2026年10月10日(土)から11日(日)にかけて、イエメンのイラン支援武装組織フーシがサウジアラビア首都リヤドのキング・ハリド国際空港に対し、弾道ミサイル・巡航ミサイル・無人機を用いた複数次の攻撃を仕掛けた。土曜日の攻撃だけで最低12人が死亡し300人超(最大309人)が負傷し、日曜日にも同空港第4ターミナルに「正体不明の砲弾」が着弾して火災が発生した。ダンマムのキング・ファハド国際空港付近にも砲弾が落下し、サウジが主導する軍事連合軍はこれを「完全なる戦争犯罪」と断じて即時の反撃を宣言した。サウジの民間航空当局は空港の閉鎖を日曜日の午後9時(GMT)まで延長し、リヤド全域の学校は週末日曜から木曜までオンライン授業へ移行した。
死者の内訳はサウジ人4人、バングラデシュ人2人、米国・ヨルダン・パレスチナ・シリア・スーダン・エジプトの各1人であった。インド大使館は1人のインド人が負傷後に死亡したことを確認した。フィリピン当局は2〜3人が集中治療室に収容されたと発表し、パキスタンでは6人が負傷した。バングラデシュでは約500人の乗客が足止めを食らい、政府は遺体の送還手続きを開始した。韓国はサウジ全土への渡航警報をレベル3(退避勧告)に引き上げ、趙현外相が中東15公館との緊急会議を主宰した。フィリピンではフィリピン労働者海外雇用相のハンス・レオ・カクダクが負傷者の対応に当たった。ドイツのカタリーナ・ライヒ経済相もリヤドに足止めされ、代替帰国ルートの検討が迫られた。国際エネルギー会議(WPCエネルギー大会)は空港から約10キロ離れた会議場で予定通り開催され、70人以上の閣僚と300人以上の企業幹部が出席を予定していた。
本件の背景には、2026年2月28日に勃発した米国・イスラエル対イランの戦争がある。フーシは同戦争の「波及」の一環としてサウジへの攻撃を強化してきた。7月に4年間の停戦が崩壊した後、フーシは紅海沿岸の戦略的地域を急襲して掌握し、サウジが支援するイエメン政府軍が反攻を開始した。フーシは「空港対空港、包囲対包囲、エスカレーション対エスカレーション」という原則を掲げ、サウジがイエメンのサナ空港を空爆したのと同様に、サウジの空港を攻撃する方針を明示した。フーシ外務省は「サウジの敵がイエメンへの侵略と干渉を止めない限り、さらに悪いことが起こる」と声明した。トランプ米大統領は土曜日にサウジへの軍事参加を検討中と表明し、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子との会談を予告した。国連事務総長アントニオ・グテーレスは「民間人と民間インフラへの攻撃は国際法の違反だ」と非難した。欧州委員会委員長のウルズラ・フォン・デア・ライエンは「イランの代理勢力による攻撃が地域を暴力の螺旋へ押し込んでいる」と述べ、ドイツ外相ヨハン・ヴェーデプフルは「サウジと民間航空に対するテロ行為」と断じた。英国防相ウェス・スティーティングは「卑劣な行為」と非難し、英国がサウジに防空支援と空中給油を提供していることを明らかにした。
国際メディアの論調には明確な差異が認められる。ロイター通信やBBCは、フーシが「イランの代理勢力」として機能している点と、米国の介入可能性に焦点を当てた。アルジャジーラはサウジ防空網の構造的限界(パトリオット・THAAD迎撃ミサイルの在庫不足、国土の広大さ、イラン戦線への防空資源の分散)を専門家のコメント付きで詳述し、フーシの兵器体系(Palestine-2弾道ミサイルの射程2000km、Toufan巡航ミサイルの射程1350〜1950km等)を解説した。ドイチェ・ヴェレはライヒ経済相の足止めを報じ、仏ル・フィガロは2015年の自爆テロ以来最悪の被害と位置付けた。バングラデシュ・フィリピン・パキスタン・インドの各紙は自国民の被害と救出・送還の対応を前面に押し出し、マレーシアはサウジとの連帯と平和的解決の呼びかけを強調した。イラク政府は「軍事的作戦の完全停止」を求め、ロシアも「政治的・外交的手段」による停戦を呼びかけた。一方、欧米メディアは米国の軍事参加の可能性と地域紛争の拡大リスクを主軸に据えており、被害当事国・周辺国と欧米メディアの間で、事態の深刻度の認識に温度差が認められる。ほぼ全メディアが一致して報じた事実は、民間人・民間インフラへの攻撃が国際法に違反するという点と、フーシがサウジの防空網を突破する能力を有しているという事実であった。