The Morning Star Observer

2026年09月04日 金曜日朝刊 (Morning Edition)ArchiveAbout

ヒマラヤ氷河崩壊による大洪水、死者1270人超・不明4757人に ネパールとチベットで救助活動続く

8月26日に中国・ネパール国境のヒマラヤ山岳地帯で発生した氷河崩壊に伴う大規模な洪水と土石流で、両国の死者は1270人を超え、行方不明者は4757人に達した。ネパールの災害当局は4日までに1252人の遺体を収容し、4216人が依然として行方不明であると発表した。中国チベット自治区では21人の死亡と541人の行方不明が確認されている。ネパールのシシル・カナル外相は外交団への説明で「ヒマラヤの津波」と表現し、「現地の現実は映像が伝えるよりもはるかに深刻だ」と述べた。

国連ネパール調整官のリラ・ピーテルス・ヤヒア氏はカトマンズでの記者会見で、被災地への支援物資輸送が「非常に、非常に困難」な状況にあると指摘した。道路や橋、水力発電ダムが破壊されたため、国連はヘリコプターや貨物ドローンの活用に加え、山岳地帯の荷運び人(ポーター)の投入も検討している。ネパール外務省報道官のロク・バハドゥル・ポウデル・チェトリ氏は、大型ドローンや仮設橋、遺体袋、DNA検査キットに加え、移動式航空管制システムと広帯域地震計の必要性を訴えた。

救助活動にはネパール軍など2万1000人以上の要員が投入され、インド、中国、韓国からの専門家も参加している。水力発電所のトンネル内に閉じ込められた作業員の救出が続いているが、これまでに生存が確認された者はいない。一方、カトマンズでは身元不明の遺体が仮埋葬され、家族らがDNA鑑定による身元特定を待っている。ヒンドゥー教の伝統に従い、遺体が見つからない家族がクシャ草で作った人形を火葬する「象徴的な葬儀」も各地で行われた。

ネパールのバレンドラ・シャー首相は、生存者の捜索を続けながら復旧・再建作業を開始すると表明した。国家災害リスク削減管理局のダルマ・ラジ・ウプレティ局長によると、約2万戸の住宅再建が必要で、うち7500戸は全壊した。被災コミュニティをより安全な場所へ移転させる計画も進んでいる。国連開発計画(UNDP)は、洪水と土石流により少なくとも220万トンの瓦礫が発生したと推定している。

今回の災害は、ヒマラヤ地域の予測困難な山岳災害の脅威を浮き彫りにした。国際山岳総合開発センター(ICIMOD)の調査では、氷河湖決壊洪水(GLOF)ではなく、標高約5200メートルでの氷岩雪崩が直接の引き金となった可能性が高いとされる。同センターのファルーク・アザム上級寒冷圏専門家は「検知がなく、警報を発する時間もなかった」と述べ、従来型の早期警報システムの限界を指摘した。専門家らは、土地利用計画の強化、インフラの強靭化、地域社会の高所災害への認識向上を求めている。

トランプ政権、イランに経済と軍事の二正面作戦 中間選挙控え長期化の様相

トランプ米大統領は、譲歩を拒むイラン政権に対し、経済封鎖と軍事圧力を組み合わせた二正面作戦を展開している。先週開始した「経済的パリア作戦」でイランの残存貿易相手国を孤立させつつ、断続的な爆撃を再開した。イランはクウェートやアラブ首長国連邦(UAE)の米軍基地への報復攻撃で応じ、地域全体の緊張が再燃した。

米政権は11月の中間選挙を前に戦争の長期化を懸念する。世論調査ではイラン戦争への不支持が63%に達し、ガソリン価格の高騰が有権者の不満を招いている。トランプ氏は「イランが核兵器を持たないようにしている」と選挙への影響を否定したが、政権幹部は選挙前に大規模な軍事 escalation を避け、経済圧力で譲歩を引き出そうとしている。

イラン経済は深刻な打撃を受けている。通貨リアルは1ドル=220万リアル台まで下落し、インフレ率は69.9%に達した。米国の海上封鎖と二次制裁により原油輸出は日量26万バレルまで減少、ガソリン備蓄は2カ月分を切る状況だ。イラン側は「米国経済に暗い数カ月が待っている」と警告し、ホルムズ海峡の封鎖を継続する構えを見せる。

一方、トランプ氏は英メディアとのインタビューでフォークランド諸島を巡る英国支援に消極的な姿勢を示した。1982年の戦争に触れつつ「英国はイラン戦争で米国を助けなかった」と不満を表明。アルゼンチンのミレイ大統領が諸島の主権主張に関する声明を発表する直前の発言であり、英国側は「フォークランドは英国のものだ」と反論した。

イスラエルのネタニヤフ首相は10月27日の総選挙を前に右派勢力の結集を図る。ベングビル、スモトリッチ両閣僚の強硬派ブロックが票を分散させ、同氏の再選を危うくする可能性がある。選挙は同氏の約17年に及ぶ長期政権への信任投票となる。

サンチェス首相、モロッコ関与説を否定も野党は退陣要求 セウタ移民危機で議会論戦

スペインのペドロ・サンチェス首相は3日、議会で7月末にモロッコから飛び地セウタへ流入した移民危機について説明し、モロッコ当局が越境を計画・実行したとする確固たる証拠は存在しないと改めて主張した。サンチェス氏は「外交機関も欧州委員会も国際機関も、モロッコが事件を計画・実行したとする確固たる証拠をスペイン政府に示していない」と述べ、モロッコとの協力関係の継続を強調した。一方、警察報告書はモロッコ治安部隊が国境で通常より少ない人員を配置し、群衆を分散させる努力をしなかったと指摘しており、連立与党内からも懐疑的な声が上がっている。

サンチェス氏は7月30日のピーク時間帯にモロッコ警察が越境を許可したと認めつつ、それが不作為によるものか、流入を抑えきれなかったためかは未確定だと述べた。また、セウタとメリリャの領有権を主張するモロッコ閣僚2人の「容認できない」発言を受け、8月21日に駐スペインモロッコ大使を召喚したことを明らかにした。野党・国民党(PP)のアルベルト・ヌニェス・フェイホー党首は、サンチェス氏がモロッコに「脅されている」と非難し、「司法と選挙の場で責任を取るだろう」と退陣要求を突きつけた。

この危機では7月30日から31日にかけて7万人以上がセウタに流入し、スペイン側の発表では約7万2千人が越境、うち約7万人がモロッコに帰還した。約5千人が依然としてセウタに残り、そのうち約1200人が未成年者だ。死者数についてはモロッコ政府が11人と公式発表する一方、人権団体カミナンド・フロンテラスは少なくとも141人が死亡したと推定しており、数字に大きな隔たりがある。サンチェス氏はロシアとイスラエルが危機を「増幅させた」と指摘し、SNS上で拡散された誤情報が越境を促したとの見方を示した。

サンチェス氏は今後、国境管理の強化やFrontexの常駐要請、セウタとメリリャのEU関税同盟への統合などを柱とする対策を発表した。国王フェリペ6世が近く両都市を訪問することも明らかにした。しかし、連立与党内からもモロッコへの「宥和政策」の失敗を指摘する声が上がっており、サンチェス政権は内外から強い圧力に直面している。スペイン各地で開かれた抗議デモには10万人以上が参加し、政権の危機管理への不満が噴出した。この問題は今後の政権運営を左右する重大な政治的試練となっている。

霧の山嶺に生きる75歳の羊飼い、アンヘリートの孤高の日々

エクアドルのママ・コタカチ山の麓、標高約3千メートルの霧深い山嶺に、75歳のアンヘリートが23年間ひとりで暮らしている。彼の住まいは葦と土と藁で造られた簡素な家であり、日中は共同体所有の約90頭のアルパカを世話し、夜はピューマの襲撃から彼らを守る。孤独を恐れないのは深い宗教的信仰のためであり、夜明け前には庭に出て祈りを捧げ、イエスの伴走を感じているという。

アンヘリートは幼少期、1歳半で別の家族に預けられ、学校に通うことなく畑仕事や家畜の世話を覚えた。養父は厳格な人物だったと回想する。現在は共同体から報酬を受け取り、アルパカの群れを口笛で統率する。家にはランプと電池式ラジオ、薪の竈があるだけだが、近隣に住む女性が食事を届けてくれることもある。彼は今日も山の霧の中で、動物の世話と土いじりに明け暮れている。

政治 (Politics)

国連調査、スーダン紛争を煽る外国の武器・傭兵を指摘

国連の独立事実調査団は、外国の戦闘員と支援ネットワークがスーダン紛争を激化させ、民間人への暴力を悪化させていると警告した。調査報告書は、アラブ首長国連邦(UAE)やチャド、リビア、ソマリアなどに拠点を置く国境を越えたネットワークが、準軍事組織「即時支援部隊(RSF)」に武器、兵站、訓練、外国人戦闘員を供給していると特定した。また、スーダン軍も外国製ドローンを運用し、民間人やインフラを傷つけたと指摘している。

調査団は、最大2000人規模のコロンビア人元軍人契約者がRSFと共に戦闘ドローンや大砲を直接操作したと記録した。南スーダン、チャド、エチオピアからの戦闘員も前線で活動した。これら外部支援により、両陣営のドローン能力は大幅に向上し、前線をはるかに超えた地点への攻撃が可能となった。報告書は、スーダン軍による東ダルフールのアッダイン教育病院への攻撃で少なくとも70人が死亡し、施設が機能不全に陥った事例などを挙げ、双方の攻撃が戦争犯罪に当たる可能性があると結論付けた。

国連調査団は、ダルフール地域に限定された武器禁輸をスーダン全土に拡大するよう国連安全保障理事会に求めた。米国の大統領上級顧問マサド・ブーロス氏は、少なくとも12カ国がスーダン紛争に関与していると述べ、国名は挙げなかったものの、UAEやエジプト、トルコなどが主要な支援国として認識されている。UAEは関与を否定し、チャドは中立を主張した。

一方、他の国際情勢では、メキシコのロベルト・ベラスコ外相が中国を公式訪問し、王毅外相と会談する。米国の圧力下で中国との貿易関係を巡る外交的バランスを模索する。欧州では、ドイツとフランスが欧州対外行動局(EAD)の再編を提案し、EU外相代表カーラス氏が反対するなど、EUの外交政策改革を巡る議論が続く。インドのジャイシャンカル外相はポーランドとウクライナを訪問し、ロシア・ウクライナ紛争の終結に向けた協議を行う。G20閣僚会合では技術革新や人材育成の条件が議論され、ロシアのラブロフ外相は欧州の軍事化やNATOの将来について批判的な見解を示した。

イスラエル、レバノン人拘束者5人を解放へ 赤十字経由で第1人を引き渡し

イスラエルは3日、南部レバノンで拘束していたレバノン人5人を解放すると発表した。最初の1人となるマレク・ガジ氏が、赤十字国際委員会(ICRC)の仲介でレバノン軍に引き渡された。ネタニヤフ首相事務所は、尋問の結果、5人がいずれもテロ組織に属さない民間人であると判明したと説明した。

ガジ氏はタイヤのレバノン軍情報部に移送された。家族によると、ガジ氏は昨年10月に運動に出かけたまま消息を絶っていた。レバノンのナワフ・サラーム首相は解放を歓迎し、米国の仲介努力に謝意を示した。残る4人の解放は4日に予定されているが、レバノン当局者によれば、うち2人はレバノン人、2人はシリア人だという。

今回の解放は、イスラエルとレバノンが1980年代の内戦中に失踪したユダヤ系指導者らの遺体を共同で探索したことが背景にある。イスラエルは6月に米国仲介の枠組み合意に調印したが、ヒズボラの武装解除とイスラエル軍の撤退をめぐる交渉は依然として停滞している。イスラエル軍は解放と同時に、南部ハルタ村で新たに3人を拘束したと報じられた。

両国は今月、ローマでさらなる協議を予定している。ヒズボラは協議の当事者ではなく、リタニ川以北での武装放棄を拒否している。イスラエルはヒズボラの全面武装解除まで撤退しないと主張しており、和平の行方は不透明だ。

米国の対イラン制裁、影の資金網に照準 経済封じ込めが限界に

米国によるイラン経済締め付けの圧力が、制裁回避のための影の資金網を通じて徐々に浸透しつつある。ロイター通信が3日、イラン政府高官3人の証言として伝えた。米国は2月以降続く軍事圧力で得られなかった譲歩を、経済封じ込めで引き出そうとしている。イランは数十年にわたり制裁を回避してきたが、外貨獲得や物資調達の手段が細り、かつてない窮地に立たされている。

米財務省はイランと取引する国を対象とする二次制裁を拡大し、ドル決済の停止を狙う。これにより、フロント企業や無登録タンカー、密輸といった既存の回避網の維持コストが膨らんだ。原油積み出し量は前年同期の約170万バレルから日量約26万バレルまで急減。ホルムズ海峡を経由する国際市場への供給は増えたものの、イランの主要収入源は完全に遮断された格好だ。

イラン経済は紛争前から通貨下落とインフレに苦しんでいた。リエルは1ドル=約220万リエルまで下落し、12か月平均インフレ率は69.9%に達する。ガソリン備蓄は2か月分しかなく、失業率は9.1%に上昇した。サラリーマンの平均月収は約125ドルで、世帯の最低生活費約450ドルを大きく下回る。

米国はイランの核開発阻止を最優先課題とし、ルビオ国務長官はイランを支援する国への制裁発動を警告した。イランは11月の中間選挙を前にインフレ圧力で米政権を揺さぶる一方、米国は国内の反政府運動再燃を狙う。スコットランドのセント・アンドリューズ大学のアリ・アンサリ教授は「イランは極めて深刻な経済圧力下にあり、交渉を選ばざるを得ないだろう」と指摘した。

一方、イランは暗号資産やババク・ザンジャニ氏のような実業家のネットワークを活用し、封じ込めに対抗する構えだ。ザンジャニ氏は1月に制裁リストへ復帰した後、7月に米国が関連企業網を追加指定するなど、包囲網は狭まっている。制裁の成否は、イランの影の経済を支えるネットワークをどこまで締め上げられるかにかかっている。

ガザのパレスチナ人移住計画をめぐりイスラエル政権内で再燃、ネタニヤフは支配拡大を示唆

イスラエルのベン・グヴィル国家保安相は3日、ガザのパレスチナ人約200万人を国外に移住させる計画を発表した。計画は「ディスエンゲージメント710」と名付けられ、初年度に25万人、7年間で約186万人の移住を目指す。総費用は約200億ドル(約3兆円)と見積もられ、ベン・グヴィルは次期連立政権への参加条件としてこの計画を掲げる方針だ。

イスラエル国防相のイスラエル・カッツも水曜日の会議で「ガザに移住なしの真の解決策はない」と述べ、米国の支援があれば受け入れ国が現れるとの見方を示した。カッツはトランプ米大統領が計画を「凍結」しただけで「撤回」していないと強調した。

一方、ネタニヤフ首相はガザの約6割をイスラエルが支配していると述べ、さらに支配を拡大する意向を示した。また、イスラエルの外交上の最優先課題はイランの政権交代であると述べ、イランは「かつてないほど弱体化している」と主張した。

ガザでは昨年10月の停戦合意後もイスラエル軍の作戦が続き、住民の生活は深刻な人道危機にある。停戦合意は「誰もガザを離れることを強制されない」と定めるが、イスラエルは破壊されたインフラと物資不足により、住民の「自発的」移住を促している。ベン・グヴィル計画の実現性は、10月のイスラエル総選挙と11月の米中間選挙の結果に左右されるとみられる。

ノルウェー、ロシア船を差し押さえ、ウクライナの賠償請求を強制執行

ノルウェーはスヴァールバル諸島でロシアの研究船「プロフェッサー・モルチャノフ」を差し押さえた。ウクライナの国営エネルギー企業ナフトガスがロシアに求める約42.2億ドルの賠償金を回収するための措置である。2014年のクリミア併合でロシアがナフトガスの資産を没収したことに対する、2023年のハーグ仲裁裁判所の裁定に基づく。

差し押さえは、ノルド=トロムス・センヤ地方裁判所の命令により行われた。船はスヴァールバル諸島のロシア系鉱山集落バレンツブルクに到着後、ノルウェー当局に拘束された。ナフトガスは2016年からロシアに対する訴訟を続けており、ロシアが裁定額を支払わないため、各国のロシア資産を差し押さえる戦略を取っている。同社の代理を務める米法律事務所コビントンは、船を数か月追跡していたと述べた。

ロシア側はこの措置を「海賊行為」と非難した。ロシア外務省報道官ザハロワは「真の海賊行為だ」と述べ、ロシアのノルウェー大使コルチュノフは即時解放を要求した。ロシアの極東・北極開発大臣チェクンコフは、現地裁判所で差し押さえの無効を争う準備を進めていると明らかにした。スヴァールバル総督は、乗員と乗客の安全を確保し、ロシアへの帰還を支援すると表明した。

船にはアルクティック・ビエンナーレの芸術家や科学者らが乗船しており、彼らは現在もバレンツブルクで創作活動を続けている。この差し押さえは、北極圏の戦略的重要性が増すなか、スヴァールバル諸島をめぐるロシアとノルウェーの緊張をさらに高めるものだ。ナフトガスは、米国、英国、フランス、フィンランドなどでもロシア資産の差し押さえを進めており、今回の措置はその一環である。

米中間選挙に10億ドルの匿名資金流入、議席争いを激変させる

2026年の中間選挙を前に、米国政治には約10億ドルに上る匿名資金(ダークマネー)が流入している。ニューヨーク・タイムズの分析によれば、これは公開情報のみから算出された保守的な推計値であり、実際の総額はさらに膨らむ可能性が高い。ミシガン州やミネソタ州の上院予備選では、民主党候補を打倒するために数千万ドルが投じられ、カンザス州では無名の民主党候補が予備選終盤に100倍の資金を獲得して当選する現象も起きた。

資金の出所は、寄付者名を隠す非営利団体だ。連邦税法上は「社会福祉団体」として登録され、スーパーPACと事務所を共有し、同じ政治戦略家が運営する。共和党・民主党の両陣営がこうした仕組みを活用し、広告購入だけでなく、ダイレクトメール、インフルエンサー起用、戸別訪問など、追跡が困難な活動にも資金を投じている。テキサス州では共和党が弱い民主党候補の指名を後押しするため、州の緩い情報開示規定を利用した。

最大手4団体の非営利組織だけで、今年の選挙に4億6000万ドル超を投入している。広告費は2022年の中間選挙の1億6600万ドルから、現時点で2億4200万ドルへ急増した。ワイオミング州の新興団体「チューズ・フリーダム」は8月、下院・上院の共和党候補支援に2200万ドルの広告を予約した。オハイオ州では別の団体が共和党上院候補支援に370万ドルを投じた。

こうした資金の影響は選挙結果を左右する規模に達している。ミシガン州の予備選で勝利した進歩派のアブドゥル・エルサイード医師は、約6200万ドルの広告支援を受けた対立候補を破り、「群衆の力は相手の金の力より大きい」と勝利を語った。一方、資金の匿名性を擁護する立場は「表現の自由に不可欠だ」と主張する。選挙資金監視団体「イシュー・ワン」のニック・ペニマン氏は、この資金を「ワシントンの権力サークルに蔓延する新たな麻薬」と表現し、政治制度に毒を注入していると批判した。

中間選挙を巡るこの資金の奔流は、2028年の大統領選に向けた前哨戦としての性格も帯びる。候補者自身が自分の選挙の傍観者に成り下がる場面も生じており、選挙の透明性を巡る議論は今後も続く見通しだ。

ホルムズ海峡封鎖が長期化、世界の海運に深刻な影響

米国とイランの対立が続くなか、ホルムズ海峡の封鎖は長期化の様相を呈している。米空母リンカーンは286日間の展開を経てタイに寄港し、その疲弊した姿が戦争の長期化を物語る。一方、日本の商船三井CEOは年内の運航再開は困難との見方を示し、世界の海運・エネルギー供給に影を落としている。

米国は海峡の支配を主張し、1日あたり1800万バレルの石油が通過していると発表する。しかし、船舶追跡データでは実際の通過数ははるかに少なく、米国とイランの主張には大きな隔たりがある。イランは自国の同意なしに海峡を開放しないと強調し、両者の対立は膠着状態だ。

この混乱はパナマ運河にも波及している。水位低下により通行制限が導入され、輸送コストの上昇を招いている。また、韓国政府はホルムズ海峡への派兵報道を否定し、フィリピン人船員の死亡事故も発生するなど、人的・経済的負担が増大している。世界の海運網は、複数の要因が重なり、かつてない試練に直面している。

米国防権限法案の対イスラエル軍事技術統合条項に56団体が反対、米政権のイスラエル離れが加速

米国の市民権・擁護団体56団体が、上下両院の軍事委員会委員長宛ての書簡で、米国とイスラエルの軍事技術協力を深化させる2027年国防権限法案(NDAA)の条項を削除するよう議会に求めた。書簡はロイターが確認したもので、米国内で長年の同盟国イスラエルへの懐疑が高まる中で提出された。

問題の条項は「第219条」と呼ばれ、イスラエル産業との合弁事業、ライセンス契約、米国内での共同生産の枠組みを構築するものだ。同法案は7月に下院を通過し、現在上院での審議待ちとなっている。書簡では、米国の利益がイスラエルと乖離し、米世論が無条件支援に反対する方向へ傾くなかで、米国防技術エコシステムにイスラエルの新たな影響力の拠点を創設することは「極めて危険」だと指摘した。

署名団体にはアムネスティ・インターナショナル米国支部や全米弁護士協会、アラブ系・ユダヤ系の擁護団体が含まれる。一方、イスラエルは中東における米国の最も緊密な同盟国の一つであり、両国は国防・情報問題で広範に協力している。支持派は、より深い結びつきが軍事技術革新を加速させると主張する。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は5月のCBSインタビューで、10年以内に米国の軍事支援から自立したいとの希望を語った。6月の米下院議員宛て書簡では、イスラエルが「援助受け入れ国からパートナーへ移行する時が来た」と記した。

2023年のガザ戦争開始以降、米国のイスラエル支持は特に民主党支持者の間で低下している。6月のクイニピアック大学調査では、有権者の48%、民主党員の66%が米国はイスラエルを支持しすぎていると回答した。2017年の初回調査ではそれぞれ16%、20%だった。

書簡は、ガザ戦争における国際人道法違反の可能性と、ヨルダン川西岸での入植者暴力の高まりを批判し、こうした展開が軍事関係深化の議論を妨げるべきだとしている。イスラエルに年間38億ドルの軍事支援を提供する覚書は2028年に期限を迎え、支援の在り方を巡る協議が進んでいる。

ケンタッキー州選出の共和党トーマス・マッシー下院議員とカリフォルニア州選出の民主党ロ・カンナ下院議員は、条項を阻止する修正案を提出したが、下院版法案には盛り込まれなかった。下院と上院がそれぞれのNDAA版を作成後、両院は妥協案を協議し、年末までに両院を通過した後、ドナルド・トランプ大統領が署名または拒否権を行使する。

プーチン大統領、新たな動員を否定しウクライナ和平に「可能性」 極東経済フォーラムで強調

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は3日、ウラジオストクで開催中の東方経済フォーラムの本会合で、ウクライナ戦争における新たな動員の必要性を否定し、そうした憶測をウクライナ側の「情報工作」だと一蹴した。プーチン大統領は「今日、動員を必要とするシナリオは存在しない」と述べ、ロシア国民は志願して契約を結び、戦闘に参加していると強調した。また、下院選挙を控えた時期に敵側が選挙結果に影響を与えようと流している情報だと指摘した。一方、ウクライナ紛争の和平については「問題は最終的に、紛争当事国であるロシアとウクライナが解決しなければならない」としつつ、米国や中国などが和平合意を支援する用意があると述べ、「可能性はある」との見解を示した。

プーチン大統領は、民間船舶の拿捕や攻撃、民間航空機への攻撃の脅威を「国家テロリズムの表れ」だと非難し、これに沈黙するウクライナの西側同盟国を「国際テロリズムの共犯者」と呼んだ。これは、ウクライナのゼレンスキー大統領がロシア領空が航空機にとって安全ではないと警告したことへの反論でもある。ロシア運輸省は同日、外国航空会社に対し、ロシアの空港と領空の安全対策について説明を行ったと発表した。欧米の航空会社は2022年の侵攻開始以降ロシア領空を回避しているが、中国、トルコ、湾岸諸国の航空会社は引き続き利用している。

さらにプーチン大統領は、ウクライナによるロシア国内の石油精製所などへの攻撃に対応するため、企業が自社施設の防護に投資を始めていると述べ、政令により重要インフラの防護を企業に義務付けたことを明らかにした。ロシア経済については、年率6.3%のインフレ率が低下傾向にあるとし、財政赤字についても「危機的ではない」と述べた。また、ロシアと米国政府との接触は継続しており、トランプ大統領は建設的な仕事に取り組む用意があるとの認識を示した。少子化をロシアの主要な課題の一つに挙げ、出生率向上に取り組む考えも表明した。

米軍の中東展開が2027年まで延長、イランとの長期的対決に備え

米国は中東に展開する数千規模の部隊を2027年まで延長する。イランとの紛争が長期化する兆候を示しており、米軍は現在約5万人を同地域に駐留させている。延長対象は陸軍部隊、防空部隊、戦闘機中隊、海軍要員に及び、一部部隊はさらに1年間留まる可能性がある。

この延長はワシントンの当初の見通しからの大きな転換を示す。米当局は当初、イランに対する作戦を短期の軍事行動と位置づけていた。しかし紛争は6か月間続いており、国防総省は一部展開が1年以上に及ぶと想定する。陸軍第82空挺師団の部隊は2027年まで同地域に留まる可能性がある。

防空部隊もより長い展開期間に直面している。これらの部隊は米軍を標的とするイランのミサイルや無人機を迎撃する任務を負う。通常9か月の任務が1年に延びることもある。欧州や太平洋向けに計画された一部部隊はすでに1年以上海外で過ごしており、軍事専門家は米軍の即応性に懸念を表明している。

長期展開は海軍要員にも困難をもたらしている。紛争により同地域での通常の補給活動が混乱し、海軍は遠隔基地ディエゴガルシアへの依存を強めている。一部の水兵は郵便物や慰問品、艦船から離れる時間が減っている。米海軍は現在約19隻の軍艦で地域の軍事態勢を支援している。

国防総省はこの展開枠組みが大統領の軍事選択肢を維持すると述べる。ただし延長は全ての展開部隊が2027年まで留まることを意味しない。司令官は必要に応じてこの枠組みを利用して作戦を継続・拡大できる。一方、ドナルド・トランプ大統領は紛争終結宣言の是非を議論してきたが、米軍とイラン軍は直接攻撃を交え続けている。司令官らは軍事即応性と長期展開のバランスを取る圧力に直面している。

別の報道によれば、米国防長官ピート・ヘグセスが複数の軍事展開の期間を延長した。米紙は戦争に明確な終結が見えないため延長が命じられたと報じた。トランプ大統領は戦争終結を発表することを内々に議論したが、経済的压力がイランに核計画の放棄を迫ると考えている。補佐官らは戦争拡大の政治的影響も懸念し、共和党が中間選挙で敗北する可能性を警告した。政権は中間選挙まで戦争を静かに続けたいと考えつつ、地域全体で軍事選択肢を維持している。

メローニ政権が戦後最長の連続統治を達成、伊経済の課題は山積

イタリアのジョルジャ・メローニ首相が、金曜日に戦後最長となる1413日間の連続統治を達成した。第二次世界大戦後、約70もの政権交代を経験してきたイタリアにおいて、アルチーデ・デ・ガスペリやシルヴィオ・ベルルスコーニらが通算ではより長く権力の座にあったものの、辞任や内閣改造などで中断されていた。メローニ政権の安定性は、政権運営の手腕を示すものだ。

しかし、安定は成功を保証するものではない。メローニ政権の経済実績は芳しくない。政府債務は依然として高水準にあり、急速に縮小する人口を背景に年金支出が財政を圧迫している。労働への高い税金と社会負担、中小企業の低い生産性、欧州最高水準のエネルギーコスト、官僚主義が成長を阻害し、南北格差も顕著だ。若く教育を受けた人材の国外流出も続く。

一方で、政権発足以来約90万人の雇用が創出され、失業率は5.7%まで低下した。低・中所得層への減税や、前任政権による高額な住宅改修補助金の廃止も成果だ。しかし、再生可能エネルギーの導入が遅れ、輸入価格の高騰に脆弱なままだ。ガソリン・ディーゼルへの税補助の延長は、政策の行き詰まりを浮き彫りにしている。EU委員会の勧告が2019年と2026年で驚くほど類似していることは、進展の乏しさを示す。

それでもメローニ氏は、かつての右派的な急進思想から距離を置き、欧州・外交政策では西側に忠実で、経済政策では企業寄りの姿勢を維持した。これによりイタリアは信頼できるパートナー国の地位を保った。だが、司法制度改革や首相公選制、地域自治など多くの改革は未完のままだ。来年の総選挙を前に、イタリアには抜本的な再出発への原動力が依然として欠けている。

ライプツィヒ空港ドローン事件、独政府のロシア非難に欧州各地で反発広がる

ドイツ政府がライプツィヒ/ハレ空港で発生したドローン事件についてロシアの関与を公式に非難し、対抗措置を発表したことを受け、欧州各国のロシア外交当局が相次いで反論を展開している。ロシア大使らは証拠の欠如を指摘し、非難は根拠がなく不合理だと主張した。

ドイツ政府は9月1日、8月初旬にライプツィヒ/ハレ空港で発生したドローン事件についてロシアが関与したと公式に発表し、対抗措置として9月18日までに在ボンロシア総領事館を閉鎖すること、在ベルリン・ロシア文化センターの活動に関する協定を破棄すること、ロシア市民の入国管理を強化することを決定した。ロシアのセルゲイ・ネチャーエフ駐独大使は、これらの非難を根拠がなく不合理だと拒否した。ウラジーミル・プーチン大統領は、今回のドイツの対ロシア決定はドイツ当局の新たな重大な誤りであり、ドイツ国民の利益に反すると指摘した。

ドイツの判断を受けて、デンマーク、チェコ、ルーマニア、オーストリア、英国、ポルトガルでもロシア外交官が外務省に召喚され、あるいは声明を発表した。在デンマークのウラジーミル・バルビン大使は、ノルド・ストリームの破壊工作でウクライナの関与が指摘されているにもかかわらず、デンマークがウクライナ大使を召喚しなかったことの偏りを指摘した。在チェコのアンナ・ポノマレワ大使は、この非難はスクリパリ事件やヴルベチツェ事件と同様に、ロシア嫌いを煽り対ロシア関係を損なうものだと述べた。在ルーマニアのウラジーミル・リパエフ大使は非難を「馬鹿げた、途方もない、根拠のない」ものと表現した。在英のワシーリー・ツィガノフ代理大使は、この協調的な挑発はキエフ政権とその支援者にのみ利益をもたらすと主張した。

一方、ドイツ紙ビルトは、元バイエルン州地域開発・環境相でキリスト教社会同盟(CSU)の政治家であるペーター・ガウヴァイラー氏が、ライプツィヒ空港事件を調査する独立した国際委員会の設置を提案したと報じた。ガウヴァイラー氏は、疑惑が報復措置に発展する前に事実を提示すべきだと主張し、ドイツが原告として主導権を取るべきだと論じた。また、シュピーゲル誌は、ドイツ政府が外国の諜報機関からの情報提供を受けてロシア非難を決定したと報じた。ドイツ政府は当初、調査完了まで非難を保留する可能性も検討していたが、8月前半に外国の諜報機関が「画期的な」情報を提供したことで、メルツ首相とドブリント内相がロシアに責任を帰すと結論付けたという。

ロシア側は、これらの非難が欧州連合とロシアの関係をさらに損なわせていると指摘し、ドイツの対応がロシアとの関係に悪影響を及ぼすと警告している。ネチャーエフ大使は、在ボン総領事館の閉鎖により、ドイツ国内の遠隔地域でも領事業務を確実に提供できるよう努力すると述べた。ロシア側は、今回の一連の動きを「性急にでっち上げられた挑発」と批判し、キエフと欧州政治階級の軍国主義派の目的にのみ奉仕するものだと主張している。

経済 (Economy)

ウーバーによるデリバリーヒーロー買収、欧州で市場独占の懸念高まる

米配車大手ウーバーによるドイツのフードデリバリー大手デリバリーヒーロー買収を前に、業界関係者や政治家が欧州の競争当局に厳格な審査を求める声を上げている。買収が実現すれば、子会社のウーバーイーツが一部の欧州市場でほぼ独占的な地位を占める可能性がある。

デリバリーヒーローの経営陣は週半ば、ウーバーによる買収を歓迎した。買収価格は1株当たり41.50ユーロで、適正かつ公正と評価されている。ウーバーの提案はデリバリーヒーロー全体を約130億ユーロと評価しており、現在の株価は約36.60ユーロで取引されている。

買収が成立すれば、ウーバーは中国を除く世界最大のフードデリバリー事業者となる。しかし、複数の国でウーバーイーツとデリバリーヒーローが市場を支配しているため、完全買収が認められるかどうかが長らく問われてきた。スペインではウーバーイーツの市場シェアが最大30%、デリバリーヒーローは最大60%に達する。

市場が重複する地域での競争問題を回避するため、デリバリーヒーローは14カ国の事業をニューヨークの投資会社SSWパートナーズに約14億ユーロで売却する。対象はオーストリア、チリ、キプロス、チェコ、エクアドル、ギリシャ、モルドバ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スウェーデン、トルコ、スペインである。

競合他社は、SSWがこれらの市場をその後ウーバーに転売するのではないかと懸念している。転売が欧州委員会の審査基準を下回る規模であれば、各国の競争当局が個別に審査することになる。一方、欧州委員会がウーバーによるデリバリーヒーロー買収とSSWからウーバーへの転売を一体として審査することを競合他社は期待している。ウーバーの買収表明では「ウーバーはSSWに移管される事業部門の支配権を獲得せず、SSWが独自に戦略的パートナー探しのプロセスを主導する」と述べられている。

この買収計画はブリュッセルの議員たちの関心も集めている。欧州議会のアンドレアス・シュヴァブ議員(欧州人民党)は、欧州委員会が迅速手続きで承認することに警告を発している。同議員はニュースサイト「ユーラクティブ」に対し、複数のEU諸国でデリバリー市場に「強い集中」が生じることを懸念しており、消費者の選択肢が減り価格が上昇するリスクがあると述べた。

ウーバーの提案の前には、リーフェランドの親会社ジャスト・イート・テイクアウェイの背後にいる投資家プロサスとの入札合戦が繰り広げられていた。プロサスはEUの条件によりジャスト・イートへの出資に伴いデリバリーヒーローの株式を減らす必要があり、それがウーバーにポジション拡大の機会を与えた。

デリバリー市場は激しい競争が続いている。ウーバーは2年前にもデリバリーヒーロー傘下のフードパンダ台湾の買収を試みたが、現地の競争当局に却下された。今回の買収でウーバーは、ドイツ企業がクイックコマースの主要事業者として構築してきた小規模倉庫など多くのインフラを手に入れることになる。ウーバーによるデリバリーヒーローへの提案の完了は2027年下半期になると見込まれている。

科学・技術 (Science & Tech)

国連気象機関、エルニーニョが2月まで継続と警告 「観測史上最強」の可能性

世界気象機関(WMO)は3日、エルニーニョ現象が今後数カ月で「非常に強い」規模に発達し、2027年2月までほぼ確実に持続すると発表した。WMOのセレステ・サウロ事務局長はジュネーブでの記者会見で、現在の軌道が続けば「観測開始以来、過去40年間使用してきたグラフの範囲を文字通り超える」可能性があると述べた。国連のアントニオ・グテーレス事務総長は「エルニーニョは我々の目の前で巨大化している」と警鐘を鳴らした。

エルニーニョは赤道太平洋の中部・東部の海面水温が上昇する自然現象で、2〜7年の間隔で発生し、通常9〜12カ月続く。WMOは今回、2月までの継続確率が「ほぼ100%」と、これまでで最も高い確実性を示した。現象のピークは2026年末と予想され、その影響は2027年まで続く見込みだ。海洋に蓄積された熱は大気中にゆっくり放出されるため、翌年の全球平均気温を押し上げる。2023〜24年のエルニーニョが寄与し、2024年は観測史上最も暑い年となったが、サウロ氏は「この記録が破られても驚くべきではない」と述べた。

WMOによると、エルニーニョは気候変動が原因ではないが、化石燃料の燃焼で温暖化が進む地球の熱を悪化させ、極端な気象を増幅させる。サウロ氏は「この異常なエルニーニョは、世界中のコミュニティと経済に壊滅的な打撃を与える可能性がある」と警告。干ばつや洪水による混乱と破壊が既に発生しており、影響は拡大すると予測した。同氏は災害管理当局や農業、保健、エネルギー、水といった気候に敏感な分野に対し「失う時間はない」と準備を呼びかけた。

WMOの予報では、9月から11月にかけてほぼ全ての陸上地域で平年を上回る気温となる可能性が高い。海面水温の異常値を示す指数は、5月から7月の平均で平年より1.5度高い状態から、7月下旬から8月中旬の週間値では2.2〜2.6度上昇し、一部の海域では海面下の水温が8度以上高くなった。ラテンアメリカではパナマとエルサルバドルが非常事態を宣言し、パナマ運河では船舶の通行が制限された。エクアドルは赤色警報を発令した。

南アフリカでは、農業省がエルニーニョによる少雨と高温に備えるよう農家に勧告した。2026/27年の夏季を通じて現象が続くと予想され、作物の不作や家畜の死亡、灌漑用水の不足が懸念される。農家には節水型農業や適切な品種選定、家畜の過剰放牧の防止などが推奨された。

スポーツ (Sports)

南ア、ラグビー会場での低空飛行を検証 エアリンクは週末の再演を中止

南アフリカの航空当局は、先週末にケープタウンのDHLスタジアムで行われた国際ラグビー試合でのエアリンク旅客機2機による低空飛行について、安全性の検証を進めている。南アフリカ民間航空局(SACAA)は、8月29日の飛行が「全ての安全手順を乗務員が遵守したか」を確認するための「コンプライアンス検証」を実施中だと声明で述べた。

飛行追跡サイトのFlightradar24によると、先頭機は満員のスタジアムの屋上を15メートル未満の高度で通過した。この映像はソーシャルメディアで広く共有され、安全上のリスクについて議論を呼んだ。SACAAはエアリンクが提供した飛行データを分析し、追加情報を求めた上で報告書を出すとしている。

一方、エアリンクは9月1日にヨハネスブルクのFNBスタジアムで予定されていた編隊飛行を中止すると発表した。同社のデ・ヴィリエ・エンゲルブレヒト最高経営責任者は「今週末のFNBスタジアムでの編隊飛行への広範な熱意も耳にしているが、予報では安全な編隊飛行に不向きな天候が示されている」と説明した。同社はこの機動が綿密に計画・リハーサルされ、各機に合計7万5000時間の飛行経験を持つ3人の上級機長が搭乗していたと主張している。

南アフリカのラグビーにおけるスタジアム飛行は、1995年のヨハネスブルクでのラグビーワールドカップ決勝でボーイング747が会場上空を通過したことにまで遡る長い伝統である。SACAAは国際民間航空機関(ICAO)による評価で、南アフリカの航空安全基準が世界第7位、アフリカでは第1位であると述べた。今回の検証結果は、今後の試合での飛行実施の可否に影響を与える可能性がある。