ドナルド・トランプ米大統領は19日、イランに対する「史上最も破壊的な経済作戦」を開始すると宣言し、イランに「いかなる生命線」を提供する国には「甚大な経済的報復」を科すと警告した。トランプ氏は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で「これは前例のない規模の経済戦争と孤立化だ」と述べ、原油密輸、為替スワップ、現金送金、両替商、船舶登録、フロント企業などの活動を「今すぐ停止せよ」と要求した。ただし、具体的な制裁内容や対象国は明示されなかった。
この発表は、米国とイスラエルが2月28日に開始した戦争がまもなく6か月を迎え、外交・軍事双方で出口が見えない中で行われた。イランはホルムズ海峡を通る船舶への事実上の封鎖を継続しており、世界の取引原油の約5分の1が通過するこの要衝の混乱は、国際的なエネルギー価格を押し上げている。米国とイランは4月と6月に停戦合意を発表したが、いずれも崩壊した。
トランプ氏は「経済上のDデー」と表現し、同盟国に対し「米国と共にイランの脅威を孤立させ、打ち負かす」よう呼びかけた。財務長官のスコット・ベッセント氏も先週、米国は「世界がかつて見たことのない経済的孤立」をイランに課すと述べており、米財務省は数か月前から「経済的怒り作戦」と称する制裁を実施している。
一方、アラブ首長国連邦(UAE)は18日、イランが自国に向けて弾道ミサイル2発を発射したと主張し、イランとのすべての貿易・金融取引を停止すると発表した。イランはミサイル発射を「断固として否定」している。UAEはイランにとって最大の貿易相手国の一つであり、この決定はイラン経済にさらなる打撃を与えるとみられる。
イランは強気な姿勢を崩しておらず、外相のアッバス・アラグチ氏は「経済的Dデー」の呼びかけを「失敗した政策の継続」と切り捨て、「米国にさらなる敗北をもたらすだけだ」と述べた。また、イラン軍は報復から攻勢への戦略転換を示唆しており、最高指導者モジタバ・ハメネイ氏は先月、軍事司令官の再編を行い、「最大限の抑止力の強化と大規模な攻勢作戦の準備」を指示した。
この緊張の高まりは、世界経済に深刻な影響を及ぼす可能性がある。ホルムズ海峡の封鎖はエネルギー価格を押し上げ、すでにソマリア沖では海賊行為が再活性化している。米国はイラン支援国への制裁をちらつかせるが、イラン産原油の80%以上を購入する中国への適用は報復を招くリスクがあり、実際の実行は不透明だ。