アップルは9月9日、同社初の折りたたみスマートフォン「iPhone Duo」を発表した。ティム・クック前CEOの後任として9月1日に就任したジョン・ターナス新CEOが初めて主導した発表会で、米国での価格は1,999ドルから、最上位構成では3,199ドルに達する。スペインでは2,339ユーロから3,839ユーロで販売され、予約受付は10月16日から70カ国以上で始まり、端末の提供は10月23日となる。
iPhone Duoは、折りたたみ時に7.6インチの内側ディスプレイと5.4インチの外側ディスプレイを備える。アップルは独自のナノテクスチャー加工を施したカスタムポリマーを採用し、ヒンジ部に生じる折り目を視覚的に目立たなくするとともに、反射を低減した。内側ディスプレイは10層の極薄構造で、FaceTimeカメラを画面下に内蔵する。ターナスCEOは競合他社の折りたたみ端末を「2台の電話を無理やりくっつけたようなもの」と評し、自社製品の完成度の高さを強調した。
一方、サムスン電子は発表直後からX(旧ツイッター)で「残り物を温め直しているのか」「これまでと同じだ」などと皮肉を交えた投稿を連発し、2019年の初代Galaxy Fold以来の7年間の先行を誇示した。ソウル、東京、ロンドンでは「Welcome to Foldables」などのビルボード広告を展開した。市場調査会社カウンターポイント・リサーチは、2026年の折りたたみ市場でアップルが25%、サムスンが38%のシェアを獲得すると予測する。
アップルの株価は発表当日の通常取引で0.28%下落したが、翌日には2%以上上昇し、一時323ドル台に接近した。時価総額は4兆6,500億ドルで、エヌビディアの5兆4,000億ドルには及ばないものの、アルファベット(4兆100億ドル)、マイクロソフト(3兆6,500億ドル)、アマゾン(2兆7,200億ドル)を上回る。アナリストの平均目標株価は330.54ドルで、TDコーウェンとロスチャイルドは400ドルまで引き上げている。
ブルームバーグ・インテリジェンスは、iPhone Duoを「ここ数年で最もよく設計された製品」と評価し、初年度に約1,400万台の販売を見込む。一方で、IDCは2026年の折りたたみスマートフォンが世界市場の3%未満にとどまると予測し、アップルの参入後も状況は大きく変わらないとみる。アナリストの間では、高価格とターゲット層の曖昧さから、富裕層のアーリーアダプター向けのニッチ製品にとどまる可能性を指摘する声もある。
アップルはまた、iPhone Proモデルの価格を100ドル引き上げた。メモリーチップやRAMの世界的な供給不足による部品コスト上昇に対応するためだ。iPhone事業の売上高は2026会計年度の最初の9カ月で1,965億1,500万ドルに達し、グループ全体の約54%を占めた。ターナスCEOにとって、10月末に予定される第4四半期決算発表は、折りたたみ端末の成否とともに、株主還元策やAI戦略について問われる最初の試練となる。
折りたたみ市場への参入は、アップルにとって2007年の初代iPhone以来となる大きな賭けだ。サムスンが築いたサプライチェーンを活用しつつ、独自の素材技術で差別化を図る戦略は、競争環境を根本から変える可能性を秘める。だが、2,000ドルという価格に見合う明確な利用価値を提示できるかどうかが、新CEOの手腕を問う最大の焦点となる。