ドナルド・トランプ米大統領は、先月のトルコ訪問中にイランによる暗殺の具体的かつ差し迫った脅威があったため、エアフォースワンを囮(おとり)として利用し、極秘裏に別の軍用機へ乗り換えていたことを認めた。この作戦は、ホワイトハウス関係者や記者団が搭乗したまま離陸したエアフォースワンが標的となる可能性がある中で実行され、乗員らはその危険を知らされていなかった。
ワシントン・ポスト紙などによると、トランプ氏は7月8日、NATO首脳会議が開催されたアンカラからの離陸に際し、カメラの前で旧型エアフォースワンに搭乗した後、ケータリング用トラックのコンテナに隠れて小型のC-32A機へ移動した。エアフォースワンにはマルコ・ルビオ国務長官やスコット・ベッセント財務長官ら高官、報道陣約13人が搭乗し、そのまま囮として英国へ向かった。トランプ氏は記者団に対し、「シークレットサービスと軍の指示に従った」「脅威があったと思うが、詳しくは聞いていない」と述べ、自身が乗った機体の方がむしろ危険だった可能性があると主張した。
この極秘作戦をめぐっては、民主党から議会への説明を求める声が上がり、元CIA当局者からは「トランプ氏の危険を減らすために約100人をイランの標的に差し出した」との批判も出ている。一方、トランプ氏は「私は何も心配しない」と語り、作戦の正当性を強調した。イランは2月に米イスラエル軍の攻撃で最高指導者アリ・ハメネイ師が殺害されて以降、トランプ氏への報復を公に誓っており、今回の事件は中東情勢の緊張の高まりを浮き彫りにした。