米イランの高級別交渉がスイス・ビュルゲンシュトックで終了し、両国は60日以内に最終合意を達成するためのロードマップ合意に至った。カタールとパキスタンが仲介役として発表した共同声明によれば、両国はホルムズ海峡の安全確保やレバノンでの軍事作戦終結を監視するメカニズムの設置で合意した。交渉の行方は中東情勢と国際エネルギー市場に重大な影響を与えそうだ。
声明によれば、交渉を監督する高等委員会が設立され、技術レベルの協議は今週中も継続される。両国は海峡での事故防止と商業船舶の安全な航行を目的とした「通信ライン」の設置に合意。また、レバノン政府と仲介国を含む「デコンフリクション・セル(衝突回避メカニズム)」を創設し、軍事作戦の終結遵守を担保する枠組みを定めた。イランのアル=アラグチ外相はXで、石油・石油化学製品の輸出制限緩和や凍結資産の一部解放、大規模な復興計画の開始など「重要な進展」があったと主張。その上で、レバノンでの衝突回避メカニズムの稼働が「最初の本当のテスト」になると指摘した。
交渉は順調とは言い難い状況で始まった。米国のドナルド・トランプ大統領がソーシャルメディアを通じてイランの「代理戦争」支援や海峡閉鎖を非難し、軍事攻撃を再開すると脅したことが背景にある。これを受け、イラン側が交渉場を一時離れる動きも見られたが、米側は協議は夜通し続行したと主張。トランプ氏の脅しに対し、イランのモハマド・バゲル・ガリバフ議会議長(首席交渉役)は「米国の脅しは考慮しない」と反発した。一方で、JDヴァンス米副大統領は関係の「新しいページをめくる」機会だと評価し、核問題や制裁解除、レバノン停戦の履行などについて協議が進められたと明らかにした。
交渉の進展を受けて、国際市場では懸念が和らいだ。原油価格は一時的に下落し、バレル79ドル台前半まで下落した。分析筋は、外交的突破の期待からイラン原油の国際市場復帰への期待が価格押し下げ要因となったと指摘する。しかし、レバノンでのイスラエル軍とヒズボラの衝突は依然として激しく、停戦履行の成否が60日間の交渉を左右する鍵となる。中東の平和定着とエネルギー供給の安定が、世界経済の回復に向けた最大の課題として浮上している。