2026年7月6日、アジア太平洋地域は緊張に包まれた。フィリピン上院は史上初となる現職副大統領サラ・ドゥテルテの弾劾裁判を開始した。ドゥテルテ被告は欠席したものの、首都マニラでは4000人以上の警官が警備にあたり、支持者と反対派の抗議活動が行われた。裁判長にはフランシス・エスクデロ上院議員が選出され、有罪判決には24議席中16票の賛成が必要と確認された。検察側は、被告が公金を不正流用し、不審な資産を蓄積し、大統領暗殺を予告したと主張。弁護側は弾劾手続きの政治性を訴え、無罪を主張している。
同日正午、中国海軍の潜水艦が模擬弾頭を搭載したミサイルを太平洋に向けて発射した。日本政府は約30分前に事前通報を受けたものの、国家安全保障を脅かす行為として抗議し、再考を求めた。中国外務省報道官の毛寧氏は「定例の年次訓練」と説明したが、日本、オーストラリア、ニュージーランドはこれを批判した。東京は防衛省に対し、海洋監視の強化を指示した。
インドのムンバイではモンスーンによる豪雨で少なくとも13人が死亡。赤色警報が発令され、学校閉鎖や高速道路の一部通行止めが発生した。マンクルド地区では日曜夜に老朽化した建物が倒壊し6人が死亡、2人が逮捕された。マハラシュトラ州の野党・国民会議派は「人為的な災害」と非難し、遺族に50万ルピーの補償が約束された。
韓国では、サッカー協会の鄭夢奎(チョン・モンギュ)会長が13年5カ月の任期を経て辞任した。ワールドカップ早期敗退を受けたもので、同日、元スター選手の朴智星(パク・チソン)氏が共同委員長を務める改革委員会が発足。後任選出は60日以内に行われ、7月下旬には議会公聴会が予定されている。
日本では、皇位継承法案が停滞している。高市早苗首相は議会内の合意不足を理由に現時点での法改正に反対する姿勢を示した。法案は女性皇族の結婚後も身分維持を認める内容だが、審議は難航している。首相が宝石のベストドレッサー賞授賞式に出席したことへの批判も聞かれる。
マレーシアのジョホール州では7月11日に州選挙が予定され、7日に期日前投票が行われる。アンワル・イブラヒム首相は汚職対策の実績を訴え、与党連合への支持を呼び掛けた。一方、タイでは地方公務員試験の不正疑惑をめぐり、1万5000件の任用が見直し対象となり、内務省職員5人が処分を受けた。また、タイ国産初の電車が納入され、輸入依存からの脱却が期待されている。
ベトナムではトー・ラム党首兼国家主席が新たな駐在大使らを迎え、外交関係を強化。ロシアからの観光客は上半期に約74万3000人と前年比186%増加した。インドネシアでは林業大臣が自ら汚職防止委員会に出頭し、地元当局者から受け取った封筒を返還したことを報告。議会は驚きとともに関係者への事情聴取を求める方針だ。
これらの動きは、アジア全体が警戒と緊張の中にあることを示している。フィリピンの弾劾裁判は2028年大統領選を左右する可能性があり、中国のミサイル発射は地域安全保障に新たな火種を投じた。ムンバイの洪水や韓国サッカー界の混乱といった悲劇や失望の一方で、タイの国産電車やベトナムの観光回復といった明るい話題も存在する。今週はジョホール州選挙やサムスン電子の四半期決算発表、日本の国会閉会など、注目すべき日程が続く。