ロシア軍は5日未明、ウクライナ首都キーウ市および周辺地域に対し、弾道ミサイルとドローンを用いた大規模な攻撃を仕掛けた。ウクライナ当局によると、この攻撃により少なくとも15人が死亡し、20人以上が負傷した。民間住宅や倉庫施設が直撃を受け、多数の火災が発生したほか、アンモニア漏洩も確認されている。ロシア側は軍事施設を標的としたと主張しているが、ウクライナ側は民間人への故意の攻撃と非難しており、4年以上続く紛争における民間被害の深刻さが改めて浮き彫りになった。
キーウ市軍事行政庁のティムル・タチェンコ長官は、敵が再び民間インフラを意図的に攻撃していると非難した。市営倉庫の1棟が完全に破壊され、レスキュー隊が瓦礫からの救出作業を続けている。一方、ウクライナの駐英大使で前軍最高司令官のヴァレリー・ズァルヌイ氏は、ウクライナ軍の現状ではNATO加盟に必要な軍事基準を満たせていないとし、加盟の可能性は現実的にないと指摘した。攻撃は首都だけでなくウクライナ全土およびロシア領でも激化しており、モスクワ州では電子商取引大手の物流倉庫が標的にされ5人が死亡した。また、ロシアが併合したクリミア半島セヴァストポリでは、ロシア軍兵士が射撃事件を起こし、軍人1人と民間人3人が死亡した。ミハイル・ラズヴォザエフ総督が犯行を明らかにしている。
防空力強化を巡り、ウクライナのゼレンスキー大統領は先週、ドナルド・トランプ米大統領と会談し、ウクライナ国内でのパトリオットミサイル迎撃弾の生産ライセンス取得を要望した。ゼレンスキー大統領は迎撃弾の不足がロシアの攻撃を助長すると懸念を示している。国連の人权監視担当者は、2022年2月の全面侵攻開始以来最高水準に達した民間人死者数に懸念を表明している。ウクライナ軍は空爆に備え防空システムの稼働を続けていたが、全てのミサイルを迎撃しきれなかったとされる。
両軍の長距離攻撃は激化の一途を辿っており、ロシアは7月にミサイル使用量を2倍以上に増やしたと分析されている。ウクライナ側もロシアの物流施設へのドローン攻撃を常態化させている。民間インフラへの攻撃が頻発する中、防空網の脆弱さが民間被害を拡大させる構造が固定化しており、国際社会の停戦・和平に向けた外交的努力が急がれる状況である。