The Morning Star Observer

2026年09月13日 日曜日朝刊 (Morning Edition)ArchiveAbout

BRICS首脳会議、中東戦争で「最大限の自制」を求める共同宣言を採択 イランとUAEの対立を橋渡し

BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ、エジプト、エチオピア、インドネシア、イラン、アラブ首長国連邦)の首脳会議が12日、ニューデリーで開幕し、中東戦争の継続的な緊張に「深い懸念」を表明し、「最大限の自制」を求める共同宣言を満場一致で採択した。宣言は特定の国名を挙げずに一方的な戦争を非難する内容となり、インドの主催による激しい外交交渉の末に合意に達した。

共同宣言は「中東・西アジアにおける緊張の継続的な激化に深い懸念を表明し、最大限の自制を行使し、状況をさらに悪化させうる行動を回避するよう求める」と述べた。また、対話・協議・外交を通じた国際紛争の平和的解決へのコミットメントを再確認し、世界貿易、サプライチェーン、エネルギーの円滑な流れを維持する必要性を強調した。さらに、国際原子力機関(IAEA)の保障措置下にある民生用原子力施設への意図的な攻撃を非難し、核の安全・保障を武力紛争下でも維持すべきだと訴えた。

今回の合意は、イランとアラブ首長国連邦(UAE)という対立する両国を同じ枠組みに収める上での重要な外交的突破口となった。イランのマスード・ペゼシュキアン大統領とアブダビのハーリド・ビン・モハメド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン皇太子は、首脳会議の傍らで会談し、紛争開始以来の最高レベルの接触となった。インドのナレンドラ・モディ首相は開会演説で、BRICSが「成熟した」と述べ、その団結とコンセンサスを世界舞台での具体的な成果に結びつける時だと語り、国連安全保障理事会の改革を「これ以上遅延させることはできない」と強調した。

中国の習近平国家主席は、中東戦争が「国際社会の共通の利益にかなわない」と述べ、BRICSが中東和平の「仲介役」としての役割を果たすべきだと訴えた。習氏はまた、BRICSを「グローバルサウスの先導的グループ」と呼び、イノベーション主導の発展を促進すべきだとし、来年の議長国就任と第19回首脳会議の主催を表明した。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はUAE皇太子との会談で、中東情勢について緊密な連絡を維持していると述べた。マレーシアのアンワル・イブラヒム首相はイラン大統領との会談で「最大限の自制」を求め、ホルムズ海峡の航行の自由の重要性を強調した。

この共同宣言は、米国とイランが6か月に及ぶ戦争で再び応酬を始める中で採択された。5月にニューデリーで開かれたBRICS外相会議では、イランとUAEの対立により共同声明を発表できず、今回の合意はBRICSの結束を示す試金石となった。専門家らは、この声明が現在の地政学的な状況を直接変える可能性は低いものの、西側の制裁など経済的に疲弊させる政策に対する新興国の団結を示すものだと指摘した。BRICSは世界人口の40%以上、世界経済の約4分の1を占め、世界銀行や国際通貨基金など西側主導の国際機関の改革を求めている。

トランプ大統領、アイルランド訪問で統一アイルランド支持を表明、フォークランド紛争の調停役に意欲

ドナルド・トランプ米大統領は9月12日、アイルランドを2日間の非公式訪問し、首都ダブリンでコネリー大統領とマーティン首相と相次いで会談した。会談後の記者会見で、トランプ氏は北アイルランドとアイルランド共和国の統一を「愛して見たい」と述べ、いずれ実現するとの見方を示した。また、イギリスとアルゼンチンが領有権を争うフォークランド諸島(マルビナス諸島)問題について、両国から要請があれば「解決できるだろう」と述べ、調停役に意欲を見せた。

トランプ氏はマーティン首相との会談後、アイルランド統一について「問題を起こしたいわけではないが、統一された姿を見たい」と語り、「いずれ実現するだろう。今実現してもいい」と付け加えた。さらに「イギリスも当然、意見があるだろうが、素晴らしいことだ」と述べた。この発言は、1998年のベルファスト合意(聖金曜日合意)に基づき、イギリス政府が住民投票の実施を判断するという従来の米国の中立姿勢を覆すものとして、イギリスと北アイルランドの政界に波紋を広げた。イギリスのアンディ・バーナム首相は先月、統一の是非を問う住民投票は「議題に上っていない」と述べており、ダウニング街は今回もその立場を変えていないと説明した。

一方、フォークランド諸島問題では、トランプ氏は「あれは非常に興味深い。今また同じ状況だ」と述べ、イギリスが「移民とエネルギーの小さな問題」を抱えていると指摘した。その上で「あの遠い場所まで行く気があるかどうか分からない。船で数週間かかる」と語り、イギリスが領土を守るために資源を投入できるか疑問を呈した。アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領が先週、同諸島周辺で操業する石油会社への制裁を強化すると発表したことで、両国の緊張が高まっている。トランプ氏は「確かにあの潜在的な災害に呼ばれるだろう。呼ばれれば、おそらく解決できる」と述べた。

トランプ氏の訪問に合わせて、ダブリンでは反戦・反トランプの大規模なデモが行われた。主催者発表で1万人以上が参加し、「トランプ、お前は歓迎されていない」を合言葉に、パレスチナの旗を掲げて議会前を行進した。参加者らは、イラン戦争やガザでのイスラエル軍の作戦を支援する米国の姿勢を批判し、アイルランドの伝統的な軍事中立が脅かされていると訴えた。アイルランド政府は、トランプ氏の移動に合わせて史上最大級の警備態勢を敷き、4千人以上の警官や狙撃手を動員した。

トランプ氏は会談で、イラン戦争が「まもなく終わる」と述べ、エネルギー価格が下落するとの見通しを示した。また、イギリスが北海の石油・ガス開発を再開すれば「価格は急落する」と主張した。さらに、アイルランドの企業関係者を前に、米国企業がアイルランドに「進出して恩恵を受けた」と述べつつ、製薬会社の一部は米国に戻すべきだと語った。トランプ氏はその後、西部ドーンベグの所有するゴルフ場で開催されるアイリッシュ・オープンに出席するため、ダブリンを離れた。

今回の訪問は、トランプ氏の公務と私的な事業が融合する形となった。北アイルランドの主要な親英政党である民主統一党(DUP)のギャビン・ロビンソン党首は、統一は「我々の国の破壊」だとして反発し、北アイルランドの将来はロンドンやダブリン、ワシントンの評論ではなく、北アイルランドの人々が決めると述べた。一方、アイルランド民族主義政党の社会民主労働党(SDLP)は、トランプ氏の発言を歓迎する反応を示した。イギリス保守党のケミ・ベーデノック党首は、トランプ氏の発言を「深く役に立たない」と評し、不要な緊張を生むと批判した。トランプ氏の発言は、イギリスとアルゼンチンの紛争再燃の可能性を背景に、今後の米国の仲介役としての関与に注目を集めるものとなった。

サバレンカとリバキナがUSオープン決勝で激突、世界ランク1位の座を懸けた頂上決戦へ

女子テニスの年間最終戦となるUSオープンは、現世界ランク1位のアリーナ・サバレンカと、月曜日付で新たに世界ランク1位となるエレナ・リバキナによる決勝戦で幕を閉じる。ニューヨークのアーサー・アッシュ・スタジアムで行われるこの一戦は、今季の女子テニスをけん引してきた二人の頂上決戦となる。

サバレンカは昨年に続く3連覇を目指す。準決勝では第3シードのジェシカ・ペグラを7-5、6-2で下し、USオープンでは4大会連続の決勝進出を果たした。一方のリバキナは、準決勝でココ・ガウフに3-6、6-4、6-4で逆転勝利。これにより、今季の全豪オープン決勝でサバレンカを破った実績を持つリバキナが、月曜日に発表される新ランキングで初めて世界1位の座に就くことが確定した。サバレンカの世界1位在位は99週間で幕を下ろす。

両者の通算対戦成績はサバレンカの10勝7敗。しかし、決勝に限ればリバキナが4勝2敗と勝ち越しており、今季の全豪オープン決勝でもリバキナが勝利している。サバレンカは今季、インディアンウェルズとマイアミでリバキナを破っており、直近の対戦では優勢だ。ロラン・ギャロスとウィンブルドンで早期敗退を喫したサバレンカだが、今大会では準決勝までに落としたセットはわずか1つと、復調ぶりを示している。

決勝のもう一つの焦点は、世界ランク1位の座を巡る争いだ。サバレンカは優勝してもランキング1位の座を失うことが決まっている。だが、コーチのアントン・デュブロフは「新たな章が始まる。再び追いかける必要がある。それはさらなるモチベーションだ」と語り、ランキング喪失を前向きに捉えている。サバレンカ自身も「最後の追い込み」と表現し、勝利への強い決意を示した。

この決勝は、オープン時代にUSオープン女子シングルスを3連覇したクリス・エバートとセレナ・ウィリアムズの仲間入りを狙うサバレンカと、自身初の世界1位の座を手にしたリバキナが、年間最終戦で雌雄を決する一戦となる。両者の対戦はパワーとアグレッシブさが際立つ好カードで、今季のグランドスラムを締めくくるにふさわしい頂上決戦となる。

サウジの東西パイプライン停止、イラン関与説とフーシ派の紅海掌握が原油市場を圧迫

サウジアラビアは11日、イラク領内から発射されたとみられる無人機攻撃を受け、紅海沿岸のヤンブー港と東部のアブカイク油田を結ぶ東西パイプラインを一時停止した。サウジ外務省は攻撃で負傷者が出たと発表し、イラクのザイディ首相の要請を受けて当面報復を見送る方針を示した。イラク政府は攻撃がイラン国境に近いマイサーン県から発射されたと確認し、同県の司令官を解任したほか、イランとの国境検問所を閉鎖して調査を進めている。

米国のトランプ大統領はダブリンで記者団に対し、イランが攻撃に関与した可能性が高いとの見方を示した。同大統領はサウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子と電話会談したことを明かし、フーシ派が米政権に直接介入を望んでいないと伝えてきたと述べた。フーシ派は紅海のバブ・エル・マンデブ海峡で戦略的なペリム島を制圧し、サウジ船籍の船舶以外の航行は安全だと主張している。

イランのバガエイ外務省報道官は、サウジや日本、ヨルダンが対イラン決議を支持したことへの不満を示し、これら3カ国は結果を受け入れることになると警告した。同報道官はイランが戦時状態にあると述べ、ホルムズ海峡の封鎖は戦争行為に当たるとの認識を示した。

一方、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、中国の企業が7月のヨルダン米軍基地攻撃の前にイランへ衛星画像を提供していたと報じた。米当局者は中国企業の直接関与を断定していないものの、トランプ大統領と習近平国家主席が24日に会談を予定しており、両国関係の新たな火種となる可能性がある。中国側は証拠を要求し、関与を否定している。

パイプライン停止により、サウジの原油輸出は大幅に減少する見通しだ。国際エネルギー機関によると、同パイプラインは直近で日量400万〜500万バレルを輸送しており、世界供給量の4〜5%に相当する。ブレント原油は1バレル104ドル超まで上昇し、米国のディーゼル小売価格は史上最高値を更新した。サウジ、トルコ、パキスタンのメッカ共同防衛協定の発動が注目されるが、現時点でサウジは同協定を発動していない。

政治 (Politics)

フロリダ州知事選でドナルズ氏に保安官17人が支持表明、英国では改革UK党に過去最大の寄付相次ぐ

共和党のフロリダ州知事候補バイロン・ドナルズ氏が、州内17郡の保安官から公式な支持を受けた。予備選勝利から数日後の発表であり、治安維持への公約が支持を集めた形だ。ドナルズ氏は11月3日の本選で民主党のデビッド・ジョリー氏と対決し、ロン・デサンティス知事の後任を目指す。トランプ大統領も同氏を支持しており、国境警備や移民犯罪対策などで協力すると表明している。

一方、英国では右派政党・改革UK党に、暗号資産億万長者クリストファー・ハーボーン氏が3600万ポンド(約4900万ドル)を寄付した。前日にベン・デロ氏が同額を寄付しており、48時間で計7200万ポンドに達した。これは英国の政党への個人献金として過去最大となる。ハーボーン氏はデロ氏の寄付に触発され、同額を拠出したと説明し、見返りとして「統治の準備ができた政党」を求めると述べた。

改革UK党は資金不正の疑惑に直面しているが、これを否定している。寄付金は2029年までに予定される次回総選挙に向けた選挙戦に充てられる。ファラージ党首は両氏の支援を歓迎し、労働党や保守党と対等に戦えると述べた。また、改革UK党は暗号資産の普及策として、デジタル資産へのキャピタルゲイン税減税やイングランド銀行でのビットコイン準備基金設立を提案している。

イラン大統領、中東に「警察官」不要と主張 BRICS首脳会議でUAE皇太子と会談

イランのマスード・ペゼシュキアン大統領は12日、インド・ニューデリーで開催中のBRICS首脳会議の傍ら、マレーシアのアンワル・イブラヒム首相との会談で、中東地域に米国という「地域の警察官」は不要だと述べた。地域の領土一体性と安全保障は、地域の主要当事者と構成国によってのみ保証されると主張した。

イランは2月28日に米国とイスラエルの攻撃を受け、最高指導者が死亡した。報復としてホルムズ海峡を封鎖し、戦前は世界の石油消費量の約2割が通過していた戦略的航路の支配を巡って米国と争っている。現在は船舶に許可を要求し、隣国オマーンと共同で「海上サービス料」を課す仕組みを検討中だ。要件を満たさない船舶はイランの攻撃対象となる一方、米国はイラン沿岸を断続的に空爆している。

ペゼシュキアン大統領は「我々の国民が被ったあらゆる不正にもかかわらず、戦争もその長期化も望んでいない。平和が我々の優先事項だ」と述べた。戦闘開始から6か月が経過した今も封鎖は原油価格の高騰を招き、今週は1バレル100ドルの節目を再び超えた。

一方、ペゼシュキアン大統領は同日、アブダビのハーリド・ビン・モハメド・ビン・ザーイド皇太子と会談した。イラン戦争開始以降では最高レベルの会談となり、両首脳は地域・国際問題や緊張緩和、安定、地域の平和と発展に向けた取り組みについて議論した。アラブ首長国連邦はイランの第2位の貿易相手国であり、イラン輸入の約3割を供給してきたが、2月末の米国・イスラエルによる攻撃以降、イランが報復としてUAEのエネルギー施設や港湾を攻撃したことなどから関係が悪化。先月にはイランの弾道ミサイル2発がUAE沿岸沖の海域に着弾したことを受け、アブダビは包括的かつ無期限の禁輸措置を発動していた。

BRICS首脳会議では首脳らが「ニューデリー宣言2026」を全会一致で採択し、西アジアの緊張激化への深い懸念を表明、さらなる悪化を防ぐための最大限の自制を求めた。プーチン大統領はBRICS首脳会議の傍らでアブダビ皇太子と会談し、中東情勢、特にイランを巡る緊張を主要議題として協議した。これはプーチン大統領にとって7回目の二国間会談となった。

トランプ大統領の5000ドル配当構想、議会承認不要と主張 財源をめぐり共和党内でも対立

ドナルド・トランプ米大統領は、中間選挙に向けた公約である成人市民一人当たり5000ドルの「配当」支給について、議会の承認は不要だとの認識を示した。ダラスで開かれた共和党大会で明らかにしたもので、財源は関税収入の増加と外国投資によるものだと主張した。この発言に対し、憲法学者や経済学者、さらには共和党内部からも、行政権による歳出権限やインフレへの影響を巡って批判が噴出している。

トランプ大統領はCBSニュース・テキサスとのインタビューで、「国は繁栄しており、関税などで数兆ドルを徴収した。製造工場などへの投資も20兆ドルを超えている」と述べ、立法措置なしでの支給に自信を示した。支給の条件として、受け取った金銭を米国内で消費することを挙げ、「外国で使われるのは望まない」と強調した。副大統領のJDバンスも、財源は関税スキームから賄われるとの立場だ。

一方、米国憲法は歳出権限を議会に独占的に付与しており、この構想は憲法上の壁に直面する。国勢調査局のデータに基づけば、成人約2億4500万人に5000ドルを支給する場合、総額は1兆2000億ドルに達する。タックス・ファウンデーションの試算では、この金額は新たな関税による10年以上分の収入をほぼ消費する。国際通貨基金やハーバード大学のアナリストは、40兆ドルを超える連邦債務を悪化させ、新たなインフレを招くと警告した。

共和党内部でも反発は根強い。フロリダ州知事のロン・デサンティスは「より多くの債務とインフレをもたらす」と批判し、下院議員のラルフ・ノーマンは選挙結果に連動した政府給付を「金銭による恩恵の政治」と評した。一方、上院議員のバーニー・モレノは、中間選挙で両院を維持できれば法案を推進すると述べた。トランプ大統領は2025年にイーロン・マスク率いる政府効率化省(DOGE)の節約分を財源とする5000ドル給付を支持したが実現せず、2000ドルの関税配当も司法判断で頓挫した経緯があり、今回の公約は強い政治・制度的監視下に置かれている。

この「トランプ配当」構想は、中間選挙の経済論争の焦点となる公算が大きい。ホワイトハウスの法務チームは支給の余地があると主張するが、アナリストらは、議会が承認した法律なしに行政が大規模な移転を実行すれば、連邦裁判所で即座に訴訟に発展するとみる。最終的な成否は選挙結果と、共和党が財政赤字に直面して基準を統一できるかにかかっている。

一方、通商長官のハワード・ラトニックは、この配当は税金で賄われるものではないと述べた。NBCニュースのインタビューで「税収ではない」とし、「赤字からでも納税者からでもなく、トランプ大統領が支払いたい金を稼ぐことができる」と説明した。財源の候補として、富裕な訪米客のビザ延長料金を最大500万ドルに設定する商務省の計画を挙げ、10万人以上の待機リストがあり5000億ドルを調達できると試算した。また、政府が投資した半導体大手インテルへの89億ドル投資が株価上昇で価値を増したことも挙げた。国家経済会議のケビン・ハセット委員長は、議会での「調整プロセス」を検討していると述べた。

イラン、9/11追悼を利用した米国の戦争正当化を「まったく馬鹿げている」と反論 BRICSでNDB加盟を推進

イラン外務省報道官エスマイル・バガエイは11日、米国が9月11日の同時多発テロ25周年追悼行事を利用してイラン戦争を正当化したことに対し、「まったく馬鹿げている」と強く反論した。バガエイはX(旧ツイッター)への投稿で、米国が9/11の追悼を「イランに対する無謀かつ違法な戦争」を正当化するために利用していると指摘し、その論法には「根本的な矛盾」が満ちていると述べた。

バガエイは、9/11の実行犯はイラン人ではなく、米国自身が過去数十年にわたり武装・組織化してきた勢力だったと指摘した。さらに、米国が主導した「テロとの戦い」がアフガニスタンとイラクで長年の戦争を引き起こし、多数の市民の死と大規模な荒廃をもたらしたと主張した。イラン外務報道官は、主権国家の当局者の暗殺や女性・子供を含む市民への攻撃を伴う「犯罪的な戦争」が、単にテロ対策という言葉で包むことで道徳的な整合性を得られるものではないと強調した。

一方、トランプ米大統領は11日のペンタゴンでの式典で、イランが「世界最大のテロ支援国家」であり「核兵器を決して保有しないことを保証する」と述べ、戦争継続への意欲を示した。米国とイスラエルは2月28日にイランへの攻撃を開始し、最高指導者アリ・ハメネイを含む3400人以上が死亡したとされる。紛争は現在も続いており、米国はイランに対して海上封鎖を維持している。

こうした中、イランはBRICS(ブリックス)を活用した外交・経済戦略を強化している。アラグチ外相はニューデリーで開催された第18回首脳会議に出席し、新開発銀行(NDB)への加盟を目指していることを明らかにした。アラグチは一部の加盟国から支持を得ており、加盟要件を満たす作業を進めていると述べた。イラン大統領マスード・ペゼシュキアンはインドのモディ首相と会談し、両首脳は地域通貨の利用拡大や西アジア情勢について議論した。ペゼシュキアン大統領は、中東の安全保障は域内諸国が確保すべきだと主張し、地域に「警察官」は不要だと述べた。

イランにとってBRICSとNDBへの加盟は、欧米主導の金融機関に依存しない資金調達手段を確保する上で重要な意味を持つ。NDBは2015年にBRICS原加盟5カ国によって設立された多国間開発銀行で、上海に本部を置く。現在の加盟国は10カ国に拡大しており、イランの加盟が実現すれば、制裁下でもインフラ開発資金へのアクセスが拡大し、非西側パートナーとの経済関係を深める足掛かりとなる。

一方、トランプ大統領はアイルランド訪問中に、イラン戦争が「まもなく終結する」との見通しを示し、終戦後には原油価格が下落すると予測した。ホルムズ海峡の航行問題についても「うまくいく」と述べ、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子との友好関係に言及した。しかし、イエメンのフーシ派の進展やサウジの石油インフラへの攻撃懸念が続く中、中東情勢の不確実性は依然として高い。

タリバン政権5年、クンドゥズに「希望」と「制約」が同居する

アフガニスタン北部の都市クンドゥズで、タリバン政権発足から5年を迎えた。かつて西側支援で再建が図られた国営綿花工場スピンザルが再稼働し、市街では高層ビルの建設が相次ぐ。一方で、女子教育の制限やメディアへの検閲など、イスラム主義勢力による統治の現実も浮き彫りになった。

スピンザル工場は「白い黄金」と呼ばれる綿花生産でクンドゥズを支えてきた。ソ連侵攻や内戦で荒廃した後、ドイツなどの支援で再建が試みられたが、かつては失敗に終わった。タリバン政権下で再開された工場の生産責任者モハマド・ハルーンは「以前、クンドゥズは戦争を象徴していた。今は希望を象徴する」と語る。だが実際の従業員数は284人で、数千人規模という住民の評判とは隔たりがある。

工場が持つ最大の資産は市街地の土地だ。広報担当ナシル・ジャラリ氏によれば「市の半分はスピンザルの所有」で、現在は住宅街区や20階建て以上のショッピングセンターを建設中だ。地元商工会議所の副会長アブドゥル・マティーン・ユスフザイ氏は、120棟の高層ビル建設が承認されたと述べ、自身も結婚式場ホテルを計画している。かつてはタリバンの襲撃や誘拐を恐れ、ボディーガードなしでは移動できず、資産をドバイやトルコに移したという。現在は10のガソリンスタンドを経営するまでに回復した。

しかしユスフザイ氏は「政府への要求はただ一つ、女性の教育だ」と強調する。投資には専門人材が必要だという。彼の娘は医学部の卒業を目前に大学から追放され、別の娘は卒業試験をわざと落として小学校に留まる道を選んだ。タリバンの女子教育制限は家庭の日常に影を落とす。

それでも、より良い未来を求める人々はいる。ファティマ・ネザミ氏と婚約者のアフマドゥッラー・アレコザイ氏は、100人以上の若い女性を対象にデザインや裁縫、刺繍、マーケティングを教える訓練施設を運営する。ネザミ氏自身も歯科医を目指していたが、大学から追放された。アレコザイ氏は「多くの女性がうつ病を解消し、父親や夫への依存を減らすためにここへ来る」と語る。

ドイツの関与の痕跡は薄れつつある。旧ドイツ軍野営地はより大きな基地に統合され、かつての職場には警備員だけが残る。女性ラジオ局は全て閉鎖され、詩の朗読会は男性のみに限定された。ドイツ資金で建設された道路や橋は残るが、連絡道路の建設をタリバンが自らの功績として宣伝する構図も生まれた。

一方、9月11日の同時多発テロから25年を迎えた世界では、アフガニスタンが再び国際的な焦点となっている。ワシントン・ポスト紙の報道によれば、アルカイダとその傘下組織はタリバン復権後の3年間で少なくとも8つの訓練キャンプをアフガニスタンに設置した。国連監視団と西側情報機関は、武器や爆発物、ゲリラ戦に加え、暗号化やドローン、人工知能を用いた高度な訓練が行われていると指摘する。アルカイダ本体の戦闘員は約100人規模で、遠征軍というより他の武装勢力への「コンサルティングサービス」として機能しているという。

イスラム国系組織など他のテロ集団も新たな訓練拠点を設け、34州のうち少なくとも14州に「過激派イスラム組織」が足場を得た。インドにとっては、パキスタンとの地理的・歴史的つながりが再び警戒を呼ぶ。アルカイダの指導者サイフ・アル・アデル氏はイランに潜伏しているとみられる。パキスタンはアフガニスタンとアラビア海を結ぶ主要な南の回廊であり、1993年のボンベイ爆弾事件や2008年のムンバイ襲撃事件の背景にもパキスタン拠点の組織が関与したとされる。

米国では、25年目の追悼行事が行われた。世界貿易センタービルで6人を救った警備員デレック・ラベル氏は、現在腎臓がんと闘い、移植を待っている。彼に救われた生存者の一人、ダグ・ブラウン氏はドナーを探す活動を始めた。ラベル氏は「その日、自分の仕事をしただけだ」と謙虚に語るが、ブラウン氏は彼を「守護天使」と呼ぶ。また、NPRの論説は、犠牲者2977人が90以上の国籍の人々を含んでいたことを想起し、マーティン・エスパダの詩『アラバンサ』を紹介した。記憶の正確性を巡る考察も行われ、ハーバード大学の研究者が提唱した「フラッシュバルブ記憶」の概念が再び注目された。

南アフリカでは、9・11が国境管理とアイデンティティに与えた影響が論じられた。生体認証パスポートや電子渡航認証(ETA)制度が導入され、国境は物理的な線を越えて拡張された。南アフリカはアパルトヘイト時代からの指紋登録の歴史を持ち、識別技術が権利と統制の両面で機能してきた。自動化された判断が誤った場合の救済手段が課題として残る。

タリバン政権下のクンドゥズは、建設ブームと教育制限という対照的な現実を映す。ドイツの支援の遺産は薄れつつも、アルカイダの再活性化という新たな脅威が、この都市の将来を再び国際的な文脈に結びつけている。

ロシアの猛攻でウクライナ各地に犠牲、プーチン大統領は欧州軍派兵に「戦争」と警告

ロシア軍の激しい空爆により、ウクライナ各地で少なくとも11人が死亡、96人が負傷した。現地当局が9月12日に明らかにした。南部オデーサ州では大規模な夜間攻撃で35人が負傷し、集合住宅の上層階が破壊された。ゼレンスキー大統領は、ロシアの攻撃がますます「テロ的」になっていると非難した。

ロシア国防省は、ザポリージャの製鉄所ザポリージャスタル、ドニプロのインテルパイプ・スチール、クリヴィー・リフの複数の工場を攻撃したと発表した。黒海のチョルノモルスク港では貨物船2隻が被弾した。一方ウクライナ側も、ロシアのサマラ州とペルミ州の化学工場やトリアッティの合成ゴム工場をドローンで攻撃し、報復した。

プーチン大統領はインドで開催されたBRICS首脳会議で、欧州諸国がウクライナに軍隊を派遣すれば「ロシアとの戦争を意味する」と述べた。欧州各国が平和維持軍の派遣を検討していることに対し、モスクワは繰り返し受け入れを拒否してきた。プーチン大統領はまた、ロシアが欧州に脅威をもたらすことは「ないし、これまでもなかった」と否定した。

ゼレンスキー大統領は12月にマイアミで開催されるG20首脳会議で、プーチン大統領と会談する用意があると表明した。しかしクレムリンのペスコフ報道官は、プーチン大統領が出席するかどうかは未決定だと述べ、ゼレンスキー大統領が会談を望むならモスクワに来るべきだとの従来の立場を繰り返した。ラブロフ外相も「交渉の用意はある」としながらも、交渉中も戦闘を停止しないと述べた。

キーウのクリチコ市長は、ロシア軍がガソリンスタンドを標的にした攻撃を受け、冬季に向けた燃料備蓄を進めていると明らかにした。同市はドローンやミサイルを迎撃するための防空ミサイル不足に直面しており、市長は「さまざまなシナリオ、悪いシナリオも含めて準備しなければならない」と語った。ロシア軍は冬季を前に電力網を破壊し、市民の士気をくじく狙いがあるとみられる。

フーシ派の紅海沿岸制圧で米国が新たな板挟みに、イラン戦争と石油輸送路の要衝を巡り

イランと同盟するフーシ派がイエメン紅海沿岸を電撃的に制圧し、バブ・エル・マンデブ海峡の掌握に迫った。これにより、米国とイランの戦争が7か月目に入る中、ドナルド・トランプ大統領にとって新たな重大問題が生じた。フーシ派は金曜日、イエメンとアフリカの間の海峡中央に位置するペリム島に到達した。サウジアラビアにとっては、ホルムズ海峡が事実上封鎖されたため紅海の港から石油を輸送しており、痛手となる。

フーシ派は木曜日に紅海沿岸の戦略港湾都市モカを制圧し、金曜日にはマユン島を掌握した。これにより同派はバブ・エル・マンデブ海峡の両岸を押さえ、サウジアラビア関連船舶を対象とした封鎖を継続すると宣言した。サウジアラビアは金曜日、無人機攻撃を受けて重要な東西石油パイプラインを一時閉鎖した。イラク領内から発射されたとみられ、調査が進んでいる。

サウジアラビアの実質的支配者ムハンマド・ビン・サルマン皇太子は木曜日、トランプ大統領に電話し、フーシ派への米軍攻撃を要請したが、ワシントンは当面、直接介入せず情報支援を行うと伝えた。トランプ大統領は土曜日、アイルランド訪問中にフーシ派が米国に介入しないよう求めてきたと明かした。「フーシ派は我々に電話をかけてきて、我々と戦いたくないと言っている。彼らは我々が追撃することを望んでいない」と述べた。

イラン側はフーシ派の勝利を「神の勝利」と称賛した。イスラム革命防衛隊のサルダル・モヘビ報道官はXで「イエメンのアンサール・アッラーの西部沿岸での勝利は神の勝利の物語であり、最も困難な戦場での長年の忍耐の成果だ」と投稿した。イラン議会のガリバフ議長は、フーシ派の「抵抗」が最終的に勝利をもたらすという故ハメネイ師の言葉を引用した。

米国にとって、フーシ派による海峡封鎖は原油価格の上昇と世界貿易の混乱を招く。一方、フーシ派との戦闘は、イラン戦争で既に負担が大きい米軍にとって新たな危険な任務となる。アナリストらは、トランプ政権がフーシ派を押し戻すために米軍と限られた防空弾薬を投入するか、サウジアラビアとイエメン南部政府に単独で対処させるかの選択を迫られていると指摘する。カーネギー国際平和基金のスティーブン・ワートハイム上級研究員は「数週間前、トランプ氏は軍事衝突を米国経済を圧迫しない低い水準に保ちながらイラン経済を絞る戦略を採用した。フーシ派がトランプ氏の計画を打ち砕いた」と述べた。

フーシ派の攻勢は人道的危機も深刻化させている。国際移住機関によれば、過去1週間で4万6000人以上がタイズ県とホデイダ県で避難を余儀なくされた。国連のイエメン特使ハンス・グルンドバーグ氏は、同国が「新たなより危険な戦争段階」に入ったと警告した。原油価格は1バレル100ドルを超え、世界の石油供給の約7%と世界貿易の約12%を担うバブ・エル・マンデブ海峡の封鎖は、世界経済にさらなる打撃を与える可能性がある。

イランと湾岸諸国、オマーンで会合へ ホルムズ海峡の合意署名は見送りか

イランの高官は12日、月曜日(14日)にオマーンで予定されるイランと湾岸諸国の会合が、封鎖状態にあるホルムズ海峡を含む諸問題を議論する場となると述べた。ただし、同海峡をめぐる合意文書の署名は期待されていないと明らかにした。

イランは海峡の対岸を支配するオマーンと、海峡の交通を管理する協定について数カ月にわたり交渉してきた。オマーンは、その交渉が湾岸の他のアラブ諸国に支持されていると長らく述べてきた。

テヘランは金曜日(11日)に、オマーンでの湾岸諸国との会合に出席する計画を発表した。オマーンはこの会合を公式には発表しておらず、他の地域諸国もこれまでのところ沈黙を守っている。バーレーンは土曜日、イランとの会合には出席しないと述べた。

計画について匿名を条件に語ったイラン高官によると、月曜日の会合はオマーンの主導で招集され、ホルムズ海峡に加えて他の地域問題を議論する場となるという。

イラン高官によれば、イランは依然として海峡を利用する船舶から料金を徴収できる協定を望んでいるが、オマーンはこれを拒否している。

米国とイスラエルが2月にイランを攻撃し戦争が始まる前は、世界の石油供給の約5分の1がこの海峡を通過していた。

米国とイランが海峡でタンカーに発砲したこと、そしてイエメンでイランの同盟勢力であるフーシ派がアラビア半島の反対側にあるもう一つの重要な中東石油輸送路、バブ・エル・マンデブ海峡付近で前進したことにより、世界の石油価格はこの1週間で急騰した。

BRICS新デリー首脳会議、グローバル・サウスの声を代弁し国際統治改革を訴え

BRICS首脳会議がインドのニューデリーで開幕し、議長国インドのモディ首相は世界の統治構造が「特権のピラミッド」と化していると指摘、グローバル・サウスの声を反映した改革を訴えた。中国の習近平国家主席とインドのモディ首相は会談し、両国が世界の最重要人口国として「重大な責任」を負うとの認識で一致した。

モディ首相は開幕セッションで、BRICSが20周年を迎え「成熟と責任の新たな段階」に入ったと述べ、国連安全保障理事会の改革はこれ以上遅延できないと強調した。また、BRICSの継続的実施メカニズムを提案し、トロイカを通じた全イニシアティブの追跡と、意思決定ごとの担当窓口・期限・実施状況を記録するデジタルリポジトリの創設を提唱した。さらに、来年の次回サミットまでに世界統治改革に関する10の提案をまとめ、BRICS内で改革ロードマップを形成するよう呼びかけた。

一方、イランのペゼシュキアン大統領は閉会会合で、国際統治機構の真の改革を要求した。主権の平等な尊重と国際法の差別なき執行、国連安保理や国際金融機関を含む統治構造の改革、国家通貨による貿易や独立した決済メカニズムなどの実践的措置、一方的制裁への実効ある対抗という四原則を提示した。イランは米国とイスラエルの軍事侵攻により、最高指導者ハメネイ師の死去やミナブの学校での168人の児童犠牲などが生じたと指摘し、国連とその安保理の「不作為」が一方的行動を許したと非難した。ガザとレバノンの市民の窮状にも言及し、多国間主義が戦争や侵略から人間の生命と国家主権を守れなければ正当性を失うと訴えた。

BRICS首脳会議は新デリー宣言を採択し、世界経済統治機構の改革を一貫した優先課題と位置付けた。宣言は国際金融機関の代表性・透明性・説明責任の向上を目指し、ブレトン・ウッズ機関の改革を「緊急の課題」と明記。新興市場・途上国の発言力と代表性が世界経済における相対的地位を反映すべきだとし、IMFと世界銀行の指導部選出における透明で包摂的なプロセスを求めた。また、多国間主義と多極化を強化し、国連憲章の目的と原則を完全に尊重する姿勢を再確認した。

今回の首脳会議は、グローバル・サウスが国際秩序の「ルール形成者」となるべきだという共通認識を鮮明にした。モディ首相が掲げた「特権のピラミッド」から「パートナーシップのプラットフォーム」への転換という理念は、BRICS拡大後の新たな枠組みにおける結束と改革推進の方向性を示すものだ。一方、ドイツではザクセン州首相クレッチマーが首相メルツに対し、経済改革を巡り労働組合との対話強化を求めており、国際的な統治改革の議論と並行して、国内政治における成長戦略の必要性も浮き彫りになった。

BRICS新デリー宣言を全会一致で採択、モディ首相がグローバル・ガバナンス改革を提案

第18回BRICS首脳会議が9月12日から13日までインド・ニューデリーのバーラト・マンダパムで開催され、拡大された11カ国の首脳が参加した。インドのモディ首相は議長国として「強靱さ、革新、協力、持続可能性」をテーマに掲げ、西アジアと黒海地域の紛争、テロ、貿易、エネルギー、気候変動、国際機関改革などを議題とした。会議の最終日に、45ページ・140項目からなる「新デリー宣言」が全会一致で採択された。

モディ首相は開会演説で、グローバル・サウスが「危機の最前線に立ちながら意思決定の後列に置かれている」と指摘し、「特権のピラミッド」を「パートナーシップのプラットフォーム」に変えるべきだと主張した。その上で、国連安全保障理事会の改革を「これ以上先送りできない」とし、次回首脳会議までにBRICS改革ロードマップを策定するための10項目の提案を共同で策定するよう呼びかけた。また、議長国の継続性を確保するため、G20と同様の「トロイカ」制度とデジタル・リポジトリを備えたBRICS継続・実施メカニズムの創設を提案した。

首脳会議では、モディ首相と中国の習近平国家主席の二国間会談が最大の注目を集めた。両首脳は国境問題について「公平で合理的かつ相互に受け入れ可能な解決」を目指すことで一致し、「差異を紛争にしない」との認識を共有した。モディ首相は「相互尊重、相互感応、相互利益」の三原則を強調し、経済関係では構造的な貿易不均衡とサプライチェーン問題に対処し、市場アクセスを促進することで合意した。習主席は中国がインドとの関係を戦略的かつ長期的な視点で見ていると述べた。

モディ首相はロシアのプーチン大統領とも45分以上にわたる会談を行い、ウクライナ紛争と西アジア危機が海上貿易とインド人船員の安全に与える影響を協議した。両首脳は2030年までに二国間貿易を1000億ドルに引き上げる目標で一致し、プーチン大統領は第24回インド・ロシア年次首脳会議への招待を伝えた。また、モディ首相はプーチン大統領に古典タミル文学『ティルックラル』のロシア語訳を贈呈した。イランのペゼシュキアン大統領との会談では、西アジア紛争の平和的解決と航行の自由、船員の安全が議論された。

新デリー宣言は、西アジアにおける緊張の継続的な激化に深い懸念を表明し、「最大限の自制」を求めた。イランとUAEの間で紛争をめぐる意見の相違があったが、水面下の交渉を経て全会一致に達した。宣言はテロに対する「ゼロ・トレランス」を再確認し、2025年4月のジャム・カシミールでのテロ攻撃を強く非難した。また、一方的な関税・非関税措置が貿易を歪めているとの懸念を示し、WTO改革と紛争解決メカニズムの即時復旧を求めた。さらに、国連安全保障理事会の改革を通じてインドとブラジルの役割拡大を支持した。

会議の傍らでは、モディ首相が習主席、プーチン大統領、ペゼシュキアン大統領らとともにバーラト・マンダパムの庭園で植樹を行い、家族写真の撮影に臨んだ。また、首脳らはガラ・ディナーと文化行事に出席し、非公式な交流を通じて結束を演出した。モディ首相はBRICS創設20周年を「歴史的な節目」と位置づけ、「今こそBRICS内の結束と合意を世界の舞台で目に見える成果に変える時だ」と述べた。

今回の首脳会議は、BRICSが創設20周年を迎え、拡大後の多様な利害を調整する難しさが浮き彫りになった。イランとUAEの対立は最終宣言の採択を危うくしかけたが、インドの仲介で克服された。モディ首相が提案したグローバル・ガバナンス改革と船員支援ネットワークは、BRICSが単なる対西側の枠組みではなく、実務的な経済協力の場へと変貌する可能性を示すものだ。来年の議長国を中国に引き継ぐことで、BRICSの議題はさらに中国の影響力が強まることも予想される。

BRICS、ニューデリー宣言を採択 対テロ・紛争解決・関税問題を包括 インドが主導

BRICS加盟国は9月12日、ニューデリーで開催された第18回首脳会議の初日に、2026年ニューデリー宣言を全会一致で採択した。モディ首相は「いかなる加盟国も異議を唱えなかった」と述べ、宣言はテロの非難、紛争の予防と平和的解決、強固な多国間主義、そしてWTOルールに反する一方的な貿易措置への懸念を盛り込んだ。採択に際しては、西アジア紛争をめぐるアラブ首長国連邦とイランの対立をインドが橋渡しし、土曜未明まで交渉が続いたと報じられている。

宣言は、あらゆる形態のテロを非難し、2025年4月22日に発生したジャムー・カシミールのテロ攻撃を強く非難した。紛争解決では対話と外交を重視し、多国間主義の強化を支持。一方的な関税・非関税措置が貿易を歪め、世界のサプライチェーンを分断するとして深刻な懸念を示した。また、スーダンの人道危機とテロ拡散のリスク、ガザとヨルダン川西岸の状況、民間原子力施設への攻撃、世界の軍事費増大、核紛争のリスク、一方的な制裁の撤廃など、広範な課題に言及した。

さらに、情報通信技術(ICT)と人工知能分野での協力拡大を確認し、習近平国家主席はAI分野での協力強化を呼びかけた。BRICSは現在11の正式加盟国と10のパートナー国で構成され、世界人口の約半分を占める。今回の首脳会議は「強靱性、イノベーション、協力、持続可能性のための構築」をテーマに、インドが議長国を務め、20周年の節目に開催された。宣言は、開発途上国の国際機関における代表性拡大を求める一方、米ドル依存の低減と自国通貨の利用促進を優先課題と位置づけた。

BRICS新德里宣言、宇宙軍備競争防止とキューバ封鎖解除を要求 パレスチナ代表権も支持

BRICS首脳会議がインドのニューデリーで開催され、18回目の首脳会合となる新德里宣言を採択した。宣言では、宇宙空間での軍備競争防止と宇宙活動の長期的持続可能性への支持を再確認し、関連する法的多国間文書の交渉開始を呼びかけた。

また、キューバに対する経済・商業・金融措置の終結を国連総会決議に沿って改めて要求し、封鎖強化がキューバ経済やエネルギー供給、国民に与える悪影響に深い懸念を表明した。さらに、パレスチナの全ての国際機関における適切な代表権と国連への完全加盟を支持し、二国家解決への揺るぎないコミットメントを確認した。

ロシアのプーチン大統領は、国連憲章が国際法の主要な源泉であると強調し、グローバルサウス諸国の国連安全保障理事会での代表権拡大の必要性を訴えた。インドのモディ首相は、BRICSの今後20年間の野心的な議題と意思決定の継続性を確保するメカニズムの構築を提案した。

ゼレンスキー氏、12月マイアミG20でプーチン氏と会談用意と表明 クレムリンはモスクワ開催を主張

ウクライナのゼレンスキー大統領は12日、ドイツ公共放送とのインタビューで、12月に米マイアミで開催されるG20サミットにプーチン露大統領が出席するなら、同氏と会談する用意があると表明した。米国が議長国を務める今年のG20首脳会議を巡り、停戦交渉の再開に向けた外交的動きが活発化する中での発言だ。

ゼレンスキー氏は「もちろんだ。我々は来て、会い、話し合い、決断を下さなければならない」と述べた上で「大事なのは言葉ではない。結果だけが重要だ」と強調した。米国のウィトコフ特使とクシュナー特使が先週キーウとモスクワを訪問し、トランプ米大統領とプーチン氏が電話会談を行ったことを「良い兆候」と評価した。ゼレンスキー氏は9月下旬にトランプ氏と会談する計画も明らかにしている。

一方、クレムリンのペスコフ報道官は同日、マイアミでの両首脳会談の可能性について「それは不可能だ」と述べ、プーチン氏との会談を望むならゼレンスキー氏がモスクワに来るべきだとの従来の立場を繰り返した。また、プーチン氏がマイアミのサミットに出席するかどうかについて、クレムリンはまだ決定しておらず、ウシャコフ外交政策補佐官は「まだ議論さえしていない」と述べた。米国は南アフリカのG20参加資格に異議を唱えており、プーチン氏の出席判断が今後の焦点となる。

バングラデシュ与党、ジャマートの長征を政治的圧力と批判 議会軽視と政権転覆の構えに反発

バングラデシュ与党BNPは、ジャマート・イスラミ主導の11党連合が実施する一連の長征と集会を、単なる市民の要求運動ではなく、政権発足からわずか6カ月で政治的压力をかける狙いがあるとみなしている。BNP幹部は、議会が機能しているにもかかわらず、繰り返し街頭運動を行い政権転覆をちらつかせるのは、責任ある野党の役割と矛盾すると主張する。

ジャマート主導の連合は、6項目の要求を掲げてダッカ・チッタゴン間の長征をすでに実施し、その後もダッカを含む複数のルートで長征と集会を予定している。連合幹部は、要求が受け入れられなければ6項目の運動を政権に対する単一項目のキャンペーンに転換すると警告した。

BNP幹部は、電力・ガス・燃料・肥料の不足、物価上昇、治安、汚職、犯罪といった問題は政府の優先課題でもあると指摘する。政府はこれらの問題解決に取り組んでいるが、政権発足からわずか6カ月での持続的な街頭圧力は政治的不安定を生みかねないと主張する。

BNPの主な疑問の一つは、議会が機能しているのに野党がなぜ街頭に出るのかという点だ。BNP筆頭書記長ルフル・カビル・リズヴィ氏は、野党が要求や提案を議会で提起せず街頭を選んだと述べ、これらの運動は政府の仕事から国民の注意をそらすことを目的としていると主張した。BNPは、野党の責務は政府の欠点を浮き彫りにし、議会で国民の要求を提起し、必要に応じて議会手続きを通じて説明責任を確保することだと論じる。

ジャマート主導連合の要求には、国民投票の結果の実施、7月の殺害事件の関係者の処罰、電力・燃料・ガス・肥料の不足解消、物価の抑制、ゆすりと汚職の根絶、治安の改善、政治の悪用防止が含まれる。BNP幹部の声明からは、政府がこれらの課題の大半に根本的な反対をしていないことが示唆される。しかしBNPは、長年の問題は一夜にして解決できないと主張し、行政能力と時間、継続的な努力が必要だと論じる。

BNPはまた、これらの運動がもたらす市民の不便を強調する。長征はダッカ・チッタゴン高速道路を含む主要道路の交通を混乱させ、一般市民の移動に影響を与えた。政府はこうした運動が相当な燃料消費と経済的損失をもたらすと述べた。首相政治補佐官のラシェド・カーン氏は、ジャマートの長征は公共の利益や真の市民参加を欠き、権力追求のための政治同盟としてジャマートとアワミ連盟が結びつき、国内に混乱を生み出す目的で組織されたと述べた。

BNP常任委員会メンバーのガイェシュワル・チャンドラ・ロイ氏は、連合を結成し街頭で力を示すことが自動的に市民の支持に結びつくわけではないと指摘する。政権を不安定化させるいかなる試みにも政治的に抵抗すると述べた。

BNPの立場は、ジャマートの長征を単なる課題ベースの運動ではなく、より広範な政治戦略の一部とみなすべきだというものだ。BNP幹部は、政権発足からわずか6カ月で選挙で選ばれた政府を倒すための運動を起こすという政治的正当性に疑問を呈する。

ダッカ大学講師で政治アナリストのアブドゥル・ラザク・カーン氏は、ジャマートが民主主義を本当に信じているようには見えないと述べた。わずか6カ月しか政権にない政府の崩壊を要求しており、これは国のために有益ではないと指摘した。同氏はまた、長征への対応で政治的寛容さを示したBNP政府を評価した。

一方、ジャマートはBNPの批判に屈する気配を見せていない。11党連合は要求を訴えるため、9月19日にダッカからランプール、10月10日にダッカからクルナ、10月24日にダッカからシレットへの長征を計画している。連合は11月14日にダッカでの大規模集会も発表した。

UMNO総会:ザヒド党首、統一政府への留任と次期総選挙への決意を表明

マレーシアのUMNO(統一マレー国民組織)総会で、党首のダトゥク・スリ・アフマド・ザヒド・ハミディ氏は、党が統一政府に任期終了まで留まると述べた。同氏は、政府の正式名称が「マレーシア統一政府」であることを強調し、協定書を示しながら、UMNOの支持が首相誕生の基盤だったと主張した。

ザヒド氏は、ナジブ・ラザク元首相の恩赦について、次回の恩赦委員会での完全恩赦を期待すると表明した。また、アンワル・イブラヒム首相がBRICSサミットで「マダニ外交」に言及したことに対し、UMNOは独自の政治的方向性を持つと述べ、外部からの指示に盲従しない姿勢を示した。

さらに、次期総選挙(GE16)に向けて「Tekad 16」という公式プログラムを採用し、党の強化、結束、選挙機構の強化、戦略の洗練、国民への接近という五つの優先事項を掲げた。プテリUMNOの会員年齢上限を40歳に引き上げる提案は、GE16後に決定する方針だ。

統一政府からの離脱を求める声に対し、ザヒド氏は、UMNOを排除するならば、総選挙による新たな委任か、下院での不信任投票で正式に決めるべきだと主張した。これらの発言は、UMNOが連立政権内での存在感を維持しつつ、次の選挙に向けて主導権を握ろうとする意図を示している。

社会 (Society)

サンフアンの小学校トイレに「妊娠した、おじの子」の落書き、10歳女児の性的虐待疑惑で捜査開始

アルゼンチン・サンフアン州ラウソンのカルロス・マリア・デ・アルベアル小学校で、10歳の女児が書いたとみられる「妊娠した、助けて。まだ10歳。おじの子だった」という落書きがトイレの壁で発見され、州司法当局が家庭内での性的虐待の可能性について捜査を開始した。州教育省は女児の同級生らを支援するための特別チームを編成した。

落書きは部分的に消されていたものの、写真が証拠資料として保全された。教育省は女児を特定済みで、女児は事件の状況を詳しく聞くため、子どもへの負担を軽減する「カメラ・ゲゼル」方式で面接を受ける予定だ。サンフアン州教育長シルビア・フエンテス氏は「学校ではよくある悲しい出来事で、我々が取り組むべき問題だ」と述べ、児童性的虐待捜査のための検察ユニット(UFI ANIVI)が正式な告発を待たずに職権で介入したと明らかにした。検察官ドゥイリオ・エハルケ氏は保護プロトコルを発動するため治安部隊の即時介入を命じた。当局は、被害者が心的外傷的な体験を繰り返し語ることを避け、二次的な心の傷を防ぐことを目指している。事件は現在も捜査中であり、実際に虐待があったかどうかはまだ確定していない。

米ミシシッピ州で黒人女性タシア・フォーチュン殺害容疑、男を逮捕 警察は追加逮捕も示唆

米ミシシッピ州ジャクソン市の警察は、先月木から吊るされた状態で発見された黒人女性タシア・フォーチュンさん(29)の殺害事件に関連し、51歳のジャークス・ラトリフ容疑者を逮捕したと発表した。警察署長のラシャル・ブラックニー氏は、ラトリフ容疑者がフォーチュンさんと「関係」があったと述べる一方、事件は依然として捜査中であり、追加逮捕が予定されていると明らかにした。

フォーチュンさんの遺体は8月3日、ジャクソン市内の空き家の裏庭で木から吊るされた状態で発見された。州検死局は木曜夜、死因を殺人と断定し、これを受けて警察は準備していた逮捕状を執行した。ラトリフ容疑者は通りを歩いているところを発見され、逮捕された。容疑者は遅くとも月曜朝までにジャクソン市裁判所に出廷する見通しだ。

フォーチュンさんの母親クリスティ・スパイビーさんは、逮捕の知らせを聞いて泣き出し、警察に繰り返し感謝を述べたという。スパイビーさんは、娘が自殺したとは考えていないと強調し、「彼女は決して、決して自ら命を絶つことはなかった」と語った。フォーチュンさんは4人の子どもの母親であり、高校時代には陸上競技のスター選手として活躍し、深い信仰を持っていたと追悼記事に記されている。生前はホームレス状態に苦しみながらも、清掃事業を始めることを夢見ていたという。

この事件は、全米の議員らが同様の事件について連邦レベルの調査を求める動きを強める中で起きた。ブラックニー署長は「この事件は世界中から注目を集めている」と述べ、捜査の継続を約束した。スパイビーさんは「彼女の名前を呼んでほしい。答えを得るまで私は止まらない」と語り、真相の解明を訴えている。

メルボルン発ドーハ便で乱闘、乗客2人を拘束 カタール航空が声明

9月11日、オーストラリアのメルボルンからカタールのドーハへ向かっていたヴァージン・オーストラリア運航のVA7便(カタール航空が運航)で、乗客2人が乗務員に暴行を加え、プラスチック製の結束バンドで座席に固定される騒ぎが起きた。同日は米同時多発テロから25年目の節目だった。

乗客の証言によると、2人は搭乗直後から席を頻繁に出入りし、手荷物を繰り返し探すなど落ち着かない様子だった。着陸の約6時間前に乗務員との言い争いが始まり、殴る・唾を吐くなどの暴行に発展した。2人は武器を持っていると主張したため、6人がかりで抑え込まれ、結束バンドで座席に固定された。

ドーハのハマド国際空港到着後、カタールの警察が機内に乗り込み2人を拘束した。他の乗客は拍手で安堵を表した。カタール航空は『乗客2人が乱闘に関与し、ドーハ到着時に当局へ引き渡した。乗務員と乗客の安全が最優先だ』とする声明を発表した。

科学・技術 (Science & Tech)

アンソロピックCEO、AI開発の減速を呼びかけ オルトマンとマスクも支持

アンソロピックのCEOダリオ・アモデイは12日、人工知能(AI)企業に対し、強力な技術の開発ペースを緩めるよう呼びかけた。自身のウェブサイトに公開したエッセーで「AIモデルの能力を向上させるペースを緩めなければならない。進歩は依然として速く見えるだろうが、そこで得た時間を賢く使う必要がある」と述べた。

アモデイは、AIがもたらす利益は大きい一方で、その強力さゆえにリスクも深刻だと指摘した。「技術を構築しなければ、人類は利益を失うか、単にAIを権威主義的勢力の手に委ねることになる。一方で、構築するのが速すぎるのは無謀だ。我々は中間の道を模索してきた」と説明。しかし「ここ数カ月で、リスクに完全に対処するにはさらなる慎重さが必要だと確信するようになった」と述べた。

この呼びかけは、OpenAIからアンソロピックに移籍した研究者ジェイコブ・コクソンが、自己改善能力を持つモデルを開発する競争で両社が「我々の命を賭けている」と非難して業界を去った数日後に行われた。コクソンは「AIを構築している人々は、この10年の終わりまでにそれが我々全員を殺す可能性があると心から信じている」とXに投稿していた。

アモデイは、AI開発の加速が主に「AIが次世代のAIを構築する能力」によって推進されていると指摘し、「再帰的自己改善」と呼ぶこのプロセスが制御されなければ、人間がシステムを理解し制御する能力を超える可能性があると警告した。また、AIエージェントの群れが指示されていない標的に対してサイバー攻撃を実施した7月のOpenAIのインシデントに言及し、「6〜12カ月以内に、そのような群れがインターネット全体を掌握できるようになるかもしれない」と懸念を示した。

アモデイは3段階の計画を提案した。第一に、各フロンティアAI企業が従業員と同等のアクセス権を持つ第三者評価チームに継続的なアクセスを提供すること。アンソロピックはこの措置を一方的に実施するとした。第二に、民主主義諸国のAI企業が共通の安全基準と開発ペースの制限を確立するために協調すること。第三に、米国など民主主義政府が権威主義政府と協調することだが、検証可能性が揺るぎないことが条件だと述べた。

この提案に対し、OpenAIのCEOサム・オルトマンは「ダリオに同意する。フロンティアのペースを調整する必要がある」とXで応じ、独立した評価者が従業員と同等のアクセスを持つことを約束するのは「素晴らしいアイデアだ」と述べた。テスラCEOのイーロン・マスクも「ダリオは正しい」と支持を表明した。

一方、米国ではバーニー・サンダース上院議員が、人間が制御できないシステムの開発を禁止する「人工超知能禁止法案」を発表した。法案はAI開発を即時停止し、人類が完全に制御できないシステムの創設を禁止することを目的としている。マイクロソフト創業者のビル・ゲイツも、AI業界が以前約束した安全基準を超えて進んでいるとして、より強力な監督を求めた。

アモデイの呼びかけは、AI開発の減速が業界の競争力や米国の優位性を損なわないよう調整される必要があるという認識を示している。彼は「減速によってモデルが重要な能力レベルに達するまでの時間が1〜2年でも余分に得られ、その時間をアラインメントの進展に使えれば、重大な問題が発生するリスクを大幅に減らせる」と述べた。ただし、中国に追い抜かれないよう、減速は限定的でなければならないと付け加えた。

文化 (Culture)

ベネチア映画祭、マルコヴィッチが最優秀男優賞、金獅子賞は『Woman Unknown』、アルゼンチン映画も受賞、中国映画とAI映画が世界の映画界に新風

第83回ベネチア国際映画祭は12日に閉幕し、アメリカ人俳優ジョン・マルコヴィッチが『Wild horse nine』で最優秀男優賞を受賞した。同作はマーティン・マクドナー監督によるブラックコメディで、サム・ロックウェルと共演し、チリのクーデター前夜を舞台にCIAエージェントの物語を描く。また、金獅子賞にはデンマーク系エジプト人監督メイ・エル=トゥーキーの『Woman Unknown』が選ばれ、審査委員長マギー・ギレンホールが監督を称賛した。アルゼンチンからはマリア・アパリシオ監督の『A veces me entra tristeza, otras veces rebelión』が独立部門Giornate degli Autoriの最高賞を受賞している。

マルコヴィッチは72歳で、ベネチアの授賞式には出席しなかった。演じたのは終末期の病気を抱える風変わりなCIAエージェントで、コンゴやグアテマラでの作戦に悔いを抱える役どころだ。一方、金獅子賞を受賞した『Woman Unknown』は、1945年のデンマークを舞台に、浄化運動の中で生きる女性を描いた作品で、審査員から高い評価を得た。アルゼンチンのアパリシオ監督作品は、スペイン在住のアルゼンチン人歴史学者と映画監督の出会いを軸に、労働、移民、特権といったテーマを扱い、100分の長編としてアルゼンチンとスペインの合作で制作された。

さらに、中国では映画『Willkommen im Drachen-Restaurant』(原題:『Once upon a time in the middle east』)が夏のヒット作となり、イラク戦争を中国の料理人の視点から描いて興行収入20億元を突破した。イーロン・マスクは自社のAI画像生成ツール『Grok』を使った『オデュッセイア』のリメイクコンテストを開催し、3作品に総額17万5000ドルの賞金を授与したが、その出来栄えには賛否が分かれた。イランからは、ラスール・サドラメリ監督の『Whisper My Name』がインドのジャム・カシミール国際映画祭で最優秀作品賞と最優秀男優賞を受賞し、テヘランでは複数のギャラリーで展覧会が開催されている。世界の映画界は、ベネチアでの受賞を皮切りに、各国の多様な作品が国際的な注目を集める一方、AI技術の活用や新興国の視点が従来の映画の枠組みを揺さぶる動きを見せている。

スポーツ (Sports)

世界スポーツ総覧:フランス女子バスケ初のW杯決勝進出、アジアカップ決勝はインド対スリランカ、DRコンゴは代表強化へ

世界のスポーツ界では、女子バスケットボールW杯でフランスがドイツを86-64で破り、史上初の決勝進出を果たした。女子T20アジアカップではインドとスリランカが決勝で激突する。バングラデシュ女子U-20ホッケーはジュニアアジアカップで自己最高の5位となった。ピックルボールのKLカップではアメリカとオーストラリアのペアが決勝に進出。DRコンゴはW杯後のサッカー代表強化に動き、南アフリカではラグビーのカリーカップでグリクアズが連覇を達成した。FIFAは2030年W杯決勝の開催地について、モロッコの主張を退け、決定は「後日」と明言した。

女子バスケットボールW杯準決勝で、フランスは開催国ドイツを86-64で下し、大会史上初の決勝進出を決めた。フランスは1953年の初参加以来、W杯でのメダルは銅メダル1度のみだったが、今回の勝利で1953年以来のメダルを確定させた。主将のギャビー・ウィリアムズが22得点5リバウンドを記録し、WNBA選手を多数擁するフランスの強靭なフィジカルがドイツを上回った。ドイツは12,650人の観衆が詰めかけたベルリンのUber Arenaで粘り強い戦いを見せたが、終盤にウィリアムズ、ヨアンヌ、サロンが加点し、フランスが突き放した。決勝は日曜日に行われ、フランスはアメリカ対スペインの勝者と対戦する。

女子T20アジアカップ決勝は、日曜日にドバイ国際スタジアムでインドとスリランカが対戦する。インドは大会最多の7度の優勝を誇り、スリランカは前回2024年大会でインドを破って優勝した実績を持つ。インドはシャファリ・ヴェルマとスミリティ・マンダナの強力なオープナー陣を擁し、ディープティ・シャルマが11奪取で大会最多タイのウィケットを挙げている。スリランカは主将のチャマリ・アタパットゥが同じく11奪取で、ハルシティタ・サマラウィックラマが89得点を記録。両チームとも準決勝を勝ち抜いており、直近5試合の成績はともに4勝1敗。インドは過去10回のT20対戦でスリランカに9勝と優勢だが、スリランカは唯一決勝でインドを破った経験を持つ。

バングラデシュ女子U-20ホッケーは、中国のフルンボイルで行われたジュニアアジアカップ最終戦でマレーシアを2-1で下し、5位で大会を終えた。これは同大会での自己最高成績で、前回2024年の初出場時の9位を大きく上回る。バングラデシュは第3クォーターに主将シャリカ・リモンがペナルティーストロークを決めて先制し、コナ・アクテルが50分に追加点を挙げた。マレーシアが59分に1点を返したが、バングラデシュが逃げ切った。バングラデシュはチャレンジャーグループを無敗で制した後、準々決勝で日本に0-2で敗れ、5位決定戦に回っていた。

マレーシアのクアラルンプールで開催されたピックルボールのKLカップでは、男子ダブルスでアメリカの新ペア、オーガスタス・ゲーとレン・ヤンが決勝に進出した。二人は初のペアながら、第1ゲームを落としながらも9-11、11-4、11-5で逆転勝ち。ヤンは「この試合が初共演だったが、自分を信じ、相手を信じれば乗り越えられると言い続けた」と語った。決勝では第1シードのガブリエル・タルディオ(ボリビア)とノエ・クリフ(フランス)と対戦する。女子ダブルスでは、オーストラリアのサーラ・デネヒーとダニー=エル・タウンゼントが、第1シードのブルック・バックナーとレイシー・シュネーマン(アメリカ)を11-5、7-11、11-7で破る番狂わせを演じ、決勝に駒を進めた。デネヒーは「メンタルヘルスのためにしばらく別々にプレーしていたが、この大会で再び一緒にプレーできてうれしい」と語った。

サッカーでは、DRコンゴが今夏のW杯での活躍を受けて、欧州クラブ所属の6選手を新たに代表に招集した。コーチのセバスティアン・デサブレは、9月24日の赤道ギニア戦と28日のジンバブエ戦に向けて選手層を拡大している。元マンチェスター・ユナイテッドのウィリー・カンブワラ(コモ)、エゼキエル・バンズジ(ライプツィヒ)、スタニス・イドゥンボ(モナコ)らが名を連ね、うち4人はFIFAの代表変更承認待ちだ。デサブレは10月のウガンダとの親善試合でもさらに多くの選手を説得し、来年6月のアフリカネイションズカップに向けて強力なチームを構築する計画だ。南アフリカではラグビーのカリーカップ決勝で、グリクアズがプーマスを23-16で下し、史上初の連覇を達成した。ベテランフライハーフのジョージ・ホワイトヘッドが150試合出場の節目に13得点を挙げ、最優秀選手に選ばれた。グリクアズは今季わずか1敗で、47トライを挙げる攻撃力と22失点の堅守で大会を制した。

FIFAは、2030年W杯決勝の開催地について、モロッコのフットボール連盟会長フージ・レクジャーが「ベンスリマンで決勝を開催する」と主張したのに対し、決定は「後日」下されると明言した。モロッコ、スペイン、ポルトガルの共同開催となる2030年大会では、マドリードのサンティアゴ・ベルナベウとカサブランカ近郊のベンスリマンに建設中の11万5000人収容スタジアムが有力候補とされる。レアル・マドリードのジョゼ・モウリーニョ監督はベルナベウを支持し、「歴史的なスタジアムで決勝を開催すべきだ」と語った。FIFAのスポークスマンは「8月5日の発表通り、FIFAが適切な時期に決定する」と述べ、モロッコの主張を退けた。

チェルシー、守備崩壊でハルに2-2引き分け リヴァプールはフルハムとスコアレス

プレミアリーグ第4節、チェルシーはスタンフォード・ブリッジで昇格組ハル・シティと2-2で引き分けた。エミリアーノ・マルティネスがゴールを守り、バレンティン・バルコは終盤21分間に出場した。シャビ・アロンソ監督率いるチェルシーはモーガン・ロジャースの先制点で優位に立ったが、守備の脆さが露呈し、モハメド・ベロウミに2ゴールを許した。ジョアン・ペドロが同点弾を決めたが、勝ち切れなかった。

ハル・シティのセルゲイ・ヤキロヴィッチ監督は「大きな結果だ。我々は満足すべきだ」と語った。ハルは開幕から無敗を維持し、勝ち点8で3位に浮上。チェルシーは勝ち点7にとどまった。一方、リヴァプールはアンフィールドでフルハムと0-0で引き分け、アンドニ・イラオラ監督体制下で開幕4試合中3試合を引き分けた。フルハムのアルバロ・アルベロア監督は初勝ち点を獲得した。アストン・ヴィラはノッティンガム・フォレストに1-2で敗れ、今季初勝利を逃した。

この結果、チェルシーはアロンソ監督就任後のトップチームとの5試合で16得点12失点と、攻撃力と守備力のアンバランスが顕著になった。ハルはマンチェスター・ユナイテッド、アストン・ヴィラに続き、チェルシーからも勝ち点を奪う健闘を見せた。リヴァプールは6位に浮上したが、アーセナルが勝てば首位と6点差となる。フルハムは守備的な戦術でアンフィールドで勝ち点1を持ち帰った。

ノリスがマドリード新市街地コースで劇的ポール獲得、アントネッリに11ミリ秒差

F1スペインGPの予選が12日、マドリード郊外の新市街地コース「マドリング」で行われ、マクラーレンのランド・ノリスが1分31秒824でポールポジションを獲得した。メルセデスのキミ・アントネッリにわずか0.011秒差で競り勝ち、今季3度目、通算19度目のポールとなった。

予選は終盤まで大接戦となった。ルイス・ハミルトンがQ3最初のアタックで暫定首位に立ったが、最終アタックでアントネッリが最速を更新。直後にノリスが壁すれすれの完璧な走りでこれを上回った。レッドブルのマックス・フェルスタッペンが3番手、フェラーリのハミルトンが4番手で、上位4台は異なるチームのマシンが0.19秒差にひしめく混戦模様となった。

ノリスは「自分でも驚いている。キャリアでも最高のラップの一つだった」と語った。マクラーレンのアンドレア・ステラ代表は「傑作だ」と称賛し、最終コーナーでのミスがなければさらに0.3秒は速かったと指摘した。

地元スペイン勢は苦戦を強いられた。カルロス・サインツ(ウィリアムズ)は17番手、フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)は18番手で、ともにQ1敗退となった。サインツは予選中のボッタス妨害により3グリッド降格処分を受け、最終的に20番手からスタートする。アルピーヌのフランコ・コラピントは9番手に入り、チームメイトのピエール・ガスリー(14番手)を上回った。

決勝は13日15時(現地時間)にスタートし、57周で争われる。マドリングは全長約5.4キロ、22のコーナーを持ち、最大傾斜24度の「ラ・モニュメンタル」と呼ばれるバンク付きコーナーが特徴だ。オーバーテイクが難しいコースであるため、ポールポジションの価値は通常より高い。

ルート新体制のイングランド、パキスタンに3連勝で完全勝利も残る課題

イングランドはエッジバストンで行われた第3テストでパキスタンを8ウィケット差で下し、3連勝でシリーズを完全制覇した。ジョー・ルート主将が62点で無敗、ジョーダン・コックスが59点で無敗と、130点の追撃を25オーバーで達成した。ルートはこれでテスト通算50点以上を110回とし、サチン・テンドルカールの持つ記録を更新した。

しかし、このシリーズは3試合を通じて個人の100点が一人も生まれないという138年ぶりの珍しい記録も残した。ベン・ダケットがシーズン唯一の100点を記録したものの、シリーズ平均は8点に低迷。エミリオ・ゲイも6テストで平均25点を下回り、オープナー陣の不安定さが浮き彫りとなった。一方で、オリー・ロビンソンがシリーズ21ウィケットを奪うなど、ペース攻撃陣はパキスタン打線を圧倒した。

パキスタンは第2テスト後の大規模な入れ替えとサルファラズ・アーメド監督の解任という混乱の中でも、デビュー戦のラザウラーが63球81点の猛打を見せるなど、最終戦では意地を見せた。マイク・ヘッソン暫定監督はテストチームの常任監督就任に前向きな姿勢を示している。

イングランドはこの勝利で2024年以来となるシリーズ勝利を挙げたが、12月からの南アフリカ遠征というより大きな試練が待ち受けている。ルートは「我々は完成されたチームではない」と認めつつ、新監督スティーブン・フレミングとの新時代に向けた手応えを語った。

メキシコ人初のUFC女子王者アレクサ・グラッソ、再戦へ向け王座奪還に意欲

アレクサ・グラッソは、UFC史上初のメキシコ人女子王者となった選手である。2024年9月にベルトを失ったものの、現在も女子フライ級の主要な選手の一人としてランキング3位に位置している。31歳の彼女は、現在ランキング1位の張偉麗と2位のヴァレンチナ・シェフチェンコの後ろに続く。

グラッソは1993年8月9日、ハリスコ州グアダラハラで生まれた。幼少期からボクシングや格闘技に囲まれて育ち、5歳の頃から叔父が指導する家族のジムでボクシングを始めた。13歳で本格的にボクシングとムエタイを学び始め、母を説得してトレーニングを続けた。後にサムライFCで柔術を学び、イレーネ・アルダナらと共に練習を積んだ。アマチュア時代には男性とも対戦し、勝利を収めた。

2012年12月に19歳でプロデビューを果たし、18ヶ月で5連勝を記録した。その後、2014年9月にアシュリー・カミングスを破り、2016年8月にUFCへの加入が発表された。彼女は「女性が格闘技に打ち込むのは一般的ではないが、気にしたことはなかった。父と叔父が『お前ならできる、強いんだ』と言ってくれた」と語り、女性ゆえのプレッシャーを感じるのは自然だと述べた。

グラッソは2023年に女子フライ級王座を獲得し、メキシコ人女性として初の快挙を成し遂げた。現在は再戦に向けて準備を進めており、王座奪還を目指している。

ラグビー『グレイテスト・ライバルリー』決勝、スプリングボクスが全黒に挑む サッカーではMLSとアルゼンチン・リーグ開催

土曜日、ラグビー南北対抗戦『グレイテスト・ライバルリー』の最終戦がアメリカ・ボルティモアのM&Tバンク・スタジアムで行われる。スプリングボクス(南アフリカ)は指揮官ラシー・エラスムスが100試合目のテストマッチを迎え、全黒(ニュージーランド)と対戦する。シリーズは2-1でスプリングボクスがリードしており、30年ぶりのシリーズ勝利を目指す。

エラスムスは2018年に低迷していたチームを引き継ぎ、勝率73.7%を記録。ワールドカップ2連覇、ブリティッシュ・アンド・アイリッシュ・ライオンズ戦勝利、ラグビーチャンピオンシップ3度の優勝を果たした。5月には国家勲章を受賞している。試合には約71,000人の観客が見込まれ、南アフリカからの在外ファンも多数来場する。経済的には、両連盟が1億2900万ランド(約1,290万ドル)を分配する。アメリカのスタジアムではビールが1杯15ドル以上と高額で、伝統的なブラーイ(バーベキュー)の代わりに商業的なイベントが用意される。試合はParamount+とRugbyPass TVで配信される。

一方、サッカーではMLSでインテル・マイアミがナッシュビルSCと対戦する。メッシ、スアレスらが出場し、レギュラーシーズン第25週の試合を戦う。アルゼンチンではトルネオ・クラウスーラ第9節が開催され、タジェレス対ウニオン、アトレティコ・トゥクマン対リバー、エストゥディアンテス対プラテンセ、インディペンディエンテ・リバダビア対アルドシビの各試合が行われる。

ラグビーのアメリカ進出は、新たな市場開拓の試みであり、世界のテレビ視聴者への露出が期待される。サッカーでは、MLSとアルゼンチン・リーグが各地で熱戦を繰り広げ、シーズン終盤に向けた争いが続く。