2026年10月10日(土)午後、サウジアラビア首都リヤドのキング・ハリド国際空港にミサイルが着弾し、少なくとも12人が死亡、309人が負傷した。サウジ民間航空総局(GACA)が日曜未明に発表した声明によれば、死者にはサウジ人4人、バングラデシュ人2人、および米国、エジプト、ヨルダン、シリア、パレスチナ、スーダンの各1人の計8人の外国人が含まれる。ミサイルは国内線用の第3・第4ターミナル棟を直撃し、複数の重体患者が病院に搬送された。サウジ主導の対イエメン連合軍は、この攻撃を「完全なる戦争犯罪」と断じ、フーシ派の関与を主張した。連合軍報道官トゥルキ・アルマリキ少将は「国際人道法に則り断固たる対応を取る」と声明で表明した。
この攻撃はイラン戦争の戦線が拡大する中での出来事である。サウジ主導連合軍は先週、フーシ派に対する大規模軍事攻勢を開始しており、イエメン政府軍も「夜明けの作戦」と称する反攻をバブ・アル・マンデブ海峡周辺で展開していた。イエメン政府軍報道官マジェド・アブドゥッラー・アルナジリ大佐は、過去24時間で約2000回の作戦を実施し、少なくとも1150人のフーシ派戦闘員を殺害したと主張した。一方、フーシ派はサウジ上空を「軍事作戦区域」と宣言し、メッカとメディナ上空を除く全航空機を標的とすると警告していた。今回の攻撃はこの警告の実行である。
国際社会の反応は急速に広がった。国連事務総長アントニオ・グテーレスは「民間人と民間インフラへの攻撃は国際法の違反であり、直ちに停止されねばならない」とX上で非難した。湾岸協力会議(GCC)事務総長ジャセム・アルブダイウィは「卑劣なテロ攻撃」と呼び、GCC全加盟国がサウジと連帯すると表明した。カタールの元首相ハマド・ビン・ジャーシム・ビン・ジャービル・アルサーニは「イランこそが我らの主要な敵である」とX上で宣言し、GCC加盟国が「周辺的な争いを棚上げして団結する」ことを求めた。マレーシアのアンワル・イブラヒム首相は「民間人と民間インフラへの攻撃に正当化の余地はない」と声明で述べ、パキスタンのシャフバズ・シャリフ首相も「地域平和への脅威」として攻撃を非難し、メッカ防衛協定に基づくサウジとの安保協力関係を再確認した。
米国の動向が特に注目されている。トランプ大統領はホワイトハウス外で記者団に対し、サウジのフーシ派への攻撃への参加について「あり得る。検討する。最近の攻撃をたった今知ったばかりだ。すぐに判断する。我々は非常に迅速に動く」と述べた。また「サウジ人は優れた戦士だ。しかしこの攻撃はひどいことだ」と付け加えた。米国務長官マルコ・ルビオは「これらの忌まわしい攻撃は無辜の民間人の生命に対する明白な無視を示している。今直ちに止めねばならない」とX上で声明し、米国人1人の死亡を確認した。一方、ロシアのプーチン大統領はクレムリンのペスコフ報道官を通じて、米イラン戦争の終結に関するイラン側の立場をトランプ大統領に伝達したと伝えられており、ロシアが仲介役を自認する姿勢を示した。
メディアの論調には明確な地域差が認められる。バングラデシュメディア(Daily Star等)はバングラデシュ人2人の犠牲とダッカからの5便欠航に焦点を当て、自国民保護を最優先課題として報じた。ドイツのドイチェ・ヴェレはイラン戦争との連関を強調し、オマーン湾での米軍による貨物船攻撃やホルムズ海峡でのLPGタンカー攻撃など、海上戦線の拡大を詳細に伝えた。スペインのエル・パイスは「イラン戦争(2月28日開始)以降、湾岸諸国で最悪の攻撃」と位置づけ、サウジの防空能力の脆弱性に言及した。フランスのFrance 24は「10年以上ぶりの最悪の攻撃」とし、2015年8月のアブハでのIS自爆テロ(15人死亡)と比較した。一方、カタールのMiddle East EyeとAl JazeeraはGCCの団結とイランを「主要な敵」とする構図を前面に出し、イエメン政府軍の反攻とフーシ派の「空港対空港」報復戦略を詳細に報じた。インドのTimes of Indiaはインド外務省の「卑劣な」という表現とトランプの対応を軸に構成し、米国のAP/NPRはサウジの迎撃ミサイル不足と米国の情報支援を焦点とした。韓国・ヘラルド紙も同様にサウジの防空力不足と米国の関与可能性を重視した。総じて、欧米メディアは地政学的均衡と軍事バランスに、中東メディアはGCCの団結とイラン包囲網の形成に、南アジアメディアは自国民の安全と二国間関係にそれぞれ重点を置く構図が浮かび上がる。
この攻撃は複数の重大な影響を孕む。第一に、サウジは防空迎撃ミサイルの在庫が枯渇しつつあり、フランス・英国・パキスタン・エジプトに防空支援を要請済みである。第二に、フーシ派は「空港対空港」「封鎖対封鎖」の報復戦略を明示しており、サウジの航空インフラと石油施設への継続的攻撃が予想される。第三に、世界の最大の原油輸出国であるサウジへの攻撃はエネルギー市場を揺るがし、リヤドでの世界石油会議や投資会議の開催自体が危ぶまれる状況にある。第四に、米国の軍事介入が現実味を帯びることで、イラン戦争とイエメン内戦の戦線がさらに融合し、地域全体が全面戦争の瀬戸際に立たされている。EU航空安全庁はサウジ上空のリスク評価を拡大し、「ミサイル・ドローン攻撃と迎撃活動が民間航空機の誤認リスクを高める」と警告を発した。バングラデシュ外務省は「民間人の生命を危険にさらし、民間インフラを標的とする攻撃は受け入れがたく、直ちに停止されねばならない」と声明で述べ、対話と外交による平和的解決を呼びかけた。この呼びかけが実現するかどうかは、トランプ大統領が「非常に迅速に」判断すると述べた米国の決断と、プーチンが仲介を申し出たイラン側の反応にかかっている。