ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシアとの戦争が続く中での選挙実施は「巨大なリスク」であり、「国家を分裂させる津波」になるとの見解を示した。これは、解任された元国防相ミハイロ・フェドロフが戦時中の選挙実施を呼びかけたことへの反応である。ゼレンスキー氏は「このような戦争の中で選挙を行うことは、国を破壊することにつながる」と述べ、選挙実施の条件が整っていないと強調した。
フェドロフ氏は7月に国防相を解任された後、8月18日にビデオメッセージで選挙実施を訴えていた。同氏は「民主主義はプーチンの人質になるべきではない」と主張し、政府内の汚職疑惑にも言及した。しかし、ゼレンスキー氏は「彼は間違った方向に進んでいるか、押し込まれている」と批判し、選挙実施には軍人や避難民、占領地域の住民の投票方法やロシアによる妨害など多くの障害があると指摘した。
一方、ウクライナはロシアの弾道ミサイル攻撃への対抗策として、パトリオット迎撃ミサイルの不足に直面している。ゼレンスキー氏は、2026年にウクライナが受け取ったパトリオットミサイルは264発にとどまり、2023年の675発から減少していると明らかにした。ロシアは弾道ミサイルを月約100発生産できるとされ、現在600〜630発を保有しているという。ウクライナはミサイル発射地点を攻撃する新たな作戦を開始し、ドイツから600発のPAC-2迎撃ミサイルの供給を受ける合意も発表した。
この政治危機は、ウクライナが厳しい冬を迎える中で発生している。ロシアの攻撃による民間人犠牲者は増加し、ウクライナは欧州同盟国との会合を開き、圧力を強める方針だ。ゼレンスキー氏の任期は2024年に切れていたが、戒厳令下で選挙は延期されており、国内の世論調査では15%のみが戦争終結前の選挙を支持している。今後の政局は、戦況と西側諸国の支援次第となるだろう。