2026年10月10日(土)、イエメンのイラン支援武装組織フーシ派がサウジアラビア首都リヤドのキング・ハリード国際空港に対しミサイル攻撃を仕掛け、13人が死亡、300人以上が負傷した。翌11日(日)にも同空港への追加攻撃があり、パキスタン人1人が死亡、11人が負傷した。サウジが主導する対フーシ派連合軍は土曜日の攻撃を「完全なる戦争犯罪」と断じ、「断固として対応する」と表明した。この一連の攻撃は、2月に始まった米・イスラエル対イラン戦争の波及としてイエメンで再燃した紛争の激化を象徴するものである。
フーシ派軍事報道官ヤヒヤ・サレエ氏は日曜日のテレビ演説で、過去24時間に「4回の作戦」を実施したと主張した。対象はリヤド空港、東部ダンマームのキング・ Fahd国際空港、サウジ国営石油会社アラムコの2施設(シュガダムガス施設とタナジブ製油所)に及ぶ。フーシ派はさらに「サウジの空港と空域は脆弱であり、我々の部隊の作戦戦域と化した」として、メッカとメディナを除く全サウジ空港の利用を航空会社・旅行者・空港従業員に警告した。
国際的対応として、R4グループ(トルコ、パキスタン、エジプト、サウジアラビア)は共同声明でフーシ派の攻撃を「いかなる口実でも正当化できない危険なエスカレーション」と非難し、サウジの「すべての合法的措置とステップ」への完全支持を表明した。トルコと核保有国パキスタンは8月にサウジと共同防衛協定(メッカ共同防衛協定)を締結しており、一カ国への攻撃を全加盟国への攻撃とみなす条項を含む。10月5日には戦略・政治・防衛委員会がサウジへの「部隊と能力の急速な展開」で合意していた。トルコ外相ハカン・フィダン氏は「防衛・技術支援」は提供すると述べつつ、地上部隊の展開と攻勢作戦への参加は否定した。
米国の動向について、トランプ大統領は土曜日、サウジへの攻撃参加を「検討する」と記者団に語り、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子との直接協議を予告した。米国務長官マルコ・ルビオ氏は攻撃を「無辜の市民の生命に対する明白な軽視」と非難した。一方、イラン安全保障会議事務局長モフセン・レザエイ氏は、ホルムズ海峡の再開条件としてイランが提示した7条件に対し米国の回答は「不十分」であるとX上で表明した。カタール等の仲介国がワシントンとテヘラン間のメッセージを伝達中である。
各国メディアの論調には明確な差異が見られる。ロイター通信はR4連帯とトルコの防衛産業・NATO第2位陸軍の能力に焦点を当て、サウジの防空網の構造的限界をオタワ大学トーマス・ジュノー氏の「サウジは広大すぎて継続的防御は不可能」という分析で補強した。ドイツのドイチェ・ヴェレは国際的反応の多様性(EU、英、仏、ロシアの一致した非難)を強調しつつ、2021年バイデン政権が人道危機を理由にサウジ支援を停止した経緯を再考させる文脈で報じた。ガーンディアン紙のネスリン・マリク記者は「湾岸は新たな不安定の時代に入った」と断じ、米国の安全保障の傘が信頼できないことを湾岸諸国が悟ったと論評した。 pakistani Daily Timesはメッカ共同防衛協定下のパキスタンの「揺るぎない」コミットメントを前面に出し、R4声明を全文引用した。インドのTimes of Indiaはハイデラバード出身のIT技術者モハメド・ユスフ氏(46歳)の犠牲と、妻・子2人の重体という人間的側面に紙面を割いた。フィリピンのPremium Timesはフィリピン人4人の負傷とDMWの対応を詳述し、フィリピン人労働者への避難指示を報じた。
航空・経済への影響は甚大である。リヤド空港は閉鎖が24時間延長され、ダンマーム空港でも多数の遅延・欠航が発生した。ジェッダのキング・アブドゥルアズィーズ国際空港では日曜日に150便以上が欠航、374便が遅延した。米航空当局は米国系航空会社にサウジ上空での注意喚起を発出し、豪州・NZ・韓国・英・カナダ・米が渡航警告を発した。リヤドでは学校がオンライン授業に切り替わり、ビジネス街では在宅勤務が導入された。WPCエネルギー会議と国際エネルギーフォーラム閣僚会合は空港から約10kmの会場で予定通り開幕したが、独経済相カテリーナ・ライヒ氏の帰国便は欠航が濃厚となった。サウジが主導する連合軍はバブ・アル・マンデブ海峡奪還作戦を継続中であり、フーシ派側はサウジが過去24時間にイエメンで124回の空爆を実施したと主張している。ホルムズ海峡の閉鎖とバブ・アル・マンデブ海峡の不安定化が同時進行する中、世界のエネルギー供給と海上輸送路に対する複合的脅威が拡大している。