The Morning Star Observer

2026年09月17日 木曜日朝刊 (Morning Edition)ArchiveAbout

フーシ派の紅海沿岸制圧でサウジが窮地、イランが勢いを取り戻す

フーシ派がバブ・エル・マンデブ海峡を見下ろす要衝を制圧したことで、サウジアラビアはイエメンにおけるここ数年で最も深刻な打撃を受けた。この攻勢はサウジの情報機関の失敗、イエメン同盟勢力の崩壊、そして米国の保護の限界を露呈させた。

フーシ派は今週、紅海沿岸に沿って進軍し、世界の石油供給の大動脈である海峡の入り口に位置する島々を制圧した。これによりサウジは支援を求めて奔走する一方、イランとその同盟国は勢力圏を拡大している。

欧米や地域の高官、イエメン当局者らは、フーシ派の突破口が反フーシ派勢力の深い分裂、アラブ首長国連邦の監督に代わる未経験のサウジ主導の指揮系統、限られたサウジの空軍支援、そしてフーシ派の準備の過小評価など、複数の要因を反映していると指摘した。ある外交官によれば、フーシ派は約10万人の戦闘員を静かに集結させており、これは対峙する勢力を大幅に上回る規模だという。

サウジ支援勢力の崩壊により、フーシ派は領土に加えて、撤退時に放棄された米国製・サウジ製の高度な兵器の相当量を獲得した。この戦利品は同派の軍事能力を強化し、敵の装備に関する貴重な情報を提供するとみられる。

一方、サウジの反撃への国際的支援は限定的だ。欧米当局者2人によれば、米国も欧州諸国も直接の軍事支援を用意しておらず、ワシントンとその同盟国は7月に発表されたサウジ主導の海上防衛連合にすら加わっていない。

イラン支援の戦闘員がサウジの石油輸出と紅海の海運を脅かす領土を保持する中、皇太子ムハンマド・ビン・サルマンはカイロを訪問し、両国間の軍事協力を協議した。地域筋によれば、リヤドは紅海での作戦でエジプトに役割を果たしてほしいと考えている。

フーシ派はまた、獲得した利点を利用してより広範な政治的譲歩を迫っている。元米国交渉官デニス・ロス氏によれば、同派はリヤドに対し、ホデイダ港とサヌア空港への制限解除、戦争への補償、国際的に承認されたイエメン政府への支援縮小を求めている。

湾岸諸国の当局者は、サウジが今や選択肢を狭められていると指摘した。フーシ派に獲得地を固めさせれば戦術的勝利が長期的な戦略的優位に変わるリスクがあり、より大規模な軍事対応は王国の奥深くへの攻撃を招く可能性がある。

バブ・エル・マンデブ周辺の領土支配は、フーシ派の地域的到達力を深め、アフリカの角を彼らの兵站・密輸網のより容易な範囲に置くことになる。イランのホルムズ海峡への影響力と組み合わさることで、テヘランとその同盟国は2つの重要な海上の要所に影響力を持つことになる。

イランとのデタントを通じて地域を安定させようとするムハンマド・ビン・サルマンの外交戦略は、戦争開始以来崩れつつある。彼の経済変革アジェンダはますます圧力を受けており、王国の事実上の支配者への圧力が高まっている。

フーシ派の攻勢は、サウジと米国の戦略の盲点を明らかにした。ワシントンとその同盟国がイランを直接封じ込めることに集中する一方、テヘランはイラクから紅海まで戦線を広げ、エネルギー資産、航路、代理勢力を圧力の手段として利用した。

フーシ派の突破口のより大きな意義は、サウジへの打撃だけでなく、ガザ、シリア、レバノンでの同盟国の大きな挫折の後、イランの地域的影響力に勢いを取り戻すことにある。アナリストのファレア・アル=ムスリミ氏は、イランにとって「ウィン・ウィン・ウィン」だと評した。

より重大な打撃は戦場の逆転ではなく、同盟国を助けるためのワシントンの消極性だとする政治アナリストもいる。そのシグナルは敵を勢いづかせ、リヤドの影響力を弱め、米国の安全保障の保証の信頼性への疑念を強めた。

イエメンが外国勢力を打ち負かしてきた長い歴史は、リヤドのパートナー探しが限られた成果しか生まない理由を説明する。地域の大国は、外部介入の試みを繰り返し挫折させてきた紛争に深く引き込まれることを熱望していない。

「イエメンは、そこに引きずり込まれたあらゆる勢力にとってのベトナムでありアフガニスタンだ」とムスリミ氏は語った。「サウジはイエメンで失敗し、米国もイエメンで失敗した。エジプト人もイエメンで失敗した」と付け加えた。

ガザで戦災建物が崩壊し21人死亡、スーダン金鉱でも60人以上が犠牲に

2026年9月16日、ガザ市タル・アル=ハワ地区で、以前のイスラエル軍の空爆で損傷を受けていた6階建ての集合住宅が崩壊し、少なくとも21人が死亡した。ガザの民政防衛当局によれば、犠牲者には子供5人が含まれ、100人以上が避難生活を送っていたという。崩壊は早朝に発生し、近くの家屋やテントを直撃。救助隊は重機不足の中、素手で瓦礫を掘り起こし、生存者の救出を続けている。国連開発計画(UNDP)のガザ事務所長アレッサンドロ・ムラキッチ氏は、約400棟の建物が冬を前に崩壊の危険にさらされていると警告した。

一方、スーダン西部の西コルドファン州にあるアル=ザラー金鉱で火曜日に坑道が崩落し、少なくとも60人の鉱夫が死亡した。生存者のハイル・アル=サイイド・ジャバラ氏は、仲間たちが一晩中、採掘用の簡単な道具で救出作業を行ったが、重機が必要だと語った。同地域は準軍組織「即時支援部隊(RSF)」が支配しており、安全基準や救助装備の不足が被害を拡大させた。スーダンはアフリカ有数の金産出国だが、大半が規制の緩い小規模採掘で産出され、内戦の資金源ともなっている。

さらに、イスラエルでは、ガザでの戦闘における民間人犠牲の実態を描いたドキュメンタリー映画『NAZA』がヴェネツィア国際映画祭で24分半のスタンディングオベーションと審査員特別賞を受賞した。しかし、イスラエル国内では、映画が軍の情報源を匿名で用いたことに対し、文化相ミキ・ゾハル氏がシン・ベト(国内情報機関)に調査を要求。ネタニヤフ首相も「容認できない」と批判するなど、政治論争に発展している。これらの出来事は、停戦後も続くガザの人道危機と、スーダン内戦の影響が金鉱労働者の命を脅かしている現実を浮き彫りにした。

コソボ元大統領サチに戦争犯罪で25年の刑、ハーグの特別法廷が判決

ハーグのコソボ特別法廷は16日、元コソボ大統領ハシム・サチ(58)を戦争犯罪で有罪とし、懲役25年の判決を言い渡した。判決は1998~99年のコソボ紛争中、コソボ解放軍(KLA)の最高司令官として、政治的対立者やセルビア軍の協力者とみなされた人物らを殺害・拘束・拷問した行為を認定したものである。

裁判長チャールズ・スミス3世は判決で、サチが96人の殺害、385人の恣意的拘束、303人の拷問、約50人への残酷な待遇に関与したと述べた。検察は45年の刑を求めていたが、3人の判事は人道に対する罪の訴因を棄却し、戦争犯罪のみを認定した。サチは2020年に起訴されると大統領を辞任し、ハーグで身柄を拘束されていた。判決後、サチの弁護団は控訴する方針を示した。

コソボではサチとKLAは独立闘争の英雄とみなされており、首都プリシュティナでは判決を聞くために数千人が集まった。判決が下されると群衆は沈黙し、その後「不公平だ」との声が上がった。コソボのクルティ首相は「容認できない不正義だ」と述べ、外相のコンジュフツァは「コソボと解放戦争にとって悲惨な判決だ」と語った。コソボは2008年にセルビアからの独立を宣言したが、ベオグラードは今も承認しておらず、両国の緊張は続いている。

EU、カナダに初の「準加盟国」提案 フォン・デア・ライエン委員長が表明

欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は16日、ストラスブールの欧州議会で行った年次「欧州連合の現状」演説で、カナダをEU初の「準加盟国(associate member)」とする意向を表明した。演説にはカナダのマーク・カーニー首相が出席し、提案に対して議場からはスタンディングオベーションが起きた。この地位はEU条約に定義されておらず、新たに創設する必要がある。

フォン・デア・ライエン氏は「カナダがEU初の準加盟国となる扉を開くため、あなたと共に働きたい」とカーニー首相に語りかけた。両者は世界を「同じ目で見ている」とし、人工知能(AI)、気候変動、北極圏、地政学などで共通の利害を持つと強調。ウクライナ支援、防衛、重要鉱物、サプライチェーンでも協力してきたと述べた。その上で、既存の自由貿易協定(CETA)を基盤に、先進製造業、技術、防衛産業の統合、北極圏の共同プロジェクト、エネルギー、重要鉱物、電池、AI、量子コンピューティング、サイバーセキュリティ、経済安全保障を網羅する「未来のための同盟(Alliance for the Future)」を構築し、「共通の繁栄と経済安全保障の空間」を創り出すと宣言した。

この提案は、トランプ米大統領の関税政策と「51番目の州」発言により、カナダが対米依存を減らし欧州との関係強化を模索する中で打ち出された。カナダの輸出の約7割は米国向けで、カーニー首相はEUとの「独自の同盟」を求めている。一方、EU側も米国との貿易摩擦や中国との競争激化に対応するため、新たなパートナーを必要としていた。

しかし、この構想はEU加盟国に事前に協議されずに発表されたため、各国を驚かせた。外交官らは「準加盟国」の具体的な意味が不明だと指摘する。カナダ側も慎重な姿勢で、駐EU大使に就任予定のジョナサン・ウィルキンソン氏は「まだそこまで行っていない。成果を出すことに集中している」と述べた。ドイツのメルツ首相は今年5月、ウクライナに同様の「準加盟国」構想を提案したが、ウクライナは完全加盟を求めて拒否した経緯がある。EU条約は加盟資格を欧州の国家に限定しており、カナダは地理的条件から完全加盟は難しいとされる。

CETAは2017年に暫定発効したが、EU加盟27か国のうち10か国がまだ批准していない。より踏み込んだ協定には各国政府の政治的熱意が必要となる。カナダは今年、非欧州国として初めてEUの防衛調達プログラム「SAFE」に参加しており、欧州との防衛協力も進んでいる。

カーニー首相は17日、欧州議会で自身のビジョンを述べる予定だ。また、10月末にはモントリオールでカナダ・EU首脳会議が開催される。フォン・デア・ライエン氏は演説で、中国との貿易赤字(1日10億ユーロ)への対応、13歳未満の子供のSNS利用禁止法案(KIDS Act)、移民危機への欧州緊急対応枠組み、NATO第4条に相当する欧州安全保障理事会の創設なども提案した。この提案が実現すれば、EUは初の中間的加盟形態を創設することになり、英国やノルウェーなど他の非加盟国との関係にも影響を与える可能性がある。

政治 (Politics)

EU、13歳未満のSNS利用を禁止へ 段階的規制を発表

欧州連合(EU)は9月16日、13歳未満の子どもに対するソーシャルメディア利用を禁止し、15歳未満には保護者の監督下での限定的な利用のみを認める新たな計画を発表した。EU委員長ウルズラ・フォン・デア・ライエンがフランス・ストラスブールで行った年次一般教書演説で明らかにしたもので、子どもの身体的・精神的健康への悪影響を示す証拠が増える中、政策立案者への圧力が高まっていた。

新計画では、13歳未満はソーシャルメディアを利用できず、13歳から15歳未満は保護者や後見人が設定・監督する「ミニ・アカウント」のみが許可され、機能が制限され、1日1時間の利用時間制限が課される。15歳から18歳までは、プラットフォームに安全な設計が義務付けられる。さらに、子どもの利用時に「無限スクロール」などの依存性を生む設計機能も禁止される。違反したプラットフォームには年間売上高の最大6%の罰金が科される。

フォン・デア・ライエンは演説で、いじめを受けた後に自殺したベルギーの14歳少女オレアさんに言及し、「世界中に張り巡らされたネットワークがなければ、私の娘は今もここにいただろう」という母親の言葉を紹介した。EUは9月17日、技術担当委員ヘンナ・ヴィルクネンとともに、年齢別の制限を含む「キッズ法」を正式に提案する。オンラインゲームやAIチャットボットも規制対象となる見込みだ。

この提案は、EU加盟国と欧州議会との間で最終文書の交渉が行われた後に法律となる。オーストラリアが昨年、16歳未満のソーシャルメディア利用を禁止する最初の国となったことを受け、英国やフランスなどでも同様の動きが広がっている。一方、南アフリカは16歳未満の全面禁止には慎重な立場を示しており、年齢確認の仕組みやプライバシー保護をめぐる課題も残る。

米国、南アフリカのアフリカーナー差別主張でビザ制限を発表、南アフリカは否定

米国は9月15日、南アフリカのアフリカーナー(白人少数派)に対する差別とされる問題を理由に、特定の南アフリカ人に対するビザ制限を発表した。マルコ・ルビオ国務長官が発表したこの政策は、土地の無償収用、人種差別、少数民族への暴力扇動に関与する外国人を対象とする。南アフリカ政府はこれを否定し、自国の政策を擁護した。

南アフリカのロナルド・ラモラ国際関係・協力相は声明で、この発表は「南アフリカの国内政策を歪曲する周辺集団」によるものだと述べた。南アフリカは2023年にヘイトクライム法を制定し、アパルトヘイト後の不平等是正を目指している。ルビオ氏は、南アフリカ政府が以前に示された懸念に十分対応していないと指摘した。トランプ大統領は2025年に南アフリカへの援助を打ち切り、アフリカーナーに難民資格を与えた。今回のビザ制限は特定の個人を指名しておらず、米国大使は「一連の段階的措置の第一歩」と述べた。

両国の関係は、南アフリカの土地改革、黒人経済エンパワーメント、イランとの外交政策などを巡って緊張が続いている。イーロン・マスク氏は土地改革の批判者として知られる。南アフリカはG20での米国の対応や30%の関税などで圧力を受けており、今回のビザ制限でさらに悪化する可能性がある。南アフリカ政府は外交的解決を求めているが、米国は「対話は終わった」としている。

世界の動向:政治・経済・科学技術の最新ニュース

世界各地で政治・経済・科学技術の重要な動きがあった。米国では記録的な退職と予備選での敗北が相次ぎ、ケニアでは若手政治家が台頭している。経済面ではIKEAが米国で店舗閉鎖を進め、TSMC幹部がAIの限界を指摘した。科学技術では2400万年前の新種発見やAIモデルによる賞金獲得などがあった。

政治では、米国の2026年中間選挙に向けた予備選が終了し、第119議会の開始時にいた議員の約5人に1人が来年議席を失うことになる。NPRの集計によると、99議席(下院83、上院16)で交代が確実となり、13人の現職が予備選で敗北した。退職・辞職・他職への立候補は歴史的な水準に達し、トランプ政権の不人気と民主党有権者の若返り要求が背景にある。ケニアでは、44歳の上院議員エドウィン・シフナが来年8月の大統領選に向けて、ルート大統領の腐敗と暴力を批判し、若い有権者の支持を集めている。彼はまだ正式に出馬を表明していないが、首都ナイロビで大規模な集会を開いた。

経済では、スウェーデンの家具大手IKEAが米国テキサス州サンマルコスの小型店舗を11月1日に閉鎖すると発表した。これで2026年の世界全体の閉鎖は13店舗となり、うち5店舗が米国市場に集中する。小型店舗は米国消費者の「一日がかりの遠足」という購買行動と合わず、限られた品揃えと配送待ちが不満を招いた。一方、台湾のTSMCの共同最高執行責任者Y.J.ミイは、AIを「3歳のスーパーマン」と表現し、研究開発での過度な依存に警鐘を鳴らした。データ漏れや改ざんのリスクを指摘し、最先端チップ設計への実用性に懐疑的な見方を示した。

科学技術では、タンザニアで約2億4000万年前の三畳紀に生息した新種のディノドントサウルス「Dinodontosaurus isiyavamanda」が発見された。ブリストル大学の国際チームが、ロンドン自然史博物館に保管されていた化石を再調査し、南米以外では初めての確認となった。この発見は、タンザニアの地層が南アフリカより最大1000万年若い可能性を示し、恐竜の初期進化の年代の再評価を促す。また、米ニュージャージー州の17歳の学生プラディユムン・インダーナが、物理学に基づくニューラルネットワークで核反応炉の限界熱流束の予測誤差を約63%から5.5%に改善し、5万ドルの奨学金を獲得した。さらに、パプアニューギニアのセピック川で、1985年以来科学者に確認されていなかったホウネンタチウオ科の魚「ホウレンソウパイプフィッシュ」が、地元の漁師ヘレン・アスによって再発見された。

社会・文化では、アリゾナ州ピオリアで5歳のテオ・サボ君が、気温41度の車内に2時間半以上取り残され死亡し、両親が過失致死で逮捕された。両親は14歳の息子に降ろすよう頼んだと主張したが、息子は否定した。シンガポールでは、19歳の男性が妹への性的暴行で禁固12ヶ月と鞭打ち1回の判決を受けた。ロシアのクラスノヤルスク地方では、66歳の女性がクマに襲われ死亡し、今年のクマ襲撃の増加が報じられている。文化面では、オランダのユトレヒト大学図書館で、約1700年前のホメロスの『オデュッセイア』の断片が発見された。また、ウェールズ出身の俳優マシュー・リースが、第78回エミー賞で史上初めて一夜に主演男優賞を2部門(ドラマとコメディ)受賞した。スポーツでは、南アフリカのクリケット選手カラボ・メソがジンバブエ遠征で無敗の50点を記録した。

これらの動きは、今後の世界の政治・経済・科学の方向性に影響を与えるだろう。米国の議会構成の変化は政策決定に影響し、ケニアの若手政治家の台頭はアフリカの政治に新風を吹き込む可能性がある。IKEAの戦略見直しは小売業界の変化を示し、TSMCのAIへの慎重姿勢は半導体産業の技術革新に影響する。科学の発見は歴史や環境理解を深め、社会の出来事は人々の生活や安全に直結する。

AI巡る世界の対立激化、国連が規制訴えトランプ氏は楽観論

人工知能(AI)の急速な発展をめぐり、世界の指導者や産業界の間で規制を求める声と楽観論が激しく対立している。国連のアントニオ・グテーレス事務総長は16日、世界の指導者らに対し、AIがもたらすリスクを無視することはできないと警告した。これは、既存の安全策で十分だと主張する米国のドナルド・トランプ大統領と対立する立場だ。グテーレス氏は来週の国連総会を前に記者会見し、より強力な監督の必要性が各国首脳との協議の主要議題になると述べた。

「AI開発の最前線にいる人々が提起した懸念を無視するわけにはいかない。あらゆる政府の第一の責務は、AIの脅威を含め、国民を守ることだ」とグテーレス氏は語った。AIの潜在的な危険に対する国民の警戒感は、Anthropicの研究者ジェイコブ・コクソン氏が先週辞任を表明したことを機に高まっている。コクソン氏は「AIを構築している人々は、これが10年以内に我々全員を殺すと本気で信じている」と述べた。これを受け、業界最大手の企業幹部らは技術開発のペースを緩めるよう求めた。

一方、トランプ氏は15日、米国にはAI企業を規制・訴追するための安全策が既に存在すると述べ、業界幹部が示した懸念を軽視した。トランプ氏はAI開発に懐疑的な見方が広がる中、自身の判断力への信頼を求めている。「AIに必要な唯一のコントロール、つまり『ガードレール』は、強くて賢い大統領だ。米国にはそれが十分にある」と自身のソーシャルメディアに投稿した。元大統領顧問のスティーブ・バノン氏は「これは素晴らしい技術になり得るが、彼らに白紙委任状を与えるつもりはない」と述べ、バーニー・サンダース上院議員は「規制されていないAIの『潜在的に破滅的な結果』に議会は対処してこなかった。両党の議会は眠ったままだ」と批判した。

こうした対立の中、グテーレス氏はAIの最前線で最大の能力を持つ国々が「連絡・情報交換のメカニズムと共通のガードレールを確立し、いつか世界規模の大災害につながる可能性のある『底辺への競争』を避けるべきだ」と述べた。トランプ氏は来週、ワシントンで中国の習近平国家主席と会談する予定で、両国はAIのリスクを話し合う別会合を計画していると報じられている。グテーレス氏は「強力なシステムがより強力な安全策や追加のリスク管理措置を必要とする場合にそれを特定しながら、安全で確実かつ責任あるAI開発をどう前進させるかについて共通の理解が必要だ」と語った。

さらに、イランのホセイン・シマエイ=サラフ科学・研究・技術相はサウジアラビアのリヤドで開催された世界AI倫理フォーラムで、データ分析におけるAIの利用拡大が「見えざる独裁」を生む可能性があると警告した。「テクノロジーは中立ではなく、AIはそれ自体では公平に機能しない。アルゴリズムが破壊する方が建設するより多いこともあり、プラットフォームが発展ではなく害悪の源になることもある」と述べた。また、監視が一般市民に向けられ、行動や人間関係、意図を追跡するようになると「見えざる独裁」に変わり得ると指摘した。

このAIをめぐる世界的な議論は、技術の進歩をどう制御するかという根本的な問いを突きつけている。楽観論を唱えるトランプ政権と、規制強化を求める国連や業界内部の声が交錯する中、来週の国連総会と米中首脳会談が今後の方向性を決める重要な場となる。AIが人類にとって祝福となるか、それとも破滅への道となるか。その帰結は、世界の指導者たちが下す決断にかかっている。

英政府のフォークランド企業向け指針にアルゼンチンが猛反発、領有権主張を再確認

英政府は15日、フォークランド(マルビナス)諸島で事業を展開する企業向けの新たな指針『Doing Business with the Falkland Islands』を発表した。同指針は、アルゼンチンの国内法が諸島周辺海域に適用されないと明記し、石油・漁業活動に関わる企業への支持を表明したものだ。ブエノスアイレスはこれに対し「最も強い拒絶」を表明し、諸島が自国の領土の一部であり、英国が「不法に占領している」と改めて主張した。

対立の焦点は、諸島での経済活動に対する英国の支援と、自国の大陸棚とみなす海域での天然資源開発を企業に許可しようとするアルゼンチンの姿勢にある。アルゼンチン外務省はこれまでに30カ国の個人・企業に対し約180件の警告・リスク負担通知を送付し、60件の行政手続きを開始、10社とその役員を対象とする3件の刑事告発を行ったと発表した。一方、英国は諸島を英国海外領土と位置づけ、主権について「疑いの余地はない」と主張。島民の自決権を支持し、島民が望まない限り主権問題を協議しないとの立場を示した。

今回の対立は、イスラエルのナビタス・ペトロリアムと英国のロックホッパー・エクスプロレーションが開発する北海盆の『シーライオン』石油プロジェクトをめぐり、ここ数週間で激化した。アルゼンチンはロックホッパーに20年間の操業禁止を科し、ナビタスを2022年に「無許可」と宣言していた。両政府は現在、公式声明の応酬という形で対立しており、実効的な強制措置には至っていない。シーライオンは初の石油生産まで数年を要する見込みで、アルゼンチンの制裁が英国が安心させようとしている投資家を実際に抑止するかが今後の試金石となる。

ドゥテルテ元比大統領、ICCに初の対面出廷 麻薬戦争の裁判開始へ

元フィリピン大統領ロドリゴ・ドゥテルテ氏(81)が16日、ハーグの国際刑事裁判所(ICC)で開かれた公判前審理に初めて対面で出廷した。同氏は在任中の「麻薬戦争」をめぐる人道に対する罪に問われており、11月30日開始予定の本格的な裁判を前に、証人や証拠の整理が話し合われた。

ドゥテルテ氏は2025年3月にマニラで逮捕され、ハーグに移送された。これまでビデオリンクでの出廷はあったが、法廷に姿を見せるのは今回が初めてだった。黒いスーツと白いシャツ姿で現れた同氏は、法廷でほとんど発言せず、水を飲みながら静かに座り、傍聴席の家族に手を振ったという。審理を主導するジョアンナ・コーナー判事は、被告の年齢と健康状態を考慮し、裁判をできるだけ早く進めるよう検察側に証人の削減と重要証拠への絞り込みを求めた。

起訴内容は、2013年から2018年にかけて、ダバオ市長および大統領として、麻薬の売人や使用者を標的にした死の部隊を創設・資金提供・武装させ、少なくとも76件の殺人に関与したというものだ。検察は犠牲者が最大3万人に上ると主張する一方、フィリピン警察は6,200人と発表している。ドゥテルテ氏は容疑を否認し、警察に自衛のための発砲を命じただけだと主張している。

弁護団は、同氏が「最近の情報を保持し、記憶を確実に引き出すことを妨げる重大な記憶障害」を抱えていると主張し、認知機能の低下を理由に裁判に耐えられないと訴えてきた。弁護側が提出した資料によると、同氏は現在が2007年か2008年だと思い込み、自分の年齢を84〜85歳だと認識し、現職の米大統領の名前を思い出せないという。しかし、1月に判事らは同氏が裁判に耐えられる健康状態にあると判断し、出廷を求めた。今回の審理では、検察が要求した193時間の証言時間や約1万5千点の証拠品目について、弁護側が「膨大で不可能だ」と異議を唱え、コーナー判事は検察に証拠の絞り込みを指示した。

一方、マニラでは麻薬戦争の犠牲者の親族らが集まり、テレビ中継を見ながら正義を求めた。二人の息子を失ったロレ・パスコさんは「彼がついに姿を見せ、元気そうでうれしい。実際、体重も増えたようだ」と語った。また、ドゥテルテ氏の娘で副大統領のサラ・ドゥテルテ氏は7月から弾劾裁判を受けており、有罪となれば公職から永久に追放される可能性がある。フィリピンは2018年にICCから脱退したが、判事らは昨年、脱退を理由に訴えを退けており、今回の出廷は元国家元首に対する国際司法の審理として、アジア初の事例となる。

中国がイランと米国に自制とホルムズ海峡再開を要請、王毅外相が北京で会談

中国の王毅外相は16日、北京を訪問中のイラン外相アッバス・アラグチと会談し、イランと米国に対し理性を保ち自制を働かせるよう求めた。両国がイスラマバード覚書に立ち返り「実質的な協議」を行うべきだと強調した。

王毅氏は、国際的なエネルギー輸送と供給網の安定を守るため、全ての当事者が効果的な措置を講じ、ホルムズ海峡を早期に再開するよう求めた。また、地域の緊張がイエメンや紅海へさらに波及することを望まないと述べた。中東の既存の安全保障構造は不十分であり、改革と強化が必要だと指摘した。

今回の会談は、中国の習近平国家主席と米国のドナルド・トランプ大統領がワシントンで会談する予定の1週間前に行われた。米財務長官のスコット・ベッセント氏は、トランプ氏と習氏がイラン問題と中国とテヘランの金融関係について協議を続けると述べていた。

中国はイラン産原油の最大の買い手であり、ホルムズ海峡の安全な航行の回復を繰り返し求めてきた。一方、アラグチ氏はイランとオマーンが海峡再開計画で合意したと述べ、米国が約束を誠実に履行すべきだと主張した。

米国とイランの紛争は長期化しており、米議会予算局は戦費が380億ドルに達し、毎月30億ドルずつ増加すると報告した。米下院は3度目の戦争権限決議を可決したが、上院での通過とトランプ大統領の拒否権が課題として残る。

欧州の安全保障を巡る対話とロシアの対外戦略、混迷深まる世界情勢

安全保障と防衛が政治論争の中心に再び浮上するなか、スペインの有力紙エル・パイスは17日、国防高等研究センター(セセデン)で第3回『安全保障のための対話』を開催した。ウクライナ戦争が5年目に入り、米国とイスラエルによるイラン攻撃やホルムズ海峡の石油輸出の停滞が続くなか、欧州の役割が問われている。スペインのアルバレス外相が開会を、ロブレス国防相が閉会を務め、セウタの移民危機やサヘル情勢、国防予算の増額要求などが議題となった。

一方、ロシアは欧州との対話に冷ややかな姿勢を示した。ラブロフ外相は、ウクライナ問題を巡る交渉提案を待つとしつつ「大きな幻想は抱いていない」と述べ、欧州がロシアを攻撃するなら「全く別の、非常に短い戦争になる」と警告した。また、欧州連合(EU)の外交トップ、カラス氏について、ザハロワ外務省報道官は「ロシアへの憎悪を垂れ流すだけの伝声管だ」と酷評した。

ロシアはイランを支持し、米国の海上封鎖を「完全に受け入れがたく非合法だ」と非難した。さらに、宇宙での軍備競争を防ぐため、軌道上のあらゆる兵器配備を禁じる条約を国連で推進する方針を改めて強調した。日本に対しては、北方領土訪問への「ヒステリックな反応」とウクライナ支援が関係正常化の妨げになっていると指摘した。

こうした緊張の中、ロシア中央銀行は人民元を23.6百万ドル相当購入し、ルーブルと人民元の取引を継続した。また、ウクライナ戦争ではフィリピン人14人がロシア側で戦っているとされ、1人が戦死、1人が捕虜となった。文化面では、インド人監督アヌパルナ・ロイの映画が母国の検閲で上映停止となった一方、ヴェネツィア映画祭で高い評価を受けるという対照的な状況が浮き彫りになった。

イラン攻撃の米基地被害、新画像で判明 国防総省の報告と食い違いも

米CBSニュースが入手した新たな画像により、イランによる中東の米軍基地への攻撃が、米政府が公表してきた以上に深刻な被害をもたらしていたことが明らかになった。現役軍人が匿名を条件に提供した画像には、サウジアラビアのプリンス・スルタン空軍基地で破壊されたボーイングE-3セントリー早期警戒機や、クウェートのキャンプ・ブーリングで損壊した施設の様子が写っている。

軍人の一人は「これは米国民に伝えられていない、我々の基地に対する大きな損害だ。我々は目を閉じて立ったまま、顔面を殴られ続けている」と語った。国防総省監察官が今週発表した報告書は、イランの攻撃によりクウェート、バーレーン、カタール、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、イラク、オマーン、ヨルダンにある米軍基地の数百の建物と構造物が損壊・破壊されたと認定した。報告書はさらに、数十機の米航空機が破壊または損傷し、装備損失が37億ドルに達したと指摘している。

一方、米議会予算局は戦費が8月1日時点で380億ドルに達したと試算した。戦争は2月28日に米国とイスラエルがイランへの攻撃を開始して始まり、イランはフルムズ海峡を封鎖して原油価格を高騰させた。米下院は戦争終結を求める決議を3度目の採決で可決したが、上院での行方は不透明だ。こうした中、イラン外相が中国の仲介による和平構想を支持するなど、外交的解決への模索も続いている。

レバノン大統領、イスラエルとの安全保障合意とヒズボラ非武装化を模索

レバノンのジョセフ・アウン大統領はAFPとの独占インタビューで、イスラエルが南部から撤退した後に安全保障合意を結びたいとの意向を示した。同時に、対決に訴えずにヒズボラを非武装化する決意を表明した。

アウン大統領は水曜日のフランス出発を前に、国連平和維持軍の任務が年末に期限切れとなる南部で、安全保障の空白を防ぐため欧州などによる新たな部隊を望むと述べた。米国、欧州連合、アラブ諸国に対し、南部に展開するレバノン軍への支援を求めた。パリではマクロン仏大統領が主催し、アブドラ2世ヨルダン国王が出席する会合に参加し、レバノン軍への国際的支援を構築する。

アウン大統領は「空白が生じないことが重要だ」と述べ、イスラエルが占領する南部の一部に展開する新部隊は「レバノン軍が展開できるまでの一時的なもの」だと付け加えた。部隊の性質については「欧州、非欧州、米国、国連、アジア、あるいは欧州・アラブ・アジアの混成でも構わない」と語った。その上で「最も最適な選択肢はUNIFILの任務延長だ」と述べた。

イスラエルとの安全保障合意については「主に敵対状態の終結と国境への軍展開を目指すものだ。これは後の和平合意への前奏曲となり得るが、直接和平合意に飛びつくことはできない」と説明した。「交渉以外に選択肢はない。代替案は戦争であり、我々にとって非常に大きな代償となる」と語った。

ヒズボラの非武装化について、アウン大統領は「交渉の余地も議論の余地もない」と繰り返した。一方で「目的は対決ではない。この問題を平和的に解決する決意だ。血なまぐさい紛争や新たな内戦の代償として国家を建設する話ではない」と述べた。イランに対しては、ヒズボラ非武装化後の関係は「相互尊重とレバノン国民の内政への不干渉に基づくべきだ」と伝えたと明かした。「イランと関係を持つことに問題はないが、内政への干渉には問題がある」と述べた。

イスラエルの来るべき選挙については内政問題だとしつつ、「イスラエル国民、イスラエル国家、そして将来の全ての政府に問いたいのは、国境に安定、安全、戦争なき状態を望むかどうかだ」と語った。

米国の圧力を受け、国連安全保障理事会は昨年、1978年から南部に展開する国連平和維持軍の任務を2026年12月31日に終了することを決議した。現在約8,500人の平和維持軍が約50カ国から参加している。アウン大統領のフランス訪問は、レバノン軍の展開支援を国際社会に訴える重要な機会となる。イスラエルとの関係正常化への一歩として、安全保障合意の実現がレバノン南部の安定と国家再建に寄与するかが焦点となる。

マレーシア、ロヒンギャ帰還へミャンマー大統領を公式招待へ

マレーシアのアンワル・イブラヒム首相は9月16日、ミャンマーのミン・アウン・フライン大統領を公式訪問に招待する意向を表明した。約20万人に上るロヒンギャ難民の帰還を促進する狙いがある。首相はポッドキャスト番組で「友人になれ、貿易もできる。ミャンマーを受け入れるが、ミャンマーも難民を受け入れるべきだ」と述べた。

マレーシアはミャンマー難民の最大の受け入れ国の一つで、UNHCRに登録された難民・庇護希望者は21万5千人以上、うちロヒンギャは12万6千人以上を占める。マレーシアは1951年難民条約の締約国ではなく、難民の地位を正式に認めていないが、長年にわたりロヒンギャの避難先となってきた。

両国は9月末に約1,500人のミャンマー人が自発的に帰還する第1段階を実施するとしている。アンワル首相は7月、ミャンマー軍政がロヒンギャ5,000人の受け入れに合意したと発表していた。帰還計画をめぐっては、人権団体が安全で尊厳ある帰還を求めている。

ミン・アウン・フライン氏は2021年のクーデターで政権を掌握し、4月に大統領に就任した。ASEANは2021年以降、同国の首脳を首脳会議から排除してきたが、同氏はラオス、タイ、カンボジア、ベトナムに加え、中国、インド、ロシアを訪問し、国際的な正統性の回復を模索している。今回の招待が実現すれば、ASEAN加盟国への5度目の訪問となる。

マレーシア国内では、ロヒンギャ難民が社会問題を引き起こし、地元の小規模事業を圧迫しているとの不満が高まっている。アンワル首相は「怒鳴り合うより、より良い外交だ」と述べ、段階的な帰還の可能性にも言及した。

レアルのスター3選手、セウタ支援シャツのメッセージを隠す―スペインで物議

レアル・マドリードのキリアン・ムバッペ、ヴィニシウス・ジュニオール、イブラヒマ・コナテの3選手が、セウタ支援のシャツに書かれたメッセージを隠したことで、スペインで政治的な論争を巻き起こした。9月15日のエルチェ戦前、両チームの選手は「トドス・ソモス・カバージャス(みんなセウタ人)」と書かれた白いシャツを着用する予定だったが、この3人はシャツを胸まで巻き上げてメッセージを隠し、握手の前に脱いだ。

このシャツは、7月末にモロッコから約8万人がセウタに流入した移民危機を受けて、バレンシア企業協会(AVE)が主導した支援キャンペーンの一環だった。レアルはクラブとしてこの取り組みを支持したが、選手個人の意見の相違を尊重し、着用の自由を認めた。スペインの野党・国民党(PP)のエステル・ムニョス議員は「かなりの恥ずかしさを感じた」と批判し、政府側のミラグロス・トロン教育・スポーツ相は「選手個人の決定だ」と擁護した。

この論争は国会にも飛び火し、移民問題をめぐるスペインの政治対立を浮き彫りにした。一方、モロッコ代表のアブデ・エザルズリは、ベティス戦で同シャツを着用したことにモロッコ人ファンから批判を受け、「政治的な意図はない」と反論した。レアルは9月8日のインテル戦でもセウタ支援のタフォを実施しており、今後もこの問題がスペインの政治・スポーツ界で議論を呼ぶことが予想される。

EU、欧州防衛5大事業を承認 ウクライナ参加4件、総額2810億ユーロ規模

EU加盟国大使は9月16日、欧州の防衛能力強化を目的とする5つの域内共通事業(EDPCI)の計画を承認した。各事業は数十億ユーロ規模となり、空域防衛、海上安全保障、宇宙、ドローン・対ドローン能力、東側フランク監視などの「緊急の戦略的能力不足」に対処するものだ。欧州理事会議長国の報道官が明らかにした。

5事業のうち4事業にウクライナが参加する。宇宙事業のみが例外となる。加盟国大使はまた、各事業の立ち上げ費用として6000万ユーロ(6900万ドル)を拠出する欧州委員会の提案を承認した。しかし、この金額は事業全体の費用のほんの一部に過ぎない。計画では複数年にわたり展開され、うち1事業は2045年まで続く見通しで、全体の価格は2810億ユーロ(3240億ドル)に達する。

欧州委員会は各事業の資金調達を仲介する役割を担う。正式に事業を発足させる次の段階は、EU国防相による投票であり、9月28日に予定される次回会合で行われる見込みだ。

5事業のうち最も安価なのは、ドローンおよび対ドローン技術に特化した「DECODER」で、35億〜55億ユーロ(40億〜60億ドル)と見積もられる。マルタを除く全EU加盟国が参加し、ドローン技術ハブのネットワークを構築して試験・革新を促進し、相互運用性を向上させる。ウクライナはドローン戦争の世界のリーダーである一方、対弾道ミサイル防衛に弱点がある。このギャップは最近数週間、ロシアによるキーウへの度重なる攻撃と文化遺産の破壊で露呈している。

対弾道ミサイル防衛事業「EU-FIAMD」は2040年までに550億〜800億ユーロ(630億〜920億ドル)の費用が見込まれ、統合防空・ミサイル防衛と早期警報システムの「必要かつ十分な質と量」を確保することを目指す。宇宙事業にはウクライナは参加せず、海上・海底防衛事業には参加する。後者は軍・民間人・ドローンを結集し、燃料パイプライン、風力タービン、インターネットケーブルなどの海上インフラを監視する。

最も高額なのは「東部フランク監視(Eastern Flank Watch)」で、2036年までに600億〜1000億ユーロ(690億〜1150億ドル)と見積もられる。他の4事業と異なり戦闘領域を横断するのではなく地理的に限定されるが、「全加盟国に具体的な安全保障上の脅威に対する利益をもたらし、関心地域の地理的範囲を拡大できる」と提案書は主張する。この事業はEUの完全承認を待たずに既に作業を開始しており、フィンランドのペッテリ・オルポ首相が2025年12月にポーランドと共同でグループを主導すると発表していた。

香港、初の5カ年計画を発表 人民元国際化とイノベーション投資拡大を柱に

香港の李家超行政長官は9月16日、同市初となる5カ年計画と年次施政方針を発表した。計画は中国の国家発展戦略と連動し、2026年から2030年までの経済社会発展の指針を示すものである。人民元の国際化を進め、金取引や国境を越えた決済での人民元利用を拡大する方針を打ち出した。

5カ年計画は22の主要指標を設定し、うち17を目標値、5を拘束力のある目標とした。イノベーション活動への支出を2024年のGDP比1.63%から2030年頃までに3%へ引き上げる目標を掲げ、年平均約10%の増加を見込む。製造業と新興産業の経済に占める割合を5.5%に引き上げる目標も設定した。北部メトロポリスでは1000ヘクタール規模の大学都市プロジェクトを進め、年内に最初の建物が完成する予定である。香港ジョッキークラブはライフ・ヘルス学術研究棟の建設に30億香港ドルを拠出する。

住宅政策では、2030年までに補助付き賃貸住宅の平均待機時間を4年未満に短縮する。少子化対策として、第2子以降の出生ボーナスを3万香港ドルに増額し、税額控除も16万香港ドルへ引き上げた。高齢化対策では、外国人介護人材を導入するパイロット事業を来年開始する。

AI分野では「AI都市脳」を構築し、極端な気象や大規模事故への対応強化を図る。AIコミッショナー職を新設し、AIリスクガバナンスの7分野を定めた。環境分野では、2030年までにゼロカーボンエネルギーの電力構成比を30%に引き上げる拘束力のある目標を設定した。

今回の5カ年計画は、北京の指導体制との整合性を強める一方、香港の資本主義体制を維持するものとされる。李家超氏は、計画は香港の実情に基づき地元政府が策定したと説明し、中国本土の都市やマカオの計画を参考にしたと述べた。計画は今後5年間の戦略を示し、年次施政方針が具体的な行動計画として機能する。

ロシア軍将官グニス少将がウクライナ軍のドローン攻撃で戦死、ドネツク州の要塞都市攻略を主導

ウクライナ無人システム部隊のロベルト・ブロディ司令官は9月16日、ロシア軍第4独立親衛自動車化狙撃旅団を率いるアントン・グニス少将が、ドネツク州の一時占領地域で9月12日に実施されたドローン攻撃で戦死したと確認した。第427独立無人システム旅団「ラログ」が攻撃を実行したという。

グニス少将は7月、ロシア軍がドネツク州の要塞都市コスチャンティニウカを占領したとプーチン大統領に直接報告した人物だ。ウクライナ側はこの占領主張を否定し、同市を巡る戦闘はその後も続いている。ロシア国防省のイデオロギー部門副長官でアフマト特殊部隊司令官を務めるアプティ・アラウディノフもグニス少将の死去を確認した。ブロディ司令官によると、グニス少将はウクライナ無人システム部隊の攻撃で戦死が確認された旅団・師団・軍レベルのロシア軍指揮官としては7人目となる。

グニス少将は8月27日、ロシアのベロウソフ国防相から「ロシアの英雄」称号と金星章を授与されていた。ロシア軍はドネツク州での攻勢を継続しており、グニス少将の戦死は前線のロシア軍指揮系統に打撃を与えるものだ。

メルツ首相の求心力低下、CDU州首相8人が結束表明で支える

ドイツのフリードリヒ・メルツ首相の政治手腕をめぐる憶測が広がるなか、キリスト教民主同盟(CDU)所属の8州首相が共同声明を発表し、メルツ首相への支持を明確にした。声明は「ドイツの政治には今こそ安定が不可欠だ」と訴え、政権交代や少数派政権をめぐる議論を退けた。

CDUはザクセン=アンハルト州議会選挙で極右政党「ドイツのための選択肢」(AfD)に敗北し、メルツ首相の指導力に疑問が生じていた。世論調査では連邦政府への支持が過去最低を記録し、メルツ首相のコミュニケーション能力や年金改革の説明不足が批判の的となっている。バイエルン州のマルクス・ゼーダー州首相(CSU)もメルツ首相を支持し、党内の議論終結を求めた。

後任候補としては、ゼーダー氏とノルトライン=ヴェストファーレン州のヘンドリック・ヴュスト州首相が有力視されるが、いずれも現時点でメルツ首相に公然と挑戦する構えは見せていない。メルツ首相は今週末の州議会選挙(メクレンブルク=フォアポンメルン州とベルリン州)の結果を受けて、日曜夕方にCDU執行部を招集し、党の信任を問う方針だ。

プーチン大統領、下院選挙前に国民へ演説 「一票が国の行方を決める」

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は9月16日、9月18日から20日まで実施される下院(国家会議)選挙を前に、恒例のテレビ演説を国民に向けて行った。大規模な選挙戦が特別軍事作戦のさなかに行われると指摘し、投票への参加が「国の勝利への共通の貢献」であると強調した。

プーチン大統領は、ドンバスとノヴォロシアの住民がロシアとの再統一後初めて下院選挙に参加すると述べた。また、一票一票が重要であり、連邦議会や地方レベルで国民の利益を代表する政治勢力を決めると訴えた。選挙では、祖国に献身し、いかなる脅威からも国を守る用意のある、最もふさわしい有能な候補者が勝利するとの見方を示した。

選挙では、第9期国家会議の議員選出に加え、39地域での地方議会選挙、7地域での首長直接選挙、3地域での議会による首長選出が同時に行われる。約2万3000の議席と役職が埋まる予定だ。プーチン大統領は、投票が国の結束と回復力を示すものであり、ロシアを弱体化させようとする勢力への「共通の応答」になると述べた。

一方、ロシア外務省によると、上海協力機構(SCO)のオブザーバー代表団は、ロシア国民の意思表明が成功裏に行われるとの確信を示した。SCO副事務局長のピャオ・ヤンファン氏らは、開放的で透明かつ公平な原則に基づく監視手続きを実施する用意があると確認した。ロシア側は、遠隔電子投票を含む先進的な選挙技術の広範な活用について説明した。

また、統一ロシア党のドミトリー・メドベージェフ党首は、特別軍事作戦の参加者82人が同党の公認候補として下院選挙に立候補していると明らかにした。さらに、クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は、プーチン大統領がオンライン投票を利用する可能性に言及し、日本による北方領土へのビザなし渡航再開の希望については、日本がロシアに非友好的な立場を取っているため、制限緩和の見込みは薄いとの認識を示した。

ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は、下院選挙を巡る西側の「歪んだ挑発」に備えていると述べ、外交官の訓練を徹底していると語った。選挙は、2022年2月のウクライナ紛争開始後、初めての議会選挙となり、ロシアの政治体制と戦争遂行への支持を測る試金石となるとみられる。

経済 (Economy)

FRBが3年ぶり利上げ、インフレ抑制へ政策金利を3.75〜4%に トランプ大統領の圧力に反発

米連邦準備理事会(FRB)は16日、政策金利を0.25ポイント引き上げ、3.75〜4.0%の範囲とした。2023年7月以来、3年ぶりの利上げとなる。FRBは声明で「インフレは依然として高い」と指摘し、「今回の政策措置は委員会の2%目標へのより適時な回帰を支援する」と説明した。決定は12人の投票メンバーによる全会一致で、市場の予想通りとなった。

FRBの四半期経済予測(SEP)によれば、政策担当者の過半数が年内に少なくともあと1回の利上げが必要と見込む。政策金利の年末見通しの中央値は4.0〜4.25%となった。インフレ指標である個人消費支出(PCE)価格指数の2026年見通しは3.7%に上方修正され、2%目標への回帰は2029年までずれ込むとの見通しを示した。

今回の決定は、利下げを求めるドナルド・トランプ大統領の意向に反するものとなった。トランプ氏は5月にケビン・ウォーシュ氏をFRB議長に任命し、利下げを期待していた。ウォーシュ氏は記者会見で「率直な事実は、インフレが高すぎる状態が長すぎるということだ」と述べ、FRBの独立性を強調した。ホワイトハウスのケビン・ハセット首席経済顧問は、トランプ氏は「ケビン・ウォーシュの独立性を何よりも擁護するだろう」と語った。

利上げの背景には、イランとの戦争によるエネルギー価格の高騰がある。ガソリン価格は1ガロン当たり平均4.36ドルまで上昇し、ディーゼルは過去最高の6.31ドルを記録した。8月の消費者物価指数(CPI)は前年比3.4%上昇し、FRBの目標である2%を大きく上回った。また、AI投資の拡大が半導体価格を押し上げ、インフレ圧力となっている。

市場は今回の利上げを織り込み済みで、主要株価指数に大きな変動は見られなかった。ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントのケイ・ハイ氏は、10月の会合は中間選挙に近いため見送られ、12月に追加利上げが実施されるとの見方を示した。ウォール街の投資家は12月と来年3月に追加利上げがあると予想している。

今回の利上げは、11月3日の中間選挙を前に有権者の最大の関心事であるインフレと経済に影響を与える。民主党のブレンダン・ボイル下院予算委員は「トランプ大統領の無謀な関税とイランでの悲惨な戦争が再び価格を高騰させ、FRBの利上げにつながった」と批判した。一方、共和党は経済政策の成果を強調する構えだ。

燃料高と物価上昇が世界経済を圧迫、穀物市場は回復も歴史的高値には届かず

中東情勢の緊迫化とロシア・ウクライナ紛争の長期化が、世界のエネルギー価格と食料価格に同時に影響を及ぼしている。マレーシアでは中東の緊張を受け、9月17日から23日までの期間、RON97が1リットル当たり35セン値上がりし4.85リンギットとなった。イランがホルムズ海峡付近で10隻の船舶を攻撃し、サウジアラビアの石油インフラにも攻撃が及んだことで、ブレント原油は1バレル当たり110ドル近くまで上昇した。

こうしたエネルギー価格の高騰は、タイの電力料金にも波及する見込みだ。タイの石油・ガス企業PTTEPの次期最高経営責任者カニタ・サートワッタユ氏は、液化天然ガス(LNG)価格が1MMBtu当たり3ドル上昇するごとに、タイの電力料金が5%上昇する可能性があると指摘した。タイは発電量の30%をLNGに依存しており、今後10年間でその依存度が70%に達する可能性もあるという。

一方、シカゴの穀物市場では大豆、トウモロコシ、小麦の価格が過去3年間の平均を上回る水準まで回復した。しかし、2006年以降の最高値と比較すると、いずれも26〜44%低い水準にとどまる。小麦は黒海地域の物流混乱を受けて最も強い上昇を示し、過去3年間の最低値から46.3%回復した。アルゼンチンのロサリオ市場でも大豆価格は平均比12.6%上昇したが、トウモロコシと小麦の上昇幅は限定的だった。

食料とエネルギーの価格上昇は、各国の家計を直撃している。ガイアナでは失業率が6.2%まで低下し、2020年以降15万6000人以上の新規雇用が創出されたが、2026年上半期の食料価格は6.7%上昇し、全体のインフレ率4.4%を上回った。政府は成人全員に10万ガイアナドルの現金給付を実施したが、物価上昇に追いつくかは不透明だ。フランスでは燃料価格の上昇に対する不満が高まっており、アメリカでもインフレが家計の負担となっている。

アルゼンチン、中南米の為替動向とインドの政治情勢を包括レポート

2026年9月16日、アルゼンチンの為替市場は公式ドルが1ドル=1530ペソ(売値)で安定推移し、ブルー相場は1560ペソと公式との差は4%にとどまった。観光・タルヘタドルは1989ペソ、卸売ドルは1594.67ペソ、CCLは1594.60ペソ、MEPは1533.20ペソ、クリプトドルは1595.29ペソと、金融市場は複数のレートが併存する状況が続く。中南米ではメキシコで1ドル=17.15ペソ、チリで957ペソ、コロンビアで3104ペソ、ボリビアで11.87ボリビアノと、各国通貨の変動が観測された。ユーロはアルゼンチンで1ユーロ=1790ペソ(売値)、メキシコでは19.79ペソと推移し、ビットコインは7万5491ドル、イーサリアムは2392ドルと下落した。

政治面では、インド選挙委員会(ECI)が全インド草の根会議(AITC)の反主流派代表団との公聴会を9月17日に開催すると発表した。リタブラタ・バナジー氏が率いる5人代表団が出席し、党内の組織対立と選挙シンボル問題を協議する。マレーシアではアンワル首相が電気料金引き上げ対策の緊急会議を招集し、ハンナ・ヨー氏がナジブ元首相の恩赦延期に関する自身の見解を説明した。また、ムヒディン元首相に対するジャナ・ウィバワ汚職事件の3つの起訴が継続される。ロシア中央銀行は9月17日付の公式ドルレートを84.1732ルーブルに設定した。

市場データではブラジルのボベスパ指数が18万5400.81と0.59%下落し、金は4461ドルと1.78%上昇、トウモロコシは10.02%急騰した。フランスではビッセル製掃除機とコルセア製ヘッドホンが大幅値下げされ、ル・フィガロ・イストワール誌は革命史やセウタ移民危機などの特集を組んだ。これらの動きは、アルゼンチンの為替市場の安定性とインドの政治対立、マレーシアの政策決定が今後の地域情勢に影響を与えることを示唆している。

米石油・鉱山大手がベネズエラ進出、トランプ政権後押しでエネルギー再建へ

米国の石油企業コンチネンタル・リソーシズと投資会社ヒーニー・キャピタルが、ベネズエラ政府と相次いで投資協定を締結した。1月にニコラス・マドゥロ前大統領が失脚して以降、カラカスとの関係を強化するドナルド・トランプ政権の戦略が具体化した形だ。

コンチネンタル・リソーシズは水曜日、国営石油会社PDVSAと覚書を交わし、オリノコ石油帯のアヤクーチョ2ブロックを開発・操業することで合意した。同ブロックはアンソアテギ州に位置し、約300億バレルの埋蔵資源があると見込まれる。これはベネズエラの埋蔵量の約10%に相当し、同社は100%の権益を取得する計画だ。一方、ヒーニー・キャピタルはチョコ州の金鉱山で操業する新たな契約を発表した。5月にカラカスと協定を結んでいた同社は、ベネズエラの鉱業部門に投資する初の米国企業となる。

今回の協定は、トランプ政権が後押しするベネズエラの石油・鉱業部門開放策の一環だ。ワシントンとカラカスは8月、推定650億バレルの生産能力を持つ油田を米国が管理下に置くことで合意していた。また、ホルストンで開かれたG20エネルギー会合の場で新たな投資家が発表された。ベネズエラの経済担当副大統領カリクト・オルテガ氏は、コンチネンタル・リソーシズとの提携を「ベネズエラへの信頼を示す力強いシグナル」と評価した。同社の創業者ハロルド・ハム氏は、水平掘削技術で米国に革命を起こした経験を挙げ、ベネズエラでも同様の成果を挙げられると自信を示した。

この動きは、イランとの戦争で燃料価格が高騰する中で進められている。米エネルギー省のクリス・ライト長官は、米ベネズエラ関係における「歴史的合意」だと述べ、西半球を世界のエネルギーシステムの中心にするとの構想を示した。ベネズエラではデルシー・ロドリゲス大統領代行が1月に就任し、外国投資の誘致を進めている。4月にはシェブロンの事業拡大が承認され、9月には同社が70億ドル以上の追加投資を発表するなど、外資参入の流れが加速している。

社会 (Society)

ロサンゼルスでNBCニュースヘリ墜落、3人死亡 バス事故取材中に

ロサンゼルスのチャッツワース地区で16日夕、NBC系ローカル局のニュースヘリコプターが墜落し、搭乗していた記者とパイロット、地上にいた歩行者の計3人が死亡した。ヘリは同日午後、近くで発生した路線バスとSUVの衝突事故を取材中だった。

墜落したのは、エンジェル・シティ・エアが運航する「ニュースチョッパー4」で、NBC4とテレムンド52の取材に使用されていた。現地時間の午後7時前に、ノース・メイソン・アベニュー9100番街区の商業施設に挟まれた駐車場に落下し、炎上した。ロサンゼルス消防局によると、約70人の消防士が出動し、車4台とコンテナ2基が延焼したが、消火された。

死亡が確認されたのは、航空フォトジャーナリストのエリアナ・モレノ氏と、30年以上の飛行経験を持つパイロットのジョージ・マルチニウ氏。モレノ氏はチャップマン大学を2010年に卒業し、英語とスペイン語の両方で空からニュースを伝えていた。2人は2023年からコンビを組んでいた。3人目の犠牲者は地上にいた歩行者で、身元はまだ公表されていない。負傷者2人は病院に搬送された。

NBC4のアンカー、コリーン・ウィリアムズ氏は生放送中に涙声で「今夜は重い心で放送している。午後7時前にニュースチョッパー4がチャッツワースで墜落し、搭乗していた2人と地上の1人が亡くなった」と伝えた。ロサンゼルスのカレン・バス市長は「5人のロサンゼルス市民を失った。心が痛む」と述べた。国家運輸安全委員会(NTSB)と連邦航空局(FAA)が原因調査に乗り出す。

南アフリカで女性8人殺害、フェミサイドへの怒り再燃 世界の動きも

南アフリカのヨハネスブルグ東部エクルレニで、2か月間に8人の女性の遺体が発見された。警察は事件間の関連性を調査中だが、まだ結論は出ていない。レイチェル・コリシは「はっきりさせよう。これはフェミサイドだ」とSNSで発信し、多くの女性が怒りと恐怖を表明した。女性たちは「次は自分か」という問いから「いつ自分の番か」へと変わったと指摘される。

2019年の#AmINext運動から7年が経過したが、状況は改善していない。ラマポーザ大統領は2025年11月にジェンダーに基づく暴力とフェミサイドを国家危機と宣言し、国家災害に分類した。しかし、今また8人の女性が犠牲になり、女性たちは「何が行われているのか」「保護はどこにあるのか」と問い直している。警察は専門チームを設置し、40万ランドの懸賞金を提供したが、女性たちは「警戒を強めろ」という従来の対策に疲れている。

一方、ポーランドで開催中のU-20女子ワールドカップでは、アルゼンチンが韓国に0-1で敗れ、アメリカはブラジルにPK戦で敗退した。ブラジルのGKタイス・リマがセーブし、エメリ・アダメスのキックを止めた。アメリカは2012年以来の優勝がない。また、バングラデシュでは政府の最初の180日間のレビューで、女性と子どもの権利に関する公約の実施にギャップが判明し、児童婚や児童労働、保健財政などの分野で遅れが指摘された。

南アフリカの女性殺害問題は、単なる個別の悲劇ではなく、社会の構造的な問題として捉えられている。女性たちは「8人の女性。もう一つの全国的な対話」と題し、死を統計に還元せず、自由と安全を求めて声を上げ続けている。この問題の解決には、男性の責任、制度の改善、そして女性の自由が不可欠だとされる。

科学・技術 (Science & Tech)

AI開発速度を巡る業界論争が激化、ザッカーバーグとファンがアモディの減速論に反論

人工知能の開発速度を巡る論争が先鋭化している。Metaのマーク・ザッカーバーグCEOは、Anthropicのダリオ・アモディCEOが提唱する業界全体の開発減速論に対し、各社が自らのペースで安全を確保すべきだと反論した。Nvidiaのジェンセン・ファンCEOも新たな規制は不要だと主張し、市場の力に委ねるべきだと述べた。一方、MicrosoftのAI責任者ムスタファ・スレイマンは、AnthropicがClaudeに意識や福利の概念を教え込んでいる点を批判し、それがAIの制御を難しくしていると指摘した。

この論争の発端は、先週Anthropicの元研究者が「AI企業は私たちの命を賭けている」と警告して辞任したことにある。アモディCEOはこれを受けて業界全体の開発減速を呼びかけ、OpenAIのサム・アルトマンCEOやイーロン・マスク氏も同調した。これに対しトランプ大統領はテック企業を批判し、新たな規制案を却下した。ザッカーバーグは、Metaが自社のAIエージェント「Muse」のリリースを数ヶ月遅らせて安全性を確認したことを例に挙げ、「他の企業にも同じことを求めたわけではない」と述べた。ファンCEOはSalesforceのマーク・ベニオフCEOとの対談で「新たな法律も規制も必要ない」と断言し、安全性と速度は両立可能だと強調した。

この議論は各社の利害を反映している。NvidiaはAIチップ市場で支配的な地位にあり、新たな規制は成長を鈍らせるリスクがある。トランプ政権もAIを基盤とする経済成長を重視している。一方、Anthropicは自社の安全性への取り組みを強調することで競争優位を図っているとの見方もある。スレイマン氏は「意識は生物学的なものだ」と述べ、AIに意識があるという証拠はないと主張した。この論争は、AIの安全性と進歩のバランスをどう取るかという業界全体の根本的な問いを浮き彫りにしている。

文化 (Culture)

エド・シーランのツアーがパレスチナ支持を巡る騒動で崩壊、支援アーティスト4組が相次ぎ離脱

エド・シーランの北米・南米ツアー「ループ・ツアー」が、パレスチナ支持を表明したラッパー、マックルモアの追放を巡る騒動で大きな打撃を受けた。シーランのステージでオープニングアクトを務めていたマックルモアが、9月4日にニュージャージー州メットライフ・スタジアムで行った公演中に「自由なパレスチナ」と叫び、ガザの破壊を示す映像を映したことが発端となった。この発言に反発したイスラエル系アメリカ評議会が署名活動を展開し、スタジアム所有者らがシーラン側にマックルモアの降板を要求。最終的にツアーのプロモーターが彼をツアーから外す決定を下した。

シーランは自身のインスタグラムで「マックルモアがツアーを離れるのはプロモーターの決定であり、私の決定ではない」と説明し、「イスラエルとパレスチナの紛争に心を痛めている」と述べた。しかし、この説明にもかかわらず、フィニアス、アーロン・ロウ、ベオガ、ルーカス・グラハムの4組がマックルモアへの連帯を示して相次いでツアーからの離脱を発表した。フィニアスは「アーティストは抑圧された人々のために声を上げるとき、沈黙させられるべきではない」とコメントし、アイルランド出身のロウとベオガは自国の植民地支配の歴史を挙げて決定を正当化した。

この騒動はシーランのキャリア最大の危機に発展した。彼は「私は共犯者ではない」と述べ、自身のコンサートを政治の場にしない方針を強調したが、音楽ジャーナリストのジェフリー・インゴールドはBBCラジオ5ライブで「彼は世界最大級のミュージシャンでありながら、手を洗って『これは私の責任ではない』と言っている」と批判した。一方で、ヴァラエティ誌のジェム・アスワッドは「この論争が彼のキャリアに大きなダメージを与えるとは思わない。批判の多くは彼のファンからではなく、彼の行動に異議を唱える人々から来ている」と指摘した。ツアーは9月19日のフィラデルフィア公演から再開される予定で、今後の動向が注目される。

スポーツ (Sports)

アジア競技大会開幕目前、選手村の宿泊問題と各国代表の挑戦

2026年アジア競技大会が9月19日に名古屋・愛知で開幕する。大会を前に、選手村の宿泊環境をめぐる批判が高まっている。木製コンテナハウスに滞在する選手からは、ベッドが短く足を伸ばせないとの不満が噴出した。韓国バスケットボール協会の鄭在容副会長は「2メートル超の選手はベッドで足を伸ばせない」とAFPに語った。収容人数は想定を上回る1万7000人以上となり、約2000人がコンテナハウス、4000〜5000人がイタリアのクルーズ船に滞在する。大会組織委員会は環境改善に取り組むと表明した。

競技面では、イランの男子バスケットボール代表がバーレーンを79-74で下し準決勝進出を決めた。モハマド・ジャムシディが20得点を挙げた。準決勝では韓国と対戦する。イランのU23サッカー代表はUAEに3-1で勝利し、好スタートを切った。プーリヤ・シャハラバディが先制点を挙げ、その後も得点を重ねた。一方、今大会からバーチャルテコンドー、総合格闘技、パデル、テキボール、サーフィン、BMXフリースタイルの6競技が新たに採用される。バーチャルテコンドーはVRヘッドセットを装着し、実際の蹴りでアバターを操作する新形式だ。

フィリピンのアレックス・イーラは、WTA1000大会の中国オープンと日程が重なるにもかかわらず、アジア競技大会出場を優先する。WTAが免除を認めなければランキングペナルティや罰金が科される可能性があるが、フィリピンオリンピック委員会のトレンティーノ会長は「国旗と国のためにナゴヤで戦う」と支持した。インドでは、カヌー・カヤックのコーチ、ビルキス・ミルがジャム・カシミール政府から約1年越しに無異議証明書を取得し、ようやくチームに合流できる運びとなった。最高裁判所が9月15日までに発令するよう命じていた。マレーシアのバドミントンでは、レキシー・マイナキー監督が選手たちに過去の好成績の映像を見返すよう促し、モチベーション向上を図る。シンガポールのロウ・ケンユーは前回大会の敗戦を糧に、今大会での表彰台を目標に掲げる。

一方、アルゼンチンのティグレ市では、人気の観光地プエルト・デ・フルトス内の広場が再開場した。子供用遊具や緑地、蝶やハチドリの庭園、LED照明を整備し、地域の憩いの場として再生した。市長のフリオ・サモラ氏は「プエルト・デ・フルトス全体にとっての祝祭の日だ」と述べた。このように、アジア競技大会はスポーツの祭典として各国の思惑が交錯する一方、地域社会の再生も同時並行で進む。大会は10月4日まで開催され、各国選手の熱戦が期待される。