ネパールと中国チベット自治区の国境地域で8月26日に発生した氷河崩落に伴う大規模な土石流は、甚大な被害をもたらした。ネパールの災害当局は29日までに、少なくとも584人の死亡を確認し、2482人以上が行方不明となっていると発表した。行方不明者には外国人観光客が多数含まれ、少なくとも517人が外国人とされる。また、チベット側でも558人が行方不明となっており、そのうち260人が外国人だ。
米地質調査所(USGS)によれば、今回の災害は氷河の崩落が引き金となり、大量の氷・岩・土砂が河川に流れ込み、津波のような土石流を発生させた。この土石流はネパール中部の村々やインフラを破壊し、少なくとも80の橋が流失した。被災地では救助活動が続く一方、土砂がせき止めて形成された堰止湖が決壊する二次災害の危険性が高まり、一時救助活動が中断される事態となった。
ネパール政府は国際的な救助隊の受け入れを一度は拒否したが、各国からの圧力を受け、限定的な専門家の受け入れに方針を転換した。インドはトンネル救助隊や医療チームの派遣を準備し、ベイリー橋の提供も申し出ている。一方、中国の習近平国家主席は救助活動を指揮し、李強首相は被災地を視察した。
今回の災害は、気候変動によるヒマラヤ氷河の融解が加速していることを改めて浮き彫りにした。国際総合山岳開発センター(ICIMOD)は2026年3月に発表した報告書で、ヒンドゥークシュ・ヒマラヤ地域の氷河が2000年以降、融解速度が2倍に達していると警告していた。専門家は、今後も同様の氷河崩落や氷河湖決壊洪水のリスクが高まると指摘する。