米国とイランは軍事行動停止とホルムズ海峡の通航再開を柱とする覚書を締結し、60日間の交渉枠組みに入った。しかし、イスラエルとヒズボラ間の戦闘が再燃したため、スイスでの協議は延期され、外交関係は緊迫している。トランプ米大統領はイスラエルに対し「冷静さ」を求めた一方、イスラエル極右閣僚の過激な発言が国際的な懸念を呼んでいる。
米国の特別代表スティーヴ・ウィトコフ氏とイランのアラグチ外相がスイスへ向かうと報じられているが、協議はレバノン情勢に左右されている。イランのハティブザデ外務次官は、米国の約束履行とレバノンでの攻撃停止を交渉の前提条件と明確にし、地域の全面平和を求めている。米側もレバノンとイスラエルの協議をワシントンで実施する方針を示すなど、停戦合意の履行が最大課題となっている。
停戦合意の直後にもイスラエル軍の空爆が続いた。イスラエル国防軍はヒズボラ標的を攻撃したとし、イラン側は47人の死者を出したと主張する。イスラエルのベン・グヴィル国家安全保障相は「レバノン全土を焼き尽くすべきだ」と発言し、米政府関係者から非難を浴びた。米情報機関は、ネタニヤフ首相が国内の選挙対策として軍事行動を継続し、イラン和平合意を損なう可能性があると警告している。
中東の緊張緩和はエネルギー市場の安定に直結するが、合意の履行は各国の政治力学に翻弄されつつある。トランプ政権はイランとの交渉を外交的成果と位置づける一方、イスラエルや欧州諸国との関係調整に苦戦している。レバノン停戦の成否は、中東地域の安全保障構造と国際的な信頼回復の試金石となる。