第18回BRICS首脳会議がニューデリーで開催され、習近平国家主席が人工知能(AI)分野での協力構想を打ち出した。習氏は「AI BRICS共同体」の構築を主導し、大規模言語モデル開発での協力支援と訓練提供を提案、新設の世界AI協力機構への参加を呼びかけた。米国との技術競争が激化する中、グローバルサウスからの支持獲得を狙う。
会議の舞台裏では中印首脳会談が行われ、王毅外相は両首脳が「競争相手ではなくパートナー」として関係を構築するという重要なコンセンサスに達したと明かした。モディ首相は「敵対者ではなくパートナー」となる用意があると述べ、国境地域の平和維持と相互支援で合意。貿易は記録的水準に達し、文化交流や直行便の増強など協力分野の拡大で一致した。中国は2027年のBRICS議長国就任を控え、インドとの連携強化を図る。
一方、欧州ではAI開発を巡る議論が活発化している。ドイツのデジタル省は、AIリスクへの懸念が高まる中で国際協力の必要性を強調し、独立した国際AI監督機関の創設を支持。カーステン・ヴィルトベルガー・デジタル相はG7枠組みで米中と協議する方針を示し、欧州でのAI開発停止には「批判的」な立場を取った。制御不能となったシステムの複数の事例を受け、Anthropicのダリオ・アモデイCEOが強力なモデルの開発減速を呼びかけ、OpenAIのサム・アルトマン氏やイーロン・マスク氏も支持した。ドイツ政府は国内AI安全研究所(AISIドイツ)の設立を進め、英仏の類似機関と連携する。
欧州と台湾の間では防災協力が焦点となっている。欧州連合(EU)の台湾代表部トップ、ルッツ・グルナー氏は台北でのワークショップで、自然・人為的災害への備えを強化するため二国間協力を拡大すべきだと訴えた。欧州はウクライナ侵攻を機に市民保護メカニズムを強化しており、台湾は自然災害対応の「参照点」であると評価。政府間だけでなく市民社会レベルでの協力が「レジリエンスの文化」構築に不可欠だと強調した。
また、フランスのマクロン大統領が9月29日から30日にかけてスペインを公式訪問する。スペイン国王主催の晩餐会やサンチェス首相との会談が予定され、任期終盤の欧州首脳外交の一環となる。両国間では2018年から計画されていた友好条約が、スペイン議会での政治対立により履行が滞っており、今回の訪問で鉄道・エネルギー・デジタル・宇宙分野の協力再活性化を目指す。欧州の極右台頭やセウタ移民危機など共通課題も議題となる。
さらに、アルジェリアのシフィ・グリーブ首相がマリのバマコを訪問し、両国関係の立て直しを図った。2025年4月のマリ軍無人機撃墜事件を契機に悪化した外交関係は、大使召還と領空相互閉鎖にまで発展したが、8月のマリ首相のアルジェ訪問を経て対話再開の機運が高まっている。約1300キロの国境を共有する両国は、政治・経済・安全保障関係の再構築を目指す。
エネルギー分野では、高市早苗首相が国際エネルギー機関(IEA)のファティ・ビロル事務局長と会談し、中東情勢の不安定化による原油供給途絶への対応で連携強化を求めた。日本政府は8月にホルムズ海峡を迂回するパイプライン建設支援など調達強化策を策定。ビロル氏は日本のアジアにおけるエネルギー安全保障のリーダーシップを評価し、IEAの支援を約束した。赤沢亮正経済産業相も世界のエネルギー供給見通しの不確実性を踏まえ、IEAとの緊密な協力を希望した。
アジア太平洋地域では、米太平洋艦隊司令官スティーブン・トーマス・コーラー提督が、マレーシアで行われた太平洋パートナーシップ2026の閉幕式で多国籍協力の成果を強調した。言語や文化、組織構造の違いを乗り越え、災害対応能力の強化という共通目標に向けて各国が効果的に連携したと評価。「太平洋では、海は我々を隔てるものではなく、結びつけるものだ」と述べた。同演習には約1500人が参加し、マレーシアでは災害管理、工学、医療、地域貢献の4分野に焦点を当てた活動を展開。次回はフィリピンで9月16日から最終行程が行われる。
これらの動きは、BRICS主導の新興国連携、欧州のAI規制と防災協力、中東・アフリカの外交再構築、エネルギー安全保障、インド太平洋の多国間演習と、2026年9月時点の世界が直面する多層的な課題と協調の動きを浮き彫りにしている。大国間競争が続く中、各国は分野横断的な連携を模索している。