー、ネットワーク機器、関連ハードウェアを組み合わせたシステム全体の提供へと事業を拡大している。これによりエヌビディア製品との競争力を高めた。また、推論処理を担うサーバーでGPUと併用されるCPUへの需要増加も追い風となり、インテルから市場シェアを奪う結果となった。

先月初め、AMDは四半期売上高がウォール街の予想を上回るとの見通しを示したが、投資家の高い期待には届かず、株価はその日に7%超下落した。その後は26%超上昇している。同日の半導体株は軒並み上昇し、インテルは約11%、クアルコムは4.1%上昇。半導体株全体の指数も2.6%高となり、1か月ぶりの高値を付けた。

AMDはOpenAIおよびAnthropicとの事業提携を発表しており、第2四半期の売上高は前年同期比50%増の115億ドルに達した。データセンター売上高が2倍以上に伸びたことが寄与した。同社は2026年下半期のデータセンター売上高の加速を見込む。一方で、AMDの評価額は依然としてAI分野の先導役であるエヌビディアに大きく水をあけられている。

燃料価格の高騰が世界の家計と農家を直撃、各国で補助と抗議が交錯

中東紛争の激化とホルムズ海峡の輸送混乱を背景に、世界の燃料価格が高騰を続けている。バングラデシュ政府は9月21日、1リットル当たり20タカの一律値上げを実施し、ディーゼルは135タカ、灯油は155タカ、ガソリンは160タカ、オクタンは165タカと過去最高値を更新した。1月と比較した上昇率は最大で約36%に達し、半年足らずで累計35タカの値上げとなる。政府は中東情勢と国際原油価格の高騰を理由に挙げ、国営バングラデシュ石油公社の赤字解消と外貨準備の維持を図るが、専門家は運輸・農業・工業への波及を通じた二次インフレを警戒する。

バングラデシュではディーゼルが石油消費の約3分の2を占め、運賃や灌漑費、工場の自家発電コストを押し上げる。国連食糧農業機関(FAO)は9月から12月にかけて約1810万人が急性食料不安(IPCフェーズ3以上)に直面すると予測し、燃料高による購買力低下を主因に挙げた。一方、フランスでは軽油価格が平均2.41ユーロと記録を更新し、マクロン大統領とルコルヌ首相が追加支援策を協議する。米国ではディーゼル全国平均が6.51ドルに達し、アイオワ州選出のグラスリー上院議員が輸出禁輸を大統領に要求、農家の不満が中間選挙に向けた政治課題となっている。

パキスタンではガソリンを4.61ルピー値上げし軽油を1.96ルピー値下げる一方、市場閉店時間の繰り上げや公用車燃料配分の半減など緊縮策を導入した。イスラマバードではイスラム政党ジャマート・イスラミが燃料税廃止を求める行進を開始した。スペインではCOP31議長国のトルコが2035年までに最終エネルギー消費の35%を電力化する目標を提案し、化石燃料依存からの脱却が気候変動と物価高への共通解として浮上している。

ドイツ経済の岐路:起業ブーム、自動車危機、芸術家の所得格差と政治の混迷

ドイツ経済は今、深い構造的危機と新たな活力が交錯する局面にある。景気後退と失業増加が続く一方、起業家数は前年比で約18%増の69万人超に達した。解雇を機に高齢者向けシェアハウス事業を立ち上げたハンナ・クラマー氏や、広告業界の疲弊からサプリメント事業とSNS発信に転じたクリスティーナ・ロペス氏らが象徴するように、危機は人々を「自分が本当にやりたいこと」へと駆り立てている。一方、自動車産業ではフォルクスワーゲンが10万人削減、BMWが8000人削減を計画し、労働コスト削減を巡って週35時間労働制の維持を巡る労使対決が激化している。IGメタルは9月21日に全国200カ所以上でデモを実施した。さらに、文化芸術分野では所得格差が顕著だ。州立劇場やオーケストラに雇用される芸術家は高い所得を得ている一方、フリーランスの芸術家の平均年収は2万1300ユーロにとどまり、規制強化とインフレに苦しんでいる。

こうした国内の混迷は政治にも反映されている。CDUのフリードリヒ・メルツ首相率いる連立政権は州議会選挙で敗北し、ドイツの民主主義は「危機の瞬間」を迎えたと分析される。東ドイツ地域では伝統政党への帰属意識が弱く、極右AfDが台頭している。国際的には、エネルギー危機が西側経済を直撃し、自動車・化学・金属・肥料産業が最も脆弱な部門になるとの指摘がある。BRICS諸国は石油アクセスを武器に工業生産を拡大し、世界の産業リーダーシップの移行を加速させている。南アフリカではラマポーザ大統領がBRICSサミットで資源の現地加工と製造業強化を訴え、同時に11月の地方選挙とエルニーニョ現象による複合気候危機への対応が新たな議員に求められている。中東ではサウジアラビアがイエメン、イランとの紛争で石油インフラを包囲され、経済は第2四半期に4.8%縮小した。

ドイツの自動車産業の競争力回復には、労働時間延長だけでなく、電気自動車の魅力向上、ソフトウェア・AI投資、エネルギー・税制・インフラの競争条件整備が不可欠だと専門家は指摘する。エネルギー危機は西側の産業衰退を加速させ、BRICSへの工業力移行を促す可能性が高い。南アフリカでは気候変動への対応能力が政治リーダーの必須資格となりつつあり、サウジアラビアは戦略的ショックの中にある。これらの動きは、2026年後半から2027年にかけて世界経済と地政学が大きく再編されることを示唆している。

タンザニアの外国人税制2026——滞在日数が左右する居住者判定と源泉徴収の実務

タンザニアの外国人向け税制は、居住者か非居住者かという一点で全てが決まる。居住者は全世界所得に0%から30%の累進税率が適用され、非居住者の給与所得には15%の一律税率が課される。就労許可証は税務上の居住者判定を決めないため、給与計算や申告義務をめぐる混乱が新規入国者に頻発している。ザンジバルは独自の歳入庁を運営しており、島内の所得は本土とは異なる規則に従う場合がある。

居住者判定は所得税法が定める滞在日数基準に基づく。タンザニアに恒久的住居を保持し、その年に訪問した者は居住者となる。恒久的住居がない場合、その年に183日以上滞在すれば居住者となる。さらに、当該年と過去2年間の平均で年間122日以上滞在する者も居住者に該当する。就労許可証や居住許可証はこの判定を代替しない。過去2年以内の通算滞在が2年以下の者は短期居住者とされ、全世界所得ではなくタンザニア源泉所得のみが課税対象となる。

居住者は毎月の給与から累進税率で源泉徴収される。月額27万シリング(約102ドル)までは非課税で、52万シリング(約197ドル)までの部分に8%、76万シリング(約287ドル)までに20%、100万シリング(約378ドル)までに25%、それを超える部分に30%が適用される。年換算の非課税枠は324万シリング(約1,225ドル)で、この水準は低いため僅かな給与でもすぐに8%の税率に達する。非居住者の給与所得には15%の一律税率が適用され、これは最終税として扱われる。そのため、同じ給与でも非居住者の方が居住者より税負担が軽くなる場合がある。

給与税以外にも負担がある。従業員10人以上の雇用主は総現金給与の3.5%の技能開発税を支払う。労働者補償基金には現金給与の0.5%が追加され、毎月納付と申告が必要となる。社会保障では国家社会保障基金への拠出が報酬の20%に達し、雇用主はその半分を労働者から回収できる。短期派遣の外国人従業員に加入義務があるかは明確に公表されておらず、派遣開始前に基金へ確認する必要がある。

タンザニア歳入庁は所得税を管轄し、外国人は納税者番号の取得が義務付けられる。源泉徴収は歳入庁の国内収入システムを通じてオンラインで申告・納付され、延滞利息はタンザニア銀行の割引率で複利計算される。付加価値税は本土で18%、電子決済による特定の消費者購入には16%の軽減税率が適用される。登録義務は本土で年間課税売上高2億シリング(約75,600ドル)、ザンジバルでは1億シリング(約37,800ドル)を超える場合に発生する。

土地と建物の賃貸料には居住者・非居住者を問わず10%の源泉徴収が適用され、居住者の個人にとっては最終税となる。配当と利子は一般に10%で源泉徴収され、サービス料は居住者5%、非居住者15%で源泉徴収される。非居住者が電子サービスを提供する場合は、付加価値税を除く売上高の3%を納付する。

本土の土地は全て国家が所有し、33年、66年、99年のリースが付与される。外国人は直接の占有権を保持できず、タンザニア投資・特別経済区庁を通じて投資目的で承認された派生的権利を保持する。この派生的権利は承認を得て譲渡・抵当設定が可能である。売却時、取得原価の記録がない居住者は、売却代金と承認資産価値のいずれか高い方の3%を納付する。私的住居は譲渡益が1,500万シリング(約5,670ドル)以下の場合に免税となる。分割払いは譲渡から30日以内に納付する。

ザンジバルは税制の一部を独自に運営している。島内の所得は本土とは異なる規則に従う可能性があり、外国人にとっては税務上の判断を複雑にする要因となっている。タンザニアの税制は、滞在日数と所得源泉という事実関係に基づいて課税範囲が決定される。就労許可証の有無や雇用主の登録状況は個人の納税義務をカバーしないため、外国人は最初の課税活動の前に登録を完了し、滞在記録を正確に保持することが求められる。

社会 (Society)

ガザの児童、約3年ぶりに対面授業再開 テントや仮設校舎で新学期始まる

ガザでは土曜日、数十万人の児童が約3年ぶりに対面授業に復帰した。校舎は損壊した建物やテント、仮設施設で、多くの家庭では制服やノート、ペンを買う余裕がない状態だ。ユニセフ(UNICEF)によると、戦争でガザの学校の98%が破壊または損傷した。ガザの教育当局は約66万人の生徒が対面学習と定期的な教育参加を奪われたとしている。

東ハンユニスの教育責任者イブラヒム・ラマダン氏によると、この紛争で約2万2000人の生徒と、532人の教師を含む770人以上の教育関係者が死亡した。ハンユニスの生徒モアイド・アブ・ムスタファ君は「最後に学校に行ったのは3年前だ。今、新学期が始まる。喜びと幸福と成功の年だ」と語った。彼は換気のないテントの床に座り、まともな靴もノートもペンもなく、戦争で友人を失ったが、「これらすべてにもかかわらず、私たちは学ぶ。テントの中でも学ぶ」と決意を示した。

15歳の避難生徒サマル・アブ・サルミさんは家族とテントで暮らしながら授業に戻る。「私たちは電話で勉強し、先生に会えなかった。今、夢を追いかけて戻ってきた。一つのテントから別のテントへ」と語った。彼女も必需品の多くを欠き、家族には手が届かない。「戦争前はノート、ペン、商品、服、遠出などすべてが手頃だった」と話す。

教育省は国際機関や地元組織の支援を受け、2026-27年度に向けてテントや防水シート、金属板、木材で作られた数十の仮設学校を設置した。ある学校は砂地に建ち、教室にはマットレスと黒板があるだけの所もあり、避難家族がまだ住み続けている所もある。14歳のヤメン・アブ・サムラ君は「以前は学校に行くのが幸せで目が覚めた。今は学校に来ると、流れ弾やロケット弾、空爆が怖い」と話した。

教育当局によると、今年はユニセフの支援を受け、少なくとも54万人の生徒が仮設の私立学校、臨時学習センター、教育拠点で対面授業に参加する見込みだ。授業に出席できない生徒や戦争中にガザを離れた生徒にはオンライン学習が継続される。昨年の停戦で大規模な戦闘は止まったものの紛争は終結せず、イスラエル軍はガザの60%以上を支配し続けている。

パレスチナ当局によると、2023年10月にハマス主導の戦闘員がイスラエル南部で約1200人を殺害した後に始まったイスラエルの攻撃で、7万3000人以上が死亡した。文房具商人ハレド・アリヤン氏(30)は、イスラエルの輸入制限で供給が減り価格が高騰したと指摘した。「以前3シェケル(1ドル)だったノートが今は15シェケルする。文房具はすべて高い」と述べた。

米東海岸の主要空港で地上停止、光ファイバー切断で1000便超に影響——国連総会出席の首脳到着と重なる

米連邦航空局(FAA)は月曜日、ニューヨーク、フィラデルフィア、ボストンの東海岸主要空港で地上停止を発動した。原因はニュージャージー州の建設現場で光ファイバーケーブルが誤って切断されたことによる通信障害だ。ニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港とラガーディア空港、ニュージャージー州テターボロ空港に加え、フィラデルフィアとボストンの各空港で発着便に影響が出た。

FAA長官ブライアン・ベッドフォードは記者団に対し、バックアップ用の光ファイバー回線が建設作業員によって誤って切断され、大幅な運航削減を招いたと説明した。新しい回線はまもなく運用可能になると述べたが、ニューヨーク地区の地上停止がいつ解除されるかは明言しなかった。ニューアークとフィラデルフィアでは地上停止が継続した一方、ニューヨークとボストンでは運航が再開された。

この混乱は、国連総会の年次ハイレベル会合に出席するため130人の世界の首脳と数十人の閣僚がニューヨークに到着する日に発生した。航空追跡サイトのFlightAwareによると、ニューアークとフィラデルフィアの両空港で600便以上、全体の20パーセント超が遅延した。ニューアークはユナイテッド航空、フィラデルフィアはアメリカン航空のハブ空港だ。別の追跡サイトFlightradar24によると、ニューアークでは平均112分の遅延が発生し、複数の便が他の空港へ迂回を余儀なくされた。

影響はカナダにも及び、トロントのピアソン国際空港では12便未満が影響を受けた。モントリオールのトルドー国際空港とともに状況を監視し、米国発着便の乗客に航空会社へ直接問い合わせるよう促した。

今回の障害は、老朽化した米国の航空交通管制システムの脆さを浮き彫りにした。昨年、議会は老朽化した航空交通管制システムの改善と管制官の採用増強のため125億ドルを承認している。ニューアーク空港の航空交通を担う施設では2025年5月にも一連の重大な通信障害が発生しており、今回で再発となった。

南アの連続女性殺人事件、10人目の遺体発見と3人の逮捕で揺れるヨハネスブルク近郊

南アフリカのヨハネスブルク近郊で発生した連続女性殺人事件で、10人目の犠牲者が見つかった。日曜午後、ソウェトのダム付近で毛布に包まれた20代とみられる身元不明の女性の遺体が発見された。警察は捜査を開始し、この地域で7月以降に発見された9人の女性の遺体との関連を調べている。

警察は月曜日、9人目の犠牲者ジャブリレ・ンティンバさんの殺害に関連して3人を逮捕したと発表した。男性1人と女性2人が拘束され、月曜朝に法廷へ送られた。警察副長官テベロ・モシキリ氏は、ンティンバさんの殺害が「恋愛関係に起因する可能性、いわゆる三角関係を含む」と述べた。これによりケンプトンパークでの一連の殺人事件に関連して拘束された人数は計4人となった。

一連の事件では、犠牲者が部分的に裸にされ、シーツや毛布で包まれた状態で発見されるケースが多く、連続殺人鬼の可能性が指摘されている。南アフリカは世界でも有数の女性に対する暴力率の高い国であり、1日平均60件以上の殺人事件が発生している。シリル・ラマポーザ大統領は「犯人を必ず突き止める」と述べ、女性への暴力対策に「より多くの資金、資源、技術を投入する」と約束した。

一方、南アフリカでは別の連続レイプ容疑者2人も出廷予定で、46歳の男性はダーバンで16件、36歳の男性は2つの州で少なくとも14件のレイプ事件とDNAで関連付けられている。事件は国内に衝撃を与え、女性への暴力の規模に対する全国的な怒りを呼び起こしている。

南アのエクルレニで9週間に9人の女性が死亡、GBV対策への緊急性が問われる

南アフリカのエクルレニ地区で、7月15日から9月17日までの9週間で9人の女性の遺体が相次いで発見された。最初の犠牲者はケンプトンパークの野原で見つかり、その後も道路脇、川、ホテル裏手などで発見が続いた。警察はこれらが連続殺人かどうか断定しておらず、複数の専門チームを投入して捜査を続けている。

発見された9人のうち、公開されている身元はイトゥメレン・ケカナさん、エリザベス・“ツォンツォ”・モセラクゴモさん、ディネオ・エブリン・モタパネさん、グラシャス・ンコモさんの4人にとどまる。モタパネさんは絞殺、ドーンパークで見つかった最後の犠牲者は喉の負傷が致命傷とみられる。警察はR40万の報奨金を設定し、民主同盟(DA)は別途R50万の報奨金を提示したが、警察はDA側の条件が伝えられていないとしている。

この一連の事件を受け、社会開発省の24時間ジェンダー暴力コマンドセンター(GBVCC)への電話件数が急増した。9月1日から16日までに6,782件の電話を受け、1日平均424件となった。これは前月の平均350件から21%増加しており、特に9月13日から16日にかけては1日約500件、16日には589件とピークを記録した。

ラマポーザ大統領は、政府が女性保護の責任を負うと明言し、「より多くの資金、資源、テクノロジー」を投入して犯人を特定すると述べた。また、男性が女性を「遊び場」とみなすことをやめ、尊重すべきだと強調した。一方、1994年に拉致・暴行を受け生還したアリソン・ボタさんはビデオメッセージで「緊急感がどこにあるのか」と問いかけ、30年以上経ってもGBV危機が改善していないと指摘した。

この事件は、南アフリカにおける女性の安全をめぐる構造的な問題を浮き彫りにした。女性が一人で走る、歩く、働くこと自体が危険とみなされる現状に対し、社会の側が変わらなければならないという声が高まっている。警察は女性に注意を促しつつも、それが女性の生活を制限するものではないと強調している。

香港の名門校、卒業動画の広東語方針を撤回 保護者らの反発受け

香港の名門中等学校である徳望学校(Good Hope School)は、卒業動画における広東語の使用を制限するとの指摘を受けた指針を正式に撤回した。学校は月曜日の夜に声明を発表し、来年度の中学6年生(Form Six)卒業クラス向け動画に関する指針書を「全面的かつ正式に」撤回したと明らかにした。

学校は声明で「徳望学校は、預けられた子どもらの母語を制限することはこれまで一度もなかったし、今後もないことを明確に表明したい」と述べた。また「読み書きと三言語併用という深く根付いた文化に基づき、若い頭脳の育成に引き続き専心する」と強調した。

その上で「以前の文書が生徒、保護者、卒業生、そして広範なコミュニティに苦痛と不安、悲しみをもたらしたことを深い悔悟の念とともに認める。この失敗に対し、学校は全責任を負う」と謝罪した。

科学・技術 (Science & Tech)

月南極が新たな宇宙開発競争の焦点に、NASAは原子炉搭載の恒久基地を計画

新たな宇宙開発競争は月面着陸だけでなく月の植民地化を目指しており、その焦点は月の南極に集まっている。この地域には恒久的な影に覆われたクレーターが存在し、氷の水が保存されている可能性が高い。水は宇宙飛行士の生命維持に不可欠な資源である。

NASAの探査主任科学者ジェイコブ・ブリーチャー氏は、月南極では太陽が完全に昇ったり沈んだりせず地平線をかすめるため、探査に利用可能な資源が得られると説明した。水は人間の消費だけでなく、酸素の生成や燃料の製造にも利用でき、深宇宙への旅を継続するための基盤となる。

そのため米国航空宇宙局は将来の月面基地の建設地として南極を選定し、計画では一定の電力を供給する原子炉を備えるとされる。しかし、ブリーチャー氏は水の量や状態、他の物質との混合など、未解決の疑問が多く残ると指摘した。

NASAのアルテミス計画は2028年に2回の有人月面ミッションを予定しており、これらの疑問の解明に役立つと期待される。月南極は太陽光が長時間当たる領域と恒久的な影の領域に分かれ、影の領域はマイナス203度の天然の冷凍庫として水を数十億年にわたり保存してきた。

この氷は太陽系内部における水の起源を明らかにする可能性があり、月の研究は地球の気候やプレートテクトニクスが消し去った歴史の理解にもつながる。一方で、月の夜は地域によって約2週間続くため、宇宙飛行士や機材にとって過酷な環境となる。

ブリーチャー氏は、火星への有人飛行の前に習得すべき重要な探査技術があり、持続可能なミッションには宇宙飛行士が利用可能な資源を活用して生活することを学ぶ必要があると述べた。そして「探査は人間の本性にあり、別の天体で生活することを学ぶことは人類が目指せる最大の事業の一つだ」と結論付けた。

スポーツ (Sports)

アジア大会2026、競技2日目:各国がメダル争い、ドーピング事例も

第20回アジア競技大会(愛知・名古屋)は競技2日目を迎え、中国が金23・銀10・銅5の計38個でメダル首位を堅持した。日本が金8・銀12・銅12の計32個で2位、韓国が金5・銀3・銅15の計23個で3位に続く。インドは射撃で3個、混合格闘技(MMA)で歴史的な銅メダルを獲得し、計6個(銀4・銅2)で12位につけた。一方、タイのバドミントン選手ピッチャモン・オパティヌットがドーピング検査で陽性となり、今大会初のドーピング事例となった。

バングラデシュは男子カバディで台北に48-47で勝利し、グループAで2連勝を飾った。韓国戦も39-35で制しており、準決勝進出に大きく前進した。インドは射撃の男子10mエアライフル個人でヒマンシュ・ディロンが銀、ルドランクシュ・パティルが銅、チーム戦でも銀を獲得。さらにスチカ・タリヤルが女子MMA60kg級で銅メダルを獲得し、インド初のアジア大会MMAメダリストとなった。韓国は水泳でキム・ヨンボムが男子50m自由形をアジア大会新記録の21秒66で制し、金メダルを獲得。台湾はソフトテニス混合ダブルスで金メダル、武術男子太極拳・太極剣で銀メダル、空手男子組手67kg級で銅メダルを獲得した。また、シリア難民のタエクォンドー選手2人がアジア大会史上初の難民チームとして出場し、注目を集めた。

競技は今後も続き、各国がメダル争いを展開する。中国の圧倒的な強さが際立つ一方、インドは金メダル獲得に依然として届かず、今後の競技での巻き返しが課題となる。ドーピング事例は予備的資格停止処分となり、今後の手続きで最終的な判定が下される予定だ。