フィリピンの下院議員は2026年4月、副大統領であり次期大統領候補でもあるサラ・ドゥテルテ氏に対する弾劾訴追を可決した。これにより、同氏の罷免を巡る上院での裁判が正式に開始される見通しとなった。国内の政治的対立が頂点に達する中、民主主義の制度が動揺する事態となっている。
弾劾訴追の発議は野党連合と政府系議員の連携により進められ、下院本会議で過半数の賛成を得て成立した。訴追の理由としては、職務怠慢や腐敗疑惑、そして大統領選を睨んだ政治的動機が指摘されている。ドゥテルテ氏は弾劾手続きに対して「政治的な仕返しであり、憲法違反だ」と強く反発し、上院裁判での無罪を主張している。フィリピン憲法では、副大統領や最高裁判事が弾劾対象となるが、上院での3分の2以上の賛成が必要であり、そのハードルは極めて高い。
次期大統領選が目前に控える中、この弾劾手続きはフィリピンの政治情勢に大きな波紋を広げている。ドゥテルテ氏の支持基盤である南部スールー州やダバオ地域を中心に、政府への抗議デモが拡大する可能性も指摘されている。国際社会からは、民主主義の健全な維持と法の支配の尊重を求める声が上がっている。上院裁判の行方は、単なる一人の政治指導者の去就を超え、フィリピンの将来の政治体制と地域安定に直結する重大な分岐点となるだろう。