The Morning Star Observer

2026年09月12日 土曜日朝刊 (Morning Edition)ArchiveAbout

フーシ派、紅海の要衝バブ・エル・マンデブ海峡を制圧、サウジ石油輸出に打撃

イラン支援のフーシ派が、紅海とアデン湾を結ぶ戦略的なバブ・エル・マンデブ海峡の要衝ペリム島(マユン島)を制圧した。これにより、フーシ派は同海峡の支配をほぼ完成させ、サウジアラビアの石油輸出ルートに深刻な脅威を与えている。原油価格は1バレル100ドルを超え、米国のディーゼル価格も初めて6ドルを突破した。

フーシ派は今週、サウジアラビアが支援するイエメン政府軍に対する大規模攻勢を開始し、紅海沿岸の港湾都市モカを制圧した後、金曜日にはペリム島に到達した。政府軍は同島から撤退し、フーシ派は海峡の対岸にあるドゥバブも掌握した。これにより、フーシ派は紅海の南の入り口を事実上支配し、サウジアラビアの石油タンカーに対する攻撃能力を大幅に高めた。

サウジアラビアはホルムズ海峡がイランによって封鎖された後、紅海ルートに依存してきた。東・西パイプライン経由で紅海沿岸のヤンブー港から石油を輸出しているが、フーシ派の攻撃でこのルートが脅かされている。サウジアラビアは空爆で応戦しているが、フーシ派の電撃的な進撃を止められていない。

米国のトランプ大統領は、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子からの直接攻撃要請を当面拒否し、地域パートナーの主導を重視する姿勢を示している。イランはフーシ派の進撃を支援し、ホルムズ海峡とバブ・エル・マンデブ海峡の二つの戦略的なチョークポイントを抑えることで、米国との戦争で優位に立とうとしている。

この状況は、世界のエネルギー市場に大きな影響を与えている。原油価格は今週、1バレル100ドルを超え、米国のディーゼル価格は6ドルを突破した。アナリストは、フーシ派の制圧によりサウジアラビアの石油輸出がさらに制約され、価格上昇圧力が続くと指摘している。

米国、9/11テロ25周年を追悼 トランプ大統領はペンタゴンで式典、ニューヨークでは遺族がサウジアラビアを非難

アメリカは2026年9月11日、同時多発テロ事件から25周年を迎え、各地で追悼式典を開催した。ニューヨークのグラウンドゼロでは、副大統領JDバンスと4人の元大統領(ジョージ・W・ブッシュ、ビル・クリントン、バラク・オバマ、ジョー・バイデン)が出席し、犠牲者の名前が読み上げられた。一方、ドナルド・トランプ大統領はペンタゴンで式典に出席し、イランとの戦争を9/11と結び付けて演説した。

式典では、遺族テリー・ストラダ氏がサウジアラビアの事件への関与を非難し、「25年経っても正義が得られない」と訴えた。また、ニューヨーク初のイスラム教徒市長ゾーラン・マムダニ氏の出席をめぐり、右派メディアや元市長ルディ・ジュリアーニ氏が反対運動を展開したが、マムダニ氏は出席した。市長は最近、事件後の大気汚染に関する市当局の隠蔽を示す数千点の文書を公開し、称賛を集めた。

アルカイダは弱体化したものの、アフリカやアジアの地域支部は依然として活動を続けている。CIAは25周年を機に、アルカイダとオサマ・ビンラディンに関する70以上の大統領向け報告書を機密解除した。また、事件後の航空保安強化や国土安全保障省の創設など、9/11が世界に与えた影響は今も続いている。

BRICS首脳会議がニューデリーで開幕、中東・ウクライナ紛争が議題の焦点に

第18回BRICS首脳会議が9月12日から13日までインドのニューデリーで開催される。中国の習近平国家主席が2019年以来となるインド訪問を行い、イランのマスード・ペゼシュキアン大統領とロシアのウラジーミル・プーチン大統領は11日に現地入りし、ナレンドラ・モディ首相と二国間会談を実施した。

会議の議題には中東とウクライナの戦争、世界貿易の混乱、石油問題が含まれる見通しだ。BRICSは2009年に主要新興国のフォーラムとして創設され、現在は11カ国が加盟する。イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦などが近年加わり、米国とイスラエルが2月に開始した戦争をめぐって加盟国間の立場が大きく分かれている。

インドのオブザーバー・リサーチ財団のハーシュ・V・パント氏は「湾岸紛争が今回のBRICS首脳会議の中心的な断層線になる」と指摘した。また、キャピタル・エコノミクスのシラン・シャー氏は「イラン戦争はグループの結束力に厳しい試練をもたらす」と述べ、5月にニューデリーで開かれた外相会合で共同声明に合意できなかったことを挙げた。

モディ首相とプーチン大統領は45分以上の二国間会談を行い、ウクライナ紛争が海上貿易とインド人船員の安全に与える影響について意見を交換した。両首脳は2030年までに年間二国間貿易を現在の約650億ドルから1000億ドルに引き上げることで一致した。プーチン大統領はモディ首相にロシア訪問を招待し、首相はこれを受け入れた。

一方、ペゼシュキアン大統領は「BRICSは一極支配に対抗するために設立された」と述べ、ドル依存を減らすため加盟国間の貿易で自国通貨の使用を拡大するよう訴えた。BRICSビジネスフォーラムでは、プーチン大統領がG7の経済貢献を「いわゆるG7」と皮肉り、BRICSが世界GDPの40%以上を生産していると対比した。

習近平主席の訪問は中印関係の雪解けを示す最大の一歩となる。2020年のヒマラヤ国境での軍事衝突以来、両国は慎重に関係を修復してきたが、国境問題、貿易赤字、戦略的競争が依然として影を落としている。中国外務省の毛寧報道官は「中国はインドと協力する用意がある」と述べた。

今回の首脳会議には、南アフリカのシリル・ラマポーザ大統領、エジプトのアブデルファッターフ・エルシーシ大統領、マレーシアのアンワル・イブラヒム首相、カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領らも出席する。インドはBRICS議長国として、開発途上国の声を反映する議題を掲げているが、加盟国の多様化に伴い合意形成の難しさも増している。

ロシュ・ハシャナー始まる、ユダヤ暦5787年と夕暮れに始まる新年の意味

ユダヤ教の新年であるロシュ・ハシャナーが始まった。今年は人類創造から数えて5787年目の記念の年となる。他の祝祭と同様、正式な始まりは最初の星が昇る時に行われる。

ユダヤ暦は太陰太陽暦であるため、ロシュ・ハシャナーの日付は毎年変わり、通常9月から10月の間に訪れる。今回は9月11日金曜日の夕暮れから9月13日日曜日の夜まで祝われる。

伝統的な挨拶は「シャナー・トヴァ・ウメトゥカー」で、「良い甘い年を」という願いが込められている。シナゴーグではショファルの音が響き、世界の創造を思い起こす。家族の夕食では、円形のパン「ハラー・アグーラー」を蜂蜜に浸し、リンゴと蜂蜜を食べて甘い一年を願う。

政治 (Politics)

トランプ大統領、9.11同時多発テロ25周年式典でイラン戦争を「テロとの戦い」の継続と位置づけ

ドナルド・トランプ米大統領は11日、国防総省(ペンタゴン)で行われた9.11同時多発テロ25周年記念式典で演説し、米国は2001年の攻撃を「決して忘れない」と誓うとともに、現在進行中のイラン戦争を前任者ジョージ・W・ブッシュが開始した「テロとの戦い」の継続であると位置づけた。トランプ大統領はニューヨークでの主要記念式典を欠席し、ワシントンでの式典にのみ出席した。

トランプ大統領は「今日、我々は四半世紀前に彼らの名において誓った神聖な誓いを新たにする。我々は決して、永遠に忘れない。だからこそ今日、我々は戦うのだ」と述べた。さらに「我々に選択肢はない。勝利のみがある。我々は強く戦い、勝つために戦う」と強調した。演説では、イランを「世界最大のテロ支援国家」と呼び、「イスラム共和国イランが核兵器を持つことを決して許さない」と宣言した。

ペンタゴンでは、9.11で同庁舎に激突した航空機により184人が死亡しており、犠牲者の名前が読み上げられるたびに鐘が一回鳴らされた。トランプ大統領は、テロ攻撃で死亡した消防士の息子が後に米海軍の退役軍人となった逸話を紹介し、「英雄が抽象的な大義のための狂信者ではない国になれる」と語った。

一方、ニューヨークのグラウンド・ゼロでは、JDバンス副大統領と4人の元大統領が出席し、2,977人の犠牲者を追悼した。今年の式典では、初めて7回目の黙祷が捧げられ、2001年以降に有毒な粉塵への曝露が原因で死亡した数千人を追悼した。

ペンタゴンの式典では、ピート・ヘグセス国防長官もイランを非難し、「過去6ヶ月間、我々は世界で最も活発な国家テロ支援組織を壊滅させた。我々の戦士たちは、ほぼ半世紀にわたり我々の死を願ってきたイスラム神政国家と戦ってきた」と述べた。イラン戦争は膠着状態に陥っており、イランはホルムズ海峡の支配をほぼ維持し、散発的な交戦にもかかわらず石油価格を高止まりさせている。

トランプ大統領はまた、前日に共和党中間選挙大会が開かれた国内情勢にも言及し、民主党が9.11攻撃の犯人に同情的であると非難した。共和党大会では、民主党のミシガン州上院候補アブドゥル・エル・サイード氏が過去の9.11関連の投稿をめぐって繰り返し攻撃された。

この記念式典は、世論調査で支持率が低いイラン戦争をめぐる論争の中で行われた。トランプ大統領のワシントン滞在の決定は批判を招いたが、ホワイトハウスはロジスティクスの問題だと説明した。イラン戦争は11月の中間選挙で共和党にとって逆風となる可能性があり、ガソリン価格の上昇が有権者の不満を募らせている。

ピティ・アルバレス殺人裁判、裁判官の忌避申し立てを棄却——来週月曜に審理再開へ

アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで、元バンド「ビエハス・ロカス」のリーダー、クリスティアン・ガブリエル「ピティ」アルバレス・コンヒウ(54)を唯一の被告とする殺人裁判で、弁護側が申し立てた裁判官の忌避(recusación)が棄却された。連邦破棄院(Cámara Nacional de Casación)の当直部を担当するグスタボ・ブルソーネ判事が金曜日に下した判断で、口頭審理は来週月曜日に再開される運びとなった。

弁護側のハビエル・バニョスとセバスティアン・ケイヘイロ両弁護士は、前回の審理で裁判官らを忌避した。彼らは、被告の精神的健康状態、新しい精神医学的評価の採用、目撃者2人の再尋問など20項目の論点を挙げ、裁判官らが「本件の自然な裁判官ではない」と主張した。さらに、審理中に被告が何度も眠り込み、糖尿病と高血圧の急上昇による体調不良で病院に搬送されたことや、裁判官と検察官の偏りを指摘していた。

しかしブルソーネ判事は、弁護側が「客観的な観点から偏見への恐れを合理的に推測できる事情の存在」を証明できなかったと判断した。判事は、弁護側の主張は審理中に裁判官が下した決定に対する単なる意見の相違であり、それらは訴訟手続き上認められた権限の行使に基づくものだと述べた。この決定を受け、弁護側はブエノスアイレス自治市最高裁判所(Tribunal Superior de Justicia de la Ciudad Autónoma de Buenos Aires)に違憲申立(recurso de inconstitucionalidad)を行った。

一方、弁護側は民事裁判所にも、被告の妹シルビナ・アルバレス・コンヒウの署名入りで、審理中の被告の健康管理に「無能力者後見局(Asesoría de Incapaces)」が介入するよう求める申立書を提出した。被告自身は審理後に「すべてを神の手に委ねよう。私はとても元気だ。これからレコーディングに行く」と語り、「裁判はやらなければならない。自分は間違えた。悪いことをした。正義が決断するだろう」と述べた。

口頭審理は9月14日午前11時に再開される。これは審理開始以来3度目の中断となる。被告は2018年7月12日にビジャ・ルガーノのサモレ地区で起きたクリスティアン・マクシミリアーノ「グリンゴ」ディアス(36)殺害事件の唯一の被告とされている。

世界の動きを一望:アルゼンチン治安相の議会召喚、バングラデシュ病院不正、蘭首相のAI活用、インド財相のAI警鐘、韓国龍山公園再開発、マレーシア火災支援、露米財務相会談、南アTRC賠償

世界各地で政治・経済・社会の重要課題が同時に動いている。アルゼンチンではブエノスアイレス州の治安悪化を受け、自由進歩党がハビエル・アロンソ州治安相の議会出席を要求した。バングラデシュでは保健相サルダル・モハンマド・サカワット・フセインが病院の不正に厳格な姿勢を示した。オランダではロブ・イェッテン首相がAIを活用したメッセージ作成を認め、インドではニルマラ・シタラマン財務相がAIの二面性を指摘した。韓国では龍山公園の住宅地開発をめぐり首相が世論の合意形成を重視すると述べた。マレーシアではアンワル・イブラヒム首相が火災被災世帯に特別支援金を贈呈した。ロシアと米国の財務相は制裁解除問題を協議しなかった。南アフリカではアパルトヘイト賠償を求める声が再燃している。

これらの動きは、各国が直面する課題の多様性を示すと同時に、統治のあり方や歴史的責任、テクノロジーの影響力といった普遍的なテーマを浮き彫りにしている。

AI巡る安全論争が激化、米議会は規制立法へ動き出す

人工知能(AI)の急速な進展に伴う安全性への懸念が、米国で再び高まっている。OpenAIのサム・アルトマンCEOは社内会合で開発ペースの鈍化を検討していると述べ、元研究者らは「破滅的で不可逆的な制御喪失」を警告した。こうした中、米上院ではAI開発企業に「注意義務」を課す法案の交渉が進められており、政府が安全性に問題があると判断したモデルのリリースを差し止める権限を付与する案が議論されている。

ドナルド・トランプ大統領は、AIの実存的リスクについて「懸念はない」と述べる一方、中国に対する技術的優位を失うことを懸念していると明らかにした。トランプ氏は「AIで勝てなければ、非常に悪い立場に置かれる」と語り、データセンター建設を巡る共和党内の反対論を退けた。一方、テッド・クルーズ上院議員ら超党派の議員団は、生物学的・核的脅威を生み出すAIの利用に対処する法案を今月にも委員会で審議する見通しだ。

法案は、最も高度な能力を持つAIモデルに適用される見込みで、グーグル、アンソロピック、OpenAIなどが対象となる。交渉では、州が独自にAIリスク関連法を執行するのを妨げる条項も盛り込まれる方向だ。しかし、11月3日の中間選挙を控え、下院の審議日程はわずか1週間しかなく、成立には時間的な制約が残る。

バングラデシュ首相、ハタザリ事故で負傷の将校を見舞う

タリク・ラーマン首相は金曜日、チッタゴン州ハタザリでの野外射撃演習中の事故で重傷を負った陸軍将校を、ダッカの統合軍病院(CMH)で見舞った。首相は正午ごろに病院を訪れ、治療を受けている負傷将校の容体を尋ね、早期の完全回復を願うとともに、関係当局に必要な治療を確実に行うよう指示した。

首相は負傷した将校とその家族とも会話し、励ましと慰めの言葉をかけ、感動的な雰囲気を作り出した。事故は水曜日、ハタザリでの陸軍野外射撃演習中に戦車から発砲された際に発生し、陸軍兵士2名が死亡、将校1名が重傷を負った。負傷した将校は高度な治療のためダッカのCMHに空輸された。首相は死亡した2人の陸軍兵士に深い哀悼の意を表し、遺族に弔意を伝えた。

香港、天安門追悼活動家に最大7年3ヶ月の判決 国際的な非難が広がる

香港の裁判所は11日、1989年の天安門事件を追悼する年次集会を主催した民主派活動家3人に対し、国家安全法に基づき5年から7年3ヶ月の懲役刑を言い渡した。香港同盟の元議長である李卓人氏(69)には7年、元副議長の鄒幸彤氏(41)には7年3ヶ月、元議長で起訴事実を認めた何俊仁氏(74)には5年2ヶ月の判決が下された。

3人は「一党独裁の終焉」を訴えたことが中国共産党の支配の正統性を問うものだとして、8月に「扇動による反乱」罪で有罪判決を受けていた。香港同盟には150万香港ドル(約19万ドル)の罰金が科された。判決は暴力を伴わず、具体的な実行手段や時期を示さなかったものの、罪の性質は「重大」であると認定。国家安全法の量刑区分のうち高い方に位置づけられた。

判決に対し、国連や人権団体、外国政府が相次いで非難を表明した。アムネスティ・インターナショナルのサラ・ブルックス副地域局長は「活動家への不当な罰、犠牲者への裏切り、香港の人々から歴史を議論する場を奪ったことの三重の悲劇だ」と述べた。ドイツとフランスは先月、鄒氏への判決を「人権の平和的擁護は犯罪ではない」と非難していた。台湾の大陸委員会も「民主主義と人権の追求は罪ではない」とし、当局が「国家安全の名の下に罪をでっち上げ、政治裁判を行った」と批判した。

判決後、李卓人氏の妻エリザベス・タン氏は「夫の妻として悲しい日だ。さらに3年間の服役を想像できない」と語り、不服申し立てを行う意向を示した。鄒氏の母メディナ・チョウ氏は「今日の判決に過度に悲しむ必要はない。心を落とさず、何よりも罪悪感を感じないでほしい」と支援者に呼びかけた。香港警察の国家安全部門のスティーブ・リー上級警司は「3人への判決から極めて重大な罪を犯したことが分かる」と述べた。

9/11から四半世紀、対テロ戦争の遺産と米国の岐路

2001年9月11日の同時多発テロから25年が経過した。米国は「対テロ戦争」の名の下にアフガニスタンとイラクへ侵攻し、グアンタナモ収容所や大量監視など新たな法体系を構築した。しかし、その成果は限定的であり、約8兆ドルの戦費とともに、米国のリーダーシップの哲学的基盤を損なわせたとする評価が定着しつつある。

アルジャジーラの論説は、9/11後の法体系が「恒久化」したと指摘する。グアンタナモの無期限収容は、後にパレスチナ連帯デモの弾圧や移民収容へと応用され、監視インフラは新たな標的へと向けられた。コラムニストのジャミール・ジャファーは、最高裁が対テロ政策に譲歩し、憲法修正第1条の保護を弱体化させたと論じる。言論・報道の自由は、政府の秘密主義やスパイ法による起訴の前に後退し、トランプ政権の民主主義への攻撃を容易にしたという。

一方、中東では米軍の空爆が今も市民の犠牲を生んでいる。2026年9月1日、イラン南部ホルモズガーン州の村で挙行された結婚式が米軍のミサイルで攻撃され、5人が死亡、約70人が負傷した。4歳のアミール・モハマド・カリミ君らが犠牲となり、イランは戦争犯罪として国際社会に訴えた。アフガニスタンやイエメンでも、米軍とその同盟国による結婚式への攻撃が繰り返されてきた歴史がある。

四半世紀を経て、米国は「対テロ戦争」から何を学んだのか。恐怖の記憶は風化しつつあるが、その遺産である法体系と軍事介入は、いまだ世界の安定を揺るがし続けている。米国が自らの行動を省みるかどうかが、今後の国際秩序の行方を左右するだろう。

ホルムズ海峡巡りイランと湾岸諸国が月曜にオマーンで外相会合へ、暫定航行管理策を協議

イラン外務省は11日、月曜日にオマーンでペルシャ湾岸諸国との外相会合を開き、ホルムズ海峡の安全な商業航路について協議すると発表した。イランのエスマイル・バガエイ外務報道官は、イラクと沿岸諸国が参加する見通しだと述べ、会合が地域の相互理解を深め、地域の安全保障を強化する道を開くことへの期待を示した。

この会合は、オマーンとイランが主導する形で、海峡を航行する船舶の暫定的な管理を定める合意をめぐり、湾岸協力会議(GCC)加盟6カ国とイランの外相が集まる初の機会となる。2月末に米国とイスラエルがイランへの攻撃を開始して以降、世界の石油供給の5分の1が通過するホルムズ海峡は事実上閉鎖され、原油価格は1バレル100ドル超に上昇している。イランはオマーンと数週間にわたり、安全な航路の設定や機雷除去、海峡の短期的な管理について協議を重ねてきた。

米国とイスラエルによる攻撃とイランの海峡封鎖は世界経済に打撃を与えている。サウジアラビアとアラブ首長国連邦はパイプラインで原油輸出の大半を維持する一方、カタールは第2四半期に約10年ぶりとなる財政赤字を発表し、サウジ経済も同期間に縮小した。イランは米国による海上封鎖と制裁に直面しながらも、トランプ大統領が封鎖を解除するまで海峡管理権を譲らず、交渉に復帰しない構えを見せている。

EUがウクライナに61億ユーロの防衛支援を承認、凍結ロシア資産の活用めぐる議論も再燃

欧州委員会は9月11日、ウクライナ向けの新たな防衛支援として61億ユーロ(約71億ドル)を承認した。この資金は防空、弾薬、ドローン、電子戦装備の調達に充てられ、米国製PAC-3迎撃ミサイルの購入も可能となる。欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は声明で、追加の61億ユーロをウクライナの防空・ミサイル防衛、弾薬、ドローン、電子戦分野の防衛製品調達のために承認したと述べた。欧州連合(EU)の防衛担当委員アンドリウス・クビリウスはブリュッセルでの記者会見で、EU加盟国が今週初めに支持を表明した後、欧州委員会が正式に承認したと確認した。

今回の決定により、EUは今年の支援融資でウクライナ防衛に割り当てられた283億ユーロ(約329億ドル)をすべて承認したことになる。これまでに84億ユーロ(約97億ドル)が分配され、さらに47億ユーロ(約55億ドル)が処理中だ。クビリウス委員は、ウクライナが領収書を提出した後にのみ資金が分配されると説明した。また、ウクライナがEU域外から武器を調達することを可能にする5つの例外措置が認められた。3つはウクライナのドローン企業がEU域外から部品を調達するためのもので、2つはPAC-3ミサイルを含む米国製装備に関するものだ。

一方、ドイツ主導の諸国は、凍結されたロシア資産を活用したウクライナ向け新規融資を提案し、EUの次期長期予算で計画されている1000億ユーロの一部を置き換えようとしている。スウェーデン、ポーランド、オランダ、スペインは、凍結されたロシア資産2100億ユーロを別のウクライナ融資に充てることを主張している。しかし、凍結資金の大部分を保有するベルギーは、ロシアからの法的異議の矢面に立つことを懸念し、昨年の同様の計画を否決した経緯がある。欧州委員会の経済担当委員バルディス・ドンブロフスキスは、資産没収に関する議論が再開されるきっかけは不明だが、議題に戻す用意があると述べた。EUとG7諸国は約3000億ユーロのロシア資産を凍結しており、そのうち約1850億ユーロがベルギーの預託機関ユーロクリアに保管されている。ロシア中央銀行は昨年12月、ユーロクリアに対し18.2兆ルーブル(2160億ドル)の訴訟をモスクワ仲裁裁判所に提起した。

ロシアの攻撃は続いている。過去24時間でウクライナ全土で少なくとも9人が死亡、145人が負傷した。ウクライナ空軍によると、ロシアはジェット推進ドローンを含む161発の攻撃と、1発の低コスト巡航ミサイル「バンデロール」を発射した。ウクライナ軍は電子戦で138機のドローンを撃墜または無力化し、19地点で命中が記録された。ドニプロペトロウシク州パウロフラードでは、ロシアの攻撃がショッピングセンターを直撃し、少なくとも5人が死亡、67人が負傷した。キーウではガソリンスタンドへの攻撃が初めて確認され、燃料供給に影響が出始めている。ポーランドのラドスワフ・シコルスキ外相がキーウを訪問中も攻撃は続いた。

米国で同時多発テロ25年追悼、人権上の課題も浮き彫りに

アメリカ合衆国は2001年9月11日の同時多発テロから25年を迎え、各地で追悼行事を行った。フランス24は、ニューヨーク州元検事補で人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチの元顧問を務めた弁護士リード・ブロディ氏を招き、25年に及ぶ対テロ戦争が人権の分野で多くの逸脱を伴ったと指摘した。拷問、秘密収容所、代替的な司法などがその例である。ブロディ氏は、2001年9月11日の悲劇は、それに対する対応によってさらに悪化したと述べた。

追悼行事は記憶の継承と同時に、テロの「見えざる犠牲者」にも焦点を当てた。フランス24は、有毒な空気の影響によりこれまでに9400人以上が死亡したと伝えた。また、追悼の様子を「一体感の瞬間」と報じた。

英国のガーディアン紙は、2001年9月11日の写真を特集した。世界貿易センタービルに2機目の旅客機が突入する瞬間、崩壊する塔から逃げる人々、瓦礫の中で星条旗を掲げる消防士などの姿が克明に記録されている。写真家たちの証言も交え、あの日の混乱と悲劇を伝えている。

米国では、この25周年を機に、テロへの対応がもたらした人権上の課題が改めて問われている。ブロディ氏の指摘は、追悼の意味を問い直す契機となった。

ロシアのウクライナ攻撃激化、キーウのガソリンスタンド襲撃で死者、ウクライナは長距離反撃で石油・軍事インフラを打撃

ロシア軍は9月11日、ウクライナの首都キーウのガソリンスタンドを再びドローンで攻撃し、2人が死亡、8人が負傷した。攻撃は朝の主要稼働時間帯に行われ、市内全域で爆発音が響いた。キーウ市長のヴィタリー・クリチコは、午後初めまでの追加のドローン攻撃で複数の住宅が損壊したと発表した。前日の9月10日には、東部の炭鉱都市パブロフラード中心部へのロシアの空爆で5人が死亡、少なくとも67人が負傷した。負傷者には13歳、14歳、15歳の青少年3人が含まれる。携帯電話の動画には、頻繁に人が訪れるショッピングセンターの至近距離に、2発の飛翔体(おそらくドローン)が短時間に相次いで着弾する様子が映っていた。ロシアは救助に駆けつけた人々も狙う「二重打撃戦略」を意図的に用い、犠牲者数を増やしている。

ウクライナのアンドリー・シビハ外相は「ロシアは人々が余暇を過ごす場所を体系的に攻撃している」と述べ、モスクワの明確な意図は犠牲者数を最大化し、社会に恐怖と圧力をかけ、ウクライナに譲歩を強いることだと指摘した。シビハ氏は、ロシアがこのようにテロを広められるのは、エネルギー輸出による収入と外国製部品・資金へのアクセスが続いているからだと付け加えた。ウォロディミル・ゼレンスキー大統領はテレグラムで「世界はロシアが何をしているかを見ている」と書き、ウクライナ向けの追加支援パッケージ(防空を含む)が合意されたと明らかにした。これまでロシアは主に前線近くのガソリンスタンドを破壊してきたが、最近では攻撃をウクライナ北部・中部に拡大している。

一方、ウクライナは長距離攻撃で応戦している。9月4日から10日までの間に、ウクライナは少なくとも7つの製油所とガス凝縮液処理施設を攻撃した。うち2つは国境から3,000キロ離れたシベリア・ヤマリアのノヴィ・ウレンゴイとプロフスキー・ガス凝縮施設で、ウラル山脈の彼方に位置する。ウクライナ軍は、ロシアのロストフ・ナ・ドヌの軍事飛行場とカスピ海のマハチカラ港も攻撃した。ウクライナ軍によれば、これらの施設は「イランからロシア連邦へのシャヘド型攻撃用UAV、ロシア連邦からイランへの爆発物・ドローン部品・弾薬など、軍需物資を双方向に輸送するために使われていた」。ウクライナはこれらの攻撃が効果的だと見ている。ロシア財務省は、戦争最初の8ヶ月間で679億ドルの赤字を報告した。これは前年同期の赤字の1.5倍で、2026年通年の予算赤字445億ドルを大きく上回る。同省は支出増と石油・ガス収入の減少を挙げた。ウクライナ対外情報庁によれば、石油・ガス収入は2025年同時期より16%減の580億ドル弱だった。支出はほぼ確実に軍事費であり、同庁は今年上半期のロシアの国防費が過去最高の1,267億ドルに達したと評価した。これは前年同期比30%増、2024年上半期比65%増、2023年同期比145%増である。

ロシア国内では、ウクライナのドローン攻撃への迎撃が続く。ロシア国防省は、9月10日午後8時(モスクワ時間)から11日午前8時までの間に、ブリャンスク、クルスク、ベルゴロド、オリョール、カルーガ、ヴォロネジ、トゥーラ、リャザン、リペツク、ニジニ・ノヴゴロド、サラトフ、ロストフ、サマラ、ペルミ、マリ・エル、ウドムルト各州、およびクリミア、黒海、カスピ海上空で777機のウクライナ固定翼ドローンを撃墜したと発表した。サラトフでは、ウクライナのドローンがロシア第2位のオンライン小売業者オゾンの倉庫を直撃し、火災と避難が発生した。オゾンはサラトフ州全域で注文と配送を停止した。同社の株価はモスクワ取引所で5%下落した。亡命メディア「アストラ」は、サラトフのロスネフチ所有製油所でも別の火災が発生したと報じた。サラトフ州知事ロマン・ブサルギンは、市内の「民間インフラ」にのみ被害が出たとし、死傷者はなかったと確認した。トゥーラ州ではドローン攻撃で2人が死亡、3人が負傷した。ベルゴロド州では、ウクライナ国境近くでドローンが車両に直撃し、運転手が死亡、同乗者が負傷した。同州のアレクサンドル・シュヴァエフ知事代行は、過去24時間で民間人4人が死亡、16人が負傷したと報告した。

外交面では、米国のスティーブ・ウィトコフ特使とジャレッド・クシュナー特使による停戦仲介の試みが、欧州の忍耐を試している。米国はドナルド・トランプ大統領がウクライナへの軍事支援を打ち切り、昨年プーチン大統領と会談することに同意して以来、欧州の同盟国抜きで交渉を進めてきた。ウィトコフ氏はプーチン大統領を公然と称賛し、ウクライナは9月5日から7日までモスクワへのミサイル・ドローン攻撃を停止して特使機の安全な飛行を可能にした。しかし特使らが去った直後の9月8日と9日、ロシアはキーウにドローンとミサイルの雨を降らせ、少なくとも4人の民間人が死亡した。ロシアは妥協の兆候をほとんど示しておらず、プーチン大統領の外交補佐官ワレリー・ウシャコフ氏は、モスクワはウクライナでの全目標達成にコミットしていると特使らに語った。ゼレンスキー大統領は、戦場での優位だけがモスクワに交渉を強制すると主張し「地上での強力な立場がなければ、最後通牒があるだけだ」と述べた。

軍事面では、ロシア軍がハルキウ州でウクライナ軍の包囲網を強化している。ロシア国防省によれば、北軍集団のギアツィントB牽引榴弾砲部隊が、ハルキウ州で包囲されたウクライナ軍の無人機管制拠点を破壊した。ヴォルチャンスク近郊のレズニコヴォ包囲網から突破を試みたウクライナ軍の複数の部隊が全滅した。軍事専門家アンドレイ・マロチコ氏は、ザルビンカ集落の解放により、ロシア軍がヴォルチャンスク方面の包囲網を強化したと述べた。ロシアの「西部」軍集団は過去24時間でウクライナの無人機管制センター51箇所を破壊し、「南部」軍集団は59箇所を破壊した。ロシア軍はまた、ウクライナのデータセンター、港湾インフラ、兵站拠点を夜間に攻撃した。キーウのバイ・モバイル・データセンター、フメリニツキーのノヴァ・ポシュタ物流センター、オデーサ港へ向かう軍需物資を積んだ乾貨物船、チェルノモルスク港の乾貨物船2隻とモーターボート、オデーサの自動車部品工場、スームィ州の第119独立領土防衛旅団の一時展開地点などが標的となった。

ウクライナの戦争犯罪に関しては、ドネツク州検察局が9月11日、9月2日にドブロピッリャ近郊でロシア軍がウクライナの捕虜2人を射殺したと発表した。2人の国家親衛隊兵士は森林地帯の陣地で戦闘任務を遂行中に捕らえられ、その後自動小銃で射殺されたという。ウクライナ保安局(SBU)が戦争犯罪として捜査している。ウクライナの人権オンブズマン、ドミトロ・ルビネツ氏によれば、2025年末までに少なくとも337人のウクライナ捕虜がロシア軍に処刑されたと記録されている。

欧州とウクライナの防衛産業連携も進展した。9月11日、ブリュッセルでEU・ウクライナ・ドローン同盟の立ち上げ会合が開かれ、ウクライナの防衛企業9社とEU企業9社が参加した。この同盟は2026年7月に欧州委員会がキーウの防衛産業フォーラムで発表したもので、欧州とウクライナのドローン産業を発展させることを使命とする。EUのアンドリュス・クビリュス国防委員は、欧州はウクライナから戦争の戦い方を学ぶ必要があり、その見返りにキーウに「優れた防衛技術と大陸規模の規模」を提供できると述べた。参加企業の一つであるバイエルンのクオンタム・システムズのマティアス・レーナ副社長は、この同盟は「象徴的なジェスチャーではない」とし、その創設メンバーが「技術標準から共同生産プログラムまで、産業全体の戦略的ビジョンと優先事項を形成する」と述べた。クビリュス氏は、EUとウクライナ企業間の合弁事業の加速、実用的なプロトタイプの試験・開発など6つの優先事項を挙げた。ウクライナのファイア・ポイント社は、米国製システムと同等の成果を達成できる弾道ミサイル迎撃機の開発を進めており、2027年半ばにデモンストレーションを目指している。クビリュス氏は「ウクライナのシステムを欧州にコピー&ペーストすることが最大の課題だ」と述べた。

フォークランド諸島では、アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領が領有権主張を再燃させたことを受け、防衛措置が強化された。現地政府は、近代的な防衛作戦に関連する技術的スキルを持つ人材を求めて、自主防衛軍の募集キャンペーンを開始した。特に無人機の運用経験者、航法士、ドローン統合システムに精通した人材が求められている。英国軍の元隊員も優先的に採用される。ロンドンでは、英国のキルスティ・マクニール国務相が島民への支援を継続すると述べ、主権問題で妥協しないと強調した。英国当局は、島の政治的地位に関する問題は住民の意思に依存すべきだとしている。しかし、アルゼンチンと英国の間のより広範な主権紛争は未解決のままだ。

戦況は膠着状態にあり、外交は行き詰まりを見せている。ロシアはウクライナの民間インフラへの攻撃を強め、ウクライナは長距離攻撃でロシアのエネルギー収入を削っている。欧州はウクライナの防衛技術を取り込み、生産能力の拡大を急いでいる。フォークランド諸島の緊張は、英国とアルゼンチンの間の新たな対立点として浮上している。

ハンガリー新政権、ロシア外交官10人を追放 親露路線から180度転換

ハンガリーのマジャール新政権は今週、ロシア大使館の外交官10人を追放した。ウィーン条約に基づき外交官として容認できない活動に従事したためだと、アニタ・オルバーン外相が発表した。この措置は旧オルバーン政権下で続いた親露路線からの明確な転換を示すもので、1989年から1990年の共産主義崩壊以降、ロシアに対する最も厳しい外交制裁の一つとなった。

旧オルバーン政権時代、ハンガリーはEUとNATOの中で最も親露的な国と見なされていた。ロシアのスパイがほぼ妨げられることなく活動し、2012年からはロシアの情報機関が外務省などから大量のデータを盗んでいた。2019年には「スパイ銀行」と呼ばれた国際投資銀行(IIB)の本部がブダペストに移転した。今年2月には、旧政権の外相だったシーヤールトー氏がEU会合の機密情報をロシアのラブロフ外相に伝えていたことが明らかになった。

新政権はロシアのウクライナ侵略を繰り返し批判し、ロシアを国家安全保障上の脅威と宣言した。アニタ・オルバーン外相は「決定はハンガリーの安全保障と主権を守るものだ」と述べ、ロシアとの国交断絶ではないと強調した。専門家は、この追放がNATO同盟国の情報機関からの信頼回復につながると指摘する。マジャール政権はEUとの関係を重視し、ロシアとは実務的な低水準の関係を維持する立場だ。

独ザクセン=アンハルト州でAfDが歴史的勝利、ドイツの民主主義と移民社会に衝撃

ドイツの極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が9月6日のザクセン=アンハルト州議会選挙で得票率43.8%(44%)を獲得し、歴史的な勝利を収めた。これは第二次世界大戦後、ドイツにおいて極右政党が記録した最大の選挙勝利であり、連邦政府の連立与党や欧州全体に衝撃を与えた。州首相候補ウルリヒ・ジークムント氏は、州政権への参加を目指しており、国民政党BSWが支持を表明したことで、その実現が確実視されている。

この勝利を受けて、ドイツ国内では反AfDデモが各地で開催された。特にトルコ系ドイツ人コミュニティは強い不安を抱いている。トルコ系ドイツ人共同体(TGD)共同代表のギョカイ・ソフォール氏は、同州のトルコ系企業経営者らが「店を畳んでドイツを離れる」ことを考えたと述べ、AfDの台頭を「ドイツ全体の問題」であり「民主主義の安定への脅威」と位置付けた。また、ネオナチのテロ組織「国家社会主義地下組織(NSU)」のような襲撃事件の増加を懸念している。

一方、連邦レベルでは、フリードリヒ・メルツ首相が連邦議会での討論で、AfDの「再移住(レミグレーション)」構想を「出自と肌の色に基づく民族浄化の同義語」と激しく非難した。AfDはこれに対し、メルツ氏を名誉毀損で告訴すると発表した。AfDのステファン・ブラントナー議員は「ドイツ憲法に立脚する我々の会派が民族浄化を主張しているという示唆は、司法が介入すべき明白な中傷だ」と述べた。

「再移住」とは、滞在資格のない移民の送還から、移民とその子孫の大量追放までを指す極右の概念である。AfDはザクセン=アンハルト州の政権綱領で「移民と再移住」に一章を割き、二重国籍の制限や「真の愛国心」の試験を導入するとしている。ドイツ連邦憲法擁護庁(BfV)は2025年の報告書で、AfDを「自由民主主義と憲法秩序を覆そうとする右翼過激派組織」と結論付けた。

この選挙結果は、ロシアのプロパガンダにも歓迎されている。ロシア下院国際問題委員会委員長で自由民主党(LDPR)党首のレオニード・スルツキー氏は、メルツ首相のAfD攻撃を「政権維持のための汚い手段」と評し、同首相が「苦悶の一歩手前」にあると述べた。また、ロシア直接投資基金(RDIF)のキリル・ドミトリエフCEOは、AfDがロシア・アメリカ・ドイツの三国間ビジネスフォーラムの開催を提案したと明らかにした。AfDは対ロシア制裁の解除とロシア・ドイツ・欧州間のエネルギー協力を主張しており、ドミトリエフ氏はAfDを「欧州における理性の声」と称賛した。

AfDの勝利は、ドイツの政治システムに深刻な亀裂をもたらした。連邦議会ではSPD、緑の党、左翼党がAfDの違憲政党化を憲法裁判所に提訴することを提案しているが、メルツ氏率いるCDUは判決が不確実でAfDを利するだけだと考えている。世論調査ではAfDの支持率は約29〜30%に達し、CDUの約20%を大きく引き離しており、2025年の連邦議会選挙で第2党となったAfDは、今やドイツ政治の中心的な存在となっている。移民や労働者不足といった構造的問題を抱えるドイツ社会にとって、AfDの台頭は長期的な課題を突きつけている。

独AfD、州選挙勝利で「生贄」選定か 右派ストリーマーとの決別

ドイツの右派政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が、州選挙での勝利を目前に控え、これまで自陣営の「突撃部隊」として重用してきた右派ストリーマー、マテウス・ヴェストファル(通称「活動家マン」)との決別を図っている。ヴェストファルは、ザクセン=アンハルト州選挙の投票日に『シュピーゲル』紙記者アン=カトリン・ミュラーに対して「あなたはドイツ人ですか?」と怒声を浴びせるなど、記者への敵対的行動を繰り返してきた。しかしAfD党首アリス・ヴァイデルとティノ・クルパラは「文明社会における礼儀ある交流は自明だ」と声明を発表し、メディア関係者への「侮辱や言葉による圧迫」を今後許容しないと宣言した。

ヴェストファルはX(旧ツイッター)で「距離を置く者は敗北する」と反論し、自身とユートピアTVがAfDの「重要な支持率」に貢献したと主張した。月曜日にAfD連邦幹部会が彼の処遇を協議する予定であり、AfDが「生贄(バウエルンオプファー)」を見つけたと評されている。一方、AfDはメクレンブルク=フォアポンメルン州選挙で37%の支持を得て首位に立ち、旧西ドイツ圏では社会民主党(SPD)が34%、キリスト教民主同盟(CDU)は7%と歴史的低水準に沈むと予測されている。

この動きは、AfDが政権獲得を視野に入れた際に、過激な支持者との距離を置き「政権与党としての品格」を示す戦略と解釈できる。一方で、旧東ドイツ圏での躍進が続くAfDは、メルケル元首相が認めたように、難民危機やユーロ危機への対応が支持拡大の一因となった。ヴェストファルとの決別が、AfDの支持基盤である右派ネット層の離反を招くのか、それとも政権担当能力の証明となるのか、その帰趨が注目される。

EU・英国など12カ国、イスラエル入植地産品の貿易制裁で結束 欧州外交の新たな分岐点に

EUの外交トップ、カヤ・カラス氏は、ヨルダン川西岸の違法なイスラエル入植地との貿易をEU全体で禁止すべきだと主張した。カラス氏は、ロシアが占領するクリミアとの貿易を停止したのと同じ「原則に基づく立場」を取るべきだと述べ、イスラエルのEU・NATO代表部は「深く遺憾だ」と反発した。

この問題はEU内でも加盟国の意見が割れており、オランダ、ベルギー、スウェーデンなどがEU全体の規制を推進する一方、チェコは新たな制裁に反対し、全会一致を妨げてきた。しかし今週火曜日、フランス、スペイン、アイルランドを含む8つのEU加盟国が、英国とカナダとともに、入植地に対する貿易制裁を課すことを約束したことで、議論が再燃した。

カラス氏は「全てのEU加盟国は、ヨルダン川西岸のイスラエル入植地が国際法上違法であることに同意している」と述べ、入植地の拡大が「実行可能な二国家解決の見通しを損なっている」と指摘した。イスラエルのギデオン・サール外相は6月、カラス氏がイスラエルのパレスチナ人への扱いをアパルトヘイト時代の南アフリカに例えたことを受け、同氏との「接触を全て断つ」と宣言しており、今回の発言で両者の対立はさらに深まった。

一方、英国はエド・ミリバンド外相が、占領地からの入植地産品の輸入禁止を含む包括的な制裁を発表し、カナダ、デンマーク、フィンランド、フランスなど11カ国がこれに同調した。英国政府筋によると、新たな制裁はゴラン高原と東エルサレムの入植地にも適用される。イスラエルはこれに対抗し、東エルサレムの英国領事館を閉鎖し、英国議員11人を入国禁止とする報復措置を取った。

マレーシアのアンワル・イブラヒム首相は、12カ国による共同声明を「待望の政策転換」と歓迎し、英国がイスラエル占領全体の違法性を正式に認めたことを評価した。アンワル氏は、国際社会が声明を超えて、国際法を擁護しパレスチナ人の権利を守る具体的かつ拘束力のある措置へと進むべきだと訴えた。

しかし、制裁の実効性には疑問の声も上がる。英国の対イスラエル貿易全体のうち入植地産品はごく一部であり、イスラエルはこれまで「イスラエル製」とラベルを張り替えることで産地を隠してきた。英外交官はワシントンに対し、この貿易禁止は「ほぼ象徴的」だと内々に説明していたと報じられる。ミリバンド外相は、制裁が入植地だけでなくイスラエル全体を対象とするBDS運動に反対する一方、ガザでの「民族浄化」を認めるなど、複雑な立場を取っている。

この動きは、イスラエルとパレスチナをめぐる国際社会の対応に新たな局面をもたらした。英国が主導する制裁の枠組みは、EUの足並みの乱れを補完する形で機能する可能性がある一方、イスラエルの報復措置や米国トランプ政権の対応次第では、中東和平プロセスにさらなる緊張をもたらすだろう。

フーシ派のサウジ攻撃で中東情勢緊迫、米国は情報支援へ・9.11追悼式で遺族がサウジ批判

イエメンのフーシ派によるサウジアラビアへの攻撃が続くなか、米国はサウジにフーシ派の情報を提供する方針を決めた。米政府高官によると、ワシントンはフーシ派の標的を特定するのに役立つ情報を共有するが、直接の軍事介入は予定していない。約200人の米軍要員がすでにサウジに駐留しており、非軍事支援を行っている。この決定は紅海におけるフーシ派の脅威への懸念が高まるなかで下されたもので、サウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子とトランプ米大統領の間で行われた電話協議を受けたものだ。

サウジ東部と西部を結ぶ重要パイプライン「イースト・ウエスト・パイプライン」は、リヤドとメディナ両地域で複数の攻撃を受け、一時的に閉鎖された。衛星画像では同パイプライン付近から立ち上る煙が確認された。同パイプラインはイランとの戦争下で重要性が増しており、ホルムズ海峡を経由せずに原油を紅海沿岸へ輸送できる代替ルートを提供している。

パキスタンのサジャド・ハイダル・カーン外務報道官は、サウジとトルコとの共同防衛協定に基づく軍事対応について「現時点で協議されているものはない」と述べ、必要となれば協定に基づき行動すると表明した。この協定は先月、メッカでトルコのエルドアン大統領、サウジのムハンマド皇太子、パキスタンのシャバズ・シャリフ首相により調印されたもので、三国のいずれかが武力攻撃を受けた場合、全三国への攻撃とみなす内容だ。フーシ派は紅海沿岸で急速に進撃し、戦略的要衝バブ・エル・マンデブ海峡の掌握に近づいている。

ロシアのレオニード・スルツキー国家院国際問題委員会委員長は、フーシ派によるサウジの民間・経済施設への攻撃を強く非難し、国際人道法の重大な違反だと指摘した。サウジとイランの外相は電話会談を行い、地域の緊張拡大防止と安定回復に向けた協力を確認したが、イエメン情勢には直接言及しなかった。イランはフーシ派を、サウジはイエメン国際承認政府を支援しており、両国は対立する立場にある。

一方、ニューヨークで行われた9.11同時多発テロ25周年の追悼式では、犠牲者の遺族らがサウジアラビアの事件への関与を訴え、歴代米大統領の対応を非難した。遺族代表のテリー・ストラーダ氏は「25年経ってもサウジが果たした役割について正義が得られていない」と述べ、トランプ大統領にサウジへの働きかけを求めた。ブッシュ、オバマ、バイデン各元大統領とバンス副大統領が式典に出席したが、トランプ大統領はペンタゴンでの式典に出席した。

南アフリカの反移民暴力でナイジェリア議会が公式訪問を全面停止、南スーダンは選挙前に汚職と暴力の警告

南アフリカで続く外国人排斥デモを受け、ナイジェリア国民議会は南アフリカへの公式訪問を全面停止すると発表した。下院報道官アキン・ロティミは声明で「海外にいる自国民への継続的な攻撃を無視することはできない」と述べた。議会書記官カモル・オグンラナは、ナイジェリア人が殺害・負傷・避難を余儀なくされ、事業や住宅を放棄していると指摘した。6月には2人のナイジェリア人が死亡し、ナイジェリア外務省は少なくとも98人が2022年以降に殺害されたと主張している。

南アフリカは大陸で最も工業化が進んだ経済の一つで、移民の受け入れ先となってきたが、高い失業率と弱い社会サービス、高い犯罪率が移民のせいにされる傾向が強まっている。先週ダーバンではコンゴ人移民のキャンプにデモ隊が押し寄せ、激しい衝突が起きた。南アフリカ政府の発表では約9万人が帰国または送還されたが、移民出身国の政府発表では約17万8000人に上る。

一方、国連の南スーダン人権委員会は、同国で初の選挙を12月に控え、汚職と政治的安定に進展がないと警告した。委員会は深刻な人権侵害が続いているとし、独立した調査を求めた。委員のカルロス・カストレサナ・フェルナンデスは「違反が罰せられず、公共資源が結果を伴わずに流用されれば、不処罰が定着し、それが暴力を生む」と述べた。南スーダンは2022年と2024年に選挙を2度延期しており、政府の能力構築の失敗が続いている。

台湾副総統の欧州訪問に中国が抗議、EUとイタリアに「厳重な申し入れ」

中国は台湾の高位官僚によるイタリア訪問を強く非難し、ローマとブリュッセルの双方に正式な外交抗議を行った。中国外務省の毛寧報道官は金曜日、台湾のナンバー2である蕭美琴副総統が国際フォーラム出席のためイタリアに到着したとの報道を受け、イタリアと欧州連合(EU)に対して「厳重な申し入れ」を提出したと述べた。

毛報道官は「台湾の民主進歩党(DPP)当局と個々の政治家は、あらゆる場所で注目を集めようと尽力し、民主主義と自由の名の下に独立を追求しようとしている。彼らの動きは実に卑劣で、無駄なものだ」と語った。北京は台湾を、必要ならば武力によって統一されるべき中国の一部と見なしている。米国やイタリアを含むほとんどの国は台湾を独立国家として承認していないが、ワシントンはこの自治島を武力で奪取しようとする試みに反対し、武器供給を約束している。

イタリアはほとんどの国と同様、台湾と正式な外交関係を持たない。毛報道官は、北京と正式な外交関係を維持する国と台湾との間のあらゆる公式な交流に北京が強く反対すると述べた。北京はこうした訪問が一つの中国原則に違反すると主張している。一つの中国原則は国際関係で広く認められた規範であり、北京とイタリアおよびEUとの関係の基本的な政治基盤であるとし、関係者に対し具体的な行動を通じてこれを順守するよう求めた。

一方、欧州議会のピナ・ピチェルノ副議長は、蕭美琴氏と林佳龍外交部長の会議出席を金曜日早朝に発表し、安全上の理由から到着まで訪問のニュースが伏せられていたと付け加えた。ピチェルノ氏はこの訪問を「非常に重要なメッセージ」と呼び、「誰がヴェントテーネに招かれ、誰が招かれないかを決めるのは誰でもない」と述べ、中国の「体制」が干渉しようとしていると非難した。イタリアのアントニオ・タイジャーニ外相は訪問中の台湾官僚と会談しない予定だ。

この訪問は、台湾の副総統級の高位官僚が北京と関係を持つ国を訪れるのは珍しいケースであり、EUは台湾への民主的支援と中国との関係の間で綱渡りを続けている。ロシアのウクライナ侵攻に対する北京の支援も、EU諸国とブリュッセルにとって悩みの種となっている。

9/11から25年、暗い遺産が今も世界を覆う

ニューヨーク、ワシントンDC、ペンシルベニアで約3000人が犠牲となった同時多発テロから25年が経過した。その暗い遺産は、米国と世界の各地で今もなお展開し続けている。2001年のあの日から、今日の地政学や紛争の多くに至るまでの通底線を引くことができる。

ガーディアンの国際安全保障担当記者ジェイソン・バークが、9/11が世界をどう変えたのかを語る。アニー・ケリーがバークにインタビューし、テロがもたらした長期的な影響を分析した。

ウンノ総会、ザヒド氏が「ブルー・マレーシア」構想を提示 パスとの連携模索と恩赦申請への期待も

2026年ウンノ(UMNO)総会がクアラルンプールで開催され、党首アフマド・ザヒド・ハミディ氏は政策演説で、独立100周年となる2057年を見据えた「ブルー・マレーシア」構想を提示した。演説はタファフム・シヤシ(政治的相互理解)に基づくパス(PAS)との連携、第三政党を排したマレー系政治の結束を強調する内容となり、党内の結束を図るとともに、政権奪還に向けた新たな政治戦略を示した。

総会では、元首相ナジブ・ラザク氏の恩赦申請に関する決議も焦点となった。ウンノ書記長アスラフ・ワジディ・ドゥスキ氏は、次回の恩赦委員会で遅滞なく審議されるよう期待を表明し、「憲法と法律に基づくあらゆる手段を通じて正義を追求し続ける」と述べた。一方、ナジブ氏の妻ロスマ・マンソル氏は、夫の等身大パネルを掲げた支持者「ミスターJ」の行動に感動したとフェイスブックで綴り、「多くの人がナジブを恋しがっている。我々家族も同じだ」と語った。

党内からは、野党パカタン・ハラパン(PH)による政治的圧力への対応を求める声が相次いだ。ベテランウンノ委員会メンバーのアダム・アブド・ハミド氏は「党の結束こそ最重要の防衛線だ」と訴え、パスとの連携については「誠実さと相互尊重に基づく適切な交渉」を求めた。ペルリス代表のファトゥル・バリ・マット・ジャフヤ氏は、将来の政治協力における裏切りを防ぐため、書面による合意を確保すべきだと主張し、「我々の権利と存続を最優先にせよ」と述べた。

パス情報長アフマド・ファドリ・シャーリ氏は、ザヒド氏の演説を「大胆な政治的宣戦布告」と評した。演説がウンノとパスによる第三政党を排した結束を強調した点に注目し、「誰に対する宣戦布告かは今後注目される」と語った。また、ケダ州ではウンノ州連絡委員長マフジル・ハリド氏と州首相ムハマド・サヌシ・モド・ノル氏が、両党の州レベルでの協力を協議するため会合を持つ予定であることが明らかになった。

今回の総会は、ウンノがジョホール州とヌグリ・スンビラン州の選挙で勝利を収め、国民の信頼を回復しつつある中で開催された。イポー・バラト支部副代表ムハマド・イクバル・ジャマル・ジャマルディン氏は、PHによる政治的圧力の増大はウンノの復調を示す証左だとしつつ、党は法の支配を遵守し、自らの過ちも認めるべきだと述べた。ウンノがパスとの連携を模索する一方、連立政権内での立場をどう固めるかが今後の焦点となる。

経済 (Economy)

フォード、ケンタッキー州に10億ドル投資へ トランプ政権の中国依存批判に応える

フォード・モーターはケンタッキー州のトラック工場に10億ドルを投じ、新たな塗装工場を建設すると発表した。同工場はF-250、F-350、F-450、F-550スーパーデューティ、フォード・エクスペディション、リンカーン・ナビゲーターを生産する、同社で最も重要かつ収益性の高い施設である。建設は今年末に開始される予定だが、完成時期は未定だ。

この投資発表は、トランプ政権のショーン・ダフィー運輸長官がフォードの中国企業との関係に「深い懸念」を表明したわずか2日後に行われた。ダフィー長官はフォードのジム・ファーリーCEO宛ての書簡で、同社が国営中国企業と将来を結びつけていると指摘した。フォードはこれを「見出しを狙った的外れな試み」と反論した。

フォードは今回の投資を含め、近年ケンタッキー州の施設に約40億ドルを投じてきた。ファーリーCEOは「これらの投資はケンタッキー州の労働力への信頼、米国製造業へのコミットメント、そしてモビリティとエネルギーの未来が米国で築かれるという確信を示すものだ」と述べた。ホワイトハウスの迅速対応アカウントもフォードを「偉大なアメリカ企業」と称賛し、投資を歓迎した。

米ディーゼル価格が史上初の1ガロン6ドル超え、イラン・ウクライナ戦争が供給を直撃

米国のディーゼル燃料平均価格が金曜日、史上初めて1ガロン当たり6ドルを突破した。全米自動車協会(AAA)のデータによると、平均価格は6.05ドルとなり、前週の5.85ドル、前年同時期の3.70ドルから急騰した。ワシントンとイランの戦争が世界の燃料供給を混乱させていることが主因だ。

原油価格の高騰が背景にある。ブレント原油は金曜日に1バレル105ドル超で取引され、米国産WTIも100ドルを突破した。イランとの戦闘再激化に加え、ホルムズ海峡でのタンカー輸送の滞りが供給懸念を強めている。トランプ大統領は、原油価格が11月の中間選挙後まで下がらない可能性があると述べた。

ディーゼル価格の上昇は物流コストを押し上げ、食料品など生活必需品の価格に波及している。生鮮食品は輸送にディーゼルが不可欠なため、特に影響が大きい。アマゾンは4月に第三者販売業者向けの一時的な燃料・物流サーチャージを導入し、UPSやフェデックス、米郵便公社も追加料金を設定した。独立食料品店連合によると、燃料費は食料総コストの15〜30%を占める。

世界的な影響も広がっている。ナイジェリアでは2月末以降ディーゼル価格が90%以上上昇し、インドネシアでは約87%、レバノンでは80%上昇した。S&Pグローバル・エナジーは、中東の原油生産が戦前水準に回復するのは2027年末までずれ込むと予測している。

社会 (Society)

イラン、2050年までに高齢者人口が総人口の30%に達する見通し

イランでは高齢化が加速しており、現在65歳以上が総人口の13%を占める一方、出生率の低下が続いている。今後25年以内に、60歳以上の人口がほぼ総人口の3分の1に達するとの推計が示された。この人口動態の変化は、医療制度、年金基金、社会支援機関、そして国民経済に大きな圧力をもたらす。

イラン政府は高齢化の影響を緩和するため、若年人口の増加と出産を促す政策を進めている。国家人口本部のマルジエ・ヴァヒド・ダストジェルディ事務局長は、15歳未満の若年人口が現在総人口の21.5%を占めるものの、出生率低下に伴い減少傾向にあると指摘した。一方、イランは労働年齢人口の割合が高い人口ボーナス期にあり、人口動態の窓が閉じるまで15〜20年の猶予があるとされる。

保健省のアリレザ・ライシ氏は「人口減少は原因ではなく結果である」と述べ、出生率低下を招いた経済的・社会的・文化的・家族的要因を特定し、対処する必要があると強調した。福祉機構のセイエド・ジャバド・ホセイニ長官は、高齢化を社会問題と位置づけ、戦略的計画により雇用や経済に新たな機会を生み出せるとの見解を示した。

福祉機構は、高齢化に関するコンサルタントの養成や、遠隔地での地域ベースリハビリテーション事業を展開している。農村部の95%をカバーし、都市部の30%への拡大を計画中だ。また、約300の高齢者デイケアセンターを認定し、高齢者村や高齢者社会健康タウンなどの新施設設立を計画している。

国家高齢者評議会は、高齢者に優しいコミュニティ開発、介護者支援、高齢者権利擁護法案、長期介護保険など18の戦略計画を承認した。これらは身体的・精神的健康の向上、社会参加の促進、介護サービスの質改善を目的とする。現在までに19都市が高齢者に優しいコミュニティ整備のための措置を講じている。

科学・技術 (Science & Tech)

アンソロピック、AI悪用の実態を報告 フーシ派のミサイル開発からUAEの工作まで

米AI企業アンソロピックは9月10日、自社の対話型AI「クロード」を巡る悪用事例をまとめた最新の脅威インテリジェンス報告書を公表した。報告書は2025年12月から2026年8月までの間に検出された事例を網羅し、生物兵器研究からミサイル開発、サイバー攻撃、影響工作に至るまで、AIが軍事・政治の現場で実戦投入されている実態を浮き彫りにした。

最も注目された事例の一つが、イエメン北部を拠点とする勢力による兵器開発だ。アンソロピックは、この勢力が3つの兵器開発プログラムを並行して進めていたと特定した。具体的には、市販のスマートフォン用フライトコンピュータを用いた終端誘導ロケット、射程2,000キロ超を目指す多段式弾道ミサイル、極超音速滑空体(HGV)を搭載した多variant型ミサイルファミリーである。開発にはクロードがソフトウェアエンジニアの代わりとして投入され、コード作成や調査、相互レビューを複数のAIインスタンスが分担した。現地での実射試験は失敗したものの、その原因究明も数時間以内にクロードへ持ち込まれたという。

アンソロピックはこの勢力を特定していないが、イエメン北部の大半を支配する親イラン派フーシ派である可能性が高いとみられる。フーシ派は現在、紅海の戦略的要衝バブ・エル・マンデブ海峡の制圧に向けて大規模な攻勢を展開しており、AIを活用した兵器開発はその軍事近代化の一端を示すものだ。

報告書はまた、中国拠点の防衛研究者による電子戦ソフトウェア開発の事例も紹介した。約16のモジュールから成る中国語の電子戦スイートで、敵のレーダーや通信を探知・妨害・欺瞞する機能を持つ。開発者はクロードを12回の反復にわたって使い、妨害の物理原理からユーザーインターフェースまでを構築した。特筆すべきは、台湾の12の目標(司令部、早期警戒レーダー、パトリオットや天弓ミサイル陣地など)を想定したシミュレーションが組み込まれていた点だ。アンソロピックはこの人物を中国人民解放軍軍事科学院と関連する研究者と評価している。

さらに、ロシアと関連が疑われるハッカー集団がセキュリティシステムに検知されるとコードを改変して逃れるマルウェアを開発した事例や、ロシア・イランに関連する諜報・影響工作活動も報告された。加えて、アラブ首長国連邦(UAE)主導の影響工作では、単一のアクターがクロードを用いて約300の非本物のインフルエンサー・アカウント網を構築し、ムスリム同胞団の解体とスーダン紛争におけるUAEの立場を擁護するキャンペーンを展開した。スイスの実在NGOの身分を模倣したフロント組織や、国連人権理事会での証言のゴーストライティングも行われた。

生物兵器研究の分野では、5月に軍研究機関の研究者がチクングニアウイルスの変異を動物でより病原性を高める研究について助成金申請の支援をクロードに求めた事例が報告された。アンソロピックはこれが兵器化を意図したものか判断できなかったが、慎重を期して関連アカウントを停止した。同社の脅威インテリジェンス責任者ジェイコブ・クライン氏は「研究が兵器化されることを意図していたかどうかは分からない」とニューヨーク・タイムズに語った。

こうした報告は、AIの急速な進化に伴うリスクへの懸念の高まりを背景に発表された。アンソロピックの上級安全研究者は、今後10年以内にAIが「全人類を滅ぼす」確率は10%超だと警告し、オープンAIのチーフサイエンティストであるヤクブ・パチョツキ氏は十分な安全策が整うまでの「自主的な減速」を呼びかけている。一方、ドナルド・トランプ米大統領はAIによる人類絶滅の懸念を退け、AI競争で米国が主導権を握らなければ「非常に悪い立場」に立つと述べた。

アンソロピックは報告書で検出されたすべての活動を妨害し、その知見を将来の誤用検知システムに組み込んだとしている。フロンティア・レッドチームは戦術的インテリジェンスや通常兵器開発におけるAIの能力を測定する新たな評価手法も開発した。AIの軍事・政治分野での実用化が進む中、その誤用を監視する動きは今後も重要性を増すだろう。

スポーツ (Sports)

FIFA、汚職幹部2人に終身追放処分 新型コロナ基金流用のモルディブ元会長ら

国際サッカー連盟(FIFA)は11日、モルディブサッカー協会(FAM)元会長バッサム・アディール・ジャリール氏と、モントセラットサッカー協会(MFA)元会長ビンセント・カッセル氏に対し、サッカー関連活動の終身追放処分を下したと発表した。両氏にはそれぞれ100万スイスフラン(約1億2300万円)の罰金も科せられた。

ジャリール氏は、FIFAの新型コロナウイルス救済基金を私的利益のために流用したことが認定された。モルディブのメディアによると、同氏はFIFA資金を自身の口座に預け入れ、アパート購入に充てたとされ、地元では計32年の禁錮刑を言い渡されている。FIFA倫理委員会の裁定では、FAM元財務・管理局長モハメド・アジール氏も、FIFA資金の不正使用の促進・隠蔽、文書偽造、調査への非協力により10年間の追放と10万スイスフランの罰金を科された。

一方、カッセル氏は約30年にわたりMFAを率いてきた。地位の乱用、組織的な利益相反、FIFAおよびMFA資金の横領、MFA職員の身体的・精神的健全性に影響を与える行為が認定された。MFA元事務局長タンディカ・ヒューズ氏は15年間の追放と15万スイスフランの罰金を科された。ヒューズ氏は今年4月、モントセラットの裁判所で脱税罪について有罪を認めていた。カッセル氏とヒューズ氏は、2011年にカリブ海地域のサッカー幹部がカタールのモハメド・ビン・ハマム氏から現金4万ドルを受け取ったとされる汚職スキャンダルでも起訴されていた。

FIFAは昨年2月、モントセラット協会に「例外的な危機と制度的麻痺」があるとして緊急管理チームを設置していた。FIFA会長ジャンニ・インファンティーノ氏は2017年のバーレーンでの総会で、「この部屋の中に、あるいは外に、いまだに富めると思っている者がいるなら、明確で力強いメッセージを送る。サッカーを離れ、今すぐサッカーを離れよ」と腐敗した幹部に警告していた。

マドリード新市街コースでF1スペインGP開幕、アントネッリが首位に立つ

2026年シーズンのF1スペインGPが、マドリードに新設された市街地コース「マドリング」で開幕した。金曜日のフリー走行では、メルセデスのキミ・アントネッリが2回目のセッションで最速タイムを記録し、フェラーリのシャルル・ルクレールとルイス・ハミルトンが続いた。初回セッションではジョージ・ラッセルがトップだったが、アントネッリが逆転した。一方、レーシングブルズの新人アービッド・リンドブラッドがコース初のクラッシュを喫し、赤旗が出る場面もあった。

マドリングは、首都のバラハス空港近くのIFEMA展示センター周辺に建設された全長約5.4キロのセミ市街地コースだ。市街地区間と常設区間を組み合わせ、特徴的なバンク付きコーナー「モニュメンタル」を擁する。主催者は週末に34万人以上の観客を見込み、経済効果は約4億6700万ユーロと試算される。一方で、近隣住民からは騒音や交通渋滞を懸念する声が上がり、「ストップ・フォーミュラ1・マドリード」などの市民団体が反対運動を展開した。

このレースを巡っては、マドリード州のイサベル・ディアス・アユソ州知事が、亡命者の子孫の選挙権を巡る中央政府の措置に異議申し立てを行うと表明した。また、州議会では野党がアユソ氏の高級マンション購入問題を追及し、与野党の対立が鮮明となった。さらに、コース近隣の小学校の児童がピットレーンを見学するなど、地域との融和も図られた。

MotoGPでは、サンマリノGPの金曜プラクティスでアプリリアのマルコ・ベツェッキがトップに立ち、7度の王者マルク・マルケスが僅差で続いた。チャンピオンシップを争うホルヘ・マルティンは10位に留まった。F1とMotoGPの両レースが同時期に開催され、モータースポーツの熱気が高まる週末となった。