イランの首都テヘランにおいて、2月28日に米軍とイスラエル軍の空爆で死去した旧最高指導者アリ・ハメネイ氏の国葬行事が進行中である。2日目を迎えた5日(日曜)の葬儀では、マソウド・ペシェシュキアン大統領やモハマド・バゲル・カリバフ議会議長ら高官が多数参列し、イマーム・ホメイニ大モサッラには数百万人規模の群衆が殺到した。しかし、後継者として就任したばかりのモジタバ・ハメネイ新最高指導者の姿は確認されておらず、その行方と安全が懸念されている。
国営テレビの映像によると、ハメネイ氏の三男であるマソウド、モスタファ、メイサム氏が棺の傍らで祈りを捧げ、マソウド氏はケフィエを手に涙を拭う姿が映し出された。葬儀は97歳のアヤトラー・ジャファル・ソブハーニ氏が司会し、革命衛隊関係者らも前列で参列した。会場には「死よアメリカ」「死よイスラエル」の叫び声が響き渡り、詩人モハメド・ラソウリ氏による演説ではドナルド・トランプ米大統領への直接的な非難が披露された。ハメネイ氏と、同日の空爆で死去した娘、婿、嫁、14カ月の孫娘の棺が並べられ、群衆は赤い旗を振って復讐を誓った。
後継者のモジタバ氏は、2月28日の攻撃で顔面や下肢に重傷を負ったと伝えられ、就任以来公の場に出ていない。イスラエルからの暗殺脅威を理由に、葬儀への出席を見合わせているとみられる。一方、イランのアブドルレザ・ラフマニ・ファズリ駐中国大使は、新指導部が中国との関係に前向きな姿勢を示していることを明かした。行事は月曜日にテヘラン市内行進を経て、火曜日に聖地コム、水曜日にイラクのナジャフおよびカルバラ、そして9日に生地のマシュハドで埋葬される予定である。米国は和平交渉を1週間中断しているが、イランはこれを国内結束と対外強気の象徴として位置づけている。
大規模な国葬行進は、米イスラエル軍による軍事作戦で指導層の多くを失ったイランが、体制の安定と「抵抗の軸」への継続的なコミットメントを内外に示す場となっている。和平交渉の再開を前に、新指導部がどのように対米・対中政策を転換し、国内の結束を維持するかが、中東の地政学的な行方を左右する重要な試金石となるだろう。