米格安航空会社スピリット・エアラインズは、イランをめぐる紛争の激化に伴う航空燃料価格の急騰を契機に、2度目の破産申請を経て運航を停止した。この破綻は、ドナルド・トランプ米大統領が提案した5億ドル規模の政府救済策が議会や民間投資家からの反対により頓挫した結果であり、航空業界におけるイラン情勢の直接的な影響を象徴する出来事となった。
同社の経営悪化は長年にわたるものであったが、昨年の第1次破産申請以降、回復の兆しは見えていなかった。特に、イランでの衝突が2か月前に始まって以来、航空燃料価格が倍増したことが致命的な打撃となった。データ会社Ciriumによると、4月の運航便数は約1万2千便にまで激減し、2年前の2万5千便の半分以下にとどまっている。
トランプ大統領は直近、政府が救済融資を行う代わりに同社株式の最大90%を取得する案を提示したが、共和党議員や他の債権者から条件に反対意見が相次ぎ、交渉は決裂した。この事態は、トランプ政権が企業救済に積極的な姿勢を示す一方で、個別企業への介入には限界があることを浮き彫りにした。
スピリット・エアラインズの倒産は、単なる経営不振だけでなく、地政学的リスクが航空産業の存続を脅かす新たな段階に入ったことを示している。現在、米国内の空港には数百人の乗客が取り残されており、他社による支援策が急がれている。この破綻は、石破首相が率いる日本を含む国際的な航空ネットワークにも、燃料コスト増と運航不安定化という形で影響を及ぼす可能性がある。