人工知能(AI)を巡る状況が、政治・経済・技術の各分野で重大な転換点を迎えている。米国では、ロバート・F・ケネディ・ジュニア保健長官の運動「Make America Healthy Again(MAHA)」の活動家約200人が、トランプ大統領によるAIデータセンター向け石炭推進政策を批判する書簡を送付した。一方、中国ではAI技術の急速な発展が産業構造を変革し、欧米企業も中国製オープンウェイトモデルへの依存を強めている。
MAHA活動家による書簡は、2025年の大統領令が汚染を懸念しつつデータセンター向け石炭利用を推進していることを遺憾とし、太陽光や地熱などの再生可能エネルギーを検討するよう求める内容だ。書簡は「米国のAI分野におけるリーダーシップは、子供たちへのより有毒な負担を犠牲にして達成されるべきではない」と主張する。この動きは、環境政策を巡り多様な活動家グループとトランプ政権の間に生じた亀裂の最新例であり、11月の議会選挙を控え共和党にとって新たな課題となる可能性がある。
中国では、AIが経済成長の主要な原動力となっている。中国移動、中国電信、中国聯通の国有通信3社は、AIトークンを成長戦略の中心に据えている。中国電信は上半期のインテリジェントコンピューティング収入が95%増加し、中国聯通はコンピューティングパワー収入が419億元に達した。また、杭州ではAIを活用した「ワンマンカンパニー(OPC)」が急増しており、全国のOPCコミュニティ数は今年上半期に95から618へと増加した。AIがコーディングの80%を処理する時代において、技術的バックグラウンドを持たない起業家も増えている。
欧州では、フランスのAI企業Mistralが、欧州の「主権的AI」インフラ構築のため、中国のZ.ai(Zhipu)が開発したオープンウェイト大規模言語モデル「GLM-5.2」を採用することを決定した。米国のエンティティリストに掲載されている中国企業のモデルを欧州の主要AI企業が採用することは、欧州の技術的自立を目指す戦略と現実のギャップを示している。また、OpenAIが出資する米国の法務テック企業Harveyも、中国のMoonshot AIが開発した「Kimi K3」を基盤とする自社モデルを構築した。
こうした動きは、AI開発コストの高騰を背景に、西側企業が中国製オープンウェイトシステムへ移行していることを浮き彫りにしている。一方、AIの社会的影響については、年齢や経済的状況によって認識が分かれる。Public Firstの調査によると、18〜24歳の若年層はAIが批判的思考やキャリア形成に与える影響を懸念しており、経済的に余裕のある層ほどAIに対して肯定的な見方を持っている。
カリフォルニア大学デービス校のマーティン・ケニー名誉教授は、AIが真の経済革命をもたらすか疑問視し、むしろ太陽光、電池、電気自動車といった「クリーンテクノロジーの三つ組」が世界経済に大きな影響を与える可能性を指摘する。また、アフリカと中国のメディア協力はAI時代のスキル構築を目指して深化しており、アフリカ放送連合のグレゴワール・ンジャカCEOは、アフリカがAI技術を単に消費するのではなく、自らの発展のために理解し適応するスキルを開発する必要があると強調している。
AIの安全性を巡っては、OpenAIの元政策研究責任者であるマイルズ・ブルンダージ氏が、企業が自主的に独立した監査を受け入れ、業界横断的な調整組織に参加し、AIの国際的なガードレールを支える技術に投資し、安全性を強化する立法を積極的に支援すべきだと提言している。彼は、AI企業が安全性で他社に遅れを取り、外部監査を拒否し、ブレーキを求めながらそれを構築する努力を怠れば、問題が発生した際にAI競争のせいにはできないと警告する。