米国のドナルド・トランプ大統領がイランの船舶封鎖を再導入し、ホルムズ海峡を巡る緊張が再燃したことに伴い、国際的な原油価格が急騰している。ブレン特とWTIはそれぞれ14日の時点で85ドル台後半から86ドル台前半に推移し、過去1〜4週間の高値を更新した。海峡の通航量は2ヶ月ぶりの最低水準に落ち込み、中東情勢の悪化が全球のエネルギー供給網に深刻な影響を与えている。
米中央軍はイランの商業船舶攻撃能力をさらに弱体化させるための夜間空襲を実施し、イラン側もバーレーンやジョルダンにある米軍基地へミサイル攻撃で応酬した。UAE国防省はイランの巡航ミサイル攻撃で2隻のタンカーが損傷し、インド人船員1人が死亡、8人が負傷したと発表。トランプ大統領は当初、海峡通航料として貨物価値の20%を課す案を提示したが、翌日には撤回し、湾岸諸国との貿易・投資協定へ方針を転換した。イランのモフセン・パクネジャド石油相は、米国の制裁免除措置が終了しても輸出は通常通り継続していると強調している。
原油高は直ちに物価上昇圧力として各国に跳ね返っている。スペインのEsade経済報告書は、イラン衝突により2026年のエネルギー価格が最大80%上昇し、世界インフレ率が4.4%に達すると予測。英国市場では、エネルギーショックへの対抗策としてイングランド銀行が9月までに利上げを行うとの観測が強まっている。米国の6月消費者物価指数(CPI)は前月比0.4%下落したが、専門家はホルムズ海峡の混乱再発によりこの沈静化は短期的なものと警告する。連邦準備制度理事会(FRB)のケビン・ウォーシュ議長は「持続的な高インフレを許さない」との立場を固めている。
経済波及は中東に留まらない。アルゼンチンのミレイ政権は銀行信用の拡大による経済回復を模索しているが、家計ローンの延滞率が12.7%と過去最高を記録し、市場の懐疑は払拭されていない。バングラデシュのダッカでは、長雨と洪水により魚介類や野菜の価格が急騰し、消費者物価が逼迫している。また、ナイジェリアの中央銀行(CBN)の調査では、企業の景気感指数は7.2と楽観視されているものの、高税率、治安悪化、高金利が最大の経営課題として浮上している。
国際金融市場では、金融機関の好決算や米国インフレの緩和により株式が小幅高に転じたものの、地政学リスクが市場の強さを抑制する要因となっている。グローバルな原油備蓄は過去の紛争で大幅に枯渇しており、新たな供給遮断への耐性は以前より脆弱になっている。ホルムズ海峡の通航再開と中東情勢の沈静化が最優先課題となる中、各国中央銀行の金融政策運営とエネルギー安全保障の両立が、2026年後半の世界経済の行方を左右する鍵となるだろう。