欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は16日、ストラスブールの欧州議会で行った年次一般教書演説で、カナダをEU初の「準加盟国」とする構想を打ち出した。カナダのマーク・カーニー首相が同席する中での提案であり、両者は貿易・技術・防衛・北極・エネルギー・重要鉱物・AI・量子計算・サイバー安全保障・経済安全保障など幅広い分野での協力拡大を目指す「未来のための同盟」を構築する方針だ。
これに対しドナルド・トランプ米大統領は同日、ノースカロライナ州シャーロットで記者団に対し、この構想を「笑える話だ」と評し、「敵対行為と見なせば、非常に高い関税を課すか、多くの分野で欧州との貿易を停止する」と警告した。トランプ氏は欧州首脳の意図次第で対応を変えるとし、「善意なら問題ない。悪意なら欧州に非常に高い関税を課す」と述べた。またカナダを「ひどい貿易相手国」と呼んだ。
この提案は、トランプ政権の関税政策と「カナダを51番目の州にする」との度重なる発言で悪化した米加関係を受けて、カナダが欧州との結びつきを強めようとする中で浮上した。カナダは輸出の約70%を米国に依存しており、カーニー首相はEUとの「独自の同盟」を模索してきたが、正式な加盟には慎重な姿勢を示している。
準加盟国という地位はEU条約に存在しないため、その実体は不明確だ。カナダのEU大使就任予定のジョナサン・ウィルキンソン氏は「そこまで行っていない」と述べ、まずは実質的な成果に焦点を当てるとした。10月にモントリオールで予定されるカナダ・EU首脳会議で、より具体的な枠組みが示される見通しだ。
一方、トランプ氏は同日、連邦政府調達制度からカナダ製品を除外する大統領覚書に署名した。これはカナダ政府の「バイ・カナディアン」政策への報復措置で、米加間の貿易摩擦は一段と激化している。EUと米国は7月に貿易協定が発効し関係が安定化したばかりであり、今回のカナダ準加盟構想が米欧関係に新たな緊張をもたらす可能性がある。
カーニー首相は17日に欧州議会で演説を行う予定で、この政治的な「ロマンス」がどこへ向かうのか、その方向性を示す場となる。欧州連合の外交・安全保障政策の上級代表であるカヤ・カラス氏も、新たな安全保障戦略の策定に関与しており、EUは米国抜きの安全保障枠組み構築を模索している。