2026年8月12日、月が太陽を完全に覆う皆既日食が欧州を横断し、スペインでは121年ぶりとなる皆既日食が観測された。イベリア半島を北西から南東へと月の影が時速7000キロで駆け抜け、ガリシア地方やアストゥリアス州の一部では約1分50秒間にわたり昼間の闇が訪れた。この天体ショーを一目見ようと、世界中から数十万人の観光客がスペイン各地に集結し、政府は最大150万件の追加の車両移動を見込むなど、国家規模のイベントとなった。
スペイン政府は今回の日食を地方活性化の好機と捉え、過疎化が進む北部の農村地域に観光客を呼び込むことで経済効果を狙う。経済省の試算では、皆既帯に位置する地域には約44万6700人の追加訪問客が見込まれ、経済波及効果は3億4760万ユーロ(約400億円)に達するとされる。ソリアやサラゴサではホテル料金が高騰し、予約が殺到した。
一方で、当局は大規模な移動に伴う交通渋滞や事故、さらには乾燥した気候による山火事のリスクを警戒し、警備を強化した。スペイン政府は、皆既日食が観測される地域に最大600万人の訪問者が集まると予想しており、交通規制や緊急サービスの配備など、総力を挙げた対応を取った。
今回の日食は、欧州本土では2006年以来の皆既日食であり、スペインでは1905年以来となる。スペインでは2027年8月に南部で再び皆既日食が、2028年1月には金環日食が観測される予定で、「イベリア日食トリオ」と呼ばれる3年連続の天体イベントが続く。次にスペイン本土で皆既日食が観測されるのは2053年までないとされ、今回のイベントは歴史的な瞬間となった。