The Morning Star Observer

2026年09月15日 火曜日朝刊 (Morning Edition)ArchiveAbout

トランプ大統領、AI開発減速論を「病的な陰謀」と一蹴 中国との競争優位を強調

米国のドナルド・トランプ大統領は14日、人工知能(AI)の開発ペースを巡る業界関係者の懸念を「病的な陰謀」と切り捨て、AIに必要なのは「強く賢い大統領」だけだと主張した。Anthropicのダリオ・アモデイCEOが提唱した開発減速論に対し、米国は既に十分な規制・刑事上の権限を有していると反論した。

トランプ氏は自身のSNS「Truth Social」で、AIとデータセンターに対する「病的な陰謀」が存在し、それを喜んでいるのは中国だけだと述べた。「AIで勝つ者が全てに勝つ。我々は中国と他の全てに先行しており、今後もそうだ」と強調した。また、アモデイ氏を「完璧な小さな天使」を装っていると皮肉り、米政権がAIの「悪い行い」を防いできたと主張した。

この発言は、アモデイ氏が先週末に発表した、AIの能力向上ペースを緩め、安全策を追いつかせるべきだという提言を受けたものだ。アモデイ氏の提言には、OpenAIのサム・アルトマン氏、xAIのイーロン・マスク氏、Google DeepMindのデミス・ハサビス氏、マイクロソフトのサティア・ナデラ氏が相次いで支持を表明した。一方、中国の外交部は同日、恐怖をあおるだけだとして反論し、グローバルなAIガバナンスを妨げるものだと批判した。

市場では、AI開発の減速懸念から世界的にテクノロジー株が下落した。ナスダック100先物は1.6%下落し、半導体関連株も売られた。中東情勢の緊迫化による原油高も投資家心理を冷やした。こうした中、トランプ政権は中国とのAI競争での優位維持を最優先し、規制強化には慎重な姿勢を示している。

フーシ派が紅海の要衝ハニシュ諸島を制圧、サウジアラビアに新たな攻撃 イランは関与否定

イエメンの親イラン派フーシ派が、紅海南部の戦略的要衝である大ハニシュ島と小ハニシュ島を制圧した。政府軍とフーシ派の双方の当局者が月曜日に明らかにしたもので、紅海の主要海運路における支配力をさらに強めた。フーシ派は先週、紅海沿岸の港湾都市モカと、バブ・エル・マンデブ海峡を二分するペリム島(マユン島)も制圧しており、サウジアラビアの石油輸出ルートに圧力をかけている。

フーシ派の報道官ヤヒヤ・サリーは月曜日、サウジアラビア南部のハミス・ムシャイトにあるハリド国王空軍基地に対し、数十発の弾道ミサイルと無人機による大規模攻撃を実施したと発表した。戦闘機格納庫、レーダー、滑走路、弾薬庫などを標的にしたとされる。サリーは、過去5日間にサウジアラビアがイエメン全土に対して300回以上の空爆を行ったことへの報復だと主張した。サウジアラビアの民間防衛当局は、近隣のハミス・ムシャイトとアブハで一時的な警報を発令した。

一方、イランはイエメン内戦への関与を否定した。イラン外務省のエスマイル・バガエイ報道官は「イランはイエメンの問題に干渉しない」と述べ、フーシ派は「完全に独立した主体であり、自らの利益に基づいて決定を下す」と強調した。イランはフーシ派を反イスラエル『抵抗の枢軸』の一員として長年支援してきたが、その関与の度合いをめぐっては分析者の間でも見解が分かれている。

フーシ派の攻勢は、世界の石油供給と価格に深刻な影響を及ぼしている。イランがホルムズ海峡を事実上封鎖したことで、サウジアラビアは紅海ルートに依存してきたが、フーシ派はリヤドに対する海上封鎖を宣言した。原油価格は月曜日の市場再開後に3%以上上昇した。サウジアラビアの東西パイプラインが先週の無人機攻撃で損傷し、3〜5週間の稼働停止が見込まれることも、供給不安に拍車をかけている。

米国はサウジアラビアの要請を受けながらも、イエメンへの直接介入には慎重な姿勢を崩していない。ドナルド・トランプ大統領は週末、フーシ派から直接連絡を受けたと述べ、彼らの攻撃は「一つの国」すなわちサウジアラビアだけに集中していると説明した。米中央軍司令官ブラッド・クーパー海軍大将は月曜日、ジッダでサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子と会談し、地域情勢について協議した。米国は情報共有と標的支援を提供する一方、JD・バンス副大統領はフーシ派と直接協議を行っていると明らかにした。

戦闘の激化は、イエメンの人道状況をさらに悪化させている。国際移住機関(IOM)によると、9月の初めから8万2000人以上が家を追われ、紅海を渡ってジブチへ逃れた人は2000人を超えた。世界保健機関(WHO)は、9月6日から12日までの戦闘で504人が死亡し、2379人が負傷したと報告した。イエメン北西部の要衝マリブでは、フーシ派の兵力集結が続いており、政府側の最後の主要拠点が陥落するのではないかとの懸念が高まっている。

米国の制裁適用でイラン核責任者がウィーン入り叶わず、IAEA総会でイランが抗議

国際原子力機関(IAEA)の年次総会が月曜日、ウィーンで開幕したが、イランの核責任者モハマド・エスラミ氏が出席できず、テヘランが米国の圧力だとして強く抗議した。米エネルギー長官クリス・ライト氏は、エスラミ氏が制裁対象者であり、制裁免除申請が却下されたためだと説明した。

イラン国営テレビによると、エスラミ氏と代表団は土曜日にウィーン行きの定期便に搭乗したが、米国の妨害で途中で足止めされ、テヘランに引き返した。オーストリア外務省はエスラミ氏の入国免除を安保理制裁委員会に申請したが、米国の反対で「合意が得られず」却下された。イラン外務省報道官エスマイル・バガエイ氏は「完全に不当な決定だ」と述べ、オーストリア政府にも責任があると指摘した。

イランのIAEA代表レザー・ナジャフィ氏は、エスラミ氏への国連制裁を「特定の欧米諸国による根拠のない物語」と批判した。英独仏は昨年、2015年の核合意に基づく「スナップバック」手続きを発動し、国連制裁を復活させていた。イランはこれを受け、オーストリアの臨時代理大使を召喚した。

一方、ウィーンではIAEA総会が今週金曜日まで開催され、韓国の原子力安全委員会委員長チェ・ウォンホ氏が出席するなど、各国代表が参加している。エスラミ氏の欠席は、イランの核外交を巡る緊張を改めて浮き彫りにした。

ケニアの首都ナイロビで大規模集会、ルト大統領への批判強まる

ケニアの首都ナイロビで15日、来年の大統領選を前に野党勢力が大規模な集会を開いた。44歳の上院議員エドウィン・シフナ氏が主導し、ウィリアム・ルト大統領の汚職と政治暴力を批判した。

シフナ氏は2024年6月の大規模抗議で警察の暴力を止めようと積極的に動き、若い有権者からの支持を集めた。現在は全国を巡回しており、ナイロビでも大規模な集会を開いたが、正式な出馬表明はまだだ。シフナ氏はルト大統領が「法の支配を信じていない」と非難した。

一方で政治アナリストは、シフナ氏が若すぎて経験不足であり、具体的な政策を示していないと指摘する。しかし、旧来の政治からの変化を求める若者の支持を集めており、2027年8月の選挙に向けた有力な挑戦者として浮上している。

政治 (Politics)

ロシア軍、ウクライナ国境の列車を無人機で攻撃 欧州首脳が結束訴え NATOも追加支援を表明

ロシア軍は9月13日、ウクライナ北西部ヴォルィーニ州で、ポーランド国境から約2キロの地点に停車中のキーウ発ワルシャワ行き旅客列車を無人機で攻撃した。死者は出なかったものの、攻撃の数分前には旧英国首相ボリス・ジョンソン氏や旧スウェーデン首相カール・ビルト氏ら欧州の要人を乗せた外交列車が同じ路線を通過しており、ウクライナ国鉄は「外交列車が標的だった可能性が高い」と発表した。ロシア国防省は、欧州からの軍需物資輸送に使われる鉄道インフラを攻撃したと説明している。

EUの外交政策責任者カヤ・カッラス氏は、今回の攻撃について「西側諸国がウクライナ支援をやめるよう威嚇するのが明らかな狙いだ」と指摘し、「我々はウクライナのためにそこにいることを示し、恐れていないことを証明すべきだ」と述べた。フランスのジャン=ノエル・バロ外相は「欧州人を威嚇し、士気をくじき、とりわけ彼らの間に亀裂を入れるのが目的だ」と非難した。NATOのマルク・ルッテ事務総長はブリュッセルで「プーチンの絶望と恐怖をまく意欲を示している」と述べ、ウクライナへの追加支援と東部国境の防衛強化を約束した。ポーランドのドナルド・トゥスク首相は、ロシアがウクライナ西部国境への攻撃を強化する構えを見せていると警告し、「このエスカレーションがポーランド領土にも及ぶ可能性を排除できない」と述べた。

一方、米国のドナルド・トランプ大統領は、ウクライナとロシアが互いのエネルギーインフラを攻撃しないことで合意したと主張した。ウクライナはロシアの石油精製施設への攻撃で成果を挙げており、米国のディーゼル価格高騰がトランプ大統領の支持率を下押ししている。ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は、重要インフラに関する相互攻撃停止が「和平への第一歩」になり得ると述べたが、ロシアとウクライナの双方とも合意を正式に確認していない。

ロシアの無人機攻撃は、ウクライナの鉄道網に対する組織的な攻撃の一環だ。ウクライナ国鉄によれば、8月以降、鉄道への攻撃は316回に達し、機関車82両と客車22両が破壊または損傷し、鉄道職員15人が死亡、21人が負傷した。ロシア軍はウクライナ全土で作戦を継続すると表明しており、欧州各国は結束を強めて対応する構えを見せている。

スコットランド・ウェールズ・北アイルランド、英離脱へ共同宣言 自治3地域の首相が「ウェストミンスターの時代は終わりつつある」

スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの3地域の首相が9月14日、英首都カーディフで覚書(MOU)に署名し、英国からの独立に向けて共同歩調を取ることで合意した。スコットランド国民党(SNP)のジョン・スウィニー、ウェールズのプライド・カムリのルーン・アプ・イオルワース、北アイルランドのシン・フェイン党のミシェル・オニールが参加し、アイルランドのシン・フェイン党首メアリー・ルー・マクドナルドも署名者に加わった。3氏は政府代表としてではなく、各政党の党首として会合に臨んだ。

覚書は「我々の国家には自決の権利がある。ウェストミンスターの政府が民主主義を妨げたり、我々の人民が自らの未来を決めるという原則を損なう権利はない」と明記した。さらに「これらの島々の政治情勢は変わりつつある。史上初めて、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドに英国からの独立を目指す首相が同時に誕生した」と指摘し、「ウェストミンスターの時代は終わりつつある」と宣言した。また、3地域の未来は欧州連合(EU)に属するとし、貿易・投資・文化・協力の機会を拡大するため欧州との関係再構築を目指すとしている。

スウィニー氏は会合を「英国の憲法上の歩みにおける極めて重要な瞬間」と評し、自決の原則は「不可侵の権利」だと述べた。さらにアンディ・バーナム英首相について「彼が英国最後の首相になるだろう」と語った。一方、バーナム政権はスコットランド独立の再投票と北アイルランド統一の是非について、いずれも「当面は協議の対象外」との立場を維持している。今回の動きは、ドナルド・トランプ米大統領がアイルランド訪問中に「統一アイルランドを歓迎する」と発言した直後に行われた。

3党は独立の目標を共有するものの、その実現方法や時期には違いがある。SNPは2014年の住民投票で否決されたスコットランド独立の再投票を求める。シン・フェイン党は北アイルランドとアイルランド共和国の再統一を目指す。プライド・カムリは長期的なウェールズ独立を支持するが、即時の住民投票は求めない。今回の覚書は、こうした各党の立場の違いを認めつつ、経済・エネルギー・保健分野での協力強化を約束する内容となった。

3地域の独立派政党が同時に第一党となるのは、1999年の分権開始以来初めてのことだ。スコットランドとウェールズの議会では独立派が最大勢力となり、北アイルランドでは2022年からシン・フェイン党が最大政党の座にある。今回の合意は、英国の分権制度の枠組みを揺るがす可能性を秘めており、バーナム政権にとっては今後の対応が問われることになる。

BRICS首脳会議でAI協力推進、中印首脳が「パートナー」関係を確認、欧州ではAI規制と防災協力が焦点に

第18回BRICS首脳会議がニューデリーで開催され、習近平国家主席が人工知能(AI)分野での協力構想を打ち出した。習氏は「AI BRICS共同体」の構築を主導し、大規模言語モデル開発での協力支援と訓練提供を提案、新設の世界AI協力機構への参加を呼びかけた。米国との技術競争が激化する中、グローバルサウスからの支持獲得を狙う。

会議の舞台裏では中印首脳会談が行われ、王毅外相は両首脳が「競争相手ではなくパートナー」として関係を構築するという重要なコンセンサスに達したと明かした。モディ首相は「敵対者ではなくパートナー」となる用意があると述べ、国境地域の平和維持と相互支援で合意。貿易は記録的水準に達し、文化交流や直行便の増強など協力分野の拡大で一致した。中国は2027年のBRICS議長国就任を控え、インドとの連携強化を図る。

一方、欧州ではAI開発を巡る議論が活発化している。ドイツのデジタル省は、AIリスクへの懸念が高まる中で国際協力の必要性を強調し、独立した国際AI監督機関の創設を支持。カーステン・ヴィルトベルガー・デジタル相はG7枠組みで米中と協議する方針を示し、欧州でのAI開発停止には「批判的」な立場を取った。制御不能となったシステムの複数の事例を受け、Anthropicのダリオ・アモデイCEOが強力なモデルの開発減速を呼びかけ、OpenAIのサム・アルトマン氏やイーロン・マスク氏も支持した。ドイツ政府は国内AI安全研究所(AISIドイツ)の設立を進め、英仏の類似機関と連携する。

欧州と台湾の間では防災協力が焦点となっている。欧州連合(EU)の台湾代表部トップ、ルッツ・グルナー氏は台北でのワークショップで、自然・人為的災害への備えを強化するため二国間協力を拡大すべきだと訴えた。欧州はウクライナ侵攻を機に市民保護メカニズムを強化しており、台湾は自然災害対応の「参照点」であると評価。政府間だけでなく市民社会レベルでの協力が「レジリエンスの文化」構築に不可欠だと強調した。

また、フランスのマクロン大統領が9月29日から30日にかけてスペインを公式訪問する。スペイン国王主催の晩餐会やサンチェス首相との会談が予定され、任期終盤の欧州首脳外交の一環となる。両国間では2018年から計画されていた友好条約が、スペイン議会での政治対立により履行が滞っており、今回の訪問で鉄道・エネルギー・デジタル・宇宙分野の協力再活性化を目指す。欧州の極右台頭やセウタ移民危機など共通課題も議題となる。

さらに、アルジェリアのシフィ・グリーブ首相がマリのバマコを訪問し、両国関係の立て直しを図った。2025年4月のマリ軍無人機撃墜事件を契機に悪化した外交関係は、大使召還と領空相互閉鎖にまで発展したが、8月のマリ首相のアルジェ訪問を経て対話再開の機運が高まっている。約1300キロの国境を共有する両国は、政治・経済・安全保障関係の再構築を目指す。

エネルギー分野では、高市早苗首相が国際エネルギー機関(IEA)のファティ・ビロル事務局長と会談し、中東情勢の不安定化による原油供給途絶への対応で連携強化を求めた。日本政府は8月にホルムズ海峡を迂回するパイプライン建設支援など調達強化策を策定。ビロル氏は日本のアジアにおけるエネルギー安全保障のリーダーシップを評価し、IEAの支援を約束した。赤沢亮正経済産業相も世界のエネルギー供給見通しの不確実性を踏まえ、IEAとの緊密な協力を希望した。

アジア太平洋地域では、米太平洋艦隊司令官スティーブン・トーマス・コーラー提督が、マレーシアで行われた太平洋パートナーシップ2026の閉幕式で多国籍協力の成果を強調した。言語や文化、組織構造の違いを乗り越え、災害対応能力の強化という共通目標に向けて各国が効果的に連携したと評価。「太平洋では、海は我々を隔てるものではなく、結びつけるものだ」と述べた。同演習には約1500人が参加し、マレーシアでは災害管理、工学、医療、地域貢献の4分野に焦点を当てた活動を展開。次回はフィリピンで9月16日から最終行程が行われる。

これらの動きは、BRICS主導の新興国連携、欧州のAI規制と防災協力、中東・アフリカの外交再構築、エネルギー安全保障、インド太平洋の多国間演習と、2026年9月時点の世界が直面する多層的な課題と協調の動きを浮き彫りにしている。大国間競争が続く中、各国は分野横断的な連携を模索している。

トランプ氏、ウクライナとロシアのエネルギー施設への攻撃停止で合意と主張

米大統領ドナルド・トランプ氏は9月14日、ウクライナとロシアが互いのエネルギー施設への攻撃を停止することで合意したと自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で主張した。トランプ氏は「ウクライナはロシアのエネルギー目標を攻撃しないことに合意した。ロシアも同様に合意した」と述べ、世界のディーゼル価格上昇の主因はロシア・ウクライナ戦争でありイランではないと強調した。

この発表は、トランプ氏が前日にウクライナのゼレンスキー大統領に対し、ロシアの石油精製施設への攻撃を止めるよう求めた直後になされた。米国内ではディーゼル価格が1ガロン当たり6.23ドルと過去最高を記録しており、トランプ氏はイランとの戦争ではなくウクライナの攻撃が燃料不足を招いていると主張している。

しかし、ウクライナのゼレンスキー大統領は同日、ロシアが合意を遵守するか確信が持てないと述べ、慎重な姿勢を示した。ゼレンスキー氏は「パートナーがロシアの電力網やエネルギー施設、重要インフラ、食料輸送路への攻撃を真に控えることを保証するなら、我々も対応する攻撃停止に応じる用意がある」とSNSで表明した。一方、ロシアのクレムリンはこの発表に対する即時のコメントを出していない。

この合意主張は、米国が仲介する和平交渉が停滞する中で出された。米特使スティーブ・ウィトコフ氏とジャレッド・クシュナー氏は9月上旬にモスクワとキーウを訪問し、三者協議の再開を模索していた。ウクライナとロシアは10月に協議再開の用意があると表明している。ただし、ロシアのプーチン大統領はゼレンスキー氏との直接交渉を望まず、トランプ氏との合意を優先しているとの見方もある。

エネルギー攻撃の停止をめぐっては、ウクライナがロシアの製油所や石油供給インフラを長距離ドローンで攻撃し、ロシア国内で燃料不足と価格上昇を引き起こしている。一方、ロシアはウクライナのエネルギーインフラを冬季に集中的に攻撃してきた経緯がある。ゼレンスキー氏は、エネルギーと穀物輸出の再開が和平への第一歩になると述べており、来週の国連総会でトランプ氏と会談し、これらの問題を協議する計画を示している。

EU、15歳未満のSNS・AIチャットボット利用制限へ 新法案「EUキッズ法」を発表

欧州委員会は15日、15歳未満の子どもを対象に、ソーシャルメディアや動画共有プラットフォーム、AIチャットボット、オンラインゲームへのアクセスを制限する新たな法案「EUキッズ法」を発表する。ウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員長とヘンナ・ヴィルクネン欧州委員が同日ブリュッセルで正式に提示する。この法案は、TikTokやInstagramといったプラットフォームが子どもの精神的健康に与える影響への懸念が高まる中で、未成年者をオンライン上の危険から守るための最も包括的な取り組みとなる。

法案の核心は、年齢に応じた段階的なアクセス制度の創設だ。13歳未満の子どもは、保護者が完全に管理するアカウントを通じて、厳格な安全基準を満たすサービスにのみアクセスできる。13歳から14歳までは、保護者の監督下で、見知らぬ人との接触やスクリーンタイムに制限のある入門用アカウントが設けられる。15歳以上になると、子ども自身が自分のアカウントを開設できるようになる。また、ソーシャルメディアと動画共有プラットフォームには、ユーザーの年齢を確認する技術の導入が義務付けられる。

さらに、企業には依存性を生むデザインや有害なフィードを避けること、子どもが有害なコンテンツを簡単に報告できるツールや効果的な保護者管理ツールを提供することが求められる。オンラインゲームプラットフォームは、ゲームをダウンロードする前に子どもの年齢を確認する必要がある。企業は規制当局の執行と監督を賄うための監督料の支払いも義務付けられる。この法案は、デジタルサービス法(DSA)やAI法に類似した執行構造を導入し、最もリスクの高い企業の執行を欧州委員会に一元化する一方、小規模企業は各国の規制当局が監督する。

この動きは、フランスのエマニュエル・マクロン大統領など政府首脳からの強い圧力を受けたもので、オーストリア、デンマーク、フランス、ギリシャ、スペインなどが独自の国内法を進めている。オーストラリアが2025年末に世界で初めて16歳未満のソーシャルメディア利用を禁止したことを受け、インドネシアやブラジルなども追随している。EUの新法案は、今後、欧州各国政府と欧州議会との交渉を経て成立する見通しだ。

バングラデシュ議長、インドとの対等な関係を要望 韓国・ウズベク首脳が戦略的連携を拡大

バングラデシュのハフィズ・ウディン・アフマド議長は月曜日、インドとの関係について相互尊重と善隣関係、平等に基づく友好関係を望むと述べた。ボーラの巡回事務所で地区行政官らと会談した後、記者団に語ったもので、両主権国家間に存在すべき友好的で対等な関係を求めた。

議長は、アワミ連盟政権下の17年間でほぼ全ての分野とレベルで国が広範な損害を受けたと指摘した。前政権の非合法活動が国をほぼ破滅の瀬戸際に追いやったとし、状況を克服して発展の道に戻すには時間がかかると述べた。7ヶ月は短すぎるとし、改革プロセスは既に始まっているが、特に法律や規制に関して多くの変更が必要だと語った。

一方、韓国のイ・ジェミョン大統領とウズベキスタンのシャフカト・ミルジヨエフ大統領は月曜日、ソウルで首脳会談を行い、人工知能、重要鉱物、防衛などの新興分野で二国間連携を拡大することで合意した。両首脳は韓国の技術と産業の強みとウズベキスタンの開発優先課題を組み合わせ、未来志向の協力を拡大することを強調した。会談では13の協定と覚書が交わされ、韓国航空宇宙産業とウズベキスタンのウズテクトレード間の防衛協力契約などが含まれた。

マレーシアでは、証券委員会のモハマド・ファイズ・アズミ委員長が、補助金削減や経済開発に重点を置く政府の主要な財政決定により、同国は10年前より強い立場にあると述べた。米ドル建て政府スクーク発行の価格決定が国際的な認知の向上を示したとし、資本市場の活力向上に向けた取り組みを説明した。

パキスタンのアシム・ムニール国防軍司令官とインドネシアのムハマド・アリ海軍参謀長は月曜日、ラワルピンディの総司令部で会談し、地域の安全保障と二国間防衛協力の拡大について議論した。両国は既存の軍事関係に満足感を表明し、専門訓練や合同軍事演習などの協力強化を再確認した。

南アフリカのラマポーザ大統領は、ニューデリーで開催された第18回BRICS首脳会議に出席後、インドとの貿易・投資関係を深化させたいとの意向を示した。重要鉱物、グリーン産業化、インフラ、農業、デジタル経済の分野で機会があるとし、インド企業150社以上が100億ドル以上を投資し、1万8000人以上の雇用を創出していると述べた。

スペイン元社会保障相、遺族年金と給与の部分的不両立を提案 年金制度の抜本改革を要求

スペインの公的年金制度は退職年金だけで構成されているわけではない。実際、支出の約3分の1は遺族年金・孤児年金・障害年金など他の給付に充てられている。しかし制度改革の大半は退職年金の受給とアクセスに集中してきた。こうした中、ホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ政権とペドロ・サンチェス政権で社会保障担当国務長官を務めたオクタビオ・グラナード氏が、制度を規定する法律を全面的に作り直すための提案書を作成した。その中で最も注目されるのが遺族年金に関する改革案だ。

グラナード氏がFedeaのためにまとめた『La Seguridad Social, algo más que la pensión de jubilación』では、遺族年金の一部を労働所得と不両立とすることが提案されている。遺族年金は総支出の15%以上(年間280億ユーロ超)を占める。現行制度では、遺族が働きながら受け取る場合、その給与額にかかわらず遺族年金を全額受給できる一方、退職後に年金受給者となると、複数の年金を合算しても上限額までしか受け取れないという矛盾がある。グラナード氏は、この不整合を解消するため、遺族年金と労働所得の不両立を導入し、その節約分を、退職後の遺族が退職年金と遺族年金を上限なしで同時受給できるようにする財源に充てることを提案する。また、最低年金に達しない年金に付加される最低保障加算とも不両立とすべきでないと主張する。

グラナード氏は、現行の遺族年金制度を『寛大で、不両立政策が恣意的』と評する。彼によれば、当初は働く女性を増やすために導入された給与との併給制度が、今では平均所得の5倍、10倍、100倍の収入を得る人々にも給付を支払う結果となっている。IBEX構成企業の会長でも遺族年金を受け取れるというのが、現行制度への批判の典型例だ。同氏は2007年の改革時に経営者団体CEOEの提案でドイツ型の不両立制度が検討されたが、実現しなかったと指摘する。

提案の核心は、EUの年金制度の例に倣い、現役期間中の遺族年金と労働・経済活動所得との不両立を一定割合で導入することだ。節約される財源は、①退職年金・障害年金・最低保障加算の受給によって遺族年金の受給が完全に打ち消される現状の是正、②孤児年金の給付増額と遺族年金の相対的減額、③現行制度の利点を維持したいカップル向けの保険制度の段階的導入、に充てられる。

さらにグラナード氏は、時代遅れだと考える新社会保障法に、保険料負担の変更を盛り込むべきだと主張する。具体的には、ベビーブーム世代の大量退職に対応するための世代間公平メカニズムによる過大な保険料負担の再均衡交渉と、企業が傷病手当の上乗せ給付を約束する労働協定を結ぶ場合、その協定が傷病手当の支出を不均衡に増加させることが証明されれば、事業主と労働者の双方に高い保険料を課すことを提案する。また、傷病手当の原因(労災・職業病・一般疾病)を問わない統一的な扱い、回復過程における給付と給与の部分的な併給を可能にする段階的復職、一定期間を超えるメンタルヘルス関連の休職におけるリハビリテーションの義務化(共済組合との連携)も提言する。

この改革案は、スペインの年金制度における遺族年金の位置づけを根本から見直すものだ。労働所得との不両立という抑制策と、退職後の併給拡大という拡充策を組み合わせた点に特徴がある。実現すれば、高所得者の遺族年金給付が抑制される一方、低所得の遺族の年金受給が改善される可能性がある。ただし、歴史的に何度も改革案が浮上しては消えてきた経緯があり、今回の提案が実際の法制化に至るかは不透明だ。

欧州を襲う燃料高騰、米国がウクライナにロシア製油所攻撃停止を要請

2026年9月14日、欧州は燃料価格の高騰に直面した。ブレント原油は1バレル107ドルを超え、5月以来の高値を記録した。欧州のディーゼル価格は原油に対するプレミアムが1バレル100ドルを初めて突破した。米国大統領ドナルド・トランプは13日、アイルランドで記者団に対し、ウクライナがロシアの製油所を攻撃し続けるのをやめるべきだと述べた。攻撃が世界を傷つけているというのがその理由だ。

しかし、アナリストは燃料不足の主因を別の場所に求める。米国とイランの戦争だ。この戦争によりホルムズ海峡はほぼ閉鎖された。戦争前は世界の石油の20パーセントがそこを通過していた。サウジアラビアのエネルギー省は11日、東西原油パイプラインの停止を発表した。前日にリヤドとメディナ地域で無人機が攻撃したためだ。トレーダーは1日400万バレルが危険にさらされていると見積もるが、サウジ当局はこれを確認していない。

欧州の冬物価格も上昇している。オランダの卸売ガスは1メガワット時あたり83.77ユーロ(約97ドル)で取引され、2023年以来の高値となった。ユーロは1.1539ドルまで下落し、0.48パーセント安となった。エネルギー価格の上昇がユーロ安を招き、さらに輸入コストを押し上げる悪循環に陥っている。ユーロ圏の年間インフレ率は8月に3.3パーセントに達し、エネルギー構成要素は10.3パーセントから14.3パーセントへと上昇した。欧州中央銀行は水曜日に預金金利を2.50パーセントへ引き上げる。

スウェーデンでは、中道左派連合が349議席の議会で176対173と優勢に立つ。ほぼすべての地区で票が集計された。最終結果は水曜日までに判明しない見込みだ。また、ニーダーザクセン州の地方選挙では、ドイツのための選択肢が15.9パーセントを獲得し、2021年の4.6パーセントから大きく躍進した。極右勢力が西側に足場を築いた形だ。

欧州は、戦争の目的がディーゼル価格に取って代わられるべきだというワシントンからの要請で週を始めた。しかし、欧州の首都はいまだ応答していない。スウェーデンはまだ票を数えており、ニーダーザクセンは極右に西側の足場を渡し、マリーヌ・ル・ペンは選挙戦を開始した。それぞれが、外部世界の代償を誰が払うのかという国内の議論である。

イスラエル、ヨルダン川西岸でパレスチナ「存在」の解体進める 人権団体が報告書

イスラエルの人権団体B'Tselemは14日、占領下のヨルダン川西岸におけるイスラエルの行動が、パレスチナ人が一つの民族として存続することを不可能にするための一大プロジェクトを構成していると発表した。「The Elimination Project(排除プロジェクト)」と題する報告書で、同団体は西岸におけるイスラエルの5つの連動した戦術と政策、すなわち「暴力、民族浄化、移動制限、経済的締め付け、社会的・政治的破壊」を挙げた。

報告書は、入植者と軍によるパレスチナ人への暴力により、2023年10月7日以降、パレスチナ保健省のデータに基づくAFPの集計で1,108人が死亡したと指摘した。また、近年の暴力や家屋取り壊しにより、西岸の数十の小さな孤立したパレスチナ人コミュニティが避難を余儀なくされた過程に「民族浄化」という用語を適用した。B'Tselemのユリ・ノヴァク事務局長はエルサレムでの記者会見で、これらの政策が「パレスチナ人が一つの民族としてここに住み続けるために必要な条件を解体している」と述べた。ノヴァク氏は、ネタニヤフ政権が「このシステムをこれまで以上に速く、より暴力的で、制度化的なものにした」と付け加えた。

イスラエル軍は、パレスチナ人を一つの民族として排除しようとしているという非難は「虚偽で根拠がなく、現実から明らかに遊離している」と反論し、西岸での「国家主義的暴力」を最も強い言葉で非難すると述べた。一方、ポルトガルのパウロ・ランゲル外相は同日、占領下のヨルダン川西岸と東エルサレムにおけるイスラエルの入植地拡大と経済的圧力が、存続可能なパレスチナ国家の見通しを損なっていると述べた。ランゲル氏は、イスラエルのE1入植計画は西岸を分断し、東エルサレムを孤立させるため「極めて有害」であり、二国家解決と両立しないと指摘。イスラエルによるパレスチナ税収の留保は、パレスチナ自治政府の財政に対する「残忍な締め付け」だと非難した。

欧州では、パレスチナ国家承認が政治的目標として認識される一方、その基盤となる領土が着実に侵食されている。英国、フランス、スペイン、カナダなど12カ国は8日、イスラエルの西岸での行動が二国家の可能性を損なっていると宣言し、入植地産品への貿易制限を導入する意向を表明した。イスラエルはこれに応じ、英国の東エルサレム領事館閉鎖や、英国によるパレスチナ自治政府治安部隊の訓練終了などで対抗した。この緊張は、10月27日のイスラエル議会選挙を前に、入植地拡大とパレスチナ人の「自発的移住」をめぐる議論が政治課題となる中で顕在化している。

シリアで燃料価格高騰に抗議、アサド政権崩壊後最大のデモに拡大

シリア政府が先週末に発表した燃料価格の大幅な引き上げに対し、首都ダマスカスと北部の工業都市アレッポを結ぶ高速道路など主要道路でタイヤを燃やし交通を遮断する抗議デモが発生した。デモはアサド政権崩壊後、最も広範囲なものとなった。

政府は土曜日、ディーゼル価格を40%引き上げて1リットル当たり175シリア・ポンド(約1.32ドル)とした。家庭用・産業用ガスは約9%、95オクタン価ガソリンは28%値上げされ195ポンド、90オクタン価ガソリンは26%値上げされ185ポンドとなった。国連開発計画(UNDP)の推計では、シリア人の90%が貧困線以下で暮らしており、2011年の内戦開始前の約3分の1から急増している。

抗議参加者は中央シリアの製油所へ向かう原油タンカーの車列も遮断し、エネルギー相と経済相、シリア石油会社トップの解任を求めた。アレッポで抗議に参加したヤセル・サリム氏は「賃上げはいらない。ディーゼルなど燃料価格の値下げだけを求めている」と語った。同じくアレッポで抗議したバッサム・アル=アリ氏はアハマド・アル=シャラア大統領に直接訴え、「国境検問所は何百万ドルもの収入をもたらしている。新しいロータリーやショッピングモールはいらない。ただ生きていきたいだけだ」と述べた。

エネルギー省報道官のアブドゥルハミド・サラット氏は日曜日、価格引き上げは世界的な調達コスト上昇と輸入依存度の高さによる一時的な措置であり、状況の変化に応じて見直されると説明した。シリアは今年、1日当たり約6万バレルのロシア産原油を輸入しているが、ウクライナ軍のロシア製油所攻撃で生産が減少し、モスクワがガソリンとディーゼルの輸出を制限したことで供給圧力が高まっている。さらに、国内最大のバニヤス製油所が初の大規模整備のため3カ月間閉鎖されていることが供給逼迫に拍車をかけている。

値上げにより、95オクタン価ガソリンは2月から約86%上昇し、ディーゼルは2倍以上となった。一方、ブレント原油は1バレル当たり72.48ドルから104.61ドルへ約44%上昇した。44歳のタクシー運転手イマド・アブ・ラス氏は「乗客はすでに運賃値上げに不満を言い始めている。燃料価格とともに野菜やその他すべてが値上がりする。解決策は何か。盗むことか。でも盗めない」と語った。

抗議は月曜日も続き、北東部ハサカ近郊のシャッダーディー地区では数十人が集まり、タイヤを燃やして生活費への影響を治安当局に訴えた。ハサカとデイール・エズ=ゾールを結ぶ幹線道路や、ラッカ郊外のデイール・エズ=ゾールとアレッポを結ぶ国際道路も封鎖され、リフ・ディマシュクではミニバス運転手がストライキを実施した。シリア議会は木曜日、エネルギー相モハンマド・アル=バシール氏を召喚し、燃料価格高騰について説明を求める。この抗議は、アサド政権崩壊後の経済回復の遅れに対する国民の不満を浮き彫りにしており、新政権にとって最初の大きな政治的試練となる。

BRICSサミットが世界秩序の変革を象徴、西側のリーダーシップ衰退が鮮明に

第18回BRICS首脳会議が9月12日から13日にかけてニューデリーで開催され、参加11カ国が140項目からなるニューデリー宣言を全会一致で採択した。宣言は多極化とグローバルガバナンス改革を支持し、一方的な制裁と関税障壁に反対する立場を明示した。これにより、BRICSは西側に対抗するブロックというより、G20が担ってきた国際協力の実務を引き継ぐ存在としての役割を強めた。

西側諸国はBRICSの結束に驚きを隠せず、特に米国は自国のリーダーシップ喪失への懸念を強めている。ロシアのレオニード・スルツキー下院国際問題委員会委員長は、西側が一極支配の不可逆的な崩壊に神経質になっていると指摘した。プーチン大統領はウクライナへの欧州軍派兵がロシアとの直接戦争を意味すると警告し、これが西側への先制的な応答となった。一方、インドの政治学者ナンダン・ウニクリシュナンは、このサミットが米国にルールの変更が必要だと認識させることを期待すると述べた。

サミットの枠外でも、各国が独自の戦略を展開している。エジプトでは9月22日から24日までFDCサミットが開催され、AI、データセンター、サイバーセキュリティに焦点を当てる。同国はルーマニアとの製造能力強化に向けた戦略的パートナーシップも模索している。ナイジェリアはガスハブ化を推進し、2027年までに日産100億立方フィート、2030年までに120億立方フィートの生産目標を掲げた。マレーシアのアンワル首相はサミット参加後、モルディブを訪問し、防衛とイスラム問題に関する覚書の署名を予定している。

今回のサミットは、世界のリーダーシップが西側から多極的な枠組みへ移行しつつあることを示す決定的な出来事となった。BRICSは恒久的な事務局を持たないものの、災害早期警報や資産回収といった実務的な課題でG20の空白を埋めつつある。今後、この枠組みが国際協力の主要なプラットフォームとして定着するかが焦点となる。

欧州、北極圏で戦略強化へ 12カ国が新政策を要求、ロシアの脅威と米国のグリーンランド問題が背景

欧州連合(EU)の加盟12カ国が、北極圏に対するより積極的な欧州政策を求める共同声明を発表した。フィンランドのロバニエミで開かれた欧州北極圏サミットで、ドイツのフリードリヒ・メルツ首相やフィンランドのペッテリ・オルポ首相らが参加し、ロシアの軍事的脅威と米国によるグリーンランド領有の主張が、欧州の北極圏戦略を見直す契機となった。

参加国は、ロシアが北極圏の安全保障と安定にとって最も重要かつ長期的な脅威であると特定した。ロシアはソ連崩壊後に放棄された軍事基地を再開・近代化しており、北極海航路の支配力を強めている。また、中国の関心や米国の動向も注視されている。ドイツのメルツ首相は、北極圏を「地政学的なホットスポット」と表現し、「高い北と低い関心は終わった」と述べた。

サミットでは、EUの新たな北極戦略の策定に向けた協議が行われた。EU外交政策責任者のカヤ・カラス氏は、北極圏でロシア、米国、中国、欧州の利益が衝突していると指摘し、ロシアによる旧ソ連軍基地の再開やミサイル実験、海底ケーブルなどの重要インフラ監視に言及した。また、欧州がレアアースや鉱物の供給源として北極圏を必要としていると強調した。

共同声明では、EU委員会に対し、海洋・宇宙監視、情報交換、重要インフラ保護、ハイブリッド脅威への対応能力を次期戦略に盛り込むよう求めた。さらに、軍事機動性、国境を越えた接続、デジタル通信、衛星、二重用途インフラへの資金増額を要求している。声明はまた、北極圏の経済的可能性を強調しつつ、脆弱な生態系と先住民の権利を尊重する必要性を訴えた。

欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は先週グリーンランドを訪問し、2億ユーロの投資パッケージを発表した。これは、トランプ米大統領がデンマーク領のグリーンランドを「米国が保有すべきだ」と主張し、必要なら武力行使も辞さないとしていることへの対応だ。グリーンランドはEU非加盟だが、デンマークの自治領であり、欧州と米国の間の緊張の焦点となっている。

一方、欧州企業の中国依存が課題となっている。ベルテルスマン財団の調査によると、欧州企業の多くが地政学的ショックのリスクを認識しながらも、台湾有事などへの備えが十分でないことが明らかになった。中国のレアアース輸出規制などが依存の脆弱性を露呈しており、EUは供給源多様化のための新たな手段を準備している。

さらに、ウクライナのゼレンスキー大統領が追加の軍事支援を求めたことで、EU内に「爆弾」が投下された。ウクライナ国防省の270億ドルの予算不足に対し、欧州は説明を求めている。ウクライナは複数年にわたり記録的な赤字予算を組んでおり、資金調達が大きな課題となっている。

スウェーデン総選挙は大接戦、左派連合が176議席でわずかに先行、右派連合は173議席、最終結果は水曜日まで持ち越し

スウェーデン総選挙は、左派連合と右派連合が事実上の大接戦となる結果となった。開票率95%時点で、マグダレナ・アンデション社会民主党党首率いる左派連合が176議席を獲得し、ウルフ・クリステション首相率いる右派連合の173議席を3議席上回っている。両陣営の差はわずか約2万8000票で、残り約20万票の開票が水曜日に予定されており、最終的な勝敗は持ち越しとなった。

アンデション氏は日曜日夜、支持者らに対し「現時点で我々がリードしており、この状態が続けばスウェーデンは新政権を得る」と述べた。一方、クリステション氏は結果が「複雑」になると認めつつ、左派が「社会主義的」経済政策で過半数を獲得できなかったと主張し、政権維持に意欲を示した。右派連合はスウェーデン民主党を閣僚ポストに迎え入れる構えを見せるが、中道の中央党はこれを嫌っており、連立交渉は難航が予想される。

スウェーデン民主党は今回の選挙で得票率を20.54%から17.6%へと落とし、議会入り以来16年で初めて後退した。これは移民・犯罪対策の厳格化が他党にも浸透したことが背景にあると分析されている。アンデション氏は同党を「過激派」と評し、政権入りすれば「憎悪」が広がると批判したが、左派連合内でも左翼党と中央党の対立が深く、連立樹立には時間がかかるとの見方が強い。

スウェーデン政治の行方は、欧州全体で高まるナショナリズムの動向を占う試金石となる。アンデション氏が勝利すれば中道左派政権が復活し、クリステション氏が残留すれば極右政党が初めて正式に政権入りする。両者とも連立交渉を急ぐ構えだが、最終結果判明まで不確実性が続く。

世界の鼓動:2027年大統領選を巡る各国の胎動と財政運営の岐路

アルゼンチンでは、クリスティーナ・キルヒネル元大統領のもとに届いた最新世論調査が、2027年大統領選挙におけるペロン主義陣営とハビエル・ミレイ政権の事実上の互角を示した。調査会社アナロヒアスが9月5日から8日にかけて全国2932人を対象に実施したもので、誤差は±2%だ。ペロン主義統一陣営が31%、ミレイ氏が30.7%と、3ポイント差の「技術的互角」となっている。政権支持基盤は約34ポイントにとどまり、反対意見は約50ポイントに達した。有権者の60.9%が「1年前より悪化した」と回答し、女性に限れば66.3%に上る。家計の評価と期待を合わせた指数は2024年12月のマイナス8.4から今月マイナス25へと悪化し、過去2年で最低を記録した。

パナマでは、2027年度予算案からゴルガス記念研究所への拠出金が580万米ドル削減されることが明らかになった。同研究所は感染症やベクター媒介疾患の研究、疫学監視を担う国立参照研究所であり、2025年度の予算規模は約3940万米ドルだった。予算案では光熱費の項目がゼロとされており、注目を集めている。国家予算案の総額は351億米ドルで、社会開発省が4680万米ドルの削減と最も大きく、外務省は760万米ドル減となっている。予算はまだ議会で可決されておらず、今後修正される可能性がある。

フランスでは、セバスティアン・ルコルニュ首相が2027年度予算案をめぐり、退職者に60億ユーロの負担を求める方針を示した。年金の物価連動(2.1%)を回避するか、10%の税控除を見直すことで財源を捻出する案だ。ルコルニュ首相は議会各会派との協議を開始し、デビッド・アミエル予算担当相、ジャン=ピエール・ファランドゥ労働相、ローラン・パニフー議会関係相が調整役を務める。しかし、マリーヌ・ル・ペン氏が率いる国民連合の動向が予算成立の鍵を握るとの見方が強い。住宅費はフランスの家計消費の28%を占め、2025年には6210億ユーロに達した。前年比で0.2ポイント上昇し、消費全体の伸びの半分を占めた。

ウクライナでは、セルヒー・コレツキー首相が世界銀行から8億4100万米ドルの予算支援を受けると発表した。カナダの保証に裏打ちされたもので、PEACEプロジェクトを通じて提供される。資金は年金支払いの補填に充てられる。ウクライナは2022年のロシアによる全面侵攻開始以来、最も厳しい予算状況に直面しており、非防衛支出に厳しい制限を課している。PEACEプロジェクトは2022年6月に設立され、これまでに総額535億米ドルを動員した。カナダはEUの900億ユーロ支援融資への参加も検討中だ。

これらの動きは、2027年に向けた各国の政治・経済戦略が交錯する様相を呈している。アルゼンチンの選挙戦略、パナマの財政緊縮、フランスの年金改革、そして戦時下のウクライナ支援。いずれも、それぞれの国が直面する構造的な課題への対応を迫られている点で共通する。特にフランスでは、国民連合の支持が予算審議の行方を左右する構図が鮮明だ。ル・ペン氏は住宅問題を2027年大統領選の主要課題に掲げており、与党との交渉が今後の焦点となる。

ガザ停戦後も続くイスラエル軍の攻撃、AI戦争の新段階、ベルギー大学の学生救出要求

ガザ停戦発効から約1年が経過した2026年9月、イスラエル軍による攻撃は依然として続いている。パレスチナ保健当局の発表によれば、停戦後の死者は1372人に達し、負傷者も4659人に上る。15日にはガザ市の避難民キャンプへの攻撃で少なくとも10人が負傷し、ハマスの技術者2人が乗車した車両への空爆では13人が負傷した。人権団体ユーロ・メッド人権監視団は、停戦後にクアッドコプター型ドローンが少なくとも60人のパレスチナ民間人を殺害したと報告し、意図的な殺害の継続を非難した。

一方、ベルギーではガザ出身の留学生13人の本国帰還をめぐり、政府と大学側の対立が表面化した。国内トップ10大学の学長らは連名の書簡で、学生を「交渉材料」として扱う政府の姿勢を「恥ずべき政治的駆け引き」だと非難した。連立政権内では、フラマン系保守政党が移民政策の譲歩を条件に学生の受け入れを主張しており、事態は膠着状態にある。

さらに、ロシアとウクライナの戦争はAIによる完全自律型兵器の導入という新たな段階に入った。ロシア軍がウクライナ南部ザポリージャで使用したドローンは、米エヌビディア製のAI搭載ミニコンピュータを搭載し、目標を自律的に識別・追尾して攻撃する能力を備えていた。両軍は偵察と攻撃を統合する「偵察・攻撃アーキテクチャ」の開発を競っており、AIが戦場の意思決定を加速させる一方で、民間人と兵士の識別という課題も浮上している。

ブエノスアイレス州の治安対策、元市長が「コナーバノ軍事警察」創設を提案

アルゼンチンのブエノスアイレス州で深刻化する治安悪化と麻薬取引に対処するため、元サンミゲル市長ホアキン・デ・ラ・トーレが「コナーバノ軍事警察」の創設を提案した。この構想は、コナーバノ地域を州政府の管轄から切り離し、各自治体を連邦直轄区とする「連邦化」構想と連動するものである。

デ・ラ・トーレは、この新たな警察力が国家政府に直属し、連邦化された自治体で活動すると説明する。複雑な犯罪、情報活動、麻薬取引、戦術作戦を担当し、常設の軍事組織として編成される。既存の「借り物の陸軍」や「借り物の憲兵隊」の代替となるもので、ブエノスアイレス州最大の駐屯地であるカンポ・デ・マジョで、現行の州警察の隊員を基に憲兵隊と陸軍の協力で編成される。国会と州議会の通常法で創設でき、憲法改正は不要だという。

また、この新組織は各自治体が運営する市警察と共存するとし、市警察の実績を評価しつつ、より多くの資源を配分すべきだと主張する。州知事によるコナーバノ全域の治安管理は不可能であり、現行の州警察は人員を倍増させたにもかかわらず犯罪が減少していないと指摘し、「システムを根本から変える必要がある」と訴えた。

一方、ブエノスアイレスでは別の話題も注目を集めている。サアベドラ地区の老舗パン屋「アルティアガ」が、英国の雑誌『LUXlife』主催の「ベイク&ブリュー賞2026」で「今年の伝統工芸パン屋」に選ばれた。同店はパン・ドゥルセやイースターのロスカ、メディアルナで知られ、2021年のパネトーネ世界選手権では2位に入賞した実績を持つ。

さらに、リアリティ番組『グラン・エルマーノ』の元参加者ウリセス・アポストロが、番組卒業から1年余りでブエノスアイレスのパレルモ地区にアパートを購入した。また、同番組の司会者サンティアゴ・デル・モロは、2027年シーズンのオーディション開始を発表し、18歳以上であれば誰でも応募可能だと伝えた。

環境分野では、ブエノスアイレスとウルグアイのコロニア・デル・サクラメントを結ぶ世界最大の100%電気フェリー「チャイナ・ソリーリャ」が、10月中旬から運航を開始する。全長130メートル、乗客2100人を収容し、従来の船と比べて二酸化炭素排出を大幅に削減する。投資額は2億ドルに上る。

文化面では、コロンビアのアフロビーツ歌手カポが9月17日にブエノスアイレスのモビスター・アレーナで公演を行う。また、コロンビアのテレノベラ『ラ・レイナ・デル・フロウ』のキャストによるコンサートが9月14日と15日に同会場で開催され、初日は完売した。

これらの話題は、ブエノスアイレスを中心に、政治・経済・文化・環境の各分野で活発な動きがあることを示している。特にデ・ラ・トーレの提案は、州の統治構造そのものを見直すものであり、今後の議論を呼ぶことになりそうだ。

経済 (Economy)

サウジの東西パイプライン停止で原油が108ドル超、世界市場はインフレと利上げ懸念に揺れる

中東情勢の悪化が世界のエネルギー市場を直撃している。イラク領から発射されたドローン攻撃により、サウジアラビアの東西パイプライン(ペトロライン)が停止し、ブレント原油は一時1バレル108.65ドルまで急騰した。このパイプラインはホルムズ海峡を迂回する重要ルートであり、世界の石油供給の約4パーセントに相当する日量400万〜500万バレルを紅海のヤンブー港へ輸送していた。供給停止により、ヤンブー港の在庫は輸出を維持できるのは5〜7日分とされ、市場は逼迫感を強めている。

原油高は金融市場にも波及した。米国のディーゼル価格は1ガロン6.2ドルと過去最高を記録し、トランプ大統領はウクライナとロシアに対しエネルギー施設への攻撃停止を要請した。ロシアは石油製品の輸出禁止を継続しており、供給不足に拍車をかけている。投資家はインフレ加速を警戒し、米連邦準備制度理事会(FRB)が水曜日に利上げを行う確率を約90パーセントと織り込んだ。米10年債利回りは5パーセントに接近し、ドル指数は上昇、ユーロとポンドは下落した。

一方、株式市場ではAI関連株が急落した。アンソロピックのダリオ・アモデイCEOが「無謀な」AI開発の減速を訴え、OpenAIのサム・アルトマンCEOとスペースXのイーロン・マスク氏がこれに同調したことで、テクノロジー株全体に売りが広がった。ナスダック100先物は1.5パーセント超下落し、エヌビディアは約3パーセント安となった。中東紛争の長期化とAIブームへの警戒が交錯し、世界の金融市場は不安定な動きを見せている。

アルゼンチンで上半期に8,734社が閉鎖、登録労働者13万6,410人減

アルゼンチンでは2026年上半期に企業閉鎖が相次ぎ、登録労働者の減少が続いた。6月単月では前月比で709社、2万2,513人の労働者が減少し、1〜6月の累計では8,734社の閉鎖と13万6,410人の登録労働者減となった。

労働省のデータによると、6月の雇用者数は前年同月比1.5%減(14万7,900人減)となった。民間部門の賃金雇用は1.9%減(12万1,000人減)、公共部門は0.9%減(3万500人減)だった。労働災害保険庁(SRT)の統計では、2025年12月に48万9,749社だった雇用主数は2026年6月に48万1,015社へ減少し、被雇用者数も955万9,457人から942万3,047人へ減少した。

一方で、自営業者(モノトリビュート)と未登録労働者(インフォーマル)は増加した。モノトリビュートは1〜6月に219万948人から220万6,788人へ1万5,840人増加した。ミレイ政権の評価基準となる2023年11月と比較すると、雇用主数は51万2,357社から48万1,015社へ3万1,342社(6.1%)減、登録雇用は985万7,173人から942万3,047人へ43万4,126人(4.4%)減となった。

専門家によると、閉鎖企業の多くは設立3年未満の新興企業であり、消費低迷の中で初期投資や運営コストを賄えずに撤退している。また、生産から輸入品の販売へ転換する企業も増え、雇用数を縮小させている。労働省は「企業数の減少は歴史的に高い閉鎖率によるものではなく、新規開業の弱さに起因する」と指摘し、企業の出生率不足が構造的問題であると分析した。

ホルムズ海峡を巡る米イラン対立が長期化、原油高と外交停滞が世界経済に影

サウジアラビアがホルムズ海峡経由の原油輸送量を増やす動きを見せている。先週、イラク領内から発射されたドローン攻撃により、同国の東西パイプラインが停止したためだ。ブルームバーグが関係者の話として伝えた。パイプラインはイラン戦争に伴う輸送混乱を回避するための重要ルートだったが、攻撃により少なくとも2カ所が損傷し、運転を中断した。地域当局者によると、復旧には数週間を要する可能性がある。サウジは代替ルートとしてホルムズ海峡経由の海上輸送に依存せざるを得なくなっている。

一方、ホルムズ海峡の航行を巡る外交協議は停滞している。イランとオマーンが主導する暫定ルート構想を協議するため、オマーンのサラーラで開かれる予定だった湾岸諸国との会合が延期された。イラン外務省は、サウジアラビアが延期を求めたと主張する。米メディアは、サウジが提案内容の文言が新たな現状を固定化することを懸念し、修正を求めたと報じた。米国はホルムズ海峡を「完全に掌握」していると主張し、エネルギー長官のクリス・ライトは、海峡を通過する石油輸送量が日量1000万バレルに達し、今後も増えるとの見通しを示した。しかし、タンカー追跡データによると、週末の海峡通過隻数は1日あたり一桁台にとどまり、平時の日量約2000万バレル・100隻超から大きく減少したままだ。

原油価格は上昇を続けている。ブレント原油は1バレル107.82ドルまで上昇し、米国産WTIも103.22ドルとなった。イラン船への攻撃やサウジのパイプライン停止に加え、フーシ派が紅海のバブ・エル・マンデブ海峡を事実上掌握したことが供給不安を増幅させた。市場関係者は、米国の主張にもかかわらず海峡の通行制限が続く限り、原油高は続くとみている。戦争保険料も戦前の船価の0.25%から最大10%まで高騰した。イランは海峡再開の条件として、米国の海上封鎖解除と6月の覚書への復帰を要求しており、外交的突破口は見えていない。

社会 (Society)

世界各地で衝突と事故相次ぐ、バングラデシュの大学紛争やインドネシアのフェリー転覆など

バングラデシュのジャハンギルナガル大学で月曜日、ラビンドラナート・タゴール・ホールとカジ・ナズルル・イスラム・ホールの学生らが衝突し、少なくとも10人が負傷した。衝突は午後3時ごろ、タゴール・ホールに隣接する道路で発生した。目撃者によると、ナズルル・ホールの前に位置する6店舗の所有権をめぐる長年の対立が原因だった。ナズルル・ホールの学生はホール隣接地域にあるとして所有権を主張し、タゴール・ホールの学生はナズルル・ホール設立以前から自ホールの管轄下にあったと反論、強引な支配を試みたと非難した。大学当局とプロクター委員会が現場に急行して事態の収拾に当たり、学生らは最終的に各ホールへ戻った。副プロクターのアブドゥル・サッタール・ジョイ博士は状況は沈静化したと述べ、両ホールの管理部と大学当局が協議して論理的な解決策に達すると語った。

ミメンシン医科大学病院では月曜夕方、新棟のエレベーターで火災が発生し、避難の際に数人が負傷した。火災は午後6時ごろ発生し、バングラデシュ農業大学消防署の部隊が消火にあたったが、エレベーターからは濃煙が上がり続けた。ミメンシン・サダール消防署のジュルハズ・ウディン署長は、火災の直接原因は不明だが、人々が駆け降りる際に混乱が生じ、転倒による負傷者が出たと説明した。病院のモハンマド・マイヌディン・カーン副所長は、当初はエレベーターの機械装置から出火したとみられ、病院の状況は完全に正常で医療サービスも平常通り続いていると述べた。調査委員会を設置して実際の原因と被害の程度を調べるとした。

首都ダッカのモティジール地区では、イスラミ銀行の経営陣交代とSアラム・グループの介入終結を求めるデモ中に二つのグループが衝突し、少なくとも25人が負傷した。イスラミ銀行意識的顧客フォーラムが銀行統治をめぐって抗議集会を開いた際、銀行本社前で小競り合いと追いかけ合いが発生した。フォーラム副会長で実業家のモタシム・ビラー氏も負傷者の一人で、負傷者はダッカの各病院に搬送された。フォーラムは記者会見で、採用をめぐる不正で解雇された元行員やSアラム・グループ関係者が集会開始前に集まっていたと主張し、警察の面前で強制的に排除されたと非難した。フォーラム会長のヌル・ナビ・マニク教授は、約3000万人の預金者を守るための7項目の要求を掲げて平和的に運動してきたと述べ、今回の攻撃はSアラム・グループの影響力の継続を示すものだと主張した。フォーラムは監視カメラ映像を調査して責任者を特定し、即時逮捕・訴追するよう要求した。

中国広州市の大学城地区では、男がナイフを振るって歩行者を負傷させた事件があり、警察が容疑者を拘束した。番禺区公安分局の発表によると、現地時間午後5時20分ごろ、小谷囲島の火鍋店前で複数人が刺されるという通報を受けた。警察が急行して負傷者を病院に搬送し、治療後、生命に危険な状態の者はいなかった。35歳の李姓の男が拘束され、事件はさらに調査中だ。ソーシャルメディアには、黒ずくめの男がショッピングセンター内で女性の顔を一瞬で刺す監視カメラ映像や、顔に血を流して座り込む女性の姿、顔にナイフが刺さった高齢女性の映像などが投稿された。容疑者は被害者の顔と目を狙ったように見えるという。

インドネシアではジャワ海でフェリーが転覆し、少なくとも108人が救助され、6人の遺体が回収された。行方不明者は129人に上る。フェリーはマサレンボ沖、バンジャルマシンから約148キロの地点で転覆した。乗船名簿によると、乗客213人と乗員30人の計243人と車両89台を載せていた。船は日曜午前2時ごろ、最大3メートルの波と右舷への激しい傾斜を船長が報告した後に連絡が途絶え、通過したヘリコプターが転覆を確認した。月曜までに17隻の船舶と5機の航空機を含む少なくとも622人が捜索に投入された。ダイバーと海軍の水中ドローンで転覆した船体の内部と周辺を調べるが、荒れた海と強い潮流が妨げている。当局はフェリーは定員500人を下回っており過積載ではなかったと述べたが、インドネシアでは実際の乗客数が名簿と異なることが多いと指摘した。全長119メートルのロールオン・ロールオフ型フェリーは1987年に日本で建造され、昨年インドネシアに売却された。土曜午後にスラバヤを出発しバンジャルマシンに向かったが、夜間に激しい天候に見舞われた。転覆の原因は天候か技術的故障か人為的ミスか調査中で、家族らがスラバヤとバンジャルマシンの港で知らせを待っている。

マレーシアのペナン州では、工場送迎バスが道路の分離帯を突き破って深さ3メートルの側溝に転落し、運転手が負傷した。ペナン消防救助局のジョン・サグン・フランシス運用副部長によると、49歳の運転手は午後6時11分に消防隊が現場到着した際、バス内に閉じ込められていたが、無事に救出され、ペナン病院に搬送された。事故は夕方のラッシュ時に発生し、バスはクイーンズベイからレラウに向かう途中、ロータリーを曲がる際に分離帯に衝突して側溝にそれたとみられる。

ロシアの黒海リゾート都市ソチでは、一晩のウクライナ無人機攻撃で子供を含む5人が負傷した。地元当局が月曜日に発表した。負傷者のうち1人だけが入院し、住宅3軒が被害を受けた。ソチ市長のアンドレイ・プロシュニン氏は、攻撃で発生した火災を消防士が消し止めたと述べ、無人機の破片に近づかないよう警告した。隣接するロストフ州では、ユーリー・スリュサル知事が防空システムが州上空で50機の無人機を迎撃したと述べ、民間インフラに被害が出たものの負傷者はいなかったと報告した。ロシア国防省は、日曜夜から月曜朝にかけてロシア本土と併合したクリミア上空で399機のウクライナ無人機を迎撃したと発表した。一方、ウクライナ北部チェルニーヒウ州では、ロシア軍が農場倉庫を攻撃し、3人が死亡、7人が負傷した。この攻撃は、日曜日にポーランド国境近くの旅客列車がロシアの攻撃を受けた直後に発生した。欧州連合の外交政策責任者カヤ・カッラス氏とフランスのジャン=ノエル・バロ外相が、ロシアは欧州人を怯えさせ分断しようとしていると非難した。

香港、北部メトロポリス開発で大規模土地収用開始 高齢住民ら移住の決断迫られる

香港政府は北部メトロポリス開発計画のため土地収用を開始した。この計画は少なくとも2240億香港ドル(約286億米ドル)を投じ、農村部や湿地を住宅、物流、ハイテク拠点へと転換する大規模プロジェクトである。最終的には香港の約3分の1に当たる約3万ヘクタールを開発し、約250万人の住民を受け入れ、65万人の雇用を創出するとされる。

先月には、中国の国有企業や電子商取引大手JDドットコムを含む6社のコンソーシアムに最初の大規模土地売却が行われた。コンソーシアムはこの地域に住宅と物流センターを開発する計画だ。一方で、少なくとも25の村が取り壊しの対象となり、先祖代々の家を失う住民からは惜別の声が上がる。71歳のチャン・ユクトン氏は「ここに生まれ育った。できればこのまま余生を過ごしたかった」と語った。

政府はこの開発を「新たな経済エンジン」と位置付け、約20年間で香港のGDPの約13%に貢献するとの見通しを示す。ただし、S&Pは最終コストが3600億香港ドルを超える可能性があると指摘し、投資規模の妥当性を疑問視する声もある。開発の成否は、香港と中国本土の間の効率的な国境を越えた人流・物流・資本の移動にかかっていると専門家は指摘する。

南ア・ケープタウンでミニバスタクシー3台が衝突、60歳女性が死亡し13人が負傷

南アフリカ・ケープタウンのネルソン・マンデラ大通りで15日朝、ミニバスタクシー3台が絡む多重衝突が発生し、60歳の女性が現場で死亡、13人が負傷した。ケープタウン交通局の広報担当ケビン・ジェイコブズ氏によると、衝突はブラウニング・ロード分岐点手前の市街方向で午前7時52分に通報された。

ジェイコブズ氏は「60歳の女性が現場で死亡が確認された。他に3人が重傷、10人が軽傷の治療を受けた。左車線は現在も塞がっている」と述べた。ネルソン・マンデラ大通りはN2からケープタウン中心部へ向かう主要路線であり、朝の通勤交通の大半が集中する。

この事故は、前日夜に西ケープ州のカルー地方で起きた今年最悪級の道路事故から9時間も経たないうちに発生した。N1高速道路のプリンス・アルバートとレーウ・ガムカ間では3台の車両が衝突し、21人が死亡、3人が重傷を負っている。

文化 (Culture)

イスラエル文化相、ガザ空爆を描いた映画『NAZA』の監督2人を「反逆」と非難し市民権剥奪を要求

イスラエルのミキ・ゾハル文化相は、ガザでのイスラエル軍の空爆でパレスチナ民間人が多数死亡した実態を描いたドキュメンタリー映画『NAZA』がヴェネチア国際映画祭で審査員特別賞を受賞したことを受け、監督ユヴァル・アブラハムとレイチェル・ゾルの2人について「国家への反逆」を理由にイスラエル市民権の剥奪を求めた。

ゾハル氏はX(旧ツイッター)への投稿で、2人が「世界中の反ユダヤ主義者から拍手を受けるためだけに祖国を傷つけることを厭わない」と非難した。また、映画で匿名証言を提供した軍・情報機関の内部告発者の特定を調査するよう当局に指示した。イスラエルでは2022年に最高裁が「国家への忠誠」違反(スパイ行為や反逆など)を理由とした市民権剥奪を認めており、今回の措置は法的に可能だが、適用例は稀だ。

『NAZA』は、ガザへの爆撃に使われたAI支援の標的システムの実態を、24人の匿名のイスラエル軍・情報機関関係者へのインタビューを通じて描いた80分のドキュメンタリーだ。世界初上映となった9月10日には、記録となる24分半のスタンディングオベーションが起こった。ガザ保健省の発表によれば、イスラエルの報復攻撃で7万3000人以上のパレスチナ人が死亡したとされる。

イスラエル軍は映画の主張を否定し、匿名証言の身元が検証できないと反論した。一方、アブラハム監督は「この大量殺戮は偶然ではなく、設計によるものだ」と語り、イスラエル国民に対し、映画に登場した兵士たちの証言に耳を傾けるよう訴えた。

スポーツ (Sports)

アジア大会とインヴィクタスゲームズ、各国の思惑が交錯するスポーツ界

2026年アジア大会(愛知・名古屋)とインヴィクタスゲームズをめぐり、各国の思惑が交錯している。ウガンダはカルロス3世の側近との電話を受けてインヴィクタスゲームズへの参加を再確認した一方、アジア大会では韓国選手団が宿舎の質を「最悪」と非難し、インドの馬術選手アヌシュ・アガーワラは代表選考をめぐる「裏切り」を訴えた。

ウガンダ軍参謀総長ムホージ・カイネルガバ将軍は、9月9日にインヴィクタスゲームズからの撤退を表明していた。国王カルロス3世がハリー王子とメーガン妃を「民間人」と位置づけた書簡への配慮からだった。しかし14日、国王の主席秘書官サー・クライヴ・オールダートンとの電話会談を受け、同将軍は参加再開を承認した。軍報道官クリス・マゲジ大佐はXで、オールダートンが国王はウガンダの参加に「何の問題もない」と伝え、準備を促したと説明した。インヴィクタスゲームズ財団のロブ・オーウェンCEOは「ウガンダがインヴィクタス・コミュニティの一員であり続けることを確認した」と歓迎した。

一方、アジア大会では宿泊施設をめぐる不満が噴出した。韓国バスケットボール協会の鄭在容(チョン・ジェヨン)副会長は「経験上、最悪だ」と述べ、2メートル超の選手がベッドで足を伸ばせないと指摘した。選手の卞俊亨(ビョン・ジュンヒョン)はシンクの水漏れを動画で公開し「助けてほしい」と投稿した。フィリピンはコーチらをホテルやAirbnbに移す対応を取った。大会には1万7000人以上の選手・役員が参加予定で、当初想定を上回った。イタリアのクルーズ船「コスタ・セレーナ」が4000〜5000人を収容するが、不足は深刻だ。

インドの馬術選手アガーワラは、アジア大会の馬場馬術チーム代表から外れたことを受け、連盟やインドオリンピック協会、スポーツ省に訴えたが聞き入れられなかったと述べ、「敗北というより裏切りだ」と綴った。同選手は2022年大会で金メダルを獲得しており、最高裁も選考への介入を拒否していた。バドミントンのレジェンド、ラジフ・シデクは、マレーシアバドミントン協会(BAM)が「金メダル」ではなく「銀1、銅1」を目標に掲げたことに疑問を呈し、「金を狙うべきだ」と語った。イランはバスケットボールでバーレーンと、バレーボールでキルギスと初戦を戦う。

北朝鮮、アジア大会女子サッカーでバングラデシュに10-0圧勝 金メダル候補の実力示す

北朝鮮女子代表は14日、大阪の長居スタジアムで行われたアジア大会女子サッカー競技の初戦で、バングラデシュを10-0で下した。前半だけで7ゴールを挙げる圧勝劇となり、金メダル候補としての実力を示した。

北朝鮮は前半に蔡恩容(チェ・ウンヨン)、全龍貞(チョン・リョンジョン)、金京容(キム・キョンヨン)がそれぞれ2得点、黄裕容(ファン・ユヨン)が1得点を挙げた。後半にも3点を追加した。日本生まれのストライカー、李成愛(リ・ソンエ)も後半に得点を記録した。

試合には数百人の親北朝鮮派の観客が駆けつけ、赤いシャツを着て歌やチャントでチームを後押しした。北朝鮮は2023年の杭州アジア大会で国際大会に復帰し、パリ五輪にも出場している。

北朝鮮女子はグループFで21日に韓国と対戦する。男子チームは水曜日に中国との初戦に臨む。

女子バスケW杯後のドイツ、国内リーグ改革が急務に

ベルリンで開催された女子バスケットボール・ワールドカップは9月13日に閉幕した。ドイツ代表はレオニー・フィービヒとニヤラ・サバリーを中心に準々決勝で欧州王者ベルギーを破る快進撃を見せたが、準決勝でフランス、3位決定戦でスペインに敗れ、4位で大会を終えた。ドイツ代表のオラフ・ラング監督は「まだ十分ではない」と語り、今後の成長に向けた課題を指摘した。

大会の成功とは対照的に、ドイツ国内リーグ(DBBL)の停滞が浮き彫りになった。代表選手の大半がWNBAや欧州のクラブでプレーし、国内クラブ所属はアレクサンドラ・ウィルケら3人だけだ。ウィルケはカールスルーエのギムナジウムで体育と数学を教える教師として働きながら、バスケットボールを続けている。ラング監督はリーグを「セミプロフェッショナル」と評し、自身がコーチを務めた1995年から2002年当時よりも構造が悪化したと指摘した。

DBBLのイレティ・アモジョ会長は、フルタイムの育成コーチ雇用やアリーナ収容人数の拡大など、プロ化に向けた施策を進めている。一方で、W杯ブームを活かすための基盤整備が遅れていると認め、「5年前に始めるべきだった」と述べた。ラング監督はトップ選手の海外流出を続けながら、国内リーグの改革なしには成功を維持するのが難しいとの認識を示した。