ドナルド・トランプ米大統領とイランのマスード・ペゼシュキアン大統領は、2月28日に始まった中東紛争を終結させる14項目からなる覚書(MoU)に署名した。合意は直ちに発効し、全戦線での軍事活動の永久停止とレバノンを含む停戦を規定する。米軍はイラン港湾封鎖を解除し、イランは60日間にわたりホルムズ海峡の無償通過を保証する。両国は60日間の交渉期間を経て最終合意の締結を目指す。
核問題および経済制裁に関する条項では、イランは核兵器の開発・取得をしないと再確認し、国際原子力機関(IAEA)の監視下で現地の高濃縮ウランを希釈する合意に至った。米国はイランの原油輸出に関する免除を発行し、凍結資産の解放を約束する一方、地域パートナーと連携してイランの再建および経済発展のために少なくとも3000億ドルの基金を設立する方針を示した。イランの最高指導者モジャッバ・ハメネイは、国家の権利と「抵抗戦線」の利益が保護されるとの確約を得て、保留ながらも署名を承認した。
合意の署名式はフランス・ヴェルサイユ宮殿で執り行われ、パキスタンのシャリフ首相らが仲介役として関与した。一方、交渉から除外されたイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、南レバノンでのヒズボラ掃討作戦を継続する方針を固め、合意への反対を表明した。JDヴァンス米副大統領はイスラエルの閣僚らを「異常なパニック」と批判し、米国の同盟国であるイスラエルが米国の対イラン合意を攻撃すべきではないと警告した。米国内でも共和党の強硬派や民主党から「歴史的な外交失策」との声が上がり、トランプ政権の対応は激しい論争を呼んでいる。
合意により、世界経済の生命線であるホルムズ海峡の通航が再開され、原油価格の下落や市場の安定化が期待される。しかし、イランの弾道ミサイル能力や地域代理戦への関与、最終的な核合意の行方、そしてイスラエルの対応など、解決すべき課題は山積している。60日の交渉期間が平和の定着か、さらなる対立の再燃かを決める重要な試金石となる中東情勢は、新たな転換点を迎えた。