イラン政府は、米国とイスラエルによる2024年2月28日以降の軍事攻撃で被った直接・間接的損害が約2,700億ドルに上るとし、同国に対し賠償を求めると発表した。さらに、ハルムーズ海を通過する船舶に課す税金を含む新たな賠償枠組みの構想も提示した。
テヘランの国連代表は、攻撃に利用されたと主張する5カ国の領域に対しても賠償責任を追及すると述べた。イラン側は、石油・ガス施設、石油化学プラント、鉄鋼・アルミニウム工場、軍事施設に加え、橋梁・港湾・鉄道網、大学・研究所、電力・海水淡水化プラント、さらには多数の病院・学校・民家が被害を受けたと報告した。
同国のファテメ・モハジャラニ広報官は、経済的制約から被災民への直接的な補償は困難であるとし、賠償交渉は先週パキスタンで行われた米国側との会談でも議題に上がったと指摘した。また、民間航空部門は60機の民間機が使用不能となり、うち20機が完全に破壊されたと報告。乗客収入の損失は約190億ドルに上り、ナウルーズ(ペルシア新年)期間の収益減少が深刻化している。
さらに、米国主導の海上封鎖がイランの港湾活動を制限する中、イランはハルムーズ海通商税プロトコルを提案し、通過船舶からの税収を賠償資金に充てる方策を示した。国内では、90%以上の国民が影響を受ける大規模なインターネット遮断が続き、日々約8000万ドル相当の経済損失が発生していると、イラン商工会議所の代表は警鐘を鳴らしている。
イランは防衛予算を2024年の約45億ユーロ(GDP比1.58%)から2025年には70億ユーロ(GDP比2%)へと増額し、EUからの58億ユーロ規模の低金利融資を申請して装備更新を進める計画だ。これに対し、米国は現時点で具体的な賠償交渉の進展は示していない。
今回の賠償要求は、地域安全保障と米伊関係に新たな緊張をもたらすと見られ、今後の交渉次第で中東の軍事バランスやエネルギー供給に影響を及ぼす可能性がある。