米軍によるイランへの連続夜間空爆が13夜ぶりに一時停止している。トランプ政権高官は外交を優先する姿勢を示す一方、米軍はイランに対する海上封鎖を継続している。同時に、イラン支持のフーシ派が紅海沿岸のサウジアラムコ施設を攻撃し、ウクライナがカスピ海でイラン船を攻撃したとされるなど、紛争は複数の海域に拡大しつつある。
米軍の作戦停止について、トランプ政権は明確な説明を避けているが、国防総省関係者や米軍統合参謀本部議長ダン・ケインは、パトリオットミサイル迎撃弾などの防空弾薬の枯渇を懸念している。また、紛争の拡大による湾岸諸国との関係悪化、エネルギー供給への影響、世界経済への打撃を懸念し、トランプ大統領は当面、大規模な軍事作戦の計画を棚上げしている。一方で、トランプ氏はイランが本格的な交渉に応じない場合、さらなる報復を示唆しており、交渉の行かが焦点となっている。紅海では、フーシ派がサウジアラムコの石油施設をミサイルやドローンで攻撃。サウジ側はパトリオットミサイルで迎撃し、サウジ軍の支援を受けた政府軍もフーシ派拠点への空爆を再開した。これにより、ホルムズ海峡に次ぐ重要航路が脅かされ、原油価格が1バレル100ドルを超す水準で推移している。カスピ海では、イラン側がウクライナによる自国商業船の攻撃を主張し、乗員1人が死亡、1人が負傷したと伝えている。ウクライナ側も長距離攻撃の結果を称賛したが、ロシアがイランに衛星画像を提供したとの指摘も出ている。
イスラエル側は、米軍の停止後も大規模な軍事行動の再開を予測しており、ネタニヤフ首相がトランプ大統領と会談する際、イランの核・軍事再建に関する最新情報を提示する計画である。イランの核開発加速に向けた動きは、米国の軍事オプション選択を迫る要因となっている。
米軍の作戦停止と外交模索は、短期的な緊張緩和をもたらす可能性があるが、フーシ派による紅海攻撃の激化や、イランの軍事再建の動きは、紛争の長期化と地域情勢の不安定化を招く。エネルギー価格の高騰は世界経済に打撃を与え、米国内では支持率の低下や弾薬不足が政治課題となっている。今後、トランプ大統領とネタニヤフ首相の会談や、仲介役を挟んだ交渉の進展次第で、中東の安全保障構造と国際エネルギー市場が再編される可能性がある。