米国のトランプ政権は24日、イランに対する「経済Dデー」と称する新たな大規模制裁を発表した。スコット・ベッセント米財務長官は記者会見で、イランと取引を継続する国や企業をドル決済システムから排除する「前例のない」制裁を課すと警告した。この措置は、2月28日に始まった米国・イスラエルとイランの戦争開始以来、約6カ月にわたり膠着状態にあるホルムズ海峡の封鎖を巡る圧力の一環だ。
ベッセント長官は、イランの経済的命脈を断ち切り「テヘランが孤立するまで」圧力を続けると述べた。制裁はイランの石油輸出、金融ネットワーク、テクノロジー、金、航空、海運の各分野を対象とし、約60の団体・個人・船舶が指定された。また、各国に対してイランとの取引停止を求める「最後通牒」を突きつけ、従わない場合には財務省の権限で一方的に制裁を発動すると警告した。
トランプ大統領は自身のSNSで「イランは完全に崩壊しつつある」と主張した。一方、イラン側はこれに強く反発し、外務省報道官は「米国の経済戦争は敗北の承認だ」と述べた。イラン国家安全保障最高評議会のモフセン・レザイー事務局長は、米国の経済措置に参加する国を「敵」とみなし、報復すると警告した。また、ホルムズ海峡の封鎖を継続し、「一滴の石油も輸出しない」と宣言した。
この制裁発表を受け、イランの通貨リアルは史上最安値を更新し、1ドル=202万リアルまで下落した。原油価格は発表前に利益確定の売りが優勢となり、1.8%以上下落したが、ブレント先物は1バレル=93ドル前後で推移している。市場では、制裁強化による供給懸念から、原油価格の高止まりが続くと見られている。
中国は、米国の制裁発表を受けて「自国の権益を守るために必要な措置を取る」と警告した。中国外務省の林剣報道官は「制裁と圧力は問題解決に役立たない」と述べ、緊張を激化させると批判した。中国はイラン産原油の最大の輸入国であり、米国の制裁が中国の銀行に及ぶかが焦点となる。米国は9月下旬に予定されるトランプ大統領と習近平国家主席の首脳会談を控え、中国の銀行への制裁発動には慎重な姿勢を示している。
イランは、米国の圧力に屈しない姿勢を強調しており、経済相のアリ・マダニザデ氏は「2年計画」で制裁に対抗すると述べた。また、イランはホルムズ海峡を通過する船舶に対する規制を強化し、違反したタンカー45隻をブラックリストに載せたと発表した。イランとオマーンは、ホルムズ海峡の共同管理計画について協議を進めており、オマーン外相が26日にテヘランを訪問する予定だ。
今回の制裁は、イランの経済状況をさらに悪化させると見られるが、専門家はイランがこれまで同様、制裁を回避する手段を模索し、即座に屈服する可能性は低いと指摘する。米国の圧力は、イラン国内の経済危機を深刻化させ、市民生活にさらなる打撃を与えることが予想される。一方で、米国の中間選挙を11月に控え、トランプ政権は国内の経済圧力に直面しており、制裁強化が政局に与える影響も注目される。