北米3か国共催による2026年FIFAワールドカップが目前に迫り、メキシコシティのアステカ競技場で開催される開幕戦(メキシコ対南アフリカ)を前に、FIFAのジャンニ・インファンティノ会長が記者会見を開いた。48か国・104試合という史上最大規模の大会を前に、入国ビザ問題や高額なチケット価格を巡る批判に対し、会長は毅然とした姿勢で組織の運営を擁護した。
最も注目を集めたのは、ソマリア出身の審判官オマル・アルタン氏の入国拒否事件である。有効なビザを所持していたにもかかわらず、米国当局がテロ組織との関連を理由に入国を認めなかった。インファンティノ会長は「不幸なことだ」と述べつつ、「私たちは世界の王ではなく、政府や警察を支配する権限を持たないスポーツ組織だ」と強調。直ちに大声で抗議するのではなく、静かに解決策を模索する姿勢を示し、「落ち着いて、リラックスすることが解決への近道になることもある」と語った。
チケット価格については、一部で3万ドルを超える高額チケットが話題となる中、会長は60ドルからのエントリープライスや平均500ドル未満の価格帯が米国スポーツのプレーオフと比較しても最低水準であると反論。収益はすべてサッカーの発展に還元されると説明した。また、米国との軍事対立下にあるイランのチームの参加を、FIFAの外交的勝利として位置づけ、「私たちは世界を結びつけたい」と団結のメッセージを繰り返した。メキシコでは教員組合などの抗議活動や機動隊による警備強化、気象要因による試合延期など開幕前の課題も存在するが、インファンティノ会長は「何も後悔していない」と断言し、トランプ米大統領の関与を大会成功の鍵と称賛した。
複雑な地政学的緊張や入国管理の課題を抱えつつも、サッカーが世界を一つにする祭典として幕を開ける準備が整った。48か国が参加する本大会は7月19日まで行われ、各国の代表が栄光を懸けて戦う。