The Morning Star Observer

2026年08月31日 月曜日朝刊 (Morning Edition)ArchiveAbout

ヒマラヤ国境の氷河崩落による洪水、死者800人近く・行方不明3,000人超に――ネパールとチベットで大規模災害

ネパールと中国チベット自治区の国境地域で8月26日に発生した氷河崩落に伴う大規模洪水と土石流は、8月30日時点で両国合わせて少なくとも797人の死亡が確認され、3,048人が依然として行方不明となっている。ネパール当局は同日、死者数を781人、行方不明者数を2,502人(うち外国人592人)と発表した。中国国営メディアはチベット側で16人の死亡と546人の行方不明を確認しており、これにより全体の犠牲者は800人に迫る。

米地質調査所(USGS)によると、今回の災害はヒマラヤ山脈の氷河が崩落し、氷、岩、土砂、水が混ざった大規模な土石流がトリシュリ川とボテコシ川の水系を襲ったことで発生した。中国の専門家は、ネパール側のリルン峰南斜面の氷河が破砕し、氷と岩石の雪崩が発生したと指摘している。土石流はネパール側から中国のギリョン国境検問所まで6〜7分で到達したとされ、監視カメラには建物を飲み込む濁流の映像が捉えられた。

ネパールでは現在も救助活動が続いており、約19,000人の軍・警察要員と16機のヘリコプターが投入されている。これまでに8,730人が救出された一方、ヌワコット県とラスワ県の水力発電所トンネルでは、作業員らが閉じ込められている可能性があり、ネパール軍と警察の合同チーム82人がトンネル入口の掘削と捜索を進めている。ネパール当局の行方不明者リストには水力発電プロジェクト関連の作業員933人が含まれており、100人以上がトンネル内に閉じ込められている可能性が指摘されている。

また、ネパールでは遺体の腐敗が進んでいることから、当局はDNAサンプルを採取した上で身元不明遺体の仮埋葬を開始した。ネパール外務省のアムリット・バハドゥル・ライ外務次官は、遺体の保存には1,000台以上の冷凍庫が必要だと述べ、国際社会に支援を要請した。さらに、ネパールのシシル・カナル外相は、再建費用が数十億ドルに上る可能性があると述べ、重い荷物を運べるドローンやDNA鑑定キット、遺体保存用の冷凍庫などの専門的支援を求めた。

国際社会からの支援も相次いでいる。米国とカナダはそれぞれ約360万ドルの人道支援を表明し、英国は680万ドル、国連は250万ドルの緊急資金を拠出した。欧州連合(EU)は230万ドルを約束し、国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)は100万ドル以上を配分するとともに3,100万ドルの緊急アピールを発出した。インドは捜索救助専門家チームとDNA分析用の法医学専門家を含む約11トンの物資を載せた4便目の支援機をカトマンズに派遣した。マレーシアも捜索救助専門家チームの派遣と100万ドルの支援を表明している。

一方、中国側では、ギリョン国境検問所付近で新たな地滑りが発生し、堰き止め湖が形成されたため、救助隊員が安全な場所に移動する事態となった。中国当局は監視ドローンと衛星、レーダーを用いて湖の状況を継続的に監視しており、状況が悪化した場合には救助隊員に約30分前の警告が可能だとしている。中国はこれまでに2,100人以上の救助隊員を投入し、2億2,000万元(約3,270万ドル)を救援活動に充てている。また、習近平国家主席は救助活動を指揮し、李克強首相を被災地に派遣した。

今回の災害は、気候変動による氷河の不安定化が原因とされている。中国の科学者らは、地球温暖化の長期的な影響による氷河の不安定化が土石流を引き起こしたと指摘している。ヒマラヤ地域は世界平均の2倍の速度で温暖化が進行しており、氷河の融解と山体の不安定化が進んでいる。赤十字はネパール国内で約9万人が被災したと推定しており、今後のさらなる洪水や感染症の拡大が懸念されている。

北キプロス沖でフェリー転覆、少なくとも7人死亡・23人行方不明

北キプロス沖で8月30日、乗客・乗員約270人を乗せたフェリーが転覆し、少なくとも7人が死亡、23人が行方不明となった。地元当局によれば、237人が救助された。事故はキレニア港を出発した直後に発生し、原因は不明だが、荒天の影響が指摘されている。

転覆したのは民間所有のカタマラン船「フィロジェット」で、259人の乗客と8人の乗員を乗せ、キレニアからトルコのタシュジュ港へ向かう途中だった。出港から約15分後に浸水が始まり、救助要請が出された。現場海域にはトルコ系キプロス人の沿岸警備隊の巡視船4隻と民間旅客船1隻、トルコの巡視船5隻とヘリコプター2機が投入された。

トルコ系キプロス人の指導者トゥファン・エルフルマン氏は「237人を生存した状態で救助したが、7人の死亡も確認した。深く悲しんでいる」と述べた。また、行方不明者については「まだ23人に到達できていない。捜索救助チームが集中的に活動している」と語った。船内に人が残っている可能性については「現時点では到達は容易ではない。他の技術を使った到達努力も行われている」と説明した。

一方、トルコ系キプロス人のウナル・ウステル首相は、救助された237人は全員が良好な状態だと述べ、乗客の中に外国人も含まれていたことを明らかにした。また、警察は船長を含む8人を事情聴取のため拘束した。船は現地時間の午後遅くに水深514メートルの海底に沈没したという。

事故を受け、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は遺族への哀悼の意を表明し、「行方不明者への捜索努力は中断なく続いている。神の思し召しがあれば、これらの努力から良い知らせが得られることを願う」と述べた。また、キプロス共和国政府からも哀悼の意と支援の申し出があった。

キプロス島は1974年のトルコ軍介入以来、ギリシャ系とトルコ系に分断されており、北キプロスはトルコのみが承認する国家である。今回の事故は、同地域とトルコを結ぶ定期航路で発生した大規模な海難事故として、地域社会に衝撃を与えている。

アイスランド国民投票、EU加盟交渉再開を拒否

アイスランドで8月30日に実施された国民投票で、欧州連合(EU)への加盟交渉再開の是非が問われ、反対が52.8%、賛成が47.2%となり、政府提案が否決された。投票率は82.5%に達し、2009年4月の総選挙以来の高い参加率となった。国民投票は拘束力を持たないが、政府は結果を尊重する方針を示しており、加盟交渉の再開は2028年まで見送られる見通しだ。

アイスランドは2009年の金融危機後にEU加盟を申請したが、2013年にユーロ懐疑派政権が交渉を停止していた。今回の国民投票は、左派連立政権が2024年の政権獲得後に実施を約束していたもので、北極圏を巡る地政学的緊張の高まりや、ドナルド・トランプ米大統領によるグリーンランド獲得への言及を受けて前倒しされた。キャンペーンでは、安全保障や経済問題よりも、アイスランドの主要産業である漁業の主権維持が最大の争点となった。漁業は国内総生産(GDP)の15%、輸出収入の約40%を占めており、反対派はEU加盟によって漁獲枠の管理権を失い、外国漁船がアイスランド海域に入ることを警戒した。

与党の社会民主党内閣を率いるクリストルン・フロスタドッティル首相は、結果について「民主主義の勝利だ」と述べ、現政権の任期中は加盟交渉を再開しないと明言した。欧州理事会のアントニオ・コスタ議長は電話会談で「EUはアイスランド国民の民主的な選択を完全に尊重する」と伝えた。一方、EU側は加盟交渉再開を前向きに検討しており、拡大政策の成功例として期待していただけに、今回の結果は打撃となった。アイスランドは欧州経済領域(EEA)とシェンゲン協定の加盟国であり、EUとの緊密な関係は今後も維持される。

今回の否決は、EUの北方拡大の展望に暗雲を投げかけた。また、セルビアの元首相アレクサンダル・ブリン氏は、アイスランドの決定を称賛し、セルビアでもEU加盟に関する国民投票を実施すべきだと主張した。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領も、アルメニアのニコル・パシニャン首相との会談で、EU加盟に関する国民投票の実施を提案する見通しだ。

NASA、新型宇宙望遠鏡「ローマン」打ち上げ ハッブルの100倍の視野で宇宙地図作製へ

米航空宇宙局(NASA)は2026年8月30日、新型宇宙望遠鏡「ナンシー・グレース・ローマン」をスペースXのファルコンヘビーロケットでフロリダ州ケネディ宇宙センターから打ち上げた。同望遠鏡は、ハッブル宇宙望遠鏡の100倍以上の視野を持ち、ダークマターやダークエネルギー、系外惑星、赤外線天文学など物理学の大きな謎の解明を目指す。

ローマンは打ち上げから約100日後に、地球から約150万キロ離れたラグランジュ点L2へ到達する予定だ。NASAによれば、1か月の観測で天の川銀河の全域を走査し、その恒星の半数を検出できるという。これはハッブルが1世紀かかる作業に相当する。観測データは1日あたり約1.4テラバイトに上り、5年間の初期ミッションで500テラバイト以上のデータが得られる見込みだ。

ローマンは20億以上の銀河を観測し、宇宙の膨張を測定するほか、既知の系外惑星を最大40倍以上発見すると期待されている。また、恒星の光を遮るコロナグラフを搭載し、惑星の直接撮影も行う。科学者らは、既存の宇宙標準モデルが誤っている可能性を示す観測結果が得られることに期待を寄せており、プロジェクト上級科学者のジュリー・マケナリー氏は「ローマンによる最もエキサイティングな発見は予測不能な驚きであると期待している」と述べた。

ローマンはNASA初の女性科学者にちなんで命名された宇宙望遠鏡であり、総事業費は約43億ドル。計画より9か月早く、予算内での打ち上げとなった。同望遠鏡のデータは即時公開され、世界中の研究者が利用可能となる。

政治 (Politics)

イラン最高指導者モジタバ・ハメネイ、湾岸諸国に「真の敵」への対抗呼びかけ

イランの最高指導者モジタバ・ハメネイは、イスラム团结週間に合わせて発表した書簡で、イスラム諸国、特に湾岸諸国に対し、「真の敵」である米国とイスラエルに対抗するため団結するよう呼びかけた。このメッセージは、預言者ムハンマドの生誕を記念するイスラム团结週間に際し、ハメネイのTelegramアカウントを通じて公開された。

ハメネイは、イスラム教徒間の分裂は敵の利益になると警告し、「イスラム教徒の間に分裂を生み出す行為は、意図的か否かを問わず、イスラムの敵に加担することになる」と述べた。また、もしイスラム諸国が団結していたならば、パレスチナ人はこれほど無力な状態に置かれることはなかっただろうと問いかけた。

ハメネイは特に湾岸諸国の統治者に対し、「ルーツを持たない無法者たちが、もし湾岸の国民と政府がイスラムの旗の下に団結していたならば、彼らの土地や財産を狙う大胆さを持っただろうか」と問いかけ、「イスラム諸国の統治者、特に西アジアと湾岸諸国への私の強調かつ繰り返しの勧告は、真の敵を特定し、その計画を理解し、それに対抗することだ」と述べた。

ハメネイは、2月28日に米国とイスラエルが開始した戦争で父であり前最高指導者であるアリ・ハメネイが殺害されて以来、公の場に姿を見せていない。今回の呼びかけは、金曜日にイラン国民に向けて発表した声明と同様の内容であり、社会の結束を損なう行為を禁止し、当局に対し国民の士気を弱める「落胆させる発言」を避けるよう求めた。

一方、イランとオマーンは一時的な海上航路の開設で合意に達したが、その実施は米国が6月中旬に署名した覚書の義務を履行するかどうかにかかっている。イラン外務次官のカゼム・ガリババディは、「ホルムズ海峡は閉鎖されている」と述べ、通過する船舶はイランとの調整が必要だと主張した。また、米国の制裁と海上封鎖により、イランの輸出入は約35%減少し、インフレ率は先月66%に達した。

ロシア、ウクライナエネルギー施設への大規模攻撃を準備 報復の応酬激化

ロシア国防省は8月30日、ウクライナのエネルギー施設に対する大規模攻撃の準備を開始したと発表した。声明はTelegramで「ロシア軍は、キーウ政権による民間インフラとロシアの石油・エネルギー複合体への継続的な攻撃への対応として、ウクライナのエネルギー部門の施設に対する大規模攻撃の準備を開始した」と述べた。この動きは、ウクライナ側によるロシア領内への無人機攻撃が相次ぐ中で起きた。

ウクライナのゼレンスキー大統領は8月30日、キーウ近郊ミラ村の弾薬庫へのロシア軍攻撃による死者が38人に達し、さらに4人が行方不明だと明らかにした。この攻撃は今年最悪の被害をもたらし、少なくとも130棟の住宅が損壊した。ゼレンスキー氏は、弾薬が住宅地近くに保管されていたことを「恐ろしい過失」と非難し、当局は刑事捜査を開始した。ウクライナ国防省は全国の弾薬庫監査を命じた。

ロシア側もウクライナの攻撃で被害を被っている。ベルゴロド州の代行知事アレクサンドル・シュヴァエフ氏によると、ウクライナ軍のミサイル攻撃で2人が死亡、12人が負傷した。また、オゾンの物流施設や火力発電所が損傷したと報じられた。クレムリン報道官ドミトリー・ペスコフ氏は「キーウ政権の敗北は日に日に近づいている」と主張し、ロシア軍は全戦線で前進していると述べた。

一方、ウクライナは米国との交渉継続に意欲を示す。ゼレンスキー氏は「戦争が唯一の選択肢とならないよう全力を尽くす」と述べ、トランプ大統領特使との追加協議に備えていると語った。ロシアは今週だけで約2000機の攻撃用無人機、1600発以上の滑空爆弾、31発のミサイルをウクライナに発射したとされ、双方の長距離攻撃は激化の一途をたどっている。

ガザ空爆、ベネズエラ米国エネルギー協定、エクアドル選挙紛争、ネパール洪水——世界の主要ニュース

イスラエル軍の空爆により、ガザ中央部でパレスチナ人2人が死亡した。うち1人は3歳の男児だ。保健当局の発表によれば、空爆はデイル・アル=バラのパン屋付近で発生し、フッサム・ヌサイルと3歳のタイエム・ハムダンが死亡し、他にも負傷者が出た。イスラエル軍はハマスの戦闘員を殺害したと発表し、ヌサイルがイスラエル軍と市民への攻撃を主導したと主張した。ハマスはこの主張に即座にコメントしなかった。2025年10月に米国の支援で成立した停戦は大規模な戦闘を停止させたが、イスラエル軍の攻撃は続いており、軍はハマスらの攻撃を阻止するためだとしている。ガザの保健当局によれば、停戦発効以降、1300人以上のパレスチナ人が殺害された。イスラエル軍は兵士4人が死亡したと発表している。

ベネズエラの暫定大統領デルシー・ロドリゲスは、米国との新たなエネルギー協定が25年間有効であると述べた。同協定は原油生産を日量150万バレル以上に増やすことを目的とし、17の戦略的油田の開発を対象とする。ロドリゲスは、この協定によりベネズエラ国家に約2090億ドルの収入がもたらされるとし、1バレル65ドルの石油価格に基づく計算だと説明した。また、協定に基づき生産・販売される各バレルから約19ドルがベネズエラに直接支払われると述べた。同国は天然資源の所有権と主権を保持しつつ、外国資本、技術、運営専門知識を受け入れるとしている。ドナルド・トランプ米大統領は、米国企業がベネズエラの広大な石油埋蔵量の一部管理権を得る計画を発表していた。ベネズエラは世界最大の確認埋蔵量を有するが、現在の生産量は日量約125万バレルにとどまる。一方、首都カラカスでは数十の親政府グループが米国の駐留に抗議する集会を開いた。

エクアドルでは、主要野党連合アリアンサ・シウダダナが、ダニエル・ノボア大統領と司法機関が11月の地方選挙から野党を排除していると非難した。4つの野党が、3月以来、選挙当局によって停止または解散されたとしている。連合は、州選挙管理委員が与党候補と私的に会合する映像があると主張している。選挙は11月29日に実施予定で、最終候補者リストは11月9日に公表される。選挙管理委員会は、これらの決定は政治的迫害ではなく、資金調達や書類手続きに関する法的判断だとしている。

ネパールでは、大規模な洪水により死亡者が734人に達し、約2500人が行方不明となっている。行方不明者には589人の外国人、933人の水力発電プロジェクト従業員、85人の治安要員が含まれる。最悪の被害を受けたチトワン地区では259人が死亡した。救助活動には約2万人の治安要員が投入され、これまでに8186人が救出された。政府は10億ルピー以上の援助を割り当て、被災地への物資輸送を進めている。また、中国側のチベット自治区ギロン県でも16人が死亡し、546人が行方不明となっている。

トランプ大統領の命令でGoogleマップが「レイク・アメリカ」に改称 カナダは「レイク・オンタリオ」看板で対抗

米国のドナルド・トランプ大統領が署名した大統領令に基づき、Googleマップは2026年8月30日、米国ユーザー向けにレイク・オンタリオの表示名を「レイク・アメリカ」に変更した。カナダのユーザーには従来通り「レイク・オンタリオ」と表示され、米国・カナダ以外のユーザーには両方の名称が併記される。Googleは公式ブログで、米国地理名称情報システム(GNIS)による名称変更を反映したと説明し、「水域の名称が国によって異なる場合の長年の方針に従った」と述べた。

この措置は、トランプ大統領が8月27日に署名した大統領令に基づくものだ。同大統領令は、米国とカナダの国境に位置する五大湖の一つであるレイク・オンタリオを「レイク・アメリカ」と改名するよう米国連邦政府機関に指示した。貿易交渉の決裂を受け、米国は8月22日からカナダ製品に50%の関税を課しており、カナダも9月8日から報復関税を実施する予定だ。トランプ大統領は、カナダが貿易で米国を不当に利用していると主張し、名称変更を報復措置の一環として位置づけている。

カナダのマーク・カーニー首相は、レイク・オンタリオの名称は400年以上の歴史を持ち、先住民ウェンダット族の言葉「オンタリイオ」(「美しい湖、大きな湖」の意)に由来すると述べ、改名を拒否した。オンタリオ州のダグ・フォード首相は8月29日、湖畔に「レイク・オンタリオ、今もそして永遠に」と英語とフランス語で書かれた巨大な看板を設置した。フォード首相は「トランプ大統領が去った後も、この湖はレイク・オンタリオと呼ばれ続ける」と述べた。ニューヨーク州のキャシー・ホークル知事も「ニューヨーク州はその名称を使わない」と表明している。

今回の名称変更は、2025年1月にトランプ大統領がメキシコ湾を「ガルフ・オブ・アメリカ」に改名した際の措置と同様の対応だ。当時もGoogleは米国ユーザー向けに名称を変更した。アップルマップは現時点で変更を適用しておらず、競合サービスのマップクエストは名称変更に従わない方針を示している。ウェンダット族のピエール・ピカード大首長は、今回の改名を「先住民の歴史と文化を消し去る試みだ」と非難した。

この名称論争は、米国とカナダの貿易戦争の悪化を象徴する出来事となった。両国の交渉は決裂し、報復関税の応酬が続いている。トランプ大統領は自身のSNSで、人工知能で生成した動画を投稿し、新名称を宣伝している。一方、カナダ国内では政治家や識者から嘲笑と批判の声が上がっており、マニトバ州のワブ・キニュー首相は「年老いたロックバンドが昔のヒット曲をカジノで演奏しているようだ」と皮肉った。今回の改名は米国政府の連邦機関に対する指示であり、カナダや国際社会に強制力を持つものではないが、両国関係のさらなる悪化を示すものとなっている。

トランプ米大統領、ベネズエラ産原油で戦略備蓄補充へ「国家への贈り物」と宣言

ドナルド・トランプ米大統領は8月30日、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、ベネズエラとの石油合意に基づき獲得する原油を、米国の戦略石油備蓄(SPR)の補充に充てると表明した。トランプ氏は「ベネズエラ産原油で行うことの一つは、眠れるジョー・バイデンのせいで事実上空になった戦略国家備蓄を満たすことだ」と述べ、「補充プロセスはまもなく開始され、これはベネズエラから米国民への贈り物である」と強調した。

米戦略石油備蓄は8月21日時点で約2億9000万バレルと、44年ぶりの低水準にある。これはバイデン前政権とトランプ政権の双方が、ロシアのウクライナ侵攻やイランとの紛争などによる供給混乱と燃料価格高騰に対応するため、備蓄を放出してきた結果だ。トランプ氏は8月28日にベネズエラとの「歴史的」石油合意を発表しており、米国がベネズエラの確認埋蔵量の20%以上を支配することになると主張している。

ベネズエラの暫定大統領デルシー・ロドリゲス氏は8月29日のテレビ演説で、この合意を擁護した。合意は25年間有効で、17の戦略的油田を開発し、日量150万バレルの生産を目指す。確認埋蔵量は650億バレルとされる。ロドリゲス氏は「天然資源の所有権と主権は保持される」と述べつつ、制裁で打撃を受けた石油産業の回復のために資本・技術・運用の専門知識を活用すると説明した。合意により、生産・販売される各バレルから19ドルがベネズエラに流入し、年間最大2090億ドルの歳入が見込まれるという。

一方、この合意をめぐっては批判も出ている。イラン国営メディアは「歴史的略奪」と非難し、ベネズエラ野党関係者からは「土地収奪だ」との声が上がった。また、ベネズエラの老朽化した石油インフラの修復には数年と数十億ドルの投資が必要で、短期的な生産増は見込めないとの専門家の指摘もある。トランプ氏はガソリン価格低下につながると主張するが、即効性は不透明だ。

ヨルダン川西岸で入植者暴力が激化、ネタニヤフ首相が異例の非難

週末にかけてヨルダン川西岸の複数の村でユダヤ人入植者による暴力事件が相次ぎ、パレスチナ人数十人が負傷した。イスラエルのネタニヤフ首相は「一握りの暴徒による犯罪行為」として異例の非難声明を発表したが、現場では軍が入植者を保護する一方でパレスチナ人を拘束するなど、対応に矛盾が見られた。

クスラ村では数十人の入植者が住宅を包囲し、石を投げるなどして住民を負傷させた。軍は入植者を排除したが、住民を一時拘束した。また、ジャルード村ではNBCニュースの取材班が入植者に襲撃された。さらに、アル=ムガイイル村では20時間以上にわたり封鎖が続き、住民への物資供給が遮断された。イスラエル軍高官は、こうした暴力がパレスチナ人の大規模な蜂起を招く恐れがあると懸念していると、ハアレツ紙が報じた。

パレスチナ外務省は、これらの行為を「殺害、テロ、強制移住」を含む組織的なキャンペーンの一部であり、「移住と絶滅政策の行使」であると警告した。国際社会からも非難が高まっており、イスラエル政府の対応が問われている。

ギニアビサウ、大統領権限拡大の国民投票を実施 軍政から民政移行へ

西アフリカの小国ギニアビサウで8月30日、大統領に新たな権限を与えるかどうかを問う国民投票が実施された。人口約220万人の同国は、昨年11月の紛糾した選挙をめぐる軍部の掌握以降、軍政下にある。

軍政機関は、議会制から大統領制への移行を目指す憲法改正を全会一致で承認しており、今回の国民投票で国民の承認を問う。新憲法では、首相を議会多数派から選出する従来の制度を廃止し、大統領に首相の任命・解任および議会解散の権限を与える。また、議会の議席数は102から65に削減される。

軍政側は、12月6日に予定される大統領・議会選挙に向けて制度を安定させ、民政移管を図る狙いだと説明する。一方、野党勢力は国民に投票のボイコットを呼びかけ、この改憲は軍政指導者の権力固めにつながると批判し、「あらゆるレベルで政治的不安定の源だ」と主張している。

投票は日曜日17時(GMT)に締め切られ、最初の暫定結果は火曜日に発表される見通しだ。ギニアビサウは1974年以来、5回のクーデターと一連の未遂事件を経験しており、世界最貧国の一つである。

イスラエル国家安全相ベン・グビル、パレスチナ人女性囚人の劣悪な収容環境を誇示し波紋

イスラエルの極右国家安全相イタマル・ベン・グビルは、パレスチナ人女性囚人の収容環境を揶揄する動画を自身のXアカウントに投稿した。動画には、ベン・グビルが女性囚人区画を訪れ、囚人が「3日間シャワーを浴びていない」「医療処置も受けられず、衣類も清潔ではない」と訴える様子が映っている。これに対しベン・グビルは「刑務所の良好な環境は終わった。現状はこの通りだ。私はすべてに直接責任がある。この環境に満足している」と応じた。投稿には「囚人の泣き言には影響されない。ガザのイスラエル人捕虜はもっと劣悪な環境だった」と記し、「最小限の環境という政策を続ける」と述べた。

パレスチナ側は即座に反発した。ガザの被拘禁者・元被拘禁者問題委員会は、女性囚人の撮影と公開は「威嚇と屈辱」に当たると非難し、ベン・グビルの訪問は「査察ではなく、女性囚人を威嚇し、カメラの前で意志を挫くことを目的とした政治的パフォーマンスであり、公の扇動だ」と指摘した。パレスチナ囚人協会も「人間の尊厳への攻撃」だと非難した。ベン・グビルは2022年末に国家安全相に就任して以来、パレスチナ人囚人への待遇を厳しくする政策を推進してきた。食料や水の供給削減、家族面会の制限、シャワー時間の短縮、刑務所内の特権撤廃などである。被拘禁者・元被拘禁者問題委員会によると、現在約9,400人のパレスチナ人がイスラエルの刑務所に収容されており、そのうち88人が女性、350人以上が子どもだという。

また、ベン・グビルは「刑務所のサマーキャンプは終わった」と述べ、囚人の苦情に屈しない姿勢を強調した。パレスチナ自治政府の被拘禁者問題委員会は、ベン・グビルの行動を「残虐性、憎悪、人種差別」と非難した。この動画は国際社会でも波紋を広げており、イスラエルによるパレスチナ人抑圧の実態が改めて浮き彫りになった。ベン・グビルの発言は、イスラエル政府内の強硬路線を象徴するものだ。

プーチン大統領、SCO首脳会議で国連事務総長と短時間の会話へ クレムリンが明かす

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、キルギスの首都ビシュケクで開催される上海協力機構(SCO)首脳会議の傍らで、アントニオ・グテーレス国連事務総長と短時間の会話を行う可能性がある。クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官が8月30日、記者団に明らかにした。ペスコフ氏は「別個の二国間会談は計画していないが、両氏が同じ多国間フォーラムに参加する以上、その機会を利用して短い会話を行うことは明らかだ」と述べた。

プーチン大統領のキルギス訪問は長期かつ多忙なものとなる。ペスコフ氏は「大統領の訪問は長く忙しいものになる。ビシュケクでのSCO首脳会議は2日間で、その傍らで多くの二国間会談が予定されている」と語った。また、プーチン大統領は、8月25日にロシアを訪問したジョン・ラトクリフCIA長官とロシア特殊機関との接触結果について報告を受けていたことも明らかになった。ペスコフ氏は「我々の特殊機関が国家元首にこれを報告しなかったとお考えか」と述べ、プーチン大統領とラトクリフ氏の直接会談は行われなかったと付け加えた。

さらにペスコフ氏は、プーチン・トランプ・ゼレンスキー首脳会談の可能性について、合意を文書化するためだけに開催され得るとの立場を改めて示した。「そのような会談は合意を正式なものにするためにのみ可能だ。これらの合意は決して単純な取引ではなく、極めて多くの詳細を含む非常に複雑な和平プロセスである」と述べた。一方、プーチン大統領は前日にモスクワへの実務訪問を終えたばかりのベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領に対し、電話で誕生日の祝意を伝えた。ロシア・ベラルーシ関係は米国との接触に依存しないとペスコフ氏は強調した。

一連の発言は、ウクライナ情勢を巡る和平努力が停滞する中で出された。ロシアはウクライナへの攻撃を継続しており、ロシア防空軍は一晩で494機のウクライナ無人機を迎撃したと発表している。プーチン大統領は8月22日、和平提案を「エキゾチック」で「受け入れられない」と評し、停戦交渉を進展させる提案を繰り返し拒否している。今回のSCO首脳会議を巡る動きは、ロシアが国際社会との外交的接触を維持しつつ、ウクライナ問題では従来の立場を崩さない姿勢を示すものとなる。

独ザクセン=アンハルト州選挙、AfDが歴史的勝利へ 極右政党の州政権樹立が現実味

ドイツ東部ザクセン=アンハルト州で9月6日に実施される州議会選挙で、極右政党「ドイツのための選択肢」(AfD)が歴史的勝利を収める可能性が高まっている。世論調査では支持率41%で首位を走り、第2次世界大戦後初めて極右政党が州政府を主導する事態が現実味を帯びている。同党の州支部は憲法保護局により「確実に極右的」と分類されており、主要政党は「防火壁」と称する協力拒否の姿勢を崩していないが、AfDが絶対多数を獲得すれば政権樹立の道が開かれる。

AfDの州選挙主要候補であるウルリヒ・ジークムント氏は、ウクライナ難民への支援削減やロシアとの教育交流再開を公約に掲げる。同党の公約は「再移住」を掲げ、ウクライナ難民の「戦争難民」としての地位を廃止し、学校での分離授業を導入する方針だ。また、ロシア語教育の拡充や学生交流の再開を約束し、政府の「反ロシア政策」からの転換を訴えている。

AfDの政治家ハンス=トーマス・ティルシュナイダー氏は、選挙区事務所にロシア軍のロゴが入ったマグカップを置いていることを問題視され、物議を醸している。同氏は「2023年か2024年のロシア旅行の土産だ」と説明し、「スキャンダル化する意図が理解できない」と反論した。さらに「我々の戦争ではない」と述べ、ロシア軍との関係を問われると「国家に友人はいない。国家には利益があるだけだ」と語った。同氏は2022年9月にロシアへ渡航し、占領下の東ウクライナ訪問も計画していた。当時、AfD首脳部は距離を置き、同氏らは旅行を中断していた。

AfDの青年組織「ジェネレーション・ドイチュラント」(GD)の代表ジャン=パスカル・ホーム氏は、党大会で「ザクセン=アンハルト州でAfDが初めて政権責任を担う」と述べ、移民排斥を訴えた。「ドイツはドイツ人の国であり続けなければならない」と主張し、徴兵制の復活と強力な国防産業を要求した。ただし、ウクライナへの物資供与には反対の立場を示した。

これに対し、国防相ボリス・ピストリウス氏とバーデン=ヴュルテンベルク州首相のジェム・エズデミア氏は、AfDの急進的な州支部(テューリンゲン州、ザクセン州、ザクセン=アンハルト州、ブランデンブルク州)に対する党禁止手続きの開始を求める共同寄稿を発表した。両氏は「民族主義的な翼」が憲法原則を拒否していると批判し、法的審査の対象とすべきだと主張した。一方、緑の党のイレーネ・ミハリク氏は部分的な禁止に慎重な姿勢を示し、「AfD全体が憲法と対立している」と述べている。

この選挙結果は、ウクライナにとっても重大な意味を持つ。AfDが勝利すれば、連邦参議院(Bundesrat)で初めて議席を獲得し、ロシアへのエネルギー制裁反対やウクライナ支援停止、ノルドストリーム・パイプライン再開を主張する発言の場を得ることになる。また、州政府は治安・警察権限を有するため、ロシアへの情報漏洩の懸念も指摘されている。専門家は、AfDの台頭により「難民やウクライナ人に対する議論の仕方が変わる」と予測し、極端な主張が社会的に受け入れられるようになる危険性を警告している。

経済 (Economy)

米国の関税政策が世界経済に波及、G20会合で各国が対応迫られる

米国のベッセント財務長官は、ノースカロライナ州アシュビルで開催されるG20財務相・中央銀行総裁会議で、貿易不均衡の是正とイラン制裁の強化を訴える一方、米国の債務増大と債券利回り上昇への懸念を和らげようとしている。関税、カナダとの貿易戦争、イラン戦争によるエネルギー価格高騰が背景にある。

メキシコのエブラルド経済相は、輸出増加が米国の貿易赤字を拡大させており、トランプ大統領が追加関税を検討する可能性があると警告した。メキシコの自動車産業では、米国の25%関税により輸出が減少しており、2026年第1四半期の自動車輸出は前年比11.3%減の381億ドルとなった。乗用車の輸出は22%減少した。

国内でも、オハイオ州の漫画店オーナーは、中国製フィギュアに課された関税でコストが増加し、売上が減少したと述べている。最高裁判所が一部関税を違法と判断したが、返金はまだ行われていない。

これらの圧力はG20内の不和を深める可能性がある。アトランティック・カウンシルのジョシュ・リプスキー氏は、多くの国が関税問題を話し合いたいと考えていると指摘する。

米国の総債務は8月19日に40兆ドルを超え、30年債利回りは19年ぶりの高水準に達した。ベッセント長官は買い戻しを倍増させたが、ベッセントの元ウォール街の指導者スタンリー・ドラッケンミラー氏から批判を受けた。

社会 (Society)

スイス・アラウのレイブパーティーで銃撃、22歳女性死亡・5人負傷

スイス北部アラウで開催されたレイブパーティーで銃撃事件が発生し、22歳の女性が死亡、5人が負傷した。現地警察は30日、犯人の身元は不明で、動機や事件の正確な状況も未だ明らかになっていないと発表した。逃走中の犯人の捜索が続けられている。

事件は現地時間の日曜未明、アラウの競馬場で開かれていた年次テクノイベント「アーラウアー・レイブ」の会場で発生した。警察報道官のヴァネッサ・ランポルト氏によると、大勢の人の集団内で複数の銃弾が発射されたという。目撃者は、音楽が終了した直後の午前2時30分頃に銃声を聞き、当初は花火だと思ったと証言している。多くの参加者が近くの体育館に避難した。

死亡したのは22歳の女性で、現場で死亡が確認された。負傷した4人の男性と1人の女性(いずれも24〜27歳)は病院に搬送され、軽症から重症までの治療を受けている。犠牲者は全員スイス人だという。

警察は大規模な捜索態勢を敷き、現場周辺のほか、高速道路など最大30キロ離れた場所にも武装警官を展開した。隣国ドイツのフライブルク警察も捜索に協力している。軍のヘリコプターも投入され、住民に対しては現場周辺への立ち入りを控えるよう呼びかけている。

事件を受け、同イベントで出演していたDJテキボはインスタグラムで「テクノとレイブは自由と安全の場であるべきだ」とコメントし、友人を失った悲しみを表明した。スイスは欧州でも銃器保有率が高い国だが、銃による暴力事件は稀であり、今回の事件は地域社会に衝撃を与えている。

世界の悲劇:メンドーサのホテル転落死、コルドバのエレベーター事故、ドイツ駅刺傷事件など各地で相次ぐ死亡事故

今週末から週明けにかけて、世界各地で悲劇的な事件・事故が相次いだ。アルゼンチンのメンドーサでは、ホテル5階から転落死した女性の交際相手が、自殺と判断され釈放された。コルドバでは警備員がエレベーターの機構に挟まれ死亡した。ドイツのローゼンハイム駅では英国人女性が刺殺され、ドイツ人容疑者が逮捕された。

スペインでは、ジローナの海岸でドイツ人女性が水浴中に死亡、サン・セバスティアンでは釣り人が海に転落して死亡、バレンシアではバーのテラスでの喧嘩で男性が刺殺された。香港では、歌手アニタ・ムイの母が自宅で倒れ死亡した。インドでは、母親の死後に電車に飛び込んだ男性と、誕生日に性的興奮剤を服用して恋人を強姦・殺害した男性の事件が報じられた。

これらの出来事は、いずれも地域社会に衝撃を与え、それぞれの当局が捜査を続けている。メンドーサの事件では、検察は自殺の可能性が高いと判断したが、捜査は継続中だ。ドイツの刺傷事件では、動機や両者の関係は不明で、目撃者を求めている。

エルニーニョ現象が南米に深刻な影響、エクアドルは赤色警報発令

エルニーニョ現象が2026年後半にかけて強度を増し、南米各地で気候変動の影響が顕在化している。エクアドルは国土全域に赤色警報を発令し、ブラジルでは399自治体が火災リスクに直面、アルゼンチンでは農作物への影響が懸念されている。

エルニーニョは既に活動中で、専門家は今後数週間で降雨と気温への影響を予測している。エクアドルは1990年代に300人以上の死者を出した現象と同程度かそれ以上の強度になる可能性があるとして、国土全域に赤色警報を発令した。ブラジル政府は中西部マクロ地域の399自治体を火災リスク警報リストに追加し、2026年末から2027年初めにかけて最悪期を迎えると予測、9月と10月が最もリスクが高いとしている。アルゼンチンでは、NOAA、IRI、WMOの報告で、エルニーニョが90%以上の確率で春から夏にかけて持続し、パンパ地域、リトラル、NEAで降雨と嵐の頻度が増加する見込みだ。

太平洋赤道域の海面温度上昇は漁業や鳥類観察にも影響を与えており、農作物への影響、水不足、火災リスクの増大など、社会経済的影響が広範囲に及ぶと予想される。

南アフリカの治安動向:空港犯罪対策、犯罪統計、兵士の不祥事、内部通報者保護の課題

南アフリカでは、主要国際空港と航空貨物施設が組織犯罪の戦略的重点地域に指定され、麻薬密輸事件が相次いで摘発されている。先週にはORタンボ国際空港でコカイン計334キロ(推定末端価格2億ランド超)が押収され、2週間前にはムシナの農場で6億ランド相当の覚醒剤製造施設が発見された。警察省代行は、統合的な多機関作戦や情報主導の捜査、アクセス管理強化などの対策を実施していると説明した。

2026/27年度第1四半期の犯罪統計では、殺人・強姦・カージャックは前年同期比で減少したが、ハウテン州が殺人1276件、カージャック2207件と最多を記録し、クワズール・ナタール州は強姦1820件で全国最多だった。東ケープ州は人口10万人当たりの殺人率15.8、強姦率22.3と最も高い数値を示した。ケープタウンではムフレニとニャンガの両警察管区が全国殺人件数で1位・2位となり、市内11の警察署が全国トップ30に入るなど、暴力犯罪の集中が続く。

一方、ケープタウン市のLEAP警官が展開する6警察管区では殺人が4四半期連続で減少し、市の安全保安委員JP・スミス氏は「慎重な楽観」を示した。しかし、土地不法占拠や違法集落の拡大が暴力的犯罪の温床となっていると指摘し、恐喝シンジケート対策へのSAPSの協力拒否に不満を表明した。また、市はボディーカメラを750台追加し計3000台に拡大する計画で、CCTV映像の警察への提供件数も増加している。

治安部隊の行動にも問題が浮上した。タフェルシグで国軍兵士が女性を平手打ちする映像が拡散し、DA議員は「許されない暴行」と非難した。兵士は銃を掲げる場面もあり、作戦「プロスパー」における軍と警察の役割分担が疑問視されている。さらに、内部通報者保護の不備が深刻だ。バビタ・デオカラン氏殺害から5年が経過したが、実行犯は有罪判決を受けたものの、首謀者は特定されていない。保護団体は現行法では通報者の生命が脅かされていると警告し、政府は保護強化法案を検討中だが、成立には至っていない。

こうした治安課題の一方で、ケープタウンのシャークスポッター、デニス・チコゼ氏の活動が紹介された。彼はマシフメレレから自転車で監視所まで通い、ムイゼンバーグ海岸の海水浴客をサメから守る。シャークスポッターズは地域住民に雇用と訓練を提供し、彼は現在フィールドマネージャーとしても活動している。南アフリカの治安問題は、犯罪対策の成果と根深い暴力の構造、そして地域社会のレジリエンスが交錯する複雑な様相を示している。

文化 (Culture)

マレーシア建国69周年:空と地上で繰り広げられた独立の記憶と祝祭の熱気

マレーシアは2026年8月31日、建国69周年の記念日を迎えた。前日から各地で祝賀行事が行われ、プトラジャヤの独立記念パレード会場には早朝から家族連れが詰めかけ、空では元空軍パイロットによる曲技飛行が夕暮れを彩った。王室からは国民へのメッセージが発せられ、世代を超えた愛国心と平和への思いが語られた。

元マレーシア空軍戦闘機パイロットのダトゥク・ハリム・オスマン氏(60歳)は、40年の航空経験を活かし、建国69周年記念の航空ショー『Merdeka Sunset Show: Melukis Senja』で単独曲技飛行を披露した。同氏はマレーシア人として初めてレッドブル・エアレース世界選手権に出場した人物であり、夕日を背景にスモークと花火を併用した精密な飛行は、観客に強い印象を残した。同氏は「若い世代と国のために、マレーシア人がこのレベルで競えることを示したい」と語り、将来は6機編成の新しい曲技チームを結成する計画も明かした。

ペラ州では、スルタン・ナズリン・ムイズディン・シャー殿下が、建国記念日の州レベルの祝賀行事として、マスジッド・イマーム・アス・シャフィで行われたヤシーン朗誦とタフリールに参列した。殿下は同モスクの開所式も執り行い、建設費870万リンギット、約1600人を収容できるこのモスクは、昨年完成していた。一方、パハン州のスルタン・アブドゥラ殿下とトゥンク・アンパン・トゥンク・アジザ殿下は、フェイスブックを通じて国民に祝意を表明し、「独立と主権は共に守るべき大きな信託であり、団結、相互尊重、寛容が国家の調和と安定の基盤だ」と述べた。

プトラジャヤのパレード会場では、前日午後3時から場所取りをする家族の姿が見られた。Threadsユーザーのシャヒダさんは「午後3時はまだ暑かったが、消防士や警察、兵士が目の前を行進するのを見るのに最適な場所を探して歩いた」と投稿した。また、K9犬部隊の訓練中の様子も話題となり、ある犬は「ベイビー」と呼ばれて怒ったような仕草を見せた一方、別の犬は仰向けになって腹を撫でられるなど、愛らしい姿がSNSで拡散された。

建国記念日を前に、ニュー・ストレーツ・タイムズは独立世代とZ世代の5人にインタビューを実施した。元特別支部将校のダトゥク・ポール・キオン氏(82歳)は「平和と調和は安く手に入らなかった。汗と血の代償があった」と述べ、若い世代に平和の尊さを伝えた。元軍人のダトゥク・ザラジラ・モハメド・アリ氏(86歳)は、独立宣言をスタジアム・ムルデカで目撃した経験を振り返り、「共産主義者と戦っていた時代、若者は皆、軍服を着て国の敵と戦うことが最も名誉なことだと感じていた」と語った。Z世代の研究者グラシエリー・ステファニー・オハラ氏(26歳)は「選択の自由」を最も大切な自由とし、ペタリン・ジャヤ市議のロ・ユン・ラン氏(26歳)は「先人たちが共通の目的のために団結できたなら、我々も違いを乗り越えられるはずだ」と述べた。

こうした祝賀行事は、マレーシアの多様な世代が独立の記憶を共有し、国家の団結と平和への決意を新たにする機会となった。パレードには8万人以上の来場が見込まれ、24時間運行のMRTやシャトルバス、水上タクシーなどの交通手段も整備された。建国69周年を迎えたマレーシアは、伝統と現代が交錯する中で、国民のアイデンティティを再確認する一日となった。

スポーツ (Sports)

チェルシー、マルティネス獲得即デビュー戦でブライトンに4-3勝利 アロンソ体制3連勝

チェルシーは8月30日、スタンフォード・ブリッジで行われたプレミアリーグ第2節でブライトンを4-3で下し、シャビ・アロンソ監督体制での連勝を3に伸ばした。試合の数時間前にアストン・ビラからの移籍が発表されたばかりのアルゼンチン代表GKエミリアーノ・マルティネスが即先発デビューを果たし、注目を集めた。

試合はチェルシーが4分にロメオ・ラビアが移籍後初ゴールを挙げて先制すると、14分にペドロ・ネト、32分にジョアン・ペドロが加点し、3-0とリードした。しかしブライトンも35分、マリク・ヤルクエの強烈なボレーがポストを叩いて決まり1点を返す。後半に入ると63分、パスカル・グロスのシュートがジョアン・ペドロに当たってオウンゴールとなり、チェルシーはリードを1点差に縮められた。それでも74分、コール・パーマーがペナルティエリア手前からカーブのかかったシュートを決めて突き放し、試合を決定づけた。ブライトンは終了間際にグロスのヘディングゴールで1点を返したが、及ばなかった。

マルティネスは33歳で、3年契約でチェルシーに加入した。移籍金は約750万ポンド(約1000万ドル)と報じられている。2022年ワールドカップ優勝、2023年と2024年のヤシン・トロフィー受賞歴を持つ実力者だ。ロベルト・サンチェスに代わり正ゴールキーパーの座を奪うとみられる。チェルシーは開幕戦のフルアム戦、リーグカップのルートン戦に続く白星で、アロンソ監督は就任から公式戦3連勝となった。攻撃陣は3試合で9ゴールと爆発している一方、守備は4失点を喫しており、改善が課題だ。次節は9月6日、王者アーセナルの本拠地に乗り込む。

メッシ39歳で4発、インテル・マイアミを7-1の歴史的勝利に導く フェルナンデスはハットトリックでマンUを救う

アルゼンチンのリオネル・メッシが39歳でなお衰えぬ得点力を示し、MLSのインテル・マイアミを7-1の大勝に導いた。メッシは4ゴール(うち2本は直接フリーキック)に加え1アシストを記録し、チームの5戦未勝利の危機を一掃した。この活躍でメッシは今季18得点とし、MLS得点ランキング首位に立った。また、インテル・マイアミ史上初の1試合4得点を達成し、自身のキャリアでは9度目の4得点以上となった。

一方、イングランド・プレミアリーグでは、マンチェスター・ユナイテッドのブルーノ・フェルナンデスがハットトリックを達成し、イプスウィッチを5-2で下した。フェルナンデスは先制を許した後に同点弾、PK、そして追加点を挙げ、さらにブライアン・エンブモのゴールをアシストするなど、攻撃の中心としてチームを今季初勝利に導いた。チェルシーは新監督シャビ・アロンソの下でブライトンに4-3で勝利し、開幕2連勝とした。

これらの結果は、39歳のメッシが依然として世界最高峰のパフォーマンスを維持し続けていることを示すと同時に、マンチェスター・ユナイテッドがフェルナンデスを軸に再び上昇気流に乗り始めたことを印象付けた。メッシの活躍は世界中のメディアが「魔法」「歴史」と称賛し、MLSの注目度をさらに高めるものとなった。

マルケス、アラゴンGPで今季4勝目を挙げ、タイトル争いでマルティンを猛追

ドゥカティのマルク・マルケスが、8月30日に開催されたMotoGP第13戦アラゴンGPで優勝し、今季4勝目を挙げた。土曜日のスプリントに続く週末完全勝利となり、モーターランド・アラゴンでの通算勝利数を8に伸ばした。これにより、マルケスはランキング2位に浮上し、首位を走るホルヘ・マルティンとの差を19ポイントに縮めた。

レースでは、ポールポジションからスタートしたマルコ・ベッツェッキが序盤にリードを奪う展開となったが、マルケスは6周目にバックストレートでベッツェッキをオーバーテイクし、そのまま逃げ切った。2位にはKTMのペドロ・アコスタが入り、自身初のMotoGP勝利はならなかったものの、14回目の表彰台を獲得した。3位はベッツェッキだった。

マルケスはレース後、スタート直後にリアのライドハイトデバイスが作動したままになるミスがあったことを明かし、「第一コーナーが鍵だったが、大きなミスを犯した。それでもペースを構築して勝利を掴むことができた」と振り返った。

チャンピオンシップは残り9戦となり、マルティンが256ポイントで首位を守るが、マルケスが237ポイントで追走する。ベッツェッキも232ポイントで3番手に続く。マルケスは「タイトルを獲得するためには、ここで勝つ必要があった。この勝利は非常に重要だ」と語った。

レアル・マドリードがマラガに4-0で快勝、アルバレスは移籍市場の渦中に

レアル・マドリードは8月30日、リーガ・エスパニョーラ第3節でマラガを4-0で下し、開幕3連勝を飾った。ジョゼ・モウリーニョ監督の下、ジュード・ベリンガムとキリアン・エムバペが躍動し、前半19分にベリンガムの個人技による先制点、同25分にオウンゴール、同29分にエムバペのボレーで試合を決定づけた。後半終了間際にはアルダ・ギュレルが4点目を挙げ、圧勝劇を締めくくった。

一方、アトレティコ・マドリードのフリアン・アルバレスは体調不良から練習に復帰したが、バルセロナ移籍の噂が続いている。アトレティコはバルセロナへの売却を否定しており、アーセナルが約1億5000万ユーロでの獲得に関心を示すと報じられた。移籍市場は9月1日に閉鎖を迎え、アルバレスの去就が注目される。

また、パンプローナではフラメンコ・オン・ファイア・フェスティバルが開催され、市街地のバルコニーからフラメンコの演奏が行われた。さらに、南アフリカの不動産会社レデファイン・プロパティーズは、ポーランドへの資本配分を40%に引き上げる方針を発表し、国際的な資産運用戦略を強化している。

世界スポーツ週間:アルゼンチン男子ホッケー銅、クロアチア初の重量級王者、ドイツ男子ホッケー連覇など

今週の国際スポーツ界では、アルゼンチン男子ホッケー代表「ロス・レオネス」が世界選手権で銅メダルを獲得し、クロアチアのフィリップ・フルゴビッチがIBF重量級タイトルを初めて手にした。ドイツ男子ホッケーはスペインを破り2連覇を達成。バスケットボール予選ではドイツがポーランドに延長戦で勝利した。

ロス・レオネスはベルギー・ワーブルで開催されたホッケー世界選手権で、オランダを2-1で下し、2014年以来となる銅メダルを獲得した。トーマス・ドメネとマティアス・レイのゴールで勝利し、ルーカス・レイ監督率いるチームは、準決勝でドイツに敗れた後の立て直しを見せた。アルゼンチンは大会を通じて堅固な守備と高い効率性を発揮し、特にコーナーショットの成功率が高かった。この世代の成長にはさらなる支援が必要だと論じられている。

ボクシングでは、ロンドンのO2アリーナで行われたIBF重量級王座決定戦で、クロアチアのフィリップ・フルゴビッチ(34歳)がイギリスの新星モーゼス・イタウマ(21歳)に9回TKO勝ちした。イタウマは2回にダウンを奪うも、フルゴビッチの粘りに遭い、スタミナ切れを起こした。フルゴビッチはクロアチア史上初の重量級王者となり、今後は統一戦を希望している。

ドイツ男子ホッケーは決勝でスペインを1-0で破り、世界選手権2連覇を達成した。ミシェル・ストルートフのゴールが決勝点となり、ドイツは通算4度目の優勝でパキスタンに並んだ。スペインは28年ぶりの決勝進出だったが、ゴールを奪えず銀メダルに終わった。

バスケットボールのワールドカップ予選では、ドイツがポーランドで延長戦の末96-94で勝利した。デニス・シュレーダーは18得点を挙げたが、チームはオフェンスで苦戦した。ドイツは7勝1敗とし、次戦でワールドカップ出場権を確定できる。

その他、パキスタンの元速球投手モハマド・アミールがイギリス市民権取得に伴い、パキスタン代表への復帰を否定した。台湾のバドミントン選手・周天成は世界ランキング4位に浮上した。

USオープン2026開幕、シード選手の棄権相次ぐ中で初日がスタート

全米オープンテニス2026が開幕した。記録的な賞金総額1億800万ドルを懸けて、ニューヨークのフラッシング・メドウズで初日が行われた。世界ランク1位のヤニック・シナーが怪我で欠場する中、ディフェンディングチャンピオンのカルロス・アルカラスも長期離脱から復帰するなど、男子シングルスは混戦模様だ。

初日、第3シードのジェシカ・ペグラはルーマニアのエレナ=ガブリエラ・ルーゼを6-3, 6-2で下し、順当に初戦を突破した。一方、第27シードのバルボラ・クレイチコバはウズベキスタンのカミラ・ラヒモワに6-7(4), 2-6で敗れ、シード選手として最初の敗退となった。第19シードのジャスミン・パオリーニはスロベニアのベロニカ・エルヤベクに6-3, 3-6, 6-4で競り勝った。

男子では、2022年準優勝のキャスパー・ルードが背中の怪我で、2014年優勝のマリン・チリッチも怪我でそれぞれ棄権した。ルードの代わりにラッキールーザーのアルチュール・ジェアが、チリッチの代わりにオット・ビルトネンが繰り上がった。

大会は15日間の日程で行われ、初戦は3日間にわたって実施される。この日程はチケット需要の高まりを受けて2025年から導入された。

ロビンソンの圧巻の投球でイングランドがパキスタンに大勝、シリーズ2-0で制す

ローズで行われた第2テストマッチで、イングランドがパキスタンを194点差で破り、シリーズ2-0とリードを広げた。オリー・ロビンソンが第2イニングで4-24、マッチでは8-35という圧倒的な成績を残し、イングランドの勝利に大きく貢献した。パキスタンは第1イニングで110点、第2イニングでは194点に終わり、シリーズを通じて200点に到達できないまま敗北した。

パキスタンは第4日の朝に14-3と崩れ、サウド・シャキールが97点を挙げて抵抗したが、ロビンソンがシャン・マスードとモハマド・リズワンを相次いで退け、流れをイングランドに引き寄せた。シャキールはトングのバウンスボールを打ち損じてハリー・ブルックにキャッチされ、惜しくもセンチュリーを逃した。イングランドはこれにより2024年12月以来となるテストシリーズ勝利を達成した。

ロビンソンはこの夏3テストで23ウィケットを平均8.34で獲得し、テストキャリア通算では99ウィケットを平均19.53で記録。これは2000年以降にデビューし20テスト以上プレーした投手の中ではジャスプリット・ブムラの19.79を上回る最高の数字だ。イングランドのジョー・ルート主将は「彼は驚異的で、執拗だった」とロビンソンを称賛した。

第3テストは9月9日からエッジバストンで行われる。パキスタンはこの敗北でシリーズ敗退が決まり、残る一戦で立て直しを図ることになる。