北米をホストとする2026年FIFAワールドカップが開幕し、欧州王者スペインがサウジアラビアを4-0で破って白星で飾った。しかし、大会開催地である米国や欧州各地では記録的な熱波が襲っており、スポーツイベントの中止や交通網の麻痺、健康被害が相次いでいる。気候変動がもたらす異常気象が、世界最大規模のスポーツ祭典と社会インフラの両面に同時多発的な影響を及ぼしている。
6月21日、アトランタで行われたスペイン対サウジアラビア戦では、長年の怪我から復帰したバルセロナのエース、ラミン・ヤマルが10分に先制弾を放つと、ミケル・オヤルサバルが2得点を挙げて4-0の快勝を飾った。ルイス・デ・ラ・フエンテ監督は65歳の誕生日を記念して、前節のカーボベルデ戦0-0の屈辱を晴らす完勝を収めた。その他、ドイツがコートジボワールを2-1、日本がチュニジアを4-0で破ってグループ突破の好スタートを切った。フランスはイラク戦を控えており、イングランドとガーナが激突する。
一方で、サハラ由来の熱気団が欧州を席巻し、スペイン、フランス、ドイツ、英国で40度近い猛暑が記録された。フランスでは35県に熱波警報が発令され、SNCFが列車を多数キャンセル、公共の場でのアルコール消費を禁止した。スペイン・マドリードではスペイン戦の公開観戦イベントが熱中症リスクにより中止された。米国のアリゾナ州グランドキャニオン国立公園では、過酷な高温により登山者3人が熱中症で死亡し、NWSが44度超の危険な気温を警告している。環境科学の分野では、テキサス大学がスタジアムの観客動員を利用して大気質を測定する実験を推進しており、NASAでは国際宇宙ステーション上でサッカーボールの無重力運動実験が行われるなど、大会が科学技術の場ともなっている。
48チーム・104試合という史上最大規模の大会は、気候危機と社会インフラの脆弱性を浮き彫りにしている。欧州では法廷での頭巾着用制限や労働市場における差別問題が法廷で争われるなど、多様性と世俗主義をめぐる社会的摩擦も表面化している。スポーツの祭典がもたらす経済効果や技術革新の一方で、極端な気象現象が大会運営や都市の持続可能性に重大な課題を突きつけている。今後、開催地における熱対策の強化と、気候変動適応策の抜本的見直しが国際社会に求められることになる。