米国トランプ大統領は24日、イランとの交渉が進行中であるものの、テヘラン側が合意に準備できていないと改めて表明した。同時に、サウジアラビアとの民間原子力協力合意の実施を、同国が「アブラハム合意」に参加しイスラエルと国交正常化することに条件付けると明言した。中東地域では米イラン間の軍事衝突が5ヶ月目に突入し、ホルムズ海峡の封鎖懸念や原油価格の高騰などが背景にあり、外交・軍事・経済の各局面で複雑な展開が続いている。
米軍はイラン領内への攻撃を継続し、イラン側もクウェートやバーレーン、ヨルダンなどに駐留する米軍基地への報復攻撃を実施している。米側はイランによる重要海峡の封鎖阻止を攻撃の理由としており、イラン側は4人の米軍兵士が死亡したと主張する。また、イエメンのフーシ派がサウジ向け石油タンカーへの攻撃を宣言し、紅海での海上封鎖を巡ってサウジ主導の連合軍がフーシ派拠点を攻撃する事態となっている。中国の王毅外相はキルギスでイランのアラグチ外相と会談し、早期の交渉再開と緊張緩和を呼びかけた。トランプ大統領はイラン側が交渉で「非常に真剣」になっていると評価しつつ、大規模な軍事作戦の実施については未決定とし、米軍は「準備万端」だと強調した。一方、米エネルギー省は22日、クリス・ライト米エネルギー長官とサウジアラビアのアブドゥルアズィーズ・サルマン王子が、サウジ国内での商用原子炉建設を柱とした30年間の原子力協力合意に署名したと発表していた。トランプ大統領は直後、同合意の実行をサウジのアブラハム合意参加に完全に依存させると表明し、ホワイトハウス側も事前にサウジ側と複数回協議していたと説明した。合意にはウェスティングハウスなど米企業が関与し、膨大な経済効果が期待される一方、核拡散への懸念も指摘されている。トランプ氏は核物質の増殖は行わないと否定している。
5ヶ月にわたる紛争は地域経済に深刻な打撃を与えており、紅海封鎖懸念から原油価格は一時1バレル100ドルを超え、海上保険料の上昇や船舶の航路変更を招いた。長引く軍事衝突とエネルギー価格の高騰は、米国内の経済不安を煽り、11月の中間選挙を控える与党共和党の支持率に悪影響を及ぼす可能性が指摘されている。外交交渉の行方と地域の安全保障体制が、米国の国内政治と国際的な地政学的バランスに大きな影響を及ぼす局面となっている。