米国仲介によるイスラエルとレバノンの直接協議がローマで始まった。国務省報道官のトミー・ピゴット氏によると、7回目の協議は4日から6日にかけて行われ、6月に合意した枠組み協定の完全な実施を目指す。協議の核心は、ヒズボラの武装解除と引き換えにイスラエル軍がレバノン南部から段階的に撤退し、レバノン軍がパイロットゾーンと呼ばれる特定地域に展開するプロセスの具体化にある。米国側は、民間人の保護や明確な作業手順の合意を重視し、焦りの排除を両陣営に求めている。
合意の履行に向けた現実的な課題も浮上している。既に合意された第1パイロットゾーンではイスラエル軍の撤退とレバノン軍の展開が進んでおり、レバノン軍はシリア国境付近からの武器密輸も押さえている。エジプトの外務相も電話会談でレバノン政府を支持し、国際法と国連安保理決議に基づいた完全なイスラエル軍撤退と、国家権力の確立を強調した。一方で、イスラエル側はヒズボラの武装解除が完了するまで南部の緩衝地帯維持を主張しており、両者の認識差は残る。この枠組みは、レバノンに軍事支援を続けてきたイランを巡る地域情勢にも影響を与えている。
協議の進展を巡り、レバノン国内では政府とヒズボラの対立が表面化した。ヒズボラのナイム・カッサーム指導者はテレビ演説で、直接協議はレバノンに屈辱と相次ぐ譲歩しかもたらさないと断じ、ジョセフ・アウン大統領が中立な仲裁者ではなく分裂を招く存在になっていると批判した。これに対し、ナワフ・サラーム首相はX上で、国家の意思決定を外部勢力に奪われ、無駄な戦争に引きずり込んだ勢力を厳しく非難し、単一の軍隊と主権を備えた国家の実現を訴えた。協議の行方は、レバノンの国家主権回復と地域安定に直結する重要な分岐点となる。