イランの支援を受けるイエメンのフーシ派(アンスルッラー)は20日、サウジアラビアに対する海上封鎖を即時発効で宣言した。同派の軍事報道官ヤヒヤ・サリー氏による声明では、「犯罪者であるサウジ敵対国に対する海上封鎖を、『目には目を』の原則に基づき即時発効する」と明記。サウジ側がイエメンの港湾や空港を封鎖していることへの報復として位置づけられており、中東地域の緊張を一段と高めている。
声明の背景には、先週行われた両者の初の軍事交戦がある。イエメン政府側はサナ国際空港への攻撃を認めており、イラン便の着陸阻止が目的だったと説明するが、フーシ派はこれをサウジ側の仕業と非難し、サウジ南部アブハーの空港へ弾道ミサイルを発射した。2022年に発効した事実上の休戦協定が期限切れ後も維持されてきた状況下での軍事衝突は、長年沈静化していたイエメン内戦の再燃を意味する。フーシ派は声明で、サウジ側による「不正かつ抑圧的な包囲」への対応として「封鎖には封鎖で応じる」と強調し、あらゆるエスカレーションに対し「包括的かつ決定的な対応」を加えると警告している。
封鎖宣言が世界経済・エネルギー市場に与える影響は甚大である。紅海とアドン湾を結ぶバブ・エル・マンデブ海峡は、ホルムズ海峡が実質的に封鎖されている現状、サウジ原油の主要な輸出ルートとして機能している。同国は紅海側のヤンブー港などを通じて週平均約400万バレルの原油をアジアへ輸出しており、海峡の完全閉鎖は世界原油供給量の約7%を減少させる可能性がある。実際、イランをめぐる米軍の軍事行動により世界供給が既に10%減少している中、紅海航路の危険度上昇は国際石油価格の上昇圧力となり、保険料高騰や船社の航路変更を招く恐れがある。国際社会では中国外務省の林報道官が主権尊重と外交的解決を呼びかけ、パキスタン政府がサウジの安全保障を支持する一方、イエメン政府はフーシ派の行動を「自殺行為」と批判している。米イラン間の外交調整も並行して進んでおり、フーシ派の軍事行動が実際の船舶攻撃へ移行するかどうかが今後の鍵となる。紅海航路の安定回復と地域情勢の沈静化が、世界エネルギー需給の安定化に直結する課題として浮上している。