トランプ米政権は連邦最高裁が出生地主義の制限を違憲と判断した後も、司法省を通じて「出生観光」の取り締まりを国策として強化する方針を固めた。これに加え、NATO諸国への防衛費負担増を迫る外交姿勢や国際刑事裁判所(ICC)への圧力、国内の漁業規制緩和、AI企業への政府持分協議など、多岐にわたる政策を強硬に推進している。
最高裁が憲法修正第14条に基づく出生地主義を6対3で再確認した翌日、コリン・マクドナルド司法次官は連邦検事に対し、偽装ビザ申請や医療詐欺などを含む出生観光関連の捜査・刑事処理を優先するよう指示するメモランダムを発出。スティーブン・ミラー大統領府副首席補佐官は保守系メディアのインタビューで、医療保険や福祉制度の悪用を懸念し、入国管理の厳格化を正当化した。専門機関の分析では、出生観光に起因する出産は全出生数の1%未満に留まるが、政権は既存の移民・刑法で対応可能との指摘を退け、立法府への法改正働きかけも継続している。
外交面では、トランプ大統領がTruth Social上でNATO加盟国の防衛費負担を巡り「米国が9990億ドルを支出し他国は遥かに低い」と主張し、負担増を迫っている。これに対しNATO側は加盟32カ国全員がGDP比2%の目標を達成したと反論する。また、トッド・ブランシェ司法長官代理がICC議長トモコ・アカネ宛ての書簡で、米国人への管轄権行使を「主権への直接挑戦」と非難。同政権は既にICC関係者への制裁を実施しており、裁判官3名が米国内で訴訟を起こす事態となっている。中東問題では、ジェフ・バルトス米大使が国連での演説でパレスチナ難民救済機関(UNRWA)の資金停止を各国に呼びかけ、トランプ政権の「平和の委員会」がガザに「ハマス排除型」の人道ゾーン設置を計画していると報じられている。
国内政策では、ホワイトハウス顧問のピーター・ナヴァロ氏がニューイングランド海域でのホタテ漁再開を表明し、商業漁業の規制緩和を推進している。AI分野では、OpenAIが米国政府に5%の株式を供与する協議に入ったと報じられ、トランプ大統領もAI企業への公衆の持分確保を検討していると述べた。一方、財務開示資料では、大統領の暗号資産関連事業や不動産取引による前年比22億ドル超の収益が明らかになり、政策決定と私的な利益の衝突を巡る懸念が浮上している。
最高裁の判決が出生地主義の憲法的保障を維持したとはいえ、政権は立法府への働きかけや既存法違反の刑事訴追に転じ、移民・司法政策の二転三転が長期化している。NATOやICCを巡る対立、中東和平プロセスの複雑化、そしてAI規制や漁業政策の転換は、米国の国際的信用と国内の法秩序に持続的な影響を与えかねない。来月の中間選挙を前に政策の方向性が明確化されるか、あるいは政治的対立がさらに先鋭化するかが注目される。