サウジアラビアの首都リヤドで19日、主要空港の近郊から大規模な黒煙と炎が上がった。サウジ当局が前夜から早朝にかけて首都圏に空襲警報を発令するなか、イエメンの親イラン武装組織フーシ派との戦闘激化が首都に及んだ形だ。ロイターの映像と写真では、空港高速道路やターミナルビルを手前に黒煙の柱が立ち上る様子が捉えられた。映像の一部では燃料タンクとみられる施設の背後から炎が上がっていた。現地のAFP記者は、空港近くの燃料貯蔵施設でサウジ国営石油会社アラムコのロゴが付いた燃料タンクが燃え、消防隊が消火活動にあたるのを目撃した。航空追跡サイトのFlightRadar24はリヤドのキング・ハリド国際空港で「大きな問題」が発生したとし、最大の混乱指数に分類した。
フーシ派の軍事スポークスマン、ヤヒヤ・サリー氏は同日、弾道ミサイルと巡航ミサイル、無人機を使い、リヤドの「重要施設」と紅海沿岸の都市ヤンブーのアラムコ施設を攻撃したと発表した。サリー氏はテレグラム上の声明で「サヌアの首都を標的にしたサウジの敵の犯罪的試みに応えるため、イエメン軍は多数の弾道・巡航ミサイルと無人機を用いた2つの軍事作戦を成功させた」と述べた。サウジ当局はフーシ派の主張を直ちに確認しなかった。
サウジ民間防衛局は前夜、リヤドとその東にあるアル・ハルジュ市に航空攻撃の可能性があるとして携帯電話で警報を送信し、土曜朝に解除した。リヤドのオラヤ地区にいたロイター記者は、解除前に爆発音を聞いた。AFP記者も現地で2回の爆発音を確認し、その約30分後に警報が解除された。住民は「空港方面に黒い煙と火が見えた」「警報を聞いて窓が揺れた。本当に怖かった」と証言した。別の住民は「以前と違い、解除の合図がすぐに来なかったので非常に不安だった」と語った。今回の警報は、7月にフーシ派との戦闘が再燃して以来、首都では初めてだった。
フーシ派は7月にサウジに対する海上封鎖を宣言して以来、紅海でサウジ船を標的に攻撃を続けている。今月に入って電撃的な攻勢でイエメンの紅海沿岸全域を制圧し、戦略的なバブ・エル・マンデブ海峡を掌握した。サウジはこれに対し、フーシ派支配地域に数百回の空爆を実施したが、進撃を止められていない。国連安全保障理事会は19日、声明で「民間人とエネルギーインフラに影響を与えるフーシ派の継続的な攻撃を最も強い言葉で非難する」とし、女性や子どもを含む民間人が負傷したと指摘した。理事会はフーシ派のイエメンでの軍事的拡大も非難した。
この戦闘激化は、2月末に米国とイスラエルがイランを攻撃して始まった中東戦争の新たな戦場となっている。イランの最高国家安全保障評議会書記、モフセン・レザイ氏はアルジャジーラのインタビューで、サウジとフーシ派の戦争終結を望むと述べ、イエメン人もサウジとの和解を望んでいるとの見方を示した。米国とイランの核交渉は停滞しており、トルコのハカン・フィダン外相は「ここ数カ月、米イラン交渉は行き詰まっている」と指摘し、フーシ派の攻撃が状況を複雑化させていると述べた。米国は先週、フーシ派攻撃を求めるサウジの要請を拒否したと報じられ、一方で16日にはサウジへのF-35戦闘機48機、243億ドルの売却を承認した。国連によると、戦闘再燃で11万2000人以上が避難し、約3000人が海を渡ってジブチに逃れた。サウジの原油輸出は7月以降、バブ・エル・マンデブ海峡経由で減少しており、世界経済にさらなる圧力がかかっている。