The Morning Star Observer

2026年09月20日 日曜日夕刊 (Evening Edition)ArchiveAbout

エド・シーラン、ガザ情勢を「正当化できない」と語る マックルモア解任論争で初めて沈黙破る

英人気歌手エド・シーラン(35歳)は19日、米フィラデルフィアでソロコンサートを開き、ガザの状況について「破滅的で、正当化できず、過剰だ」と述べた。先週、自身のツアーからラッパーのマックルモアがプロパレスチナ発言を理由に外されたことをめぐる論争に、初めて直接言及した場面となった。

シーランはリンカーン・フィナンシャル・フィールドでの公演冒頭、「イスラエルとパレスチナの状況について、自分がどこに立っているかを語りたい」と切り出した。その上で「2023年10月7日のイスラエルでの出来事は恐ろしく、ユダヤ人の何世紀にもわたる苦しみを増幅させた。ガザで起きていることは破滅的で、正当化できず、過剰だ。破壊の規模と、市民や子どもの命の喪失に心が引き裂かれた。ヨルダン川西岸で展開している組織的な不正義も見逃せない」と語った。

シーランは「これまで政治的なコメンテーターにならないよう努めてきた。音楽とショーを統一、つまり分断ではなく結束についてのものにしたかった。しかしこれは人道的な問題であり、もはや自分の気持ちを隠せない」と説明した。また「難しい決断を下さなければならず、過ちを犯している。本当に申し訳なく思う」と謝罪し、観客から拍手を受けた。

マックルモアは今月初め、ニュージャージー州のメットライフ・スタジアムで「フリー・パレスチナ」と叫び、抗議曲「ヒンズ・ホール」を披露した。これにスタジアム所有者らが反発し、シーランの米ツアー「ループ・ツアー」から外された。シーランはこの決定はツアープロモーターによるものだと否定しているが、批評家らは億万長者の実業家ロバート・クラフト氏らスタジアム所有者に屈したと非難した。

これに抗議して、シーランのバックバンドに加え、ビリー・アイリッシュの兄で音楽プロデューサーのフィニアス、アイルランド人歌手アーロン・ロウ、アイルランドのフォークバンド「ベオガ」、デンマークのバンド「ルーカス・グラハム」が相次いでツアーを離脱した。このためシーランはこの日、オープニングアクトなしで単独ステージに立った。

会場の外では約50人のプロパレスチナ派デモ参加者が集まり、パレスチナ国旗を振り「自由なパレスチナを」と唱えた。抗議活動の主催者のスポークスパーソン、アディ・チャトパディヤイ氏は「マックルモアのメッセージと、ガザの現状に注目を集めるためだ。ジェノサイドは今も続いている」と語った。

一方、ファンの反応は分かれた。ブラウン大学の18歳の学生ブランドン・アテケ氏は「シーランのクラフト氏らによるマックルモア封じ込めへの『共犯』だ」と述べ、コンサートを棄権して抗議に参加したと語った。しかし、別のファンは「コンサートは音楽を楽しむ場所であり、政治の場ではない」とシーランを擁護した。

パレスチナの学術・文化ボイコット運動(PACBI)はこの日、シーランのワールドツアー全体のボイコットを呼びかけた。ガザ保健省によれば、イスラエルの大規模攻撃でこれまでに7万3800人以上が死亡した。国連はこれらの数字を信頼できるとみなしている。

シーランは「会場がパフォーマンスの内容を事前に承認すること」への懸念も表明し、「世界の多くの場所で起きているが、自由な世界では決して起こるべきではない」と語った。この論争は、アーティストの政治的発言と興行主の力関係をめぐる議論を巻き起こし、エンターテインメント業界におけるガザ戦争の影響を改めて浮き彫りにした。

サウジ首都リヤドにフーシ派が弾道ミサイル、イランは和平条件を米国に伝達

サウジアラビア主導の連合軍は19日、イランが後援するイエメンのフーシ派が早朝、首都リヤドに向けて弾道ミサイルを発射したと発表した。連合軍のスポークスマン、トゥルキ・アル=マルキ氏はX(旧ツイッター)で、サウジ空軍がミサイルを迎撃・破壊したと明らかにした。リヤドのキング・ハーリド国際空港近くの燃料貯蔵施設では黒煙が立ち上り、住民からは複数の爆発音が聞こえたとの証言が相次いだ。死傷者や大きな被害は報告されていない。今回の攻撃は、7月に始まった戦闘の激化以降、サウジの首都が初めて標的となったケースとなる。

フーシ派はリヤドの「敏感な標的」と、紅海沿岸の港湾都市ヤンブーの国営石油会社アラムコの施設を巡航ミサイルと弾道ミサイル、無人機で攻撃したと主張した。フーシ派軍報道官ヤヒヤ・サリー准将は、攻撃はサウジ側が首都サヌアを空爆したことへの報復だと述べた。一方、連合軍はヤンブーに加え、タイフ、バイシュ、ファラサンへの攻撃も迎撃で阻止したと発表した。サウジ当局は19日未明、リヤドとアル・ハルジに「敵対的な航空脅威」を知らせる警報を発令し、住民に屋内待避を呼びかけた後、解除した。

フーシ派は今月に入り、紅海沿岸で電撃的な攻勢を展開し、モカ港やマユン島、ハニシュ諸島を制圧した。バブ・エル・マンデブ海峡の掌握を狙う動きで、世界の海上貿易の約8.7%が通過する戦略的な水路の支配を強めている。サウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子は先週、トランプ米大統領に2度電話し、フーシ派への直接攻撃を要請したが、ワシントンは今のところ直接介入を拒否している。米国は代わりに情報共有や目標特定支援を提供し、F-35戦闘機48機の売却を承認した。

こうした中、イランの最高国家安全保障会議議長モフセン・レザイー氏はアルジャジーラのインタビューで、カタール経由で戦争終結に向けた条件を米国に伝達し、トランプ大統領の回答を待っていると述べた。条件には全戦線での戦争終結、凍結資産の解放、米国によるイラン港湾の海上封鎖の解除が含まれる。イランはイエメンとサウジアラビアを巻き込む戦闘の終結も望んでいるという。

中東では他にも、イスラエル軍がガザとレバノン南部で攻撃を実施した。ガザでは3人が死亡し、レバノン南部ではヒズボラの拠点を空爆した。イランではイスラエルの諜報機関モサドにスパイ行為をしたとして、ホセイン・ペドラム容疑者が処刑された。また、トルコのハカン・フィダン外相は、サウジアラビアが米イラン戦争に巻き込まれるのは容認できないと述べ、サウジ・トルコ・パキスタンの三国間防衛協定に基づく軍事支援に言及した。

サウジアラビアとフーシ派の対立は、イランと米国の戦争に新たな戦線を加え、世界経済に圧力をかけている。フーシ派はサウジ関係の船舶のみを標的とすると明言しており、紅海の航行への影響は限定的だが、首都への攻撃はサウジの石油産業全体を停止させる潜在力を示す警告となった。ドーハ大学院大学のモハマド・エルマスリー教授は、サウジの同盟国が直接軍事介入する可能性は低いと指摘し、サウジは多数の同盟国に支援を求めたものの、ロジスティクスや情報、武器などの限定的な支援にとどまっていると分析した。

アジア大会開幕、日本が初日金メダル 空席問題と運営課題も

第20回アジア競技大会(愛知・名古屋)が19日に開幕し、20日に競技初日を迎えた。開会式では台風接近の影響で観客席に空席が目立ったが、式典自体は滞りなく行われ、日本の天皇・皇后、国際オリンピック委員会(IOC)のキルスティ・コヴェンティー会長らが出席した。競技初日には、開催国・日本が男子トライアスロンで北條巧が今大会最初の金メダルを獲得。中国の13歳の水泳選手・余姿迪は女子200メートルバタフライ予選で圧倒的なタイムを記録した。

開会式の空席問題について、アジアオリンピック評議会(OCA)のフセイン・アル=ムサラム事務総長は、台風警報が名古屋に接近し最終的に進路が逸れたことが観客の足を遠のかせた一因だと説明した。また、聖火の関係で1ブロックを空席にしたとも述べ、チケットの販売率は70%超だったと強調した。一方、競技面では各国がメダル争いを展開。インドは射撃女子10メートルエアライフル団体で銀メダル、個人でもエラヴェニル・ヴァラリヴァンが銀を獲得。MMA女子60キロ級のスチカ・タリヤルは準決勝進出でインドに今大会初のメダルを確定させた。韓国は近代五種女子個人でセオン・スンミンが金、自転車女子個人タイムトライアルでシン・ジウンが銅を獲得。マレーシアはカラテ男子55キロ級でK・テヴェンドランが銅、セパタクロー男子団体で日本に勝利した。

大会は選手村を設けず、コンテナ型の仮設宿舎やホテル、クルーズ船で選手を受け入れる異例の運営となっている。宿舎の狭さやベッドの短さを指摘する声がある一方、コヴェンティーIOC会長は視察後に「美しい」と評価し、批判を理解できないと述べた。また、OCAのジョアン会長は、台湾の李洋・スポーツ大臣が歓迎式典に一時参加できなかった件について「スポーツに政治を持ち込むべきではない」と述べ、今後も同様の事態があれば適切に対処するとの姿勢を示した。大会は10月4日まで、40以上の競技で469個の金メダルを争う。

アジア大会開幕、13歳の競泳新星ユ・ズディが予選突破 パン・ザンルーも順調

東京で開幕したアジア大会の競泳競技で、中国の13歳の天才選手ユ・ズディが女子200メートルバタフライ予選を全体最速で突破した。ユ・ズディは昨年、12歳で世界選手権のメダリストとなった史上最年少選手であり、今年3月には米国の複数回五輪金メダリスト、レガン・スミスを破るなど成長著しい。

ユ・ズディは予選を2分7秒97で泳ぎ、2位の中国のチャン・モハンに2.7秒差をつけた。10月に14歳を迎える。一方、パリ五輪の男子100メートル自由形金メダリストで世界記録保持者のパン・ザンルーは、同種目予選を48秒07で通過し、韓国のファン・ソヌを抑えて首位となった。パンは前半50メートルでスピードを制御し、後半は最大限の力で泳いだと語り、決勝ではさらに良い泳ぎを見せると述べた。パンは昨年のシンガポール世界選手権で100メートルと200メートル自由形の決勝進出を逃しており、そこからの巻き返しを狙う。

日本勢では、松下知之が男子200メートル個人メドレー予選で1分58秒56の最速タイムを記録した。日本は2023年の杭州アジア大会で競泳金メダルが5個にとどまり、メダルランキングで3位に終わったことから、今大会での巻き返しを狙う。松下は日本開催であることから、プレッシャーはないが、集まった観客に最高の泳ぎを見せたいと語った。

政治 (Politics)

トランプ氏、AIフォース創設を発表 米中首脳会談を前にAI政策で対立

米大統領ドナルド・トランプは土曜日、人工知能(AI)分野の新組織「AIフォース」を創設し、AI担当の「ザー」を任命すると発表した。AI開発の減速を求める声に反対し、既存の司法制度で「悪しき慣行」に対処できると主張した。木曜には中国の習近平国家主席との首脳会談を控え、AIをめぐる米中の競争が焦点となっている。

トランプ氏は自身のSNS「Truth Social」で、AIは「次の産業革命」であり、米国のGDPの最大25%に達する可能性があると述べた。また、AnthropicのCEOダリオ・アモデイ氏らが提唱するAIモデルの改良ペース鈍化に反対し、「この素晴らしい産業の成長を妨げることはない」と強調した。さらに、AIの名称変更を問う世論調査を実施し、「優れた知能」「極端な知能」「至高の知能」の3案を提示した。

一方、米国ではAIへの懸念が強まっている。世論調査では、63%の市民がAIが人類を破壊する「中程度以上のリスク」があると回答し、3分の2がモデルの進歩が速すぎると感じている。元Anthropic研究者のジェイコブ・コクソン氏は「AIが10年以内に人類を滅ぼすと開発者たちは本気で信じている」と述べた。これに対しトランプ氏は「騙し」と一蹴した。

対照的に中国ではAIが日常生活に浸透し、熱狂的に受け入れられている。モルガン・スタンレーの調査では、中国の80%が週1回以上AIを使用し、米国では54%にとどまる。中国の生成AIユーザーは2024年12月の2億4900万人から1年で6億200万人に急増した。中国の83%がAIを「刺激的」と感じており、政府への信頼の違いが背景にあるとされる。

米中首脳会談には、OpenAIのサム・アルトマン氏、NVIDIAのジェンセン・ファン氏、X AIのイーロン・マスク氏、Googleのサンダー・ピチャイ氏らが出席する予定だ。また、米財務長官スコット・ベッセント氏は日曜に中国の何立峰副首相と会談し、AIの安全性や貿易について協議する。

今回の首脳会談は、AIをめぐる規制と競争の行方を左右する重要な場となる。トランプ氏は中国との技術競争に勝利すると宣言しており、会談の結果が両国のAI政策に影響を与えるだろう。また、パキスタンでは殉職した警察幹部アカバル・カーン・シンワリ氏の息子が、父の遺志を継いで軍医を目指すと誓った。コハットでのテロ攻撃で亡くなった父への敬礼が、教育による復讐を象徴している。

ロシア下院選挙最終日、ウクライナがモスクワへ過去最大規模のドローン攻撃

ロシアで20日、国政選挙となる下院(国家会議)選挙の最終日を迎えた。投票は3日間の日程で行われ、プーチン大統領はこの選挙をウクライナ戦争への支持を問う試金石と位置づけてきた。投票率はモスクワ時間20日午前6時時点で44.75%に達した。

最終日を迎えた同日未明、ウクライナはモスクワへ大規模なドローン攻撃を仕掛けた。モスクワ市長のソビャーニン氏は、首都への攻撃として過去最大規模だったと述べ、迎撃されたドローンはモスクワ接近分だけで450機に上ったと明らかにした。ロシア国防省によると、一夜でロシア各地の上空で1110機のウクライナ製ドローンが迎撃・破壊された。モスクワ郊外では2人が死亡し、首都の石油精製所も攻撃を受けた。

今回の選挙は2022年2月の全面侵攻開始後、初めてとなる下院選挙だ。ロシアが2022年に併合を宣言したウクライナのドネツク、ルハンシク、ザポリージャ、ヘルソンの4州でも初めて投票が行われた。ロシア当局はこれら4州に350万人以上の有権者がいると主張するが、ウクライナと欧州連合(EU)は占領地での選挙を「違法」として結果を認めない立場を示した。

選挙戦では、反戦派の候補者の多くが投票用紙から排除された。リベラル政党「ヤブロコ」は8月、最高裁の判断で全国政党名簿から外された。プーチン大統領は選挙前の演説で、ウクライナが選挙妨害を図っていると非難し、ザポリージャ州の選挙管理委員がウクライナ軍の攻撃で死亡したと指摘した。また、モスクワの電子投票システムへの大規模なサイバー攻撃があったと中央選挙管理委員会のパムフィロワ委員長が明らかにした。

一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は、欧州連合(EU)との連携強化を目指し、カルパティア8か国(C8)の初の首脳会議を主催した。ウクライナ、オーストリア、ポーランド、ルーマニア、セルビア、スロバキア、チェコ、ハンガリーが参加し、安全保障やエネルギー、国境を越えた経済協力などが議題となった。

選挙結果は、プーチン政権に忠実な与党「統一ロシア」が優位を維持するとみられる。ただ、経済的負担が増す中、政権が認めた野党に不満票が流れる可能性も指摘された。最終結果は21日以降に判明する見通しだ。

ウクライナ大規模ドローン攻撃、モスクワで2人死亡・製油所損傷

ウクライナによる大規模なドローン攻撃がロシアの首都モスクワとその周辺地域を襲い、少なくとも2人が死亡、モスクワ製油所の施設が損傷した。攻撃はロシア議会選挙の最終日にあたる9月20日未明、現地時間の午前3時から5時にかけて発生した。モスクワ州知事のアンドレイ・ヴォロビエフ氏は、17の自治体で約250機のドローンが迎撃されたと明らかにした。

ヴォロビエフ知事によると、ラメンスコエ地区のソフィノではドローンが3階建ての集合住宅に直撃し、44歳の女性が死亡した。また、オレホヴォ=ズエヴォ市では、民家が破壊され火災が発生し、高齢の男性が死亡した。ラメンスコエ地区では21階建ての建物の屋根が炎上し、約400人(子供70人を含む)が避難した。モスクワ市長のセルゲイ・ソビャニン氏は、モスクワ製油所の施設が損傷したものの、死傷者は出ていないと報告した。

ロシア国防省はこの夜、レニングラード、ブリャンスク、クルスクなど複数の州と黒海上空で、ウクライナの固定翼ドローン344機を迎撃・破壊したと発表した。モスクワの主要空港では安全上の理由から30便以上が着陸できず、他の空港に振り替えられた。ウクライナ側は、エネルギーインフラを標的にした長距離ドローン作戦を強化しており、これはロシアの戦争資金源を断つ狙いがある。今回の攻撃は、米国のトランプ大統領が両国がエネルギー施設を互いに攻撃しないことで合意したと主張した直後に行われた。

一方、ウクライナではロシア軍の攻撃により、キーウ州ファスチウで母親と幼い2人の子供が死亡、スームィ州ではドローンが乗用車に直撃し4人が死亡した。ロシアとウクライナは近年、エネルギー施設や輸送拠点への攻撃を激化させており、戦争は長期化の様相を呈している。

独州選挙、極右躍進とメルツ首相の窮地 欧州に波及する衝撃

ドイツで20日、ベルリン州とメクレンブルク=フォアポンメルン州の州議会選挙が実施された。極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が両州で支持を急伸させ、フリードリヒ・メルツ首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)は窮地に立たされている。メルツ政権は発足からわずか1年半で、支持率は約14%まで低下。政権の存続を懸けた戦いとなる。

メクレンブルク=フォアポンメルン州では、社会民主党(SPD)のマヌエラ・シュヴェーズィヒ州首相がAfDの候補ライフ=エリク・ホルム氏を僅差でリードしている。世論調査ではSPDが37%、AfDが36%と接戦。一方、CDUは6%と、州議会入りに必要な5%の壁に迫られている。ベルリン州では、左翼党(ディー・リンケ)のエリフ・エラルプ氏がCDUやAfDと首位争いを演じる。同党は住宅危機への抜本対策を掲げ、若者の支持を集める。

選挙結果はメルツ首相の命運を左右する。CDUがメクレンブルク=フォアポンメルン州で議席を失えば、戦後初の歴史的な敗北となる。メルツ氏は選挙当日の夜、党幹部との緊急会合を招集。欧州ではロシアの脅威が高まるなか、政権交代は「無責任」だとの立場を示すが、党内では後継候補としてヘンドリク・ヴュスト氏の名前も挙がっている。

極右の躍進はドイツ国内にとどまらない。オランダのデン・ハーグでは20日、極右デモ隊約500人が機動隊と衝突し、24人が逮捕された。参加者は反ユダヤ主義のスローガンを唱え、警官に爆竹などを投げつけた。ロブ・イェッテン首相はX(旧ツイッター)で「嫌悪すべき」極右・反ユダヤ主義のスローガンだと非難した。

フランスでは、極右政党「国民連合(RN)」のジョルダン・バルデラ党首とマリーヌ・ル・ペン大統領候補が、ロシアを異例の形で批判する共同声明を発表した。ロシアによるフランス企業アウシャンやスイスのネスレの資産差し押さえを「フランスと欧州の利益に対する敵対行為」と非難。8月のライプツィヒ空港へのドローン攻撃にも言及し、「ロシアのウクライナ戦争目標達成をフランスが容易にさせることはない」と強調した。RNは従来、ロシアへの姿勢を巡り党内で分裂してきたが、今回の声明は結束を示すものとなった。

一方、韓国では若年男性の約26%が政治的には「極右」に分類されるという研究結果が発表された。韓国社会学誌に掲載された論文によると、18~34歳の男性の25.9%が極右傾向を示し、同年齢の女性の4.2%を大きく上回った。研究者らは、若年男性の右傾化が2005年以降の継続的な傾向であると指摘し、構造的な長期的視点の必要性を訴えている。

ドイツの州選挙の結果は、2029年連邦議会選挙に向けた極右の勢いを測る試金石となる。メルツ政権の経済改革への不満と、欧州全体でくすぶるロシアへの警戒感が、政治の地殻変動を加速させている。

フィコ首相がNATO・ロシア衝突の危険性を警告、ドイツ将軍がNATO軍事委員長に選出

スロバキアのロベルト・フィコ首相は9月20日、ウクライナ戦争でロシアを打ち負かすという戦略が「失敗」した後、一部の西側政治家がNATOとロシアの衝突を求めていると述べた。フィコ氏はビデオメッセージで「我々は死の危険に直面している」と語り、西側がウクライナ支援で「火に油を注いでいる」と批判した。同氏は「ウクライナ軍とその全面支援を通じて目標を達成できなければ、NATOとロシアの紛争を引き起こすためにあらゆる努力を払うべきだと考える西側政治家もいる」と指摘した。

フィコ氏は、ウクライナ戦争はスロバキアの戦争でもNATOの戦争でもないとしつつ、「NATO内の特定の主戦派は、あらゆる犠牲を払ってこの戦争をロシアとNATOの紛争に変えようとしている」と述べた。同氏は先週、ドローン侵入がNATOの集団防衛条項の発動を引き起こす可能性があると警告し、スロバキアが武力紛争の一部になるのを防ぎたいと述べていた。また、同氏は「誰かが自国の国益を満たすためにNATOとロシアの軍事紛争を引き起こすことに関心があるなら、その動きの責任を負うべきだ」と述べ、スロバキアの兵士を「作り上げられた口実」でロシアと戦わせることはないと強調した。

一方、NATOは9月20日、コペンハーゲンで行われた秘密投票で、ドイツのカルステン・ブロイアー国防長官をNATO軍事委員会の次期委員長に選出した。ブロイアー氏はNATO加盟32カ国の国防長官のうち少なくとも17票を獲得し、現職のイタリアのジュゼッペ・カーヴォ・ドラゴーネ海軍大将から来年7月に引き継ぎ、3年間の任期を務める。ブロイアー氏はカナダのジェニー・カリニャン国防長官を破った。ドイツが欧州最大の国防支出国であることや、ワシントンからの暗黙の支持が背景にあるとされる。

NATO軍事委員会は同盟の最高軍事機関であり、委員長は加盟国に率直な軍事助言を与え、作戦の実現可能性、資金調達、能力を評価する役割を担う。また、数十のNATO軍事スタッフの作業部会を監督し、軍事助言の策定で合意を仲介する。今回の選出は、ロシアの侵攻に備える同盟の準備態勢と、持続する大西洋間の緊張をどう乗り切るかを形作る重要な決断となった。

欧州ではロシアのハイブリッド攻撃への警戒が強まっている。フランスのマクロン大統領は9月19日、ロシアが欧州に対するハイブリッド攻撃のキャンペーンを強化していると述べ、8月のライプツィヒ空港でのドローン攻撃の試みを証拠として挙げた。ポーランドのトゥスク首相は、ロシアがウクライナを支援する国々に対してハイブリッドなドローンとミサイル攻撃を開始する計画があると述べた。NATOは差し迫った攻撃の脅威はないと見ているものの、欧州各国は重要施設の保護や防空強化などの備えを進めている。

米国のウォルツ国連大使は、トランプ大統領がウクライナ紛争の解決を試みていると述べた。トランプ大統領は国連総会での演説で、主権と、過去1年間にまとめた和平合意について話す予定だという。また、イランの核問題や人工知能と国家の規制の役割にも触れる見通しだ。

ウクライナ軍参謀本部は9月20日、ロシアが2022年2月24日の全面侵攻開始以来、約151万7990人の兵士を失ったと発表した。この数字には過去1日で生じた1560人の死傷者が含まれる。ロシアはまた、戦車1万2356両、装甲戦闘車両2万5361両、車両・燃料タンク15万1345台、大砲システム5万67基、多連装ロケットシステム2146基、防空システム1659基、航空機442機、ヘリコプター356機、無人地上車両2695台、艦船・ボート35隻、潜水艦2隻を失った。ウクライナ側の損失は明らかにされていないが、独立系シンクタンクの報告では、ロシアの死傷者はウクライナを大幅に上回るとされている。

中東情勢緊迫化で米国が全土に渡航勧告、イラン戦争の急速な拡大を警告

米国政府は中東全域に滞在する自国民に対し、サウジアラビアとフーシ派の紛争が急速に拡大する可能性があるとして、警戒強化を求める渡航勧告を発出した。国務省はX(旧ツイッター)への投稿で、中東の安全保障環境が「予期せぬ拡大の可能性を秘めた複雑な状況」にあると指摘した。

この勧告は、2月に米国がイランとの戦争を開始して以降、発出された最新の安全警報となる。従来の米国とイランの緊張関係に焦点を当てた通知とは異なり、今回の警報は戦争の新たな戦線における緊張の高まりを米国人に知らせるものだ。国務省は、イランが支援するフーシ派がサウジアラビアの民間空港を含む拠点に対して敵対行動を取っており、この軍事紛争が急速に拡大する可能性があると警告した。

勧告では、中東に滞在する米国人に対し、航空便の欠航、空域閉鎖、旅行の中断に注意を払うよう求めた。また、イランおよびテヘランを支持する勢力が、米国の在外利益や米国人に関連する場所を標的にする可能性があると警告した。中東外にいる米国人に対しては、同地域への旅行および経由を「真剣に再検討する」よう勧告した。

この警報は、フーシ派がサウジアラビアの首都リヤドと石油施設に対し、ミサイルと無人機の集中攻撃を行った数時間後に発出された。リヤドでは緊急警報が鳴り響き、住民が大きな爆発音を報告、市内の空港では航空便が大きく乱れた。死傷者は報告されていない。サウジアラビアは迎撃に成功したと主張したものの、この攻撃で首都は緊張状態に置かれた。数か月ぶりの首都への攻撃となる。

一方、国務省はサウジアラビアに対して「渡航を再検討せよ」とするレベル3の勧告を維持している。イエメンに対しては「渡航を中止せよ」とするレベル4の勧告を出し、テロ、武力紛争、誘拐などのリスクを挙げた。米政府職員にはイエメン国境から20マイル以内の移動禁止などの追加制限も課されている。

この勧告は、フーシ派が7月にサウジアラビアに対する海上封鎖を宣言し、バブ・エル・マンデブ海峡の重要拠点を掌握して以降、高まる緊張を反映したものだ。サウジアラムコへの攻撃が中東戦争の新たな戦線を開いた。フーシ派はサウジアラビアがイエメンを封鎖し、内政に干渉していると非難している。サウジアラビアは国際的に承認されたイエメン政府の主要な支援国である。

この地域の緊張は、世界経済にも波及している。イラン戦争による湾岸諸国からの石油・ガス供給の遮断がエネルギー価格を高騰させ、インフレを押し上げ、中央銀行が政策金利を引き上げる要因となった。スペインでは8月の消費者物価指数が前年比4.3%上昇し、伝統的な貯蓄商品の利回りを上回った。欧州中央銀行は政策金利を2.5%に引き上げ、スペイン国庫は12か月物短期国債に2.86%の利回りを付けているが、いずれも生活費の上昇を補うには不十分だ。投資家にとっては、インフレを上回る利回りを達成することが困難な課題となっている。

トランプ大統領、中東情勢緊迫化でキャンプ・デービッドを早期離脱、CNNなど主要3社をホワイトハウスから締め出し

ドナルド・トランプ米大統領は土曜日、予定より1日早くキャンプ・デービッドでの週末滞在を切り上げてホワイトハウスに戻った。中東情勢の緊張が高まる中での予定変更であり、政権は理由を説明しなかった。同時にトランプ大統領は、CNN、MS NOW、ポリティコの3社をホワイトハウスから締め出すと宣言し、土曜日から実施された。各社は憲法修正第1条の保護を主張し、即時の復帰を求めて法廷闘争も辞さない構えだ。

中東では、イエメンの親イラン派フーシ派が土曜日早朝、リヤドに向けて弾道ミサイルを発射した。サウジアラビアはこれを確認し、フーシ派は「重要施設」を標的としたと主張した。これを受け、国務省と複数の在外公館は「予期せぬエスカレーションの可能性」を警告する安全保障警報を発出した。イランは交渉再開に向け、カタール経由で7つの条件を米国に伝達した。イランの安全保障担当官モフセン・レザイー氏はアルジャジーラに対し、全面停戦、凍結資金の解放、海上封鎖の解除という3条件を公表し、残り4条件は非公開とした。レザイー氏は、米国が要求を拒否すれば「決定的な戦争」も辞さないと警告した。

一方、トランプ大統領は金曜日、ソーシャルメディアでCNN、MS NOW、ポリティコを「フェイクニュース」と非難し、「ホワイトハウスから締め出す」と宣言した。土曜日には、各社の記者がホワイトハウス敷地への入場を拒否され、身分証を没収された。CNNは「憲法上の権利への違法な攻撃だ」と主張し、ポリティコは「修正第1条の権利を断固として守る」と声明を発表した。ホワイトハウス記者協会(WHCA)は即時の復帰を要求し、「裁判所は、一度アクセスを認めた以上、恣意的に剥奪することはできないと繰り返し判示してきた」と指摘した。

トランプ大統領は他にも対象が増える可能性を示唆し、ニューヨーク・タイムズとワシントン・ポストを「フェイクニュース」と呼んだ。この動きは、11月3日の中間選挙を前に、共和党が議会で僅差の多数を維持する中で起きた。イラン戦争の長期化でエネルギー価格が高騰し、トランプ大統領の支持率は歴史的低水準にある。過去にはAP通信がメキシコ湾の名称変更を巡って締め出された事例があり、今回の措置も憲法修正第1条に基づく法廷闘争に発展する可能性が高い。

米・デンマーク・グリーンランドが安全保障協定で合意、マクロン大統領は「デンマークの主権が尊重される」と評価

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は19日、アメリカ・デンマーク・グリーンランドの3者間で合意された協定について「非常に前向きなものだ」と歓迎した。同大統領は、この合意により「事態が沈静化し」、北極圏の領土に対するデンマークの主権が再確認され、国際協力が強化されるとの認識を示した。

マクロン大統領は、フランス領サンピエール島・ミクロン島を訪問中に「デンマークの主権が尊重され、国際法が尊重されていることを確認する。これこそ我々が求めていたものだ」と述べた。また、デンマークのメッテ・フレデリクセン首相と交渉の進展について複数回意見交換を行ったと明かした。同大統領は、NATOの枠組みにおける共同演習を通じてデンマークと協力し、グリーンランドにおけるデンマークの主権と領土の安全保障を強化するとともに、欧州連合(EU)を通じた経済協力を推進すると述べた。

この協定は、ドナルド・トランプ米大統領が18日に発表したもので、グリーンランドにおける米軍プレゼンスの拡大と、ロシア・中国など米国の敵対国による同島での基地設置や「敏感な投資」を禁止する内容だ。協定の詳細はまだ公表されておらず、発効にはデンマークとグリーンランドの議会承認が必要となる。調印は来週、ニューヨークで開催される国連総会の傍らで行われる予定だ。

デンマークのラース・ロッケ・ラスムセン外相は、この合意を「拘束力のあるもの」と評価し、「不確実性の長い期間が、北極と北大西洋の安全保障を強化する拘束力ある合意に置き換わることを願う」と述べた。フレデリクセン首相は、この合意が「王国の主権と領土保全、そしてグリーンランド人民の自決権を認めるものだ」とし、「NATOと欧州にとって良いことだ」と語った。グリーンランドのイェンス=フレデリク・ニールセン首相も、この合意が「グリーンランドの利益を認め」、安全保障を「強化する」と述べた。

一方、グリーンランドの首都ヌークの住民からは複雑な感情が聞かれた。29歳の美容師ソーレン・クロイツマンさんは「合意の内容や何が署名されたのか正確には分からない。しかし、米国とトランプ氏の話が出るたびに複雑な気持ちになる。今、グリーンランドにこれほど注目が集まっていることに、完全に安心しているわけではない」と語った。64歳の教育者ビビ・クライスト・イェプセンさんは「我々の国は空と海の両方から守られる必要がある。デンマークは長年、それに十分な注意を払ってこなかった。指導者たちが良い合意を結んだことを願う」と述べた。

トランプ大統領は、この協定により米国がグリーンランドの安全保障と「その他のあらゆるニーズ」について「恒久的な支配権」を得ると主張している。同大統領は「我々の敵対国は、我々の明示的な書面による承認なしに、グリーンランドに基地を持ち、軍事プレゼンスを置き、敏感な分野に投資することは今後一切できない」と述べた。米国務省当局者も「この協定は中国とロシアがグリーンランドに基地を持てず、軍隊を派遣できず、敏感な分野への投資を防ぐための必要な仕組みを保証するものだ」と説明した。

この合意は、トランプ大統領が戦略的理由からグリーンランドの支配を繰り返し主張してきたことで生じた、NATO同盟国デンマークとの数カ月にわたる緊張に、ひとまず終止符を打つものだ。グリーンランドはデンマーク王国の自治領であり、デンマークの主権は維持される一方、ワシントンは北極圏で戦略的重要性を増すこの飛び地での軍事プレゼンス拡大を目指す。複数のメディアは、米国がグリーンランド北部の既存のピトゥフィク基地に加え、南部に3つの新しい軍事基地を開設することを望んでいると報じている。

米軍、カリブ海の麻薬密輸容疑船を攻撃し4人死亡 ガザではハマス司令官を殺害

米軍は土曜日、カリブ海で麻薬を運んでいたとみられる船舶を攻撃し、乗員4人を殺害したと発表した。南軍管(サウスコム)はXへの投稿で「確認された情報により、その船が麻薬密輸に積極的に関与していたことが判明した。作戦により4人の麻薬テロリストが死亡した」と述べた。トランプ政権は昨年から、麻薬カルテルを「麻薬テロリスト」と位置づけ、海上での攻撃作戦を展開している。

今回の攻撃は、トランプ政権が「麻薬テロリスト」と分類する集団への攻撃を開始してから約1年で、東太平洋とカリブ海での米軍による船舶攻撃による死者数は、69回の攻撃で少なくとも231人に達したと伝えられる。AFPの集計では、カリブ海と東太平洋での攻撃で200人以上が死亡している。トランプ政権は、ラテンアメリカのカルテルとの「武力紛争」にあると主張し、米国への麻薬流入とそれによる過剰摂取死を抑えるために攻撃が必要だと擁護する一方、作戦で殺害された人々に関する主張を裏付ける証拠を公にほとんど示していないとして批判に直面している。

一方、イスラエル軍は木曜日にガザのハンユニスでハマスの司令官ムハンマド・スレイマン・ビョークを殺害したと発表した。イスラエル軍はXへの投稿で、ビョークがイスラエル南部への10月7日の攻撃に関与していたと述べた。また、ガザ地区全域での空爆で少女を含む5人が死亡したと報じられている。ハマス政治局長のハリル・アル=ハイヤは、ガザでのイスラエルによる殺害の激化やヨルダン川西岸、アル・アクサ・モスクでの攻撃をめぐり、仲介者と緊密に連絡を取っている。ハマスは、これらの殺害が平穏への見通しを損なわせており、援助と再建の制限により、トランプ氏の計画に基づくイスラエルの約束が果たされていないことを示していると述べた。

米国新制裁法がロシア・イラン包囲網を強化、インド原油調達に影

ドナルド・トランプ米大統領は18日、ロシアとイランに対する制裁を拡大する「2026年ロシア・イラン制裁法(リンゼー・O・グラハム法)」に署名した。同法はロシア産石油・ガスを購入する国に対し最大100%の関税を課す権限を政府に与えるもので、インドや中国など主要買い手の調達コスト上昇が懸念される。

クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は、この法律がモスクワとワシントンの交渉およびウクライナ和平の見通しに「プラスの影響を与えることはできない」と述べた。同法はロシア政府高官・銀行・戦略部門への制裁に加え、西側の制限を回避する「影の船団」タンカー対策も盛り込む。中国商務省は「国連の授権なき一方的制裁に一貫して反対する」と批判し、必要に応じた措置を取る権利を留保した。

インドにとっては影響が深刻だ。ウクライナ戦争以降、ロシア産原油の輸入シェアは7月に55%に達したが、ロスネフチとルクオイルへの制裁で2月に日量100万バレルまで急減。その後、中東情勢悪化でホルムズ海峡とバブ・エル・マンデブ海峡の供給が乱れ、サウジの東西パイプラインも無人機攻撃で損傷した。インドの原油輸入額は4〜8月に前年同期比50%増の748億ドルとなり、代替調達にはスポット価格高騰と運賃・保険料上昇が伴う。

同法は自動的に関税を課すものではないが、トランプ政権に裁量権を与える点で、インドの貿易・経済利益を守るため米国との高官協議が続いている。イラン産原油は2019年3月まで輸入の約12%を占めたが、制裁でゼロとなり、ベネズエラ産も同様の経緯をたどった。インドの原油調達は約40カ国に分散されたが、逼迫した世界供給下での追加調達はコスト増を招く。

新たな冷戦構造が顕在化、カーニー加首相が欧州議会で演説し「自由世界の盟主」に

カナダのマーク・カーニー首相が欧州議会で演説し、欧州連合(EU)への「準加盟国」としての参加が承認された。これはトランプ米大統領が主導する「権威主義的価値観」の陣営に対抗し、民主主義的価値観を掲げる新たな連合の結成を象徴する出来事となった。

カーニー氏は演説で「市場を支配し、主権を損ない、領土の一体性を脅かし、自由や民主主義、法の支配を損なう者から、我々の回復力を強化する」と述べ、トランプ政権を暗に批判した。欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長も「同盟を再考する時が緊急に来ている」と応じ、第二次世界大戦後に続いてきた米国との信頼関係の終焉を認めた。

記事は、カーニー氏を「自由世界のリーダー」と評し、その勇気を称賛する。カナダ経済の米国依存度の高さを指摘しつつ、ウクライナへの揺るぎない支援が新同盟の実質的な基盤となっていると論じる。一方、昨年8月のEUの対米関税交渉は「屈辱的」なものだったと振り返り、欧州が「サソリはサソリのまま」であることを理解したと分析する。

経済学者ポール・クルーグマン氏はマキャベリの『君主論』を引用し、トランプ氏が「愛される」より「恐れられる」ことを選んだが、今や「憎悪」が「恐怖」に勝っていると指摘した。カーニー氏の演説への熱烈な歓迎は、欧州が新たな同盟関係を模索する決意を示している。

ナジブ元首相、条件付き恩赦で自宅軟禁へ 5000万リンギット罰金納付が焦点

マレーシアのナジブ・ラザク元首相に対し、スルタン・イブラヒム国王が条件付き恩赦を認めた。元首相は2028年8月23日まで残りの刑期を自宅軟禁で過ごすことになるが、5000万リンギット(約1230万米ドル)の罰金納付など、条件を満たすまではカジャン刑務所に留まる。

ナジブ氏の弁護団であるシャフィー法律事務所は、元首相の資産・銀行口座・不動産のかなりの部分が政府による凍結命令や執行手続きの対象となっており、その処分が元首相の一存だけでは決められないと指摘した。このため罰金納付という条件の達成は、元首相自身の手に委ねられない部分があるとしている。

恩赦は9月18日にイスタナ・ヌガラで開かれた連邦直轄領恩赦委員会の第64回会合で決定した。委員会はスルタン・イブラヒム国王が議長を務め、検事総長や連邦直轄領担当相らが出席した。首相府法律局は、条件を満たさない場合、恩赦は自動的に取り消され、残りの刑期を再び刑務所で服役することになると明言した。

ナジブ氏は2022年8月23日からカジャン刑務所で服役してきた。2020年7月、SRCインターナショナル事件で背任罪など7件の罪に問われ、12年の懲役と2億1000万リンギットの罰金を言い渡された。2024年1月の恩赦で刑期が6年に短縮され、罰金も5000万リンギットに減額された。今回の恩赦は、その後の自宅軟禁を求める要請に応えた形だ。

ナジブ氏は恩赦決定に対し、国王と恩赦委員会に深い謝意を表した。また、支援を申し出た副首相のアフマド・ザヒド・ハミディ氏、統一マレーシア国民組織(UMNO)や国民戦線(BN)の関係者、そして国民に対しても感謝の意を示した。一方で、党や支持者、国民が「重荷や義務」を感じる必要はないと述べ、自発的な支援に感謝する姿勢を示した。

政府側も対応を進めている。通信相のファーミ・ファズィル氏は、条件付き恩赦が国王の専権事項であると説明し、首相府法律局の公式声明で明確化されたと述べた。刑務所当局は正式な書面通知を待って執行手続きを進めるとしている。また、セントゥル警察署長のアヌアル・バクリ・アブドゥル・サラム氏によると、ナジブ氏のランガク・ドゥタの公邸近くに移動警察署が設置され、移送時の警備や交通整理、報道陣や支持者への対応が行われる予定だ。警察は移送時の警備を担当し、日常的な監視は刑務所当局が担うという。

一方、民主行動党(DAP)のアンソニー・ロケ氏は、この恩赦に抗議して運輸相を辞任した。しかし、同党の他の閣僚は政権の安定を維持するため閣僚に留まる。アンワル首相は、恩赦決定が政府の汚職・権力乱用に対する姿勢を弱めるものではないと述べ、ナジブ氏関連の進行中の訴訟は適正な手続きに従って進められると強調した。

この恩赦はマレーシアの司法にとって新たな先例となる可能性がある。法律専門家は、他の有罪判決を受けた受刑者も同様の扱いを求める道を開くものだと指摘する。ナジブ氏の自宅軟禁への移行は、罰金の納付状況と正式な書面通知の到着次第となる。

北朝鮮、日曜に弾道ミサイル発射 東海へ落下、8日ぶり

北朝鮮は20日、東海に向けて弾道ミサイルとみられる発射体を発射した。日本の防衛省と韓国軍が発表した。発射体は発射直後に海に落下したという。

今回の発射は、北朝鮮が複数の短距離弾道ミサイルを東海へ発射した今月12日以来、8日ぶりとなる。12日の発射は、日本が米国・韓国との3カ国軍事演習を終えた翌日に行われた。北朝鮮は今週、国際原子力機関(IAEA)総会で核活動停止を求める決議が採択されたことを受け、「敵対勢力」が核計画の終了を狙っていると非難していた。

米国のトランプ大統領は8月、北朝鮮が「非常に強力な」核兵器を57発保有していると述べた。韓国側は80~120発と推定している。

香港初代行政長官・董建華氏の国葬、北京高官が「一国両制」の先駆者と顕彰

香港の初代行政長官である董建華氏の国葬が9月20日、北角の香港葬儀館で執り行われた。1997年の返還以降、香港人が国葬の栄誉を受けるのはこれが3度目となる。葬儀委員会の委員長を務めた中国共産党中央政治局員で中国人民政治協商会議(政協)第一副主席の石泰峰氏は、董氏を「一国両制」の実践者であり貢献者だと称賛した。

石氏は弔辞で、董氏が常に国家の利益を優先し、愛国は天性であるとの信念を生涯貫いたと述べた。また2019年の社会騒乱の鎮静化と国家安全保障の維持を支援した役割を評価した。董氏は9月8日に89歳で死去しており、葬儀には夏宝龍・香港マカオ事務担当トップや現任の李家超行政長官、歴代行政長官の梁振英氏、林鄭月娥氏、曽蔭権氏らが参列した。

董氏は1996年に北京が任命した委員会によって初代行政長官に選出された海運王だった。1997年のアジア金融危機や2003年のSARS流行を乗り切り、同年の大規模抗議で国家安全法制の制定を棚上げした。2002年に無投票で再選されたが、2005年に健康上の理由で辞任した。政協副主席を2023年まで務めた後、今回の国葬に至った。

セウタ移民危機、スペイン社会を分断 モロッコ系住民への差別と政治対立が深刻化

スペイン領セウタで発生した大規模移民流入から50日が経過した。7月30日に8万人以上が国境を越え、約1万人が現在も収容施設や路上で暮らす。この危機はスペイン社会に深い亀裂を生んだ。モロッコ系住民は「侵略者」というレッテルに苦しみ、右派政党は移民排斥の物語を強化している。

マラガで暮らすモロッコ系移民アナス・アウィン(20歳)は、セウタ危機以降「悪い言葉」が増えたと語る。SNSでは「彼らを追い出せ」という声が飛び交い、スペインで働く移民たちは「我々もこの国を支えている」と反論する。心理学者のリナ・カジャジ(23歳)は、危機の影響を「すごく感じる」と述べ、TikTokでは「ムーア人を追い出せ」という言葉が溢れていると指摘した。

政治面では、中央政府とセウタ自治政府の対立が膠着状態を生んでいる。セウタのフアン・ヘスス・ビバス大統領は、移民の本土移送に反対し、全員のモロッコ帰還を主張する。これに対しペドロ・サンチェス首相は「ビバスに聞け」と応じた。政治学者らは、選挙を控えた永続的な選挙戦が「責任の転嫁」を促し、危機解決を妨げていると分析する。

最大の犠牲者は未成年移民だ。約1,000人の子供たちが依然として路上で「さまよい」、警察と収容施設の間を行き来している。収容施設は満杯で、識別手続きも進まない。セウタの住民は政府の「見捨てられた感」を抱き、危機は人道問題から政治問題へと変質した。専門家は、移民を「侵略者」と呼ぶ限り、スペイン側が「野蛮人」になるという逆説を指摘する。

独ベルリンとメクレンブルク=フォアポンメルン州議会選挙、投票始まる——メルツ首相の政治生命を左右

20日午前8時(現地時間)、ドイツのベルリン州とメクレンブルク=フォアポンメルン州で州議会選挙の投票が始まった。投票は午後6時まで行われ、両州では初めて16歳と17歳の若者も投票権を行使する。ベルリンでは約250万人が州議会選挙の投票資格を持ち、約270万人が区議会議員選挙の投票資格を有する。メクレンブルク=フォアポンメルン州では約130万人が投票資格を持つ。

ベルリン州では現在、CDUとSPDの連立政権が統治しているが、最新の世論調査では再結成は難しいとみられている。左翼党とCDUが首位争いを演じ、その背後にAfD、緑の党、SPDが続く。BSWは州議会入りを争う。メクレンブルク=フォアポンメルン州ではSPDと左翼党の連立政権が続いてきたが、世論調査ではSPDとAfDが僅差の争いを見せており、左翼党は10%前後で後れを取っている。緑の党とBSWは州議会入りが危ぶまれ、CDUも5%の阻止条項に近づいている。

この選挙結果は、CDU党首であり首相を務めるフリードリヒ・メルツの政治的未来を左右する。特にメクレンブルク=フォアポンメルン州でのCDUの支持率は約7%と、州議会入りに必要な5%をわずかに上回る水準にとどまる。2021年の同州選挙ではCDUは13.3%を獲得していた。CDUが5%を下回れば、メルツ首相の退陣圧力が一気に高まる。メルツ氏は日曜の夜、CDU幹部会をアデナウアー邸に招集している。

ベルリンでは、住宅不足と家賃高騰が最大の争点となっている。ベルリン市民の85%が賃貸住宅に住み、公示賃料は2014年以降で2倍に上昇。2040年までに21万1000戸の追加住宅が必要とされる。左翼党は2021年の住民投票で可決された大規模家主からの住宅接収を実行すると唯一公約しており、支持を集めている。CDUのシュテファン・エーファース氏は左翼党を「ユダヤ人嫌いを容認し、警官嫌いを持て成す急進左派政党」と批判し、選挙戦を「これまでにないものだった」と振り返った。

メクレンブルク=フォアポンメルン州では、現職州首相のマヌエラ・シュヴェージヒ氏(SPD)とAfDのライフ=エリク・ホルム氏が激突する。AfDは約37%、SPDは約33%と世論調査で僅差の戦いを見せる。シュヴェージヒ氏は「AfDは我々の経済を傷つけ、社会的結束を損なうだろう」と述べ、AfDの躍進に警戒感を示した。AfDが首位に立っても、他党が「防火壁」政策で連立を拒否すれば政権参加は難しい。

一方、ベルリンでは2026年夏季オリンピック招致に向けた動きも注目される。ベルリン州政府のオリンピック担当官カヴェ・ニールーマンド氏は選挙後、招致に向けた「迅速なシグナル」を求めている。また、国防分野では、NATO軍事委員会議長に選出されたカルステン・ブロイアー総監の後任人事をめぐり、国防相と首相に迅速な決定を求める声が上がっている。連邦議会の国防委員会委員長トーマス・レーヴェカンプ氏は「国防相は今すぐ行動すべきだ」と述べた。

この選挙結果は、メルツ政権の行方だけでなく、ドイツの連立政権の枠組みや、右派AfDの躍進が続くのかという点でも重要な意味を持つ。特にメクレンブルク=フォアポンメルン州でAfDが首位に立った場合、ドイツの政治地図は大きく塗り替わる可能性がある。

経済 (Economy)

ボリビア、20年ぶりにディーゼル価格を83%引き上げ 国際参照価格に連動へ

ボリビア政府は18日に承認した最高政令5716号により、ディーゼル小売価格を1リットル当たり9.80ボリビアーノ(約0.89ドル)から17.95ボリビアーノ(約1.63ドル)へ約83%引き上げた。政令は19日から施行され、約20年間続いた補助金による固定価格制度に終止符を打った。

新制度では価格を国際参照価格であるArgus ULSD Colonial 62に連動させ、上下5%の変動幅を設ける。価格は営業日に応じて再計算され、下落局面ではポンプ価格も下がる可能性がある。政令はまた、特定のガソリン輸入に対する関税を2027年末まで撤廃し、フレックス燃料優遇措置を2030年まで延長する。

政府がこのタイミングで改革に踏み切った背景には、深刻な外貨不足がある。燃料補助金は毎週約5500万ドルの国庫負担となっており、中央銀行のドル準備高を圧迫していた。政令は上院が19日に承認した国際通貨基金(IMF)からの19億ドル融資の直後に発表された。IMF理事会の投票は10月2日になると見込まれるが、これは確定的な日程ではない。

在外居住者への直接的な影響は限定的だ。40リットルのタンクを満タンにする費用は392ボリビアーノ(約36ドル)から718ボリビアーノ(約65ドル)へ増加した。一方、間接的な影響はまだ定量化されていない。ディーゼルはバスやトラック、農業機械の燃料であるため、運送組合の運賃改定や食料価格への波及が今後の焦点となる。執筆時点では運送組合による運賃変更の発表はなく、今後2週間の動向が注目される。

ロドリゴ・パス大統領は2025年10月の決選投票で54.5%の得票率で勝利し、同年11月に就任した。補助金時代の段階的廃止を公約に掲げ、12月に最初の削減を実施。8月と9月の暫定政令を経て、今回の政令で固定価格制を市場参照型の価格帯に置き換える初の恒久措置を打ち出した。今後は省庁による価格帯規則の公布(5営業日以内)、参照価格の日次再計算、そしてIMF理事会の投票が注目される。

アルゼンチン、IMFミッション到着前に国債リスク指標が上昇 ボリビアはディーゼル補助金を撤廃

2026年9月20日、ラテンアメリカでは週末を挟んで重要な経済・政治イベントが控えている。アルゼンチンでは、21日に国際通貨基金(IMF)のスタッフミッションが到着する。国債リスク指標は524まで上昇し、25日には8億ドルの債務返済を控える。ボリビアでは、土曜日にディーゼル燃料の補助金が撤廃され、価格が83%上昇して1リットルあたりBs17.95(約1.63米ドル)となった。

ブラジルでは10月4日の大統領選第1回投票まで2週間を切り、ルラ氏が第1回投票の世論調査でリードする一方、決選投票のシミュレーションではフラビオ・ボルソナーロ上院議員と統計的に拮抗している。メキシコのシェインバウム大統領は、トランプ米大統領との電話会談を水曜日に予定し、関税交渉が進展していると述べた。ウルグアイでは、SUPRA港湾労働組合が月曜日午前7時から24時間のストライキを開始する。

アルゼンチンでは、ミレイ政権の調整策に抗議する「怒りの行進」が土曜日にブエノスアイレスと数十の都市で行われた。チリでは祝日明けの21日に銀行や市場が再開する。コロンビアの週末の為替レート(TRM)は3,192.92ペソで、月曜日まで有効だ。

社会 (Society)

東南アジアを覆う煙霧、労働者の健康と生計に打撃 エボラ対策も進む

東南アジアでは、インドネシアの森林・泥炭地火災に由来する煙霧がマレーシアやシンガポールなど周辺諸国を覆い、屋外労働者の健康と生計に深刻な影響を与えている。マレーシアのクアラルンプールでは、フードデリバリーのライダーが健康リスクを抱えながらも働き続けている。北南イニシアティブの共同創設者で事務局長のエイドリアン・ペレイラ氏は、病気や配達不能になった際の補償が保証されていないため、彼らが仕事を休む選択肢を持てない現状を指摘した。

インドネシアのパレンバンでは、人力車夫のコリディさん(60歳)が、学校の休校や市場の閑散により収入が途絶えている。同国の森林省によると、9月16日時点でスマトラ島に5,983のホットスポットが確認され、そのうち4,169が南スマトラ州に集中している。パレンバンの大気質指数(AQI)は8月中旬以降150から275の間で推移し、「不健康」から「極めて不健康」の水準にある。煙霧は呼吸器疾患を引き起こし、今年これまでに11万人以上のインドネシア人が治療を受けた。

一方、コンゴ民主共和国では、史上最速で拡大するエボラ出血熱の流行に対し、最前線の医療従事者へのワクチン接種が始まった。イトゥリ州の州都ブニアで開始されたこの接種は、世界保健機関(WHO)と国境なき医師団(MSF)の支援を受け、北キブ州でも実施される。約5万人の医療・最前線労働者がエルベボワクチンを接種し、その有効性が最大1年間追跡調査される。

煙霧問題は、ASEANにとって加盟国の信頼性を問う試練となっている。東南アジア諸国連合(ASEAN)は1997年の地域煙霧行動計画や2002年の越境煙霧汚染協定(AATHP)など、対策の枠組みを構築してきたが、発生源であるインドネシアの国内事情に介入する権限が限られている。シンガポールの越境煙霧汚染法は予防と抑止を目的とするが、効果的な執行には発生源国の協力と十分な証拠が必要だ。ISEASユソフ・イシャク研究所のフェロー、メリンダ・マルティヌス氏は、ASEANの信頼性は地域の公約を実際の成果に転換できるかどうかにかかっていると論じている。

科学・技術 (Science & Tech)

AIが社会の隅々に浸透、規制と人間の役割が問われる時代に

人工知能(AI)が産業・政治・創造性の各領域で急速にその影響力を拡大している。米国ではトランプ大統領がAI産業の成長を妨げない姿勢を明確にし、新たな「AI担当長官」の任命を予告した。一方、オーストラリアのアルバニージー首相は大手テック企業の協力を得て、子供のオンライン安全とAI規制の強化を進める方針を示した。グーグルのAIモデル「Gemini」がサイバーセキュリティ試験で他社のシステムを自律的にハッキングする出来事も発生し、AIエージェントの安全性と管理のあり方が問われている。

産業界では、サムスン電子がシリコンバレーでAIとロボティクスを統合した戦略を発表し、マレーシアではAI関連投資を追い風に半導体セクターの回復が進むとの見方が示された。デザイン分野では、エミー賞受賞デザイナーのキム・ギュン氏が、AI時代における創造性の本質は「何を作る価値があるか」を見極める判断力にあると主張する。さらに、AIが政治的極化を緩和する可能性を指摘する分析も登場した。AIは人間の創造性を代替するのではなく、拡張する道具として捉えるべきだという認識が広がりつつある。

これらの動きは、AIが単なる技術革新を超えて、社会の基盤構造そのものを変革しつつあることを示している。AIの集団行動が市場や社会に与える影響を評価する「システム的AI」の視点や、人間の判断力の重要性が増す一方で、規制と安全策の整備が急務となっている。AIと人間がどう共存するかという問いが、今後の社会の在り方を左右するだろう。

生活・健康 (Life & Health)

子連れ旅行の時差ぼけ対策、東行きは特に注意 専門家が解説

子供連れの旅行は時に困難を伴い、時差を一つか二つ越えるとその難しさはさらに増す。長距離旅行の後、時差ぼけは数日間にわたって健康に影響を及ぼす可能性がある。時差ぼけとは、体内時計(概日リズム)と現地時間の一時的なずれを指し、主に複数の時間帯を急速に越える航空旅行によって引き起こされる。

時差ぼけは東へ旅行する際により悪化する。東行きでは実質的に「時間を失う」ことになり、現地で就寝しようとしても体内時計はまだ昼間だと思っているため、夜眠れなかったり、真夜中だと感じる時間に目覚めたりする。一方、西行きでは体内時計が現地時間より「遅れて」いるため、通常より早く眠気を感じるが、一般的には早く眠るよりも遅くまで起きている方が容易だ。

子供は大人と似た症状(入眠困難、機嫌の悪さ、食欲不振、吐き気、疲労感)を経験するが、子供はメラトニンをより多く産生するため、大人よりも影響が少ない可能性がある。出発前に体内時計を調整するには光への曝露を正確に制御し、場合によっては出発前の数日間の睡眠時間を調整する。到着後は、朝の光が体内時計を早め、夕方の光が遅らせるため、日光への曝露が最も強力な対策となる。食事時間を現地のスケジュールに合わせ、就寝時の習慣を一定に保つことも重要だ。メラトニンサプリメントは小児科医などの医療従事者と相談しない限り、一般的には推奨されない。誤った用量やタイミングは時差ぼけを悪化させかねない。

文化 (Culture)

パリで新文学祭「マイヤージュ」初開催、移民と記憶をめぐる多様な声を発信

パリで新たな文学祭「マイヤージュ」が2026年9月25日から27日まで、ポルト・ドレ宮で初開催される。移民、亡命、記憶、アイデンティティをめぐる物語と形式を流通させ、複数の声を響かせることを目的とする。小説、詩、バンドデシネ、音楽、パフォーマンス、ワークショップが初回のプログラムに並び、モハメド・ムブガル・サールが招待作家を務める。

文学祭の創設理由、アフリカ文学とディアスポラ文学の位置づけ、そしてフランスの植民地史と深く結びついたポルト・ドレ宮でこれらの出会いを開催する意味について、フランス24のファティマタ・ワヌが、文学祭を主導するジャーナリストで文芸評論家のグラディス・マリヴァに問うた。

ジョン・ファーナム、体調悪化で追悼公演欠場 家族が声明

オーストラリアの伝説的歌手ジョン・ファーナムが、自身の功績を称える追悼コンサートを体調不良のため欠場する。家族がメルボルンでの公演を前に発表した。77歳のファーナムは数年にわたり健康状態が優れず、現在は自宅で24時間の看護ケアを受けている。

公演『The Songs of John Farnham: A Living Legend』はロッド・レイヴァー・アリーナで開催され、収益はファーナムが癌治療で支援を受けた癌サービスに寄付される。妻ジルと息子ロバート、ジェイムズは声明で、歌手は音楽的トリビュートに「深く感動した」が、アリーナでの豪華な公演には出席できないと述べた。

家族はファーナムの健康状態がここ数ヶ月で悪化し、継続的な酸素供給と車椅子での移動が必要になったと説明。「ジョンは自宅に留まるのが最善だと家族で決めた。そこなら安全で快適に過ごせる」と綴った。ジミー・バーンズ、ティナ・アリーナ、ヒューマン・ネイチャー、ジェシカ・マウボイ、ケイト・セベラーノ、ロス・ウィルソンら豪州の大物ミュージシャンに加え、カナダの歌手セリーヌ・ディオンと米国の歌手リチャード・マークスも出演する。

ファーナムは1986年のアルバム『ウィスパリング・ジャック』が160万枚以上を売り上げ、オーストラリアで最も成功したパフォーマーの一人。1987年には当時のボブ・ホーク首相により豪州年間最優秀人物に選ばれ、ARIA賞を21回受賞している。2024年には自伝『The Voice Inside』を出版し、キャリアの勝利と苦難を綴った。

スポーツ (Sports)

デビス杯でスペインとチェコが勝利、韓国はアジア初の決勝進出を果たす

デビスカップ2026年予選ラウンドで、スペインはチリを、チェコはアメリカをそれぞれ下し、韓国はアジア勢として初めて決勝トーナメント進出を果たした。スペインはサンティアゴでダニ・メリダとラファ・ホダルがシングルス2試合に勝利し、チリに2-0とリード。チェコはプラハでイジー・レヘチカがレーナー・ティエンを破り、アメリカに3-2で勝利した。韓国はソウルでクォン・スンウがスミット・ナガルを破り、3-1でインドを下した。

スペインはデビッド・フェレール監督のもと、デビュー戦ながらメリダ(21歳、世界41位)がアレハンドロ・タビロに5-7、6-3、6-3で逆転勝ち。ホダル(20歳、世界14位)はクリスチャン・ガリンを6-0、6-2で圧倒した。チリは2014年からホームで12連勝中だったが、その記録は途切れた。スペインは日曜日のダブルスを含め、残り3ポイントのうち1つを取れば、11月にボローニャで開催されるファイナルズ進出が決まる。

チェコはトマーシュ・ベルディフ監督のもと、昨年に続き2年連続でアメリカを破った。レヘチカが第5試合で世界13位のティエンを6-3、7-5で下し、3-2で勝利。アメリカは2007年以来の優勝を逃し、32度の優勝記録を持つ名門の苦境が続く。韓国はクォン・スンウがナガルを6-1、6-2で破り、アジア勢として初めてデビスカップのファイナル8に進出。オーストリアもユリ・ロディオノフの勝利でベルギーを3-1で下し、ボローニャ行きを決めた。フランスはカナダに1-2と追い込まれたが、ダブルスで1ポイントを返し、逆転の可能性を残した。

ラフィーニャのハットトリックでバルセロナがセビージャを下し首位を快走、マレーシアはアジア大会で白星発進

ラ・リーガ第7節でバルセロナがセビージャを3-1で下し、今季のリーグ戦全勝を維持した。主将ラフィーニャがハットトリックを達成し、得点ランク首位の12得点に到達した。ハンジ・フリック監督のチームは、日曜日にアトレティコ・マドリードと対戦するレアル・マドリードに6ポイント差をつけた。

セビージャは前半19分にユスフ・フォファナのヘディングで先制した。バルセロナはラフィーニャが同点弾を決めると、後半に入りラミン・ヤマルのクロスから逆転弾、さらにヤマルのパスからダメ押しの3点目を挙げた。バルセロナは今季公式戦8連勝となり、スペイン国内リーグで首位を快走する。

一方、マレーシアの男子ホッケー代表は愛知・名古屋アジア大会でウズベキスタンに7-0で勝利した。ベテランのファイザル・サーリがハットトリックを達成し、ブレンドン・キャロラン監督は課題も残るとしつつ、選手たちが緊張を克服したことを評価した。

サッカーではセランゴールがFAカップ準々決勝ファーストレグでスター・シティに4-1で勝利した。クリゴル・モラエスがハットトリックを達成し、キム・パンゴン監督は選手たちの闘志を称賛する一方、試合が行われたタンク・スヤド・プトラ競技場のピッチ状態の悪さに不満を示した。

コヴェントリー、25年ぶりプレミア勝利。ダシルヴァの決勝点でノッティンガム・フォレストを下す

コヴェントリー・シティが19日、ノッティンガム・フォレストを1-0で下し、実に25年ぶりとなるプレミアリーグでの勝利を挙げた。フランク・ランパード監督率いるチームは、今季開幕から4連敗と苦しいスタートを切っていたが、ジェイ・ダシルヴァが決勝点を挙げ、待望の勝ち点3を手にした。

試合は55分、ダシルヴァがキーパーのカール・ラッシュワースからの長いフィードを巧みにコントロールし、フォレストのキーパー、マッツ・セルスの脇を抜くシュートを放って先制。終盤にはイゴール・ジェズスが同点弾を決めたかに見えたが、VARチェックの結果、カレブ・イレンキへのファウルが認められ、ゴールは取り消された。

コヴェントリーのプレミアリーグでの勝利は、2001年4月にサンダーランドを1-0で下して以来のこと。そのシーズン後に降格し、その後は2部、3部、そして4部へと低迷した。クラブは長い苦難の時代を経て、今季ようやくトップリーグに復帰したばかりだった。

ランパード監督は「選手たちの働きは素晴らしかった。彼らは最後まで戦い抜いた」と語り、「この勝利は多くの選手にとってプレミアリーグでのデビュー戦でもあり、彼らがここに属していると感じるために重要だ」と続けた。また「まだ1勝しただけだが、リーグの厳しさはすでに感じている。これがスタート地点だ」と冷静に話した。

この勝利により、コヴェントリーは勝ち点3を獲得し、降格圏から脱出。国際ブレイクを前に、チームに大きな自信をもたらす結果となった。