米国とイランの和平交渉が最終段階に入った。パキスタンのシャリフ首相は12日、両国の和平合意文書が最終的に合意されたことを確認し、今後に向けた手続きを進めると表明した。ドナルド・トランプ米大統領はイランへの軍事攻撃を中止し、合意が成立したと主張したが、イラン側もまた交渉がほぼ完了したと強調。両者は合意の成立を巡って一致しているものの、その具体的な内容については明らかな相違が浮上している。
イラン系メディアが公開したとされる14項目からなる草案には、レバノンを含む全戦線での即時停戦、ホルムズ海峡の30日以内の再開、米国海軍による封鎖解除、石油制裁の停止、凍結資産240億ドルの解放などが盛り込まれている。これに対し、米政府高官は合意が「実績ベース」であり、核物質の破壊・除去や核プログラムの解体、テロ支援の停止が条件であると反論。資産の解放は義務履行後に段階的に行われるとし、イラン側が主張する即時解放や3000億ドル規模の復興計画は合意に含まれていないと否定している。
交渉の行方を左右する中東情勢は依然として緊迫している。イランは核燃料の濃縮権と海峡の管理権を堅持し、イスラエルはヒズボラを含む地域勢力の支援停止と核兵器不保有を合意の必須条件として位置づけている。また、アラブ首長国連邦(UAE)はイランからの攻撃停止の見返りに数十億ドル規模の資金提供に合意するなど、地域各国が独自の外交・経済カードを駆使して情勢の安定化を図っている。イスラエルのネタニヤフ首相は合意の直接の当事者ではないとしつつ、イランの核武装阻止とレバノン・シリア・ガザにおける安全保障措置の継続を明言した。
和平合意の兆しを受け、世界市場では原油価格の下落や株式市場の上昇といった反応が見られたものの、現地の戦闘停止や核合意の具体的な実施体制が確立されていない現状を踏まえると、交渉の行方は不透明だ。両陣営の主張の隔たりが埋められるかどうかは、来週末に予定される署名式の実現と、その後の技術的交渉の成否に大きく依存している。中東地域が真の平和へ向かうかどうかは、外交の枠組みが軍事・経済の現実を凌駕できるかどうかにかかっている。