米国とイランが今週締結した和平合意が、わずか数日で深刻な試練に直面している。イスラエル軍とイラン支持派のヒズボラによるレバノンでの戦闘が再燃したため、両国の技術的交渉がスイスで延期された。一方で、米・カタール・イランの仲介によりイスラエルとヒズボラの停戦が合意され、海峡の通航も再開するなど、和平プロセスは複雑な展開を続けている。
先週水曜日に署名された米イランの覚書は、全戦線での軍事活動即時停止とレバノンの主権尊重を定めている。しかし、イスラエル軍のレバノン南部への空爆が続き、少なくとも18人が死亡、33人が負傷したとレバノン保健省が発表。イスラエル側も兵士4人が死亡したと確認している。これに対し、イスラエルのベン・ギヴル国家安全保障大臣は「レバノン全土を焼き尽くせ」と強硬な発言を行い、イラン外務省が反発した。トランプ米大統領はSNSで「イランは終わった」と主張し、60日間の交渉期間中にイランに資金は渡らないと強調したが、覚書には3000億ドル規模の復興基金や核合意に向けた対話枠組みが含まれている。JDヴァンス米副大統領はイスラエル政府に対し、合意を尊重するよう警告し、批判を退けた。
和平合意に伴い、米国はイラン港への海上封鎖を解除し、ホルムズ海峡の通航も再開された。海上追跡データによると、木曜日には25隻の商業船舶が海峡を通過し、戦時前の水準には及ばないものの、物流の動きが活発化している。イラン海事当局は60日間の無料通航を表明する一方、船舶には48時間前の通過申請を義務付け、将来的な保険料徴収の可能性も示唆している。フランスのバルロ外相は、国連制裁解除にはフランスの承認が必要だと明言し、イランの弾道ミサイルや代理人勢力への対応を最終合意に組み込むよう求めた。
60日間の最終合意交渉はレバノン情勢の悪化で延期されたものの、米イラン両国は技術的協議の再開を模索している。和平合意が機能するか否かは、イスラエルの軍事行動が抑止できるか、そしてイランが合意の精神に従うかが鍵となる。中東地域ではエネルギー価格の安定化と船舶通航の正常化が進む一方、政治的な対立は根深く、最終的な和平の成否は今後の外交交渉と現地の停戦遵守にかかっている。