The Morning Star Observer

2026年08月13日 木曜日朝刊 (Morning Edition)ArchiveAbout

イラン暗殺脅威でトランプ米大統領が極秘に機体変更、エアフォースワンは囮に

ドナルド・トランプ米大統領は、先月のトルコ訪問中にイランによる暗殺の具体的かつ差し迫った脅威があったため、エアフォースワンを囮(おとり)として利用し、極秘裏に別の軍用機へ乗り換えていたことを認めた。この作戦は、ホワイトハウス関係者や記者団が搭乗したまま離陸したエアフォースワンが標的となる可能性がある中で実行され、乗員らはその危険を知らされていなかった。

ワシントン・ポスト紙などによると、トランプ氏は7月8日、NATO首脳会議が開催されたアンカラからの離陸に際し、カメラの前で旧型エアフォースワンに搭乗した後、ケータリング用トラックのコンテナに隠れて小型のC-32A機へ移動した。エアフォースワンにはマルコ・ルビオ国務長官やスコット・ベッセント財務長官ら高官、報道陣約13人が搭乗し、そのまま囮として英国へ向かった。トランプ氏は記者団に対し、「シークレットサービスと軍の指示に従った」「脅威があったと思うが、詳しくは聞いていない」と述べ、自身が乗った機体の方がむしろ危険だった可能性があると主張した。

この極秘作戦をめぐっては、民主党から議会への説明を求める声が上がり、元CIA当局者からは「トランプ氏の危険を減らすために約100人をイランの標的に差し出した」との批判も出ている。一方、トランプ氏は「私は何も心配しない」と語り、作戦の正当性を強調した。イランは2月に米イスラエル軍の攻撃で最高指導者アリ・ハメネイ師が殺害されて以降、トランプ氏への報復を公に誓っており、今回の事件は中東情勢の緊張の高まりを浮き彫りにした。

米インフレ7月3.4%に鈍化も高止まり、ホルムズ海峡封鎖で世界経済に影

米労働省が12日に発表した7月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比3.4%上昇と、6月の3.5%からわずかに鈍化した。変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数は2.5%上昇と、6月の2.6%から低下した。市場予想と一致する内容で、エネルギー価格の一時的な落ち着きが寄与したが、物価上昇率はイラン戦争前の2月(2.4%)をなお上回る。

エネルギー価格は前月比1.5%低下したものの、前年同月比では14.7%上昇。ガソリン価格は前月比2.9%下落したが、前年同月比では24.6%上昇しており、全米平均は1ガロン(約3.8リットル)当たり4ドル前後と、戦争前より1ドル以上高い水準にある。食品価格は前月比0.1%上昇、前年同月比3%上昇にとどまり、レタスは食中毒(サイクロスポーラ)の発生を受け前月比16%超下落した。

今回の指標は、インフレ抑制のため利上げを検討する米連邦準備制度理事会(FRB)の判断に影響を与える。市場では9月の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ確率は40%未満に低下した。一方、7月の雇用統計では23万人の雇用減と、賃金上昇率(前年同月比3.2%)がインフレ率(3.4%)を下回るなど、家計への圧迫が続く。クリーブランド連銀のベス・ハマック総裁は「今こそ行動すべき時だ」と利上げを主張する一方、ケビン・ウォーシュFRB議長は単月のデータに過度に反応しない姿勢を示しており、当局内の対立が鮮明になっている。

世界経済では、中東情勢の悪化がエネルギー供給に深刻な影響を及ぼしている。国際エネルギー機関(IEA)は12日、2026年の世界の石油需要見通しを日量160万バレル減と、前回予測(100万バレル減)から下方修正した。ホルムズ海峡の封鎖が続く中、世界の供給量は今年日量430万バレル(約4%)減少し、需給ギャップは日量127万バレルに拡大するとの見通しを示した。ブレント原油は1バレル89ドル前後で推移し、ユーロ圏ではエネルギー価格高騰がインフレを再燃させている。ドイツの7月の消費者物価は前年同月比2.8%上昇と、6月の2.3%から加速。政府の燃料補助金終了と原油高が要因で、コア指数は2.4%とむしろ低下しており、欧州中央銀行(ECB)の政策運営が難しさを増している。

ウクライナ情勢では、ロシアの黒海港ノヴォロシースクの穀物ターミナルがウクライナ軍の攻撃で操業停止に追い込まれ、国際的な小麦価格が高騰している。ロシア外務省のザハロワ報道官は、ウクライナの攻撃が世界的な食料価格上昇と穀物不足を悪化させていると非難した。フランスの穀物生産も山火事で打撃を受け、2026年のトウモロコシ収穫量は1980年以来の低水準となる見通しだ。これらの要因が重なり、世界的なインフレ圧力は当面続くとの見方が強い。

コロンビア大地震、死者240人超・行方不明2700人規模に 国家非常事態宣言下で救出活動続く

現地時間8月10日午前7時34分、コロンビア西部をマグニチュード7.4の地震が襲い、同国は今世紀最悪の自然災害に見舞われた。震源地はチョコ県サンホセ・デル・パルマール付近で、カリ、ペレイラ、マニサレス、キブドなど西部の主要都市で建物が倒壊し、少なくとも240人が死亡、公式発表で約2700人が行方不明となっている。負傷者は2000人を超え、被災地では今もがれきの下からの救出活動が続いている。

就任からわずか5日目のアベラルド・デ・ラ・エスプリエジャ大統領は、国家災害状態と3日間の国家哀悼期間を宣言し、続いて経済緊急事態を宣言した。政府は世界銀行に対し最大4億5000万ドルの融資を要請する一方、新税導入は行わない方針を示した。また、被災家族への家賃補助も約束している。国際社会も支援に動き、米国は1550万ドルの緊急援助と捜索救助チームの派遣を決定、欧州連合は210万ユーロの支援を表明した。メキシコは数百人の救助隊員と医療従事者の派遣を用意し、エルサルバドルは100トンの支援物資を積んだ航空機2機を送る。ローマ教皇レオ14世も最初の支援として10万ユーロを拠出した。

被災地では、カリ市のアレハンドロ・エデル市長が夜間外出禁止令と軍の展開を決定。市内では56の建物が完全に倒壊し、うち8か所で生存者の可能性があるとして救出活動が集中している。ペレイラでは、倒壊した建物の下敷きになって36時間が経過した32歳の女性ダニエラ・ラルゴさんが、10時間に及ぶ救出作戦の末に生還。カリでは、生後2か月の乳児サロモン君が父親に守られる形で約48時間ぶりに救出され、家族が再会を果たすなど、絶望の中にも希望のニュースが届いている。しかし、救助活動の「黄金の72時間」が迫る中、チョコ県など震源地周辺の山間部では道路寸断や余震により支援の到達が難航しており、被災の全容はなお不明である。

中国の経済改革の設計者・朱鎔基氏が死去、97歳

中国の元首相で、市場改革を推進し同国の驚異的な経済成長を牽引した朱鎔基氏が、現地時間12日午前、病気のため北京で死去した。97歳だった。国営新華社通信が伝えた。

中国の主要政治機関が連名で発表した訃報によると、朱氏は同日午前11時過ぎに「治療の甲斐なく」死去した。訃報は朱氏を「中国共産党の優れた党員であり、長く試練を経た忠実な共産主義の戦士」と評し、「その生涯は革命の生涯、奮闘の生涯、栄光の生涯であり、人民に心から奉仕し、共産主義事業に捧げられた」と述べた。

朱氏は1928年、毛沢東の故郷である湖南省長沙で生まれた。清華大学で電気工学を学び、1949年に中国共産党に入党。経済計画担当者としてキャリアを積んだが、1957年にハンガリーやユーゴスラビアの改革を称賛したことで「右派」のレッテルを貼られ、文化大革命中には農村への下放を余儀なくされるなど、22年にわたって失意の時期を過ごした。

1979年に名誉回復後、急速に昇進し、1988年に上海市長に就任。1991年に副首相、1998年に首相に就任し、2003年まで務めた。首相在任中は、国営企業の民営化や都市住宅の民営化、住宅所有の促進など、一連の市場重視の改革を断行。約3000万人の労働者が職を失う痛みを伴う改革だったが、中国経済の効率化と成長を飛躍的に促進した。

また、1980年代から続いた関税及び貿易に関する一般協定(GATT)・世界貿易機関(WTO)加盟交渉を主導し、2001年のWTO加盟を実現。これにより中国は世界最大の輸出国へと変貌を遂げ、2000年から2010年にかけて年平均8%以上の経済成長を維持し、2007年には14.2%のピークを記録した。

朱氏はその率直で歯に衣着せぬ物言いから「ボス」「狂人朱」などの異名を取り、「私はここに100本の棺を用意した。99本は腐敗した役人用、1本は自分用だ」との発言でも知られた。退任後は公の場にほとんど姿を見せなかったが、その改革の遺産は、現在の中国経済の繁栄と格差拡大の両方の基盤となっている。

政治 (Politics)

ウクライナ、黒海艦隊拠点ノヴォロシースクを大規模攻撃 露艦艇4隻損傷、穀物ターミナル停止

ウクライナは12日未明、ロシア黒海艦隊の主要拠点であるノヴォロシースク海軍基地に対し、ジェット推進無人機「パリアニツィア」、ネプチューン巡航ミサイル、無人水上艇を併用した大規模攻撃を実施した。ウクライナ軍参謀本部は予備情報として、ロシア軍艦艇4隻(11356型フリゲート「アドミラル・マカロフ」と「アドミラル・エッセン」、21631型小型ミサイル艦「ブヤンM」、22160型哨戒艦「ヴァシリー・ブイコフ」)が様々な程度の損傷を受けたと発表した。ウォロディミル・ゼレンスキー大統領はこの作戦を「独特の作戦」と評し、「占領艦隊とそれを支える全インフラは、ロシアの侵略が続く限り安全ではない」と警告した。

ロシア側はクラスノダール地方で民間人の犠牲が出たと報告した。ノヴォロシースク市長のアンドレイ・クラフチェンコ氏によると、子ども1人が死亡し、8人が負傷、集合住宅を含む21棟の住宅と4事業所が被害を受けた。クラスノダール地方知事のベニアミン・コンドラチェフ氏は、地域全体で別の1人が死亡し、計12人が負傷したと述べた。ロシア国防省は、複数地域と黒海上空でウクライナ無人機502機を迎撃・破壊したと発表した。

攻撃により、ノヴォロシースクの穀物輸出インフラも機能停止に追い込まれた。業界筋によると、同港の主要穀物ターミナル2か所が操業を停止。年間輸出能力計1560万トンに上る。ロシアは世界最大の小麦輸出国であり、黒海経由の輸出が重要な収入源となっている。ロシア穀物業界団体は、ウクライナの攻撃継続が黒海経由の穀物輸出に影響を及ぼし、アフリカや中東市場への供給に悪影響を与える可能性があると警告していた。

一方、ウクライナはオレンブルク州のオルスク製油所も攻撃した。ロシアのオレンブルク州は燃料配給制とナンバープレートの奇数・偶数による給油制限を導入した。同州知事は「敵の最新のテロ行為が問題を引き起こした」と述べ、緊急車両の運行確保のためと説明した。

今回の攻撃は、ロシアがウクライナの都市へのミサイル・無人機攻撃を強化する中で行われた。ウクライナ当局によると、ロシア軍は前日までにウクライナ全土で少なくとも民間人10人を殺害した。ゼレンスキー大統領は、ザポリージャの製鉄所への攻撃で北朝鮮製弾道ミサイルが使用されたと非難した。同製鉄所では労働者7人が死亡、21人が負傷した。また、ロシアがさらに北朝鮮軍の派遣を受ける準備をしていると主張した。

ゼレンスキー大統領は、ウクライナと国際パートナーがロシアに戦争終結を強いる共同計画を有していると述べた。「プーチンはこの戦争を止めたがらないが、彼は止めるだろう。我々には計画がある」と述べた。また、ウクライナは米国側に和平案を提出済みであることも明らかにした。

イラン情勢緊迫化:米国との戦争長期化の兆候、サウジは防衛同盟構築、イラクは財政危機

イランと米国の対立が長期化の様相を呈している。イラン革命防衛隊(IRGC)の司令官上級顧問は、トランプ米大統領の退任まで戦争を引き延ばす「消耗戦」戦略を示唆した。一方、トランプ大統領はホルムズ海峡の完全な支配を主張し、イランの弱体化を強調するが、停戦交渉は停滞し、米国の武器備蓄は減少、戦略石油備蓄の取り崩しも進むなど、出口の見えない戦争に直面している。

こうした中、サウジアラビアはイランとその同盟勢力の攻撃を抑止するため、トルコ・パキスタンとの防衛協定締結や紅海での海上防衛連合構想など、地域防衛同盟の構築を進めている。しかし、フーシ派による石油施設攻撃などは続いており、その効果には疑問も残る。また、イラクではホルムズ海峡封鎖の影響で石油輸出が激減し、政府の財政が悪化。公務員の給与遅配が発生し、経済危機が深刻化している。

さらに、EUと26カ国はイランによる抗議者への死刑執行を非難する共同声明を発表した。一方、米国の7月のインフレ率はイラン戦争開始以来の低水準となったが、依然としてユーロ圏やフランスより高い。米国の水処理施設への大規模なサイバー攻撃は、イランの関与が疑われており、新たな戦線として警戒が高まっている。

プーチン大統領、欧州によるロシア船舶拿捕への報復を警告

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は12日、欧州諸国がロシアの「影の船団」から押収した貨物の売却計画を実行に移した場合、欧州諸国の船舶を拿捕する報復措置を取ると警告した。プーチン氏は極東での海軍演習視察中、サハリン沖の巡洋艦「ワリャーク」船上で演習部隊に対し、「国際海洋法に違反して、我々の経済事業者が運航する船舶の航行を制限しようとする特定国の当局の試みを我々は目の当たりにしている」と述べた。

プーチン氏は、欧州諸国がロシア船舶の拿捕と押収財産の売却を検討していることを「海賊行為であり強奪に他ならない」と非難。「これらの計画が実行に移されれば、我々は同様の措置で応じざるを得なくなるだろう」と強調した。その上で、報復措置はロシア船舶が拿捕された海域に限定されず、「我々自身が必要かつ適切と判断するあらゆる場所、どこでも」実行され得ると述べ、国防省と太平洋艦隊に既に関連指示を出したことを明らかにした。

この警告は、欧州連合(EU)が7月に採択した第21次制裁パッケージに基づき、影の船団による制裁回避を防ぐため、押収したロシア産石油や穀物などの売却を加盟国に認める新たなメカニズムを受けたものだ。今年に入り、スウェーデン、フランス、英国、ベルギーなどが影の船団の船舶を少なくとも10隻拿捕している。スウェーデンは3月に拿捕した乾貨物船「カッファ」をウクライナに引き渡す決定を8月に下した。また、米国も1月にロシア国旗を掲げたタンカーを拿捕し、最近になってスクラップとして売却した。

一方、プーチン氏はNATOがアジア太平洋地域への進出を進め、北極圏での緊張を高めていると非難した。今回のロシア海軍演習は、米韓合同軍事演習の約1週間前に行われており、北朝鮮の侵攻を想定した訓練を前に、地域の緊張が高まっている。キーウとソウルは、平壌とモスクワが軍事協力をさらに強化していると非難している。プーチン氏の警告は、ロシアと西側諸国との間の緊張をさらに悪化させ、海上安全保障や商業航路に影響を及ぼす可能性がある。

ウィスコンシン州知事選民主党予備選、穏健派クローリーが勝利 左派の勢いに翳り

11日に行われた米ウィスコンシン州知事選の民主党予備選で、ミルウォーキー郡長のデービッド・クローリー氏(40)が、民主社会主義者のフランチェスカ・ホン氏(37)を僅差で破り、党公認候補に指名された。クローリー氏は11月の本選で、ドナルド・トランプ大統領が支持する共和党のトム・ティファニー下院議員と対決する。クローリー氏は州初の黒人知事を目指す。

クローリー氏は7月8日に一度は撤退を表明したが、18日に再出馬し、現職のトニー・エバース知事の支持を取り付けて巻き返した。開票率95%時点でクローリー氏の得票率は39.9%、ホン氏は39.5%と僅差だったが、ホン氏が敗北を認め、再集計の可能性がなくなったことでAP通信がクローリー氏の勝利を確定した。ホン氏は無料の保育・医療、AIデータセンター建設の1年間凍結などを訴え、民主党左派の支持を集めたが、過去の警察予算削減や感謝祭廃止などの発言が響いた。

一方、隣接するミネソタ州では、民主党上院予備選で進歩派のペギー・フラナガン副知事が穏健派のアンジー・クレイグ下院議員を破り、左派が勢いを見せた。ウィスコンシン州の結果は、ミシガン州でのアブドゥル・エルサイード氏の勝利など、民主党左派の連勝に一つの歯止めをかける形となった。民主党は11月の本選で、トランプ大統領の支持率低迷を追い風に、知事職の維持と州議会両院の奪還による州政権の完全掌握を目指す。

世界の司法を巡る攻防:バングラデシュで法廷報道規制に抗議、イスラエルでは司法改革を巡り最高裁と政府が対立、南アフリカではラマポーザ大統領弾劾手続きを憲法裁判所が却下

【バングラデシュ・ダッカ】最高裁判所が法廷への記者立ち入りを禁止した問題で、法律記者フォーラム(LRF)が主催する座り込みに200人以上の記者が参加し、憲法違反だと抗議した。編集者ギルド会長でニュー・エイジ紙編集長のヌルル・カビール氏は「血なまぐさい大衆蜂起の後、社会に民主主義と正義を確立することが目標だった。にもかかわらず、裁判所が国民の知る権利を奪っている」と批判した。ダッカ記者連合会長のシャヒドゥル・イスラム氏は「権利が回復されなければ、さらに強力な行動を取る」と警告した。

【イスラエル・エルサレム】最高裁判所は、スデ・テイマン刑務所でのパレスチナ人被拘束者虐待疑惑をめぐるビデオ漏洩事件の捜査を州検察官が担当できるとの判断を示した。これは、リービン法相が司法省の関与を排除しようとした試みへの打撃である。一方、リービン法相は、自身が再選された場合、リベラル派の最高裁判事は「絶滅するだろう」と述べたと報じられ、政府と司法の対立が一層深まっている。

【南アフリカ・ヨハネスブルグ】憲法裁判所は、ラマポーザ大統領の弾劾調査をめぐり、西ケープ高裁が下した一時差し止め命令を覆そうとしたアフリカ変革運動(ATM)などの直接上訴を却下した。憲法裁判所は、ラマポーザ氏の審査請求の結果が差し止め命令を無意味にする可能性があるとして、現段階で審理するのは司法の利益にならないと判断した。ATMは決定を「悪い前例」と批判し、ラマポーザ氏が時間稼ぎをしていると非難した。

米国、ソマリア・プントランドで軍事拠点拡大へ:紅海情勢に対応

米国は、ソマリア北東部の半自治州プントランドとの間で、アデン湾に面する港湾都市ボサソの米軍基地拡大に合意した。8月上旬、米アフリカ特殊作戦軍司令官クロード・テューダー少将とプントランド大統領サイード・アブドゥラヒ・デニが署名した覚書により、対テロ作戦と海洋安全保障の向上を目的とする。この動きは、紅海とアデン湾を結ぶバブ・エル・マンデブ海峡をめぐるイエメンのフーシ派による海上封鎖宣言など、地域の緊張が高まる中で行われた。

ボサソ空軍基地は、アラブ首長国連邦(UAE)が建設し、これまで主にUAE支援のプントランド海上警察隊(PMPF)が使用してきた。国連の武器禁輸措置が2023年末に解除されるまで、この基地とPMPFは国連安保理決議1425に違反するものとされていた。また、基地からはスーダンの準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」向けとみられる武器や物資が移送されてきたとされる。

今回の合意は、米国がソマリア連邦政府を迂回し、プントランドと直接交渉した点で法的に問題がある。プントランドは2024年の憲法改正をめぐり連邦政府と対立しており、6月から7月にかけて両者の間で少なくとも7回の武力衝突が発生している。米国はまた、ジュバランドの指導部とも会合を持っており、ソマリア国内の分断を利用した軍事プレゼンス強化との見方がある。

米国はソマリアでの無人機攻撃を拡大しており、ドナルド・トランプ大統領の2期目に入ってからこれまでに205回の空爆を行った。ペンタゴンはアフリカ軍団(AFRICOM)に作戦権限を委譲し、ホワイトハウスの承認なしに無人機攻撃を可能にする秘密指令も発出されている。米国は7月に国連ソマリア支援事務所への資金・兵站支援を打ち切っており、多国間関与から単独行動へとシフトする姿勢が鮮明となっている。

ガザ停戦協議の膠着続く中、イスラエル軍が1週間ぶり空爆実施、ハマス司令官殺害

イスラエル軍は12日、ガザ北部ベイト・ラヒヤで空爆を実施し、ハマスの司令官1人を殺害した。これは1週間以上ぶりのガザへの空爆であり、米国が仲介する停戦計画を巡る緊張が続く中での攻撃となった。イスラエル軍は、司令官が部隊への攻撃を計画していたと主張し、「脅威の除去」を目的としたと説明した。一方、ハマス系のガザ民間防衛機関は、空爆は民間人が乗る三輪車を標的にしたもので、1人が死亡、5人が負傷したと発表した。

今回の空爆は、米国主導の「平和委員会」が進める15項目の停戦案を巡り、ネタニヤフ首相が公に拒否姿勢を示す中で発生した。同案はハマスの武装解除とイスラエル軍の撤退を求めるものだが、双方の条件面での対立が続いている。イスラエル軍は先週、標的殺害のルールを厳格化しており、差し迫った脅威の除去以外の攻撃には参謀総長の承認が必要となっている。軍は「交戦規則に変更はない」と強調しているが、現場の兵士からは実質的な運用変更を指摘する声も出ている。

また、イスラエル国防相は、レバノン、シリア、ガザの占領地からは「いかなる状況でも」撤退しないと表明した。一方、米政権はネタニヤフ首相の拒否発言を許容する姿勢を見せており、イスラエル軍の行動を重視している。米政府高官は「イスラエル選挙を考慮し、ネタニヤフ首相にメッセージ発信の余地を与えている」と述べた。和平案を巡っては、ハマスが武装解除に同意した一方、イスラエルの撤退が条件となっており、今後の進展にはなお多くの課題が残されている。

米国、重要鉱物確保で30億ドル投入へ アルゼンチンが射程圏に

米国は重要鉱物の安定供給確保と中国依存低減を目指し、戦略を加速させている。ドナルド・トランプ大統領はワシントンで世界の主要鉱山企業の経営陣を集め、戦略物資の採掘・加工・生産プロジェクトに対し、総額約30億ドルの支援パッケージを発表した。この動きには米国政府が直接関与しており、国防総省や米国輸出入銀行(EXIM)などが資金供給元に名を連ねる。

対象となる鉱物はリチウム、銅、グラファイト、スカンジウムなどで、防衛、電気自動車、半導体、エネルギー、人工知能といった産業で使用される。中国がこれらの鉱物の精錬・加工能力の多くを握っていることが背景にある。アルゼンチンは銅とリチウムの埋蔵量が豊富で、BHPやリオ・ティントといった参加企業が既に投資を進めており、今回の発表でアルゼンチンが重要な供給源として浮上した。

米国はEXIMや国際開発金融公社(DFC)を通じ、アルゼンチンの戦略的セクターへの米国投資の資金調達メカニズムを検討することを約束。4月には在アルゼンチン米国商工会議所と米国商工会議所が共同宣言を発表し、銅とリチウム関連の資金調達、インフラ、技術移転、付加価値創出を加速させる方針を示した。7月末にはEXIMがアルゼンチンに対する短期・中期(最長7年)の融資枠を維持することを決定している。

BHPはサンフアン州のビクーニャ鉱区で銅・金・銀プロジェクトを進め、総額97億3700万ドルの投資計画が承認された。また、メンドーサ州では銅探査のためカナダ企業と契約を締結。リオ・ティントはサンフアン州のロス・アスレスの17.2%を保有し、サルタ州のタカ・タカ鉱山への出資も検討している。さらに、リチウム事業では2025年にアルカディウム・リチウムを買収し、サルタ州のリンコン鉱山に約27億ドルを投じる計画だ。

この米国の動きは、重要鉱物を巡る国際的な供給網再編を加速させるとみられ、アルゼンチンはその中心的な供給国としての地位を固めつつある。

北朝鮮が再び弾道ミサイル発射、米韓合同演習を前に緊張高まる

北朝鮮は12日午前6時ごろ、元山(ウォンサン)付近から弾道ミサイル1発を東側海域に向けて発射した。韓国軍合同参謀本部が明らかにした。発射は、米韓が17日から27日まで実施予定の定例合同演習「乙支フリーダムシールド(UFS)」を前にしたもので、北朝鮮による弾道ミサイル発射は1週間足らずで2回目となる。

ミサイルは約700キロ飛行し、朝鮮半島と日本の間の海域に落下したとみられる。韓国と日本の防衛当局が確認した。韓国軍はミサイルの正確な種類を特定しておらず、詳細な分析を進めている。韓国国立統一研究院の洪珉(ホン・ミン)上席研究員は、発射は北朝鮮の既存の兵器開発計画の一環である可能性が高いとしつつも、「開発中の兵器の試験であっても、実施時期の決定には政治的判断が必要だ」と指摘し、演習を前にしたメッセージの可能性を示唆した。

韓国と日本は今回の発射を強く非難した。韓国は国家安全保障会議を緊急開催し、国連安全保障理事会決議に違反する挑発行為の中止を求めた。日本は北京の大使館を通じて北朝鮮に抗議した。米国は韓国・日本と緊密に協議していると述べ、米軍や同盟国への直接の脅威はないとの初期評価を示した。

今回の発射は、2026年に入ってから北朝鮮による11回目の弾道ミサイル発射とみられる。北朝鮮は今年に入り、短距離弾道ミサイルや砲兵ロケット、その他の戦術兵器の試験を繰り返している。また、北朝鮮は韓国の核潜水艦計画や日本の核武装論を非難するなど、地域の緊張が高まっている。

ロシア、ウクライナの製油所攻撃で初のインド産ガソリン輸入へ 国内燃料不足深刻化

ロシアがウクライナ軍による製油所への相次ぐ攻撃で国内の燃料不足が深刻化する中、インドから初めてガソリンを輸入したことが明らかになった。市場分析会社Kplerのデータによると、最初の貨物は8月5日にロシアの港に到着し、追加の輸送も予定されている。インドの製油会社ナヤラ・エナジー(ロシア国営石油会社ロスネフチが部分出資)が供給元となり、燃料はエジプト沖での船舶間輸送を経て、ロシア関連タンカーによって運ばれた。

ウクライナは7月以降、ロシアの製油所への攻撃を強化しており、専門家の試算ではロシアの原油処理量は7月に日量平均360万バレルと、通常の季節水準を約3分の1下回った。これに対応するため、ロシアはガソリンとディーゼルの輸出禁止措置を導入し、ベラルーシやカザフスタンからの輸入に依存してきたが、インドからの長距離輸送は供給逼迫の深刻さを浮き彫りにしている。Kplerのアナリスト、スミット・リトリア氏は「インド産の輸入は、国内のガソリン需給の不均衡の深刻さと、製油所の稼働率低下がロシアの伝統的な製品貿易フローを変容させていることを示している」と指摘した。

一方、ロシアはウクライナのガソリンスタンドへの攻撃を強化しており、7月以降、ウクライナ全土で200以上の給油所が攻撃を受けた。ウクライナ政府は、これらの攻撃は民間インフラを破壊し、冬季に向けて人道・経済状況を悪化させることを目的としていると非難している。また、ロシアの大手オンライン小売業者ワイルドベリーズの倉庫もウクライナ軍のドローン攻撃の標的となっており、広告支出の減少や物流の混乱が生じている。こうした攻撃はロシア経済に打撃を与えることを目的としているが、専門家は軍事供給への影響は限定的だと分析している。

さらに、ウクライナ軍は黒海のノヴォロシースク港にあるロシアの主要穀物ターミナル2か所をドローン攻撃し、操業を停止させた。ロシアは世界最大の小麦輸出国であり、黒海経由の輸出が大部分を占めるため、攻撃が続けば世界的な食料価格の上昇を招く可能性がある。こうした中、ロシア経済はウクライナ戦争の長期化と西側制裁により、成長の鈍化と財政赤字の拡大に直面している。しかし、米国・イスラエルとイランの戦争によりエネルギー価格が上昇し、ロシアの歳入は一時的に押し上げられている。米国上院はロシア産エネルギー購入国への最大100%の関税を支持しており、今後のロシア経済の行方が注目される。

韓国造船大手、南米市場で潜水艦・艦艇輸出を拡大へ

韓国の大手造船企業が南米諸国の海軍向けに艦艇・潜水艦の輸出を積極的に進めている。HD現代重工業は2024年にペルー国営SIMA社とフリゲート艦や哨戒艦、揚陸艦など4隻の建造契約を締結しており、これは韓国企業による南米最大の防衛輸出と報じられている。さらに同社は初の潜水艦輸出を目指し、約1,500トン級潜水艦の基本設計をSIMA社と完了したとされる。一方、ハンファ・オーシャンはチリ海軍に対し、潜水艦「オーシャン2000」とフリゲート艦「オーシャン4500」の設計を提案している。

両社とも技術移転や現地建造、現地造船所との提携を武器に南米市場での受注を狙う。ペルーでの潜水艦契約が成立すれば、アルゼンチンなど近隣市場への足掛かりとなる可能性がある。ただし、ペルー潜水艦の建造契約はまだ正式に結ばれておらず、チリの調達計画も時期は不透明だ。韓国企業にとって、単なる艦艇販売ではなく、造船所の能力や維持契約、数十年にわたる関係構築が真の狙いであり、南米諸国にとっては自国で近代的な艦隊を整備できる利点がある。

サンティジ内閣官房長官、北部州知事らと会合 エネルギー料金引き下げ巡り調整

アルゼンチンのサンティジ内閣官房長官は12日、北部グランデ第24回総会に出席し、北部諸州の知事らと会合を持った。政府は上院での「敗北に等しい勝利」の後、被害を最小限に抑えようとしており、サンティジ氏は州知事らの支持を取り付けようとしている。焦点は、エネルギー料金の引き下げを求める北部諸州の要求と、政府が進める「寒冷地帯」制度の廃止を巡る駆け引きである。

会合はミシオネス州のパサラクア知事が主催し、チョー州、コリエンテス州などガス幹線網に未接続の州が、電力料金の差別化を求めた。サンティジ氏は9月28日までにエネルギー省の決議を得ることを約束したとされる。州知事らは、議会での法整備は時間的に困難として、エネルギー省の決議による実現を期待している。一方、政府内では、財政均衡を重視するカプト経済相とミレイ大統領が最終的な決定権を持つとみられている。

会合には、フォルモサ州のインスフラン知事やラ・リオハ州のキンテラ知事は出席せず、ペロン主義系の強硬派は欠席した。サルタ州のサエンス知事は道路整備の緊急性を訴え、「国家の財政上の必要性に応えるだけでなく、アルゼンチン全体を見る時だ」と述べた。また、カタマルカ州では、サンティジ氏とカプト氏が週末に州知事らと会合し、水道整備事業を開始する予定である。州知事らは、エルニーニョ現象による洪水リスクへの対応や、工業製品輸出のための制度整備も求めた。

社会 (Society)

欧州全域を襲う深刻な水不足:記録的干ばつで河川水位低下、仏独で危機対応迫られる

2026年夏、欧州は記録的な熱波と干ばつに見舞われ、フランスとドイツを中心に水不足が深刻化している。フランスでは今年5回目となる熱波が全土を覆い、78県にオレンジ警報が発令された。気温は36度から42度に達し、飲料水の供給制限は6200万人の家庭に影響を与えている。ドイツではライン川の水位が観測史上最低を記録し、貨物船の航行が停止するなど、経済活動への打撃が拡大している。

フランス政府は水不足に対応するため、モニク・バルビュ環境移行相が主宰する水文監視委員会を今夏4回目となる緊急招集し、全国的な危機対応を協議した。97のコミューンで3万5000人から4万人が断水の被害を受けており、国内300万人が「警戒」対象となっている。ブルターニュ地域圏とグラン・テスト地域圏で干ばつによる制限令が出されたのは初めてのことである。

パリなど都市部では、猛暑の中でエアコン設置を巡る住民間の紛争が法廷に持ち込まれる事態となっている。フランスの規制では、建物の外観を変えるエアコン設置には管理組合や市長の許可が必要であり、歴史的建造物や景観保護地区ではさらに厳しい審査が課される。リヨンの行政裁判所は、景観保護地区内の建物にエアコン設置を認めない市長の決定を支持した。ボルドーでは、高齢の住民がエアコン設置を繰り返し拒否されたとして管理組合を訴えるなど、訴訟が相次いでいる。こうした中、可搬型エアコンや扇風機は品切れ状態が続いている。

一方、ドイツでは連邦交通大臣のシュテフェン・ビルガーが、ライン川の低水位を受けて水路の拡張と低水位対応船舶への改修を推進すると表明した。連邦政府と州政府は、貨物を道路や鉄道にシフトする方針で一致し、高速道路公社には工事の時期をずらすよう要請した。日曜・祝日の大型トラック走行禁止の例外措置も複数の州で導入された。ライン川の隘路カウプ地点では、航行可能な水深が12センチまで低下し、2018年の最低記録25センチを下回った。このため、多くの貨物船が航行不能となり、化学メーカーや鉄鋼メーカーは輸送コスト増と生産制限を余儀なくされている。

干ばつは農業にも深刻な打撃を与えている。フランスではブドウの収穫が史上最も早く始まり、収量の減少が見込まれている。また、ゲラルメでは飲料水供給のため湖の水を汲み上げる計画が報じられた。南アフリカでも水危機が深刻化しており、政府は国家水行動計画を発表し、地下水開発や海水淡水化など新たな水源の確保を進めている。

米国、Metaを提訴——未成年のSNS依存めぐり最大1.4兆ドルの制裁求める

米カリフォルニア州オークランドの連邦裁判所で8月12日、メタ・プラットフォームズが未成年のソーシャルメディア依存を助長したとして、複数の州が起こした訴訟の審理が始まった。陪審員の選定が行われ、弁論は8月18日に開始される。審理は約6週間続く見込みで、メタのマーク・ザッカーバーグCEOの証言も予定されている。

この訴訟は、カリフォルニア、コロラド、ケンタッキー、ニュージャージーの4州の司法長官が、2023年に提訴した約30州による訴訟の一部として進められている。原告側は、メタがフェイスブックとインスタグラムを未成年を引きつけるよう意図的に設計し、消費者保護法や児童データ保護に関する連邦法に違反したと主張している。具体的には、無限スクロールや通知、いいねなどの機能が、若年層の利用時間を延ばし、広告収入を増やすために設計されたと指摘する。

制裁金は理論上、メタの時価総額に近い1.4兆ドルに達する可能性があるが、判事はこの額を「不合理」としており、実際の制裁額は不透明だ。より大きな脅威は、裁判所がメタに対し、未成年向けの機能を大幅に変更するよう命じる可能性があることだ。原告側は、年齢制限の導入や無限スクロールの廃止などを求めている。

メタは「これらの告発を強く否定する」と述べ、長年にわたり若年層の保護に取り組んできたと主張している。また、ソーシャルメディアの「依存症」は医学的に認められた症状ではなく、若者の精神的健康問題を一つのアプリに帰属させることはできないと反論している。

この裁判は、全米で進行中のソーシャルメディア関連訴訟の試金石となる。メタは今年、ロサンゼルスの10代女性への賠償(YouTubeと連帯して600万ドル)や、ニューメキシコ州での約10億ドルの制裁・賠償命令など、すでに2件の敗訴判決を受けている。また、ユーチューブ、スナップ、ティックトックなども同様の訴訟に直面しており、未成年の保護をめぐる規制強化の動きは国際的にも広がっている。

専門家は、この訴訟がソーシャルメディア企業のビジネスモデルに根本的な影響を与える可能性があると指摘する。陪審の評決は勧告的なものにとどまり、最終的な判断はイボンヌ・ゴンザレス・ロジャース判事が下す。同判事は春にイーロン・マスクとオープンAIの訴訟も担当していた。ザッカーバーグCEOの証言が、メタの内部認識と公的発言の乖離を明らかにするかが焦点となる。

ジンバブエのカリバ湖でフェリー転覆、死者44人に拡大—過積載と悪天候が重なる

ジンバブエ北部のカリバ湖で8月11日、政府所有の旅客フェリーが悪天候の中で転覆し、少なくとも44人が死亡した。警察が翌12日に明らかにした最新の犠牲者数である。救助活動は続いており、77人が救出されたが、行方不明者の人数は明らかになっていない。

転覆したのは農村インフラ開発庁(RIDA)のフェリーで、定員は90人だったが、実際には大人114人と乗員5人、さらにチケット不要の子供が不特定数乗船していた。民間防衛局(CPU)によると、当初は15人の遺体が収容されていたが、その後犠牲者は44人に増加した。目撃者のマクストン・カネマ氏はAFPに対し、フェリーは悪天候の中を午前中に出航し、波を受けてエンジンが停止した可能性があると語った。生存者は地元メディアに対し、乗客が荒波の中での運航中止を運転手に求めたが拒否されたと証言している。

この事故は、ザンビアとの国境に位置し、首都ハラレの北東約300キロにあるカリバ湖で記録された旅客船事故としては最悪級のものとなった。同湖は世界最大の人造湖で、北部のカリバ町と周辺の島々や漁村を結ぶ重要な交通手段として利用されている。ムナンガグワ大統領は事故を国家災害に指定し、「この悲劇は海上能力の深刻な欠陥を露呈した。直ちに対処し、レジャー施設が無実の者の死の罠にならないようにしなければならない」と述べた。専門の水難救助部隊が現場に空輸され、2つの葬儀社が遺体の収容に当たっている。

世界の出来事:18歳の発明家が生分解性プラスチックで環境賞受賞、イタリアで高齢者詐欺防止の機転、ミネソタ州で高齢者施設の飲酒規制緩和など

世界各地で、環境問題への挑戦、高齢者を巡る社会問題、悲劇的な事故など、多様な出来事が報じられた。アイルランド在住の18歳の発明家アリヤ・サティーシュ氏は、植物由来の生分解性プラスチック「エコ・パージ」を開発し、環境学生向けの国際コンテスト「アース・プライズ2026」で賞金1万2500ドルを獲得した。この素材は、分解時にPET由来のマイクロプラスチックを分解する酵素を放出するもので、環境汚染への新たな対策として期待されている。

イタリア・ローマでは、88歳の女性が「親戚詐欺」の電話に騙されたふりをして、実際の警察に通報し、犯人の20歳の女を現行犯逮捕に導いた。この機転はイタリア首相ジョルジア・メローニ氏にも称賛され、高齢者を狙った詐欺への警戒が改めて呼びかけられた。一方、米ミネソタ州では、82歳のアニタ・ルブラン氏の訴えがきっかけで、高齢者施設がイベント時にアルコールを提供できるようにする法律「グランドペアレンツ・ハッピーアワー法」が成立した。この法律は、施設入居者が基本的な自由を失うべきではないという考えに基づいている。

悲劇的なニュースとしては、イギリス人の16歳のチアリーダー、アビー・レイントンさんがドミニカ共和国でのボート事故で亡くなった。また、マレーシア・クランでは店舗火災で66歳の男性と8歳の男の子が死亡した。インドでは9歳の少女が兄の目の前で暴行を受ける事件が発生し、容疑者は逃走中である。さらに、中国のインフルエンサー、江小柔さん(24歳)が交通事故で死亡したことが報じられた。

これらの出来事は、環境技術の進歩、高齢者福祉の在り方、犯罪への対策、そして日常に潜む危険など、現代社会が直面する様々な課題を浮き彫りにしている。特に、高齢者を狙った詐欺や、施設入居者の権利に関する議論は、今後の社会政策に影響を与える可能性がある。

科学・技術 (Science & Tech)

アジアのデータセンター急増、水資源と電力網に深刻な負荷——マレーシアはパーム油冷却技術を模索

アジア全域でデータセンター建設が加速する一方、冷却に必要な水資源の枯渇と電力網への負荷が深刻な問題となっている。インドのガジアバード市コーラ地区では、住民が地下水不足に苦しむ中、データセンターが相次いで建設され、水資源の過剰採取が続いている。一方マレーシアでは、データセンターの電力消費が2035年までに半島全体の31%に達すると予測され、政府はパーム油由来の冷却液技術の商業化を進めている。

インドの水問題では、世界資源研究所(WRI)インドの報告によると、国内のデータセンターの半数以上が水不足地域に立地している。ガジアバード市では、地下水の年間採取量が推奨量の272%に達しており、住民は深さ300メートル以上の掘削を余儀なくされている。ウッタル・プラデーシュ州政府は2026年のデータセンター政策草案で「24時間365日の無停電給水」を約束したが、住民への代替水源の情報は提供されていない。専門家は、データセンターの水使用量の開示義務がない現状を問題視し、EUのように消費量の定期的な報告を義務付けるべきだと指摘する。

マレーシアでは、データセンターの水使用量が1日あたり約2,868万リットルに達しており、マレーシアパーム油委員会(MPOB)が開発したパーム油ベースの冷却液「Sawit EcoTherm」が商業化間近である。この技術は水を使わずにサーバーを冷却できるが、パーム油の調達が新たな森林伐採を招く可能性も指摘されている。また、マレーシアではデータセンター関連の建設契約が相次いでおり、サザン・スコア・ビルダーズが1億500万リンギットの電気工事契約を獲得し、DPSリソーシズは香港上場のBBSBインターナショナルとマラッカ州で最大89メガワットのデータセンター開発に向けた覚書を締結した。

こうした動きは、アジアのデータセンター市場が急拡大する一方で、インフラ整備と環境負荷のバランスが今後の課題となることを浮き彫りにしている。特に、水不足地域でのデータセンター建設は、住民との社会的公正を巡る問題を引き起こす可能性があり、持続可能な冷却技術の導入と透明性のある水使用量の開示が急務となっている。

生活・健康 (Life & Health)

乳がん公表のルーシー・デイヴィス、家族が支援と誇りを表明――大腸がんで逝去したリサ・コッペルさん、早期発見の重要性訴える

英BBCシットコム『The Office』でドーン・ティンズリー役を演じた女優ルーシー・デイヴィス(53歳)が、治癒不能のステージ4の乳がんであることを公表した。彼女はInstagramで、1年半前にステージ4の乳がんと診断され、骨(背骨、右腰、肋骨)に転移していると明かした。「最初に触れたしこりは、しこりというより、本当に小さな硬い点だった。ほとんど検査に行かないところだった。だから、何も無視せず、すべて検査を受けてほしい」と訴えている。

デイヴィスの父で俳優・コメディアンのジャスパー・キャロット(本名ロバート・デイヴィス)はBBCニュースに対し、「家族全員にとって非常に困難な時期であり、診断以来、あらゆる方法で彼女を支えてきた。私たちは娘をとても誇りに思い、愛している。彼女が多くの困難な健康問題に直面しながらも示した態度は、私たち全員にとって教訓だ」と語り、支援への感謝とプライバシーへの配慮を求めた。デイヴィスには『The Office』の共演者リッキー・ジャーヴェイスをはじめ、ジェナ・フィッシャー、サラ・ポールソン、エドガー・ライト、サー・クリス・ホイらから支援のメッセージが寄せられている。

一方、南アフリカのミュージシャン、ダニー・K(本名ダニエル・コッペル)の妻リサ・コッペルさんが、大腸がんとの約3年にわたる闘病の末、41歳で亡くなった。家族は彼女の死を受けて、大腸がんの認識を高め、早期発見の重要性を訴えている。リサさんは2023年11月に大腸がんと診断され、南アフリカ国内外で可能な限りの治療を模索したが、救うことはできなかった。家族は「彼女は自分の病気を公にせず、同情や注目を望まなかった。何よりも子供たちを守り、彼らの幸せと無邪気さを可能な限り保ちたかった」と明かし、「彼女の病気が彼女を定義することは決してない。彼女は優しさ、謙虚さ、勇気、そして彼女にとって大切な人々への揺るぎない献身をもって生きたことを記憶されるだろう」と偲んだ。

大腸がんは結腸または直腸に発生し、異常な細胞からがんに進行するまでに数年かかることがある。初期段階では症状がないことも多いが、排便習慣の変化、直腸出血、血便、持続的な腹部不快感、脱力感、原因不明の体重減少などの警告サインに注意が必要だ。リスク要因としては、年齢(50歳以上で多く発生)、大腸がんやポリープの既往歴、潰瘍性大腸炎やクローン病などの慢性炎症性腸疾患、家族歴、遺伝性疾患(家族性大腸腺腫症、リンチ症候群)が挙げられる。また、運動不足、肥満、果物・野菜の摂取不足、低繊維・高脂肪・高糖質の食事、赤身肉や加工肉の多量摂取、飲酒、喫煙などの生活習慣もリスクを高める。早期発見には、45歳からの定期的な検診(国際的なガイドラインでは平均リスクの人に対し45歳からの定期検診を推奨)や、便潜血検査、大腸内視鏡検査が有効である。

スポーツ (Sports)

父の死を受けメッシが引退示唆「この先も長くプレーし続けるかは疑わしい」

アルゼンチン代表のリオネル・メッシ(39歳)は12日、父ホルヘ氏の死去を受けて自身の将来に「かなりの疑念」を抱いていると明かした。メッシはSNSで父への追悼文を公開し、「あなたなしで何をすればいいのか分からない。どうやって前に進めばいいのかも分からない。私はただサッカーをしていただけなのに、今はこの先も長くプレーし続けるかどうかについて、かなりの疑念を抱いている」と綴った。

ホルヘ氏は先週末、ロサリオの病院で長い闘病の末に68歳で死去。メッシの代理人としても長年支えた。メッシは今夏のワールドカップでアルゼンチン代表を決勝まで導いたが、スペインに延長戦の末0-1で敗れた。メッシは「決勝まで進むと言い続けていた。あなたが来られるように。決勝には進んだが、あなたはそこにいなかった。勝ってトロフィーをあなたに捧げたかったが、できなかった。足がもう動かなかった」と振り返った。

メッシは「あなたは最初からそばにいてくれた。終わりまであと少しだったのに、どうしてもう少しだけ持ちこたえてくれなかったんだ。一緒に最後までやり遂げたかった」と無念を綴った。また、ワールドカップ中も父の容態を気遣い、試合後にメッセージを待ち続けていたことを明かした。「試合が終わるたびに、あなたからのメッセージを待って、恋しく思った。その時、状況が本当に深刻だと悟った」という。

メッシはインスタグラムで「あなたは父であり、友人であり、代理人だった。いつも必要な時に必要な存在でいてくれた。あなたは決して間違っていなかった」と父を称えた。さらに「あなたのことは本当に恋しくなるけど、あなたはいつもそばにいる。特に子どもたちの教育の中で。あなたが私を育ててくれたように、私も子どもたちを教え、育てていくから」と約束した。

メッシの父の死を受け、アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領は「頑張れ、キャプテン!」とメッシを激励し、「あなたが選ぶ道を、私たちは抱きしめ、共に歩む」とコメントした。また、長年のライバルであるクリスティアーノ・ロナウドも「つらい時に君と君の大切な人々に大きな抱擁を。強くあれ、レオ」とメッシを励ました。デビッド・ベッカムや元チームメイトのクリスティアン・ロメロらも追悼の意を示した。

メッシの現役続行の可否は依然として不透明だが、今回の告白は、父の死がメッシのキャリアに深い影響を与えていることを示している。

ロサンゼルス・レイカーズ、史上最高額の125億ドルで売却へ Kushner氏とIger氏が買収

NBAのロサンゼルス・レイカーズが、実業家のジョシュ・クシュナー氏とボブ・アイガー氏に対し、史上最高額となる125億ドル(約104億ユーロ)で売却されることが明らかになった。関係筋がAP通信に明かしたもので、昨年マーク・ウォルター氏がバス家から買収した際の評価額100億ドルをわずか1年で25%上回る。

クシュナー氏とアイガー氏は共同声明で「生涯のNBAファンとして、世界で最も象徴的なスポーツフランチャイズの一つであるロサンゼルス・レイカーズの運営を任される機会を深く光栄に思う。我々はジェリー&ジーニー・バス両氏のリーダーシップとビジョンに計り知れない敬意を抱いており、長期的なコミットメントとして、その基盤の上に構築し、最高レベルで競い、この特別なチーム、ファン、そしてロサンゼルスの街に貢献する」と述べた。

今回の売却はNBAの取締役会の承認が必要で、承認プロセスには数週間かかる可能性がある。次回の取締役会は9月にニューヨークで開催される予定だ。クシュナー氏とアイガー氏は、ラスベガスへのNBA拡張チーム獲得を目指して協力していたが、レイカーズ買収により、その可能性(早くても2028-29シーズン)を待つ必要がなくなった。

売却額の125億ドルは、米プロスポーツ史上最高額であるだけでなく、NBAフランチャイズ価値の高騰傾向を象徴するものだ。わずか3年前にマイケル・ジョーダン氏がシャーロット・ホーネッツの過半数の株式を30億ドルで売却し、昨年はボストン・セルティックスが60億ドル強で売却されて当時の記録となっていた。

売却するウォルター氏は、昨年バス家から100億ドルでレイカーズの支配権を取得したばかりだが、複数のメディアによると、彼の事業帝国は連邦検察と証券取引委員会(SEC)による脱税調査の対象となっている。

サッカー界を揺るがす審判問題と世界の頂点を目指す戦い:2026年8月の国際スポーツ情勢

2026年8月、国際スポーツ界は審判問題、世界大会への挑戦、そして各国代表チームの栄光を巡る熱い戦いが繰り広げられている。サッカーでは、ソマリア出身の審判オマル・アルタン氏がアメリカ入国を拒否された後、UEFAスーパーカップの主審に抜擢されるという異例の展開があり、FIFA会長ジャンニ・インファンティーノ氏のリーダーシップを巡る権力闘争の象徴となっている。また、マラウイサッカー協会会長フリートウッド・ハイヤ氏は、インファンティーノ氏のアフリカサッカーへの投資を評価し、同氏への支持を表明した。

一方、ホッケーでは、FIHワールドカップがベルギーとオランダで開催され、アルゼンチン女子代表「ラス・レオナス」が連続表彰台を目指し、南アフリカ男子代表主将デイアン・カシエムが通算100キャップを達成しようとしている。クリケットでは、パキスタンのファハル・ザマン選手が20回目のリスAセンチュリーを達成し、南アフリカのデビッド・ミラー選手が2027年のワールドカップ優勝への意欲を示した。さらに、スペインリーグはワールドカップ優勝メンバーを多数擁し、プレミアリーグとの競争を強化している。

これらの動きは、国際スポーツ界における政治的な緊張、発展途上国への投資、そして選手たちのキャリアの集大成を巡る物語が交錯する、多様な様相を呈している。特に、審判問題はFIFAとUEFAの対立を浮き彫りにし、アフリカ諸国の支持がインファンティーノ会長の今後の去就に影響を与える可能性がある。