イランのマスウード・ペゼシュキアン大統領は26日、米国による新たな経済制裁について「米国は何も得ることはない」と述べた。イラン学生通信(ISNA)が伝えた。ペゼシュキアン大統領は「政府の経済部門が想定した措置により、米国は現段階の経済圧力では何も達成できない。戦争で何も達成できなかったのと同じだ」と語った。米財務長官スコット・ベッセントは24日、イランを「経済的に窒息させる」計画を発表し、参加しない国々に深刻な結果をもたらすと警告していた。イラン指導部は、1979年革命直後から数十年に及ぶ厳しい制裁を経験してきたことから、新たな措置の影響を軽視している。
米国とイランの交渉は、戦略的なホルムズ海峡の支配をめぐって停滞している。通常、世界の石油・液化天然ガス輸出の約5分の1を輸送するこの水路の通行はほぼ麻痺しており、世界のエネルギー市場を混乱させている。イランは2月28日の戦争勃発以来、ホルムズ海峡を掌握し、通過する船舶に料金を課そうとしている。米国は海峡を戦前の自由航行体制に戻すことを求めており、ドナルド・トランプ大統領はワシントンが水路を「完全に支配している」と主張している。
中国は、米国が中国企業を標的にしたことへの報復を誓約した。中国外務省の林剣報道官は25日、制裁を「国際法上の根拠のない違法なもの」と退け、「経済戦争と最大限の圧力は解決策を提供しない」と述べた。また、「中国とイランの協力は国際法の枠組み内で行われており、妨害されるべきではない」と強調した。清華大学の孫成昊研究員は、制裁が習近平国家主席の訪米計画に直接影響するかは不明だが、制裁の動きは首脳会談前の「新たなリスクポイント」になりつつあると指摘した。米国が主要な中国銀行への二次制裁に拡大するかどうかが鍵であり、個別企業や仲介業者に限定されれば紛争は封じ込められる可能性があるが、中国の核となる金融機関に触れれば状況は大きく変わるという。
インドは、米国の制裁強化の脅威にもかかわらず、イラン向けコメ輸出が継続できるとの自信を示している。コメはイランの主要輸入品であり、インドのイラン向け輸出額12.5億ドルの約3分の2を占める。インドの輸出業者は、米国が60以上の企業・団体を制裁し、イランと取引する国への経済的罰則を警告した後も、貿易は途切れないと確信している。インドの輸出業者は、UAE、ドイツ、中国、最近ではトルコの金融チャネルを利用してイランとの決済を行っており、これらのチャネルはこれまで混乱なく機能している。インドは2019年以来、米国の制裁前にイランから原油を定期的に輸入しておらず、イランとの二国間貿易は2018-19年度の170億ドルから90%以上減少している。
アラブ首長国連邦(UAE)は、米国の制裁発表の数日前に、イランとの「すべての活動、商業取引、金融取引」を無期限停止すると発表した。UAEとイランの二国間貿易は年間約200億ドルと推定される。UAEは2024年にイラン輸入の30.6%を占め、イランにとって第3位の輸出市場だった。イランはまた、米国の制裁を拒否するよう国連加盟国に呼びかけ、ホルムズ海峡での海上圧力を非難した。イランの国連大使代理は、米国の「域外適用」される一方的制裁を拒否し、安全保障理事会が「断固として非難し拒否する」よう求めた。
イラン経済は、米国の制裁と戦争により深刻な打撃を受けている。イラン・リアルは対ドルで過去最低の1ドル=205万リアルに下落した。食料品価格は高騰し、トマトは71%、鶏肉は74%、食用油は177%上昇した。インスリンは642%値上がりし、パラセタモールは93%、乳児用粉ミルクは95%上昇した。イラン政府は自給自足を強調し、農業生産の国内自給率を85%から90%に引き上げる目標を掲げている。しかし、国連食糧農業機関は、輸入コストの上昇と物流の混乱が食料インフレを加速させ、家計の購買力を低下させていると警告している。イランの中央銀行総裁は、米国の海上封鎖によりイランの石油輸出がほぼゼロに落ち込んだことを認めた。
イラン政府は、経済圧力に屈せず、国民の生活を守るためにインフレ抑制と雇用維持に取り組むとしている。経済財務相は、政府の最優先課題は物価上昇を止め、国民の生活を支えることだと述べた。また、貿易円滑化と生産障壁撤廃のためのパッケージが閣議承認を待っていると明らかにした。一方、イランの安全保障担当者は、米国が経済戦争に参加する湾岸諸国に対し、「一滴の石油もペルシャ湾とホルムズ海峡から出ないだろう」と警告した。専門家は、米国の制裁がイランを弱体化させるか、より大きな対立に追い込むかは不透明だと指摘している。